感情を激しく揺さぶるリアルタイム シネマティック短編、Memories of Australia

Image courtesy of Andrew Svanberg Hamilton
2020年7月8日

Andrew Svanberg Hamilton 氏

オーストラリア生まれの Hamilton 氏は、夢を追ってゲーム開発のキャリアを積むために、2005 年にヨーロッパに移り住みました。初めはロンドンの Splash Damage で働き、それからストックホルムへと移って、Grin、Starbreeze、DICE に勤務し、背景アートを専門としています。現在 Embark Studios でアート ディレクターを務める Hamilton 氏は、今でも時間をやりくりして、Memories of Australia などの個人的なプロジェクトに取り組んでいます。 
郷愁はとても強い感情であり、私たちに時間や場所を越えさせることができます。懐かしく思うものは誰にでもあるでしょう。場所、人、一定の期間、あるいはそれらすべてが一緒になっているかもしれません。

祖国を遠く離れていると、その気持ちが特に強くなることがあります。Andrew Svanberg Hamilton 氏は、オーストラリア西部の都市パースの少し南にある、小さな町で育ちました。現在はスウェーデンのストックホルムにある Embark Studios に勤務しており、ストックホルムで暮らして 13 年が経ちます。Google Earth によると、ストックホルムと故郷との距離は直線距離で 13,500 キロメートルほどです。景色、植物、動物、そしてもちろん天候など、すべてが異なります。

オーストラリアでの幸せな子ども時代に体験した音、眺め、感情、そして愛情に満ちた思いやりのある家族の大切な記憶にささげるものとして、Hamilton 氏は Memories of Australia を作成しました。これは余暇の時間に取り組んだ個人的なプロジェクトであり、Unreal Engine でリアルタイム レンダリングされます。

 
Hamilton 氏は、クリスマス休暇でオーストラリアを訪れた際に、伝統的なフォトグラメトリー技術を使って短編映像用のコンテンツを収集しました。スウェーデンに戻ってからの数か月で、時間があるときとインスピレーションが湧いたときに、ゲーム開発、特に背景アートの経験を活かしてプロジェクトに取り組みました。

「このプロジェクトはリアルタイムのゲーム アートで、ゲームの標準的な機能、制限、バジェットに従って作成したので、ワークフローは特に馴染みがあるものでした」 
Image courtesy of Andrew Svanberg Hamilton
Hamilton 氏は子どものころから何らかのアートを作り続けていて、アーティストとしてのキャリアを追求していくことを若いうちに決め、家族からサポートを受けていました。しかし、将来的にゲーム開発に取り組んでいくきっかけとなったのは、放課後の趣味のほうでした。

「オーストラリアでは、従来のアートや印刷メディアでのキャリアを目標としていて、日中はドローイングやペインティングをしていました。しかし、深夜や週末にはビデオ ゲームを遊んでいて、また、趣味であらゆる種類のデジタル メディアを作成していました。自分が最も楽しんでいたのはコンピューターを使ったクリエイティブな作業、つまり趣味だったとわかりました。勉強を終えて家に帰り、毎晩作業に取りかかるのを待ちきれませんでした」

2005 年に美術とデジタル メディアの学習を終えた Hamilton 氏は、イギリスのロンドンにある Splash Damage からのオファーを受け、2 週間もしないうちに機上の人となり、オーストラリアを離れました。そしてゲーム開発のキャリアの一歩を踏み出し、それが芸術への情熱とデジタル メディアを作り出す喜びを組み合わせることにつながっていきました。

その 2 年後、Hamilton 氏はスウェーデンのストックホルムに移りました。ストックホルムはゲーム開発の活気に満ちたハブとなってきています。Grin と Starbreeze での勤務に加えて、DICE での勤務は 9 年間におよぶなか、Hamilton 氏はストックホルムに留まり続け、VFX、ライティング、UI、レベル アート、そして何より背景アートの面で、求めに応じて力を発揮してきました。

「背景アート、特に自然を再現することに私は最も情熱を注いでいます。あらゆる角度を考慮して作成することで、生き生きとした空間を作り出し、飛び込んで探検したいと思うようなものにします」
Image courtesy of Andrew Svanberg Hamilton
DICE ではその情熱が効果的に発揮されました。Hamilton 氏は、ニード・フォー・スピード ホット・パースートのすべてのランドスケープを作成し、バトルフィールド シリーズの数作に参加しました。Star Wars バトルフロントではリード背景アーティストを務め、衛星エンドアの作成を担当し、Star Wars バトルフロントII ではアート ディレクターに昇進しました。

DICE では、Hamilton 氏はさまざまな独自のゲーム エンジンを使っていました。しかし、2018 年に、最近できた Embark Studios に参加すると、Embark Studios のチームは、進行中のプロジェクトのために Unreal Engine を選択していました。Hamilton 氏はそれらのプロジェクトについて興奮を抑えきれないようです。

