2019年2月6日
Unreal Engine が可能にした、ロバート・ゼメキス監督の Welcome to Marwen におけるバーチャル プロダクション

Kevin Baillie 氏とロバート・ゼメキス監督は、希望するビジュアルのスタイルと忠実度を実現する方法について、2013 年に最初のブレインストーミングを行いました。主な目標は、従来のモーション キャプチャによって演技の特色を損なうことなく、観客が人形を通じて各俳優の演技を重みのあるものとして受け止められるようにすることでした。

Baillie 氏は次のように述べています。「モーション キャプチャのプロセスとしては非常に珍しいものになりました。カメラと俳優のモーションをキャプチャするだけでなく、映画の最終的な映像を撮影するときのように俳優にライトを当てる必要があったのです。優秀な Unreal のデベロッパーのチームと協力して、iPad を使った制御システムを設計してもらいました。そのシステムによって、撮影監督の C. Kim Miles は、太陽の高さと向き、フィル ライトの強さを直感的に制御できるようになりました。Miles は、1 フレームも撮影しないうちに、映画のなかの Marwen の部分すべてについて、ライティングを事前に作成できました。そのおかげで、モーション キャプチャ用のステージでの撮影が終わった時点で必要なものすべてがそろっていることになり、合成がうまくいくという確信を持てるようになりました」

Baillie 氏は次のように述べています。「映画全体のライティングを Unreal で前もって作成しておくメリットの 1 つは、モーション キャプチャ用のステージでモニタを見たとき、あるモニタにはカメラがキャプチャしたものが写し出され、別のモニタには Marwen が写し出されることでした。しっかりとした衣装をまとった人形が美しい環境のなかで演技をする姿を見ることができたのです。Unreal で作られたその環境は、草が揺れ動いていて、とても見応えのあるものでした」

Baillie 氏は次のように述べています。「そのバーチャル プロダクションの機能は、カメラ チームとゼメキス監督にとって重要であっただけでなく、ステージ上の俳優たちにとっても大きなインスピレーションを与えるものになりました。セットでリアルタイムに確認できるフィードバックのビジュアルの品質を向上させるほどに、俳優やその他のクリエイティブ担当者にとって、その場での見えないメリットが大きくなりました。ある意味では、このバーチャルの鏡は、リハーサルのための優れたツールでした」
プロダクションの段階のほかに、リアルタイムのワークフローによって効率が向上したことで、視覚効果にも大きな影響がありました。ゼメキス監督と Baillie 氏は、バーチャル プロダクションを利用して、製作上の意思決定の多くをセットで行うことができました。それによってビジュアルが早い段階で決定されたため、VFX アーティストが時間を節約できました。また、VFX アーティストが下見用の映像や初期段階のカットのために間に合わせの VFX を急いで作成する必要も少なくなりました。セットでできた Unreal による映像は、多くのシーンで必要以上のものでした。

Baillie 氏は、これからリアルタイム テクノロジーが視覚効果を大きく変えていくと考えています。「視覚効果の業界では、何をできるかについては成熟しつつあります。次に発展するのは効率性の面でしょう。効率性を向上させるツールによって、予算が限られている映像作家に大きな可能性が開かれるでしょう。リアルタイム テクノロジーは、アイデアについてイテレーションを行い、作品をすばやく完成させる助けになります。また、これまでにできなかったような低予算に抑えることができます。このテクノロジーは、新世代のストーリーテラーが映画でイマジネーションを発揮することを推進していくでしょう」
制作したいストーリーがあるという方は、Unreal Engine を今すぐダウンロードしてください。リアルタイムのフィードバックなどの機能を活用するバーチャル プロダクションのパイプラインを独自に作成できます。ポッドキャスト Visual Disruptors シリーズのなかで、バーチャル プロダクションについてロバート・ゼメキス監督にお話を伺いました。こちらもぜひお聞きください。