2020年2月12日
KA DesignWorks、Twinmotion を使った VR ウォークスルーで建築ビジュアライゼーションのデザインを精細に調整
KA DesignWorks は、3 年前からインタラクティブな建築ビジュアライゼーション ツールである Twinmotion を使用してきました。これを HTC VIVE と組み合わせ、強力な VR 機能を活用しています。KA の建築ビジュアライゼーション/VR スペシャリストの Andrew Chaloupka 氏は次のように述べています。「静止画のレンダリングも動画もいいのですが、どちらも VR ほどには空間や大きさの感覚が伝わりません」
KA DesignWorks は最近、ロッキー山脈の壮大な眺めを望む、魅力ある建物の再活性化プロジェクトに取り組みました。このときチームは、Twinmotion を活用してクライアントによるレビューのプロセスを大幅にスピードアップすることができました。また、Twinmotion の優れた VR 機能を使用して、2D レンダリングでは見落としていたであろう改善点を設計に反映しました。
VR により設計を新しい視点で見る
この White Horse Springs Lane プロジェクトは、地元ではその独特の建築がよく知られていた 1 軒の住宅を中心としたものでした。田舎道に沿って建つ元の住宅は 1990 年代に建築家リカルド・レゴレッタのスタイルで設計されたもので、その造りは周囲との調和がとれていない印象でした。この敷地に対する KA DesignWorks の新しいデザインは、当初は構想プロジェクトとして始まりましたが、その後、建物を創造し直す開発提案に発展しました。この建物には数々の興味深い特徴があり、大きな可能性がありました。たとえば建物が多方向に伸びているため外に面した部屋が複数あり、また山々の眺めは圧巻でした。
計画では、住宅から印象的な山々の景色を望めるようにすること、新しい資材や質感の組み合わせで周囲との調和を高めること、屋外の空間を有効活用して区画内で利用できる領域を拡大することを目指しました。静止画と動画が作られましたが、これらは主に、内装のデザインに関する指示を伝えるためと、プロジェクトへの関心を高めることを目的とするマーケティングの要件を満たすために使われる予定でした。
KA では、すべてのプロジェクトで、最初に Graphisoft の BIM ソフトウェア ARCHICAD を使って詳細で体系的な 3D モデルを作成します。それから ARCHICAD Direct Link を使用してそのモデルを Twinmotion にインポートすると、VR で設計をレビューできます。ARCHICAD Direct Link では、Twinmotion と ARCHICAD との同期を 1 クリックで行うことができます。
Twinmotion では、建築デザイナーに技術的な専門知識がなくても 3D モデルを VR にできるため、VR の経験の有無にかかわらず、説得力のあるイマーシブなウォークスルーを誰でも利用できます。「非常に直感的に操作でき、既定の設定で印象的な結果を生み出すことができるので、大量のトレーニングを行う必要はありません」と Chaloupka 氏は述べています。
KA では、以前はレンダリングやアニメーションに 3D ソフトウェアを使用してきましたが、VR 機能がなかったため、プロジェクトを新たなレベルまで上げるためには別のソフトウェアが必要でした。Chaloupka 氏は次のように説明します。「クライアントは、2D レンダリングや平面図を見ると、それでよくわかったと考えがちです。しかし、ヘッドセットを装着すると、窓が大きすぎる、廊下が狭すぎる、天井が高すぎるなどの感想がすぐに聞かれます。こうした声は 2D の世界では集めることができないのです」
改善点を明らかにする
イマーシブな環境でヒューマン スケールで設計を評価できることが、White Horse Springs Lane プロジェクトに大きな影響を及ぼしました。あるとき、元々は管理人室だった離れでのガラスの使用についてデザイナーが検討していました。最初は窓を交換するだけの予定でした。「Twinmotion の VR 機能を使用すると、ガラス面を広げることで、もっと壮観な表現が可能になることが明らかになりました」と Chaloupka 氏は述べています。「ガラスを増やし、離れをメインの構造とつなげることで、独特の多層構造のスパを作ることができました」
2 回目のレビューではプールについて検討されました。最初の設計ではシンプルな個人住宅用プールがあっただけでしたが、VR で確認するうちに、ほかにも何かが必要であることが明らかになりました。「最終的な設計では、埋め込み型の温水浴槽を加え、プールを複数の階層に分けることが決まりました」と Chaloupka 氏は述べています。「実際に現場にいるかのように『プールに入り』、個々の要素を配置したり、大きさを調整したりすることができました」
ROI の改善とフィードバック ループの削減
クライアントや関係者によるレビューに VR を使用することで、最終的な設計が改善されただけでなく、プロジェクトの収支についても、KA とそのクライアントの双方にプラスの影響が生じています。KA のプリンシパル アーキテクトである Kenneth Adler 氏は次のように述べています。「特定のディテールについてクライアントとの間で何度もやりとりするのではなく、VR の中でプロジェクトについて 1 回確認するだけで、問題があった場合はすぐに提起し、その場で解決できます。多くの時間を節約でき、クライアントと当社の双方にとってコスト削減にもなります」クライアントは、こうした VR ウォークスルーの体験に対してますます意欲的になっています。「一度試してみたクライアントの大部分が、その後のミーティングでは必ずゴーグルを付けるようになりました。その可能性を一度目にしたら、夢中になっていました」と Chaloupka 氏は述べています。KA では、このプロセス、ハードウェア、ソフトウェアに関心を持つほかの建築設計事務所からデモの依頼を受けたことすらあります。
Chaloupka 氏にとって、建築設計での VR の使用について特に期待が持てるのは、技術が急速に進歩していることと、参入障壁が下がっていることです。Chaloupka 氏は次のように述べています。「ハードウェアが、デザイナーのビジョンに対応できるようになり、価格も手ごろになっている今、ずっと求められていたツールがようやく現実のものになる可能性があります。近い将来には大きく期待できることがすでに見えています。10 年後、20 年後の状況は想像するしかありませんが、待ち切れません」
ご自身の建築設計の VR ウォークスルーをわずか数クリックで作成してみませんか?Twinmotion のダウンロードは 2020 年初頭まで無料です。