「魔法使いのような人たちが、すごいことに取り組んでいます。私は最新プロジェクトのアート ディレクターを務めていて、新しい豪華な世界のビジョンを形作ることを支援しています。大変ですが、とてもやりがいがあります。しかし、役割が何であれ、できるところでは自分でコンテンツを作成せずにはいられません。チャンスがあればどうしてもコンテンツの作成をやりたいと思っています」

Hamilton 氏は以前のバージョンの Unreal Engine に触れてみたことはありましたが、現在の職場に来るまで、仕事で使ってみたことはありませんでした。幸い、そのテクノロジーを問題なく取り入れることができたうえに、ツールがオープンなものであったことから、クリエイティブ面で以前よりも細かい制御が可能になりました。
Image courtesy of Andrew Svanberg Hamilton
「Unreal Engine へはとてもスムーズに移行できました。充実した多くの機能があり、直感的に使えて、ドキュメントが豊富です。公式のドキュメントに加えて、情熱的なコミュニティが提供するものもあります」

「ほかのエンジンではクローズドなものでクリエイティブに活用できなかった領域、たとえばアニメーションやシネマティックのコントロールがオープンであり、優れたツールセットを強化してビジョンの実現を支援してくれます。ストーリーテリングの要素を以前よりも取り入れられるようになって、プロジェクトを魅力的なものにすることができています」

そうしたツールのなかでも Memories of Australia の制作で特に役立っているのが、Unreal Engine に組み込まれたマルチトラック エディタであるシーケンサーです。「アーティスト単独で、制作のあらゆる領域にかつてないほど対処しやすくなります。シネマティックの作成に関するツールはとても直感的で、映像製作者や趣味で制作を行うアーティストなどにも開かれたものです。アニメーションのインポート、カメラのセットアップ、カメラに揺れを加えることによる生々しさの追加、VFX のレイヤー化、ロットのキーフレーム設定などをドラッグアンドドロップで実行でき、信じられないほどスムーズなワークフローです」

Unreal Engine のストーリーテリング ツールの使用に関する Hamilton 氏のスキルは、Memories of Australia での感情を捉えるという目標の達成に役立ちました。この点が、観る人にとって深い効果をもたらしています。

「このオーストラリアへの小さなラブレターが、オーストラリアを訪れたことがない人を含めて多くの人の琴線に触れていることに、良い意味で驚いています。さまざまな職業の人たちや、その母親たちからも、たくさんのメッセージを受け取っていて、とても馴染みのある、懐かしい感じがしたと知らせてもらっています。私が作品に注いだ個人的な感情が響き、伝わっていることをとても嬉しく思っています」
Hamilton 氏が Memories of Australia を作成した理由の 1 つは、アニメーションなど、Unreal Engine のこれまで扱ったことのなかった領域について学ぶことでした。これは将来の個人的なプロジェクトのモチベーションとなります。

「Unreal Engine のツールとワークフロー、Unreal Engine によって可能になることのごく一部に触れただけのような気がしています。Unreal Engine のツールについては学習と評価を続けています。いいアイデアが浮かんだら、また個人的なクリエイティブ プロジェクトを開始して理解を深めていきたいと思います」

話は変わって、先日初公開された Unreal Engine 5 については、Hamilton 氏は次世代のツールを試してみたいと期待しているようです。「先日の発表と、紹介された新しいテクノロジーには驚かされました。何かを作って遊ぶための新しい方法を実験し、開発することには常に興味を持っています。それは Embark Studios で大切にしていることでもあります。Unreal Engine 5 の Nanite と Lumen がもたらす技術の発展は、特にわくわくするものです。レンダリング テクノロジーが大きく進歩するでしょう。早く自分で試してみたいです」
Image courtesy of Andrew Svanberg Hamilton
また、Hamilton 氏は、テクノロジー、ワークフロー、考え方における映像とゲームの収斂にリアルタイム テクノロジーが与えている影響にも関心を持っています。「この点についてはここ数年ですばらしい進歩が見られています。ゲームと映像の分野で、アーティストのスキルセットが徐々に交換が利くものになってきています」

「ゲームの分野では、テクノロジーが非常に発展していて、オフライン レンダリングした従来の映像と見分けが付かないものになりつつあります。一方で、映像業界は、コストや時間がかかるアプローチと同等の成果を上げるために、リアルタイム ソリューションを徐々に取り入れるようになっています。このようなクリエイティブ面での融合に関わることができて、刺激的な時代です」

Hamilton 氏について詳しく知りたい方は LinkedIn をご覧ください。作品は ArtStation で見ることができます。

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