2019年2月27日
バーチャルプロダクション:スター・ウォーズ、イマーシブなエンターテイメント、リアルタイム レイ トレーシングについて ILMxLAB と NVIDIA に聞く
Star Wars: Secrets of the Empire の 1 シーン
ILMxLAB でクリエイティブ ディレクター兼視覚効果スーパーバイザーを務める Leo 氏は、Star Wars: Secrets of the Empire のようなエクスペリエンスを開発する動機となったのは、バーチャル プロダクションに対する ILM の関心であったと述べています。「バーチャル プロダクションのテクニックを使うことで演出家がスター・ウォーズの世界とインタラクションできるのなら、観客もスター・ウォーズの世界とインタラクションしたいはずだ、と ILM 全体で考えました。そこで、実際に消費者に提供できるものを最終的な成果にしようとしました」
ILMxLAB の Mohen Leo 氏
リアルタイム レンダリングを導入する際、ILMxLAB はビジュアルの水準を維持することを心がけました。ILM は高い水準のビジュアルを作り出すことで知られています。ILMxLAB は、VR エクスペリエンスを提供する手段として、家庭用 VR ではなく、最高品質の感覚的体験を可能にするロケーション ベース エンターテイメントを選びました。ロケーション ベース エンターテイメントとは、アミューズメント パークや博物館などの決まった場所で VR エクスペリエンス専用にセットアップされた施設を参加者が訪れる形式のものです。この形式であればハードウェアに十分な計算能力があり、ILMxLAB が求める水準に達する忠実度のビジュアルが可能になります。
Star Wars: Secrets of the Empire の 1 シーン
バーチャルプロダクションとリアルタイム レンダリングについて調査を行った ILMxLAB は、THE VOID とチームを組み、イマーシブな VR エクスペリエンス Star Wars: Secrets of the Empire を制作しました。このエクスペリエンスでは 4 人のプレイヤーが VR 施設に一緒に入り、アバターとなって 1 つの課題に挑みます。物理的な物体とインタラクションし、肌に風を感じることもできます。
Leo 氏は次のように述べています。「Unreal Engine と NVIDIA は、私たちを助け続けてくれています。私たちは同じツールを使うようになってきていて、リアルなイメージをリアルタイムで作ろうとするときに、まったく異なる考え方をする必要はなくなりました」ILMxLAB と THE VOID は、協力して Ralph Breaks VR も制作しました。このエクスペリエンスでは、イマーシブな世界でプレイヤーはカートゥーンのアバターとなり、映画シュガー・ラッシュ シリーズでおなじみのキャラクターたちと一緒にアニメーションのなかで冒険に挑みます。 ILMxLAB は、エクスペリエンスのそれぞれについて、「ただ観るだけのものではなく、実際に足を踏み入れて、その一部となれるようなもの」にしている、と Leo 氏は述べています。ILMxLAB はさまざまなコンテンツの制作に取り組んでいて、Marvel のシリーズに基づく VR エクスペリエンスが 1 つ予定されています。
ポッドキャストの後半では、リアルタイム レイ トレーシングを可能にする RTX テクノロジーについて、NVIDIA のシニア ソリューション アーキテクト、Rick Grady 氏にお話を伺いました。
NVIDIA は GDC 2018 で VFX コミュニティを感嘆させました。Epic Games と ILMxLAB と協力し、光沢のあるスター・ウォーズのキャラクターに RTX を使用して Unreal Engine でリアルタイム レイ トレーシングを行う映像、Reflections を公開したのです。その後、「非常に多くのスタジオから連絡があり、どうやったらすぐに使えるのかと質問されました」と Grady 氏は述べています。 Grady 氏は RTX アーキテクチャについて説明してくれました。RTX アーキテクチャでは、分散レンダリング タスクのために新しい 2 種類のコアを導入しました。それらのコアは Tensor と RT と呼ばれ、RT はレイ トレーシングの高速化に使われます。また、NVIDIA のノイズ除去テクニックについても説明してくれました。この技術を利用すると、反射やシャドウのレンダリング時間を短縮しつつ、ビジュアルの品質を鮮明なものに保つことができます。
RTX を使ったレイ トレーシングは、現状では Unreal Engine の一部とはなっていませんが、NVIDIA は Epic と引き続き協力し、このテクノロジーの可能性を広げ、発展させています。その一例が、SIGGRAPH 2018 で展示されたデモ、Speed of Light です。
Grady 氏は次のように述べています。「広く受け入れられるには、完全なプラットフォームを提供する必要があります。誰もが RTX が欲しいと思っています。今は主にソフトウェア ベンダーのサポートに取り組んでいます。ソフトウェアが市場に出るように支援して、人々がプロダクション ワークフローで RTX を実際に活用できるようにしていきます」
今回のポッドキャストは、ほかにも内容が盛りだくさんです。ぜひ全体をお聴きください。バーチャル プロダクションのハブにもアクセスしてください。バーチャル プロダクションに関する多くのビデオ、ポッドキャスト、情報を提供しています。