2019年4月4日
新たな建築ビジュアライゼーション:Groupe Legendre による VR ウォークスルー

Groupe Legendre は、建設、不動産、エネルギーの分野で活動する巨大グループです。フランス、英国、アルジェリアでオフィスを構え、プロジェクトに従事しています。建築ビジュアライゼーション向けの仮想現実のパイオニアであり、プロセスの初期にイマーシブに表現したものを顧客に見せてフィードバックを募り、コラボレーションを促進しています。
Groupe Legendre のバーチャル リアリティ デザイナー、Antoine Guillo 氏は次のように述べています。「クライアントの大半は、建築技術の専門家ではありませんