KPOPガールズ! デーモン・ハンターズが悪魔の大群に立ち向かいます。
Courtesy of Sony Pictures Imageworks

スポットライト

2026年2月27日

Unreal Engine で「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のプレビズとレイアウトの刷新を実現

KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ

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KPOPガールズ! デーモン・ハンターズは、単なる映画ではありません。もはや文化的な現象です。

このオリジナル アニメーションは、2 億 3,600 万回以上の視聴回数を記録し、Netflix 史上最も人気のある映画となっただけでなく、サウンドトラックは Billboard Hot 100 で 4 曲が同時にトップ 10 入りするという史上初の快挙を成し遂げました。

Sony Pictures Animation によって制作された本プロジェクトでは、従来のレイアウトやプレビズでは評価が困難な方法で、高速のアクション、密集した観客、コンサート規模のライティングを組み合わせています。

クリエイティブの重要な判断は、アクション、ライティング、マテリアル、エフェクトがそれぞれ単独で機能するのではなく、シネマティック レンズとどのように相互に作用するかを確認したうえで行う必要がありました。

これらの疑問に早い段階で答えるため、Sony Pictures Imageworks のチームはパイプラインの開始時点でクリエイティブなアイデアをより完成度の高い状態で視覚化する手段を必要としていました。そこで Unreal Engine が採用されました。

ピクセルレベルの最終ビジュアルをより速く実現


KPOPガールズ! デーモン・ハンターズは、超自然的な脅威から世界を密かに守る K-POP ガールズ グループ「HUNTR/X」が主人公です。

大胆なファンタジー アクション満載のストーリーの中で、韓国の公衆浴場を舞台にしたあるシーンが、Sony Pictures Imageworks にとっての転機となりました。このシーンで、主人公たちは水の悪魔に襲われながら、メンバーも実は悪魔である新たなライバル ボーイズ バンド、Saja Boys と対峙します。

Sony Pictures Imageworks のリアルタイム スーパーバイザー Jason Baldwin 氏は次のように述べています。「公衆浴場での戦闘シーンには圧倒されました。あらゆるマテリアルを駆使して、濡れていて、反射性があり、霧が立ち込めているような質感を表現できたからです」 
HUNTR/X は、蒸気の立ち込める銭湯で悪魔と戦います。
Courtesy of Sony Pictures Imageworks
これは、Sony Pictures Imageworks のレイアウト チームがリアルタイム ボリュメトリックを初めて使用したシーンであり、立ち上る湯気の中に柔らかく拡散したライティングが差し込み、濃密で蒸し暑い浴場の雰囲気を作り出したのです。

この不気味な環境の中で、混沌とした危険な乱闘が勃発します。チームは、重厚な雰囲気の中で、スピーディーで熱狂的な戦闘シーンの振り付けを作り上げなければならないという難題に直面しました。

Sony Pictures Imageworks のビジュアライゼーション責任者であった Adam Holmes 氏は次のように説明します。「Unreal Engine の初心者であるレイアウト アーティストの 1 人が、約 1 週間で主なアクションのブロックアウトを作成したのです」

その最初のブロックアウトによって、チームは複雑な戦闘シーンの振り付けや創造的なカメラワーク、さらに刀がデーモンを斬り裂き爆ぜるビジュアル エフェクトまでを盛り込みながら、そのシーンにおけるシネマティックなビジョンを余すことなく提示することができました。

ライティングやマテリアル、大気、そしてカメラワークを早い段階で統合的に確認できたことで、チームはシークエンス全体の感情的なトーンを形づくることができました。濡れたタイルの艶、立ち込める蒸気の密度、そしてスピード感あふれるカメラワークが、緊張感とスペクタクルをいっそう高め、戦いにドラマ性と没入感をもたらしました。最終的に、今回のアーリー ビジュアライゼーションは、そのシークエンスが持つ最終的な芸術的インパクトを大きく引き上げる役割を果たしました。

「レイアウト段階で、すべてが最終レンダリングに非常に近い形で組み合わさり、しかもあっという間にセットアップできたことには、本当に驚きました」と Baldwin 氏は語ります。

Maya、Unreal Engine、USD をつなぐパイプライン


Autodesk の Maya と Unreal Engine 間のワークフローは、Sony Pictures Imageworks の KPOPガールズ! デーモン・ハンターズにおけるアニメーション パイプラインの基盤となる部分でした。

Holmes 氏は次のように述べています。「Maya パイプラインで開発されたアニメーション リグを Unreal Engine に取り込むことは非常に重要で、そのプロセスを自動化するためのスクリプトをいくつか作成しました」

チームがレイアウト ショットのアニメーションを完成すると、それらを Maya にパブリッシュし直し、レイアウト アーティストのすべてのアニメーションを保持することができます。
Unreal Engine で「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のシーンを制作中。
Courtesy of Sony Pictures Imageworks
このワークフローは、Sony Pictures Imageworks が Universal Scene Description (Open USD) を迅速に導入したことにより、次のレベルへと進化しました。

USD を活用することで、社内ツールと Unreal Engine 間でのアセットの移動プロセスが高速化され、一貫性も向上しました。

Baldwin 氏は次のように述べています。「モデリングで作成したものを従来のパイプラインに公開できるようになったので、その情報をとても簡単かつ確実に取得し、USD 経由で Unreal Engine に取り込み、また取り出すことができます」

Sony Pictures Imageworks にとって、この作業方法は、アーティストが使用するクリエイティブ ツール間の反復的なやり取りに劇的な効果をもたらしました。

Sony Pictures Imageworks のリアルタイム パイプライン スーパーバイザーである Jonghwan Hwang 氏は、「当初は、1 シークエンスを書き出すのに 6 〜 8 時間かかっていました。しかし、ソースコードにアクセスできたことは非常に大きな意味を持ちました。その結果、書き出し時間を 30 分まで短縮でき、現在では 5 分でシークエンスを書き出せるようになっています」と語ります。

キャラクター、群衆、コンサートの照明のスケーリング


チームは、Unreal Engine のコントロール リグを使用して、数十体のキャラクターをエンジン内で直接アニメーション化しました。

「Sony Pictures Imageworks のリギング開発リードである Lillia Lai 氏は、「Unreal Engine 内でコントロール リグを作成することにしました。非常に高速に動作するため、1 つのシーンに複数のキャラクター (必要に応じて 20 体、30 体) を配置できます」と述べています。
UE のコントロール リグを使用して、「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のキャラクターをリギングしています。
Courtesy of Sony Pictures Imageworks
KPOPガールズ! デーモン・ハンターズでは、3 人のメイン キャラクターが各シーケンスごとにカスタム コスチュームを着用しています。
 
Sony Pictures Imageworks は、ブループリント ビジュアル スクリプティング システムを活用し、コスチュームやアクセサリーを瞬時に交換できるキャラクター システムを構築しました。

このシステムは、ランダムに選ばれたキャラクターで構成された大規模な群衆を作成する際に真価を発揮しました。

「必要なのは、体型とヘアスタイルを 1 つずつ作成することだけでした」と、Lai 氏は語ります。「その後、ヘアスタイルと衣装を好きなように組み合わせて交換し、Unreal Engine の Foliage モードと組み合わせることで、スタジアム全体の観客を素早く表現することができました」

その名前が示すように、フォリッジ モードは、Unreal Engine のシーンで植物や樹木を簡単に増殖できるようにするために設計されました。このツールをスタジアムの観客のコンテキストに適用することで、チームはこれらのツールを再利用するための斬新な方法を発見しました。
Unreal Engine を使用してスタジアムをキャラクターでいっぱいにしています。
Courtesy of Sony Pictures Imageworks
Unreal Engine によって、スタジアムのシーンに非常に多様な観客を配置できるだけでなく、プレビズ段階からコンサート全体の照明が環境に及ぼす影響を詳しく確認することもできました。

「それを実際に視覚化できる唯一の方法は、Unreal Engine を使うことでした」と Holmes 氏は言います。

プレビズ アーティストたちは、パイプラインの終盤ではなく初期段階において、思わず息をのむような美しいシーンを構築しました。これにより、Sony Pictures Animation と Sony Pictures Imageworks のクリエイティブ チームは、これまでにないほど多彩なビジュアル オプションを手にすることができました。

アーティストはコンサートの雰囲気を想像するのではなく、パフォーマンスのエネルギーやスケールをリアルタイムで体感しながら、各楽曲の感情的なインパクトを高めるべく、振り付けやステージング、ライティングをその場で調整することが可能になりました。このテクノロジーによって、チームは最初からスケール感にあふれ、真にシネマティックだと感じられる世界観を構築できました。

「このような経験は初めてでした」と Baldwin 氏は言います。

Imageworks は、このコンサート シーンで数百ものライトをアニメートした上で、USD 経由で Foundry の Katana にエクスポートし、Unreal Engine と Katana のライトを 1 対 1 で正確に一致させるプラグインを作成しました。

「フレームごとにキーをベイクする (つまり数千フレームと大量の不要なデータを生成する) ことなく、Katana で Unreal のアニメーションを保持するために F カーブをエクスポートする方法を実際に開発しました」と、Holmes 氏は述べています。 

プレビズから最終ライティングに至るまで、当初のライティング カーブを維持したことで、コンサートのリズムとエネルギーは一貫して保たれ、アーティストは複雑なアニメーションを作り直すことなくイテレーションを続けることができました。

KPOPガールズ! デーモン・ハンターズにおけるこれらのライティング実験を通じて、Imageworks は可能性を探り、リアルタイムと従来のライティング ワークフローの垣根を押し広げることができました。
Unreal Engine から F カーブを書き出し、Katana 上でアニメーションを保持しています。

次世代のアニメーション パイプラインをビルドする

 
KPOPガールズ! デーモン・ハンターズは、最先端かつ高性能なテクノロジーがアニメーション制作の在り方をいかに革新しているかを体現する作品です。

本プロジェクトでは、Sony Pictures Imageworks が CG レイアウト パイプライン全体を刷新し、さまざまな工程の近代化を推進しました。リアルタイム技術と USD フレームワークを強力に組み合わせることで、これまで実現できなかった形で各部門を有機的に連携させています。

「この映画で築いた基盤のおかげで、現在および将来のプロジェクトにおいて、レイアウトとプレビズ プロセスにおいて、20 ~ 25% もの高速化と効率化を実現できていると実感しています」と、Holmes 氏は述べています。
Unreal Engine での最終アニメーションの横にある最初のスケッチ。
「Unreal Engine で何ができるのか、自分たちに何ができるのかは分かっていたので、とにかくやってみました。そして、現時点では信じられないほど堅牢なパイプラインを構築できました」と、Baldwin 氏は付け加えます。

シーン開発のプロセスを効率化し、パイプラインを再構築することで、Sony Pictures Imageworks のチームは、パフォーマンスやスケール、そして映像が放つエネルギーそのものに、より深く集中できるようになりました。それは、KPOPガールズ! デーモン・ハンターズの核にあるダイナミックなストーリーテリングを力強く支えることにつながっています。

KPOPガールズ! デーモン・ハンターズは現在 Netflix でのみ配信中です。

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