REALTIME のプロジェクト ディレクター、Ian Jones 氏は次のように述べています。「柔軟性を確保し、プロジェクトの最終段階でアセットの見た目を根本的に変更できる体制を整える必要がありました。結局のところ、これらのカットシーンは、数か月後まで始まらない F1 シーズンを反映したものにする予定でした。納期の 2 か月前まで、車両やスーツなどがどのようなものになるのかわからず、すべてがトップ シークレットでした」
撮影が順調に 4 日半で終了すると、その内容に応じてブロックアウトやプリビジュアライゼーションを作り直す必要がありました。代理のキャラクターにデータを読み込んでレイアウトを行ってから、すべてのカメラを更新して 3D で編集を行いました。このときからほかの全員が関わるようになりました。キャラクターは適切に配置され、カメラは正しく調整され、編集が完了しました。この時点で作業に使用していたのは 3ds Max と Premiere だけでした。
シーンはアニメーターに渡され、アニメーターが修正やクリーンアップを始めるときにデータが Unreal Engine に取り込まれました。「パブリッシュしたキャラクターがスケルタル メッシュとともにエンジン内に取り込まれ、体と顔の形状を含め、モーション キャプチャを適用できる状態になりました」と Jones 氏は説明します。
モデラーは、当初は従来のパイプラインに従ってプロジェクト全体を 3ds Max と Z-Brush でモデリングしてから、レイアウト全体を 1 つの大きなシーンとして Unreal Engine にインポートしていました。「彼らは、Unreal Engine なら、シーンの適用やセットへの小道具の配置にかかる時間を大幅に短縮できるとすぐに気づきました」と Jones 氏は言います。
モデラーは最終的に、シーンの基本部分を 3ds Max で組み立ててから、セットへの小道具の配置に Unreal Engine を使い、テーブル、チェア、アンブレラなどのプロップをさまざまなシーンに配置するようになりました。「Unreal Engine は彼らにとって非常に便利なツールでした」と Jones 氏は述べています。
Image courtesy of Codemasters/Electronic Arts
チームは、ゲーム エンジンを使えば、キャラクターのテンプレートを効率よく作成できることにも気づきました。「Unreal Engine の構造と、ゲーム デザインがベースになっていることにより、同じスケルタル メッシュを共有するキャラクターのライブラリを構築できました」と Jones 氏は言います。「そのあとは、キャラクターを選び、シーンに配置し、そこにパフォーマンスを読み込むだけです。これによって、Unreal Engine のプロセスへの対処とシーン開発が本当に簡単になりました」
「UE4 で代替アセットをすべて作成し、パブリッシュしたら、数回クリックするだけで、あるチームのキャラクターを、同じアニメーションを持たせたまま別のチームへと入れ替えることができました」と Jones 氏は言います。「唯一の問題点として、各チームの背景となるガレージが明るい白からダークグレーや黒に変わったため、多くのシーンでキャラクターへのライティングを調整する必要が生じましたが、これもすべてリアルタイムで行うことができました」
「これは、プロジェクト終盤で、さまざまなカラーリングのレンダリングを短時間で行う必要があったときに特に役立ちました」と Jones 氏は言います。「また、UE4 のヘアとグルームのシステムがなければ、このプロジェクトを計画することはできませんでした。このシステムは、プロジェクト開始時には実験段階でしたが、ありがたいことにプロジェクトの進行中に開発が進みました」
現在は実制作に使えるようになっている Unreal Engine のヘアとファーのシステムがどれだけ進化したかは、Weta Digital のショート フィルムでご確認ください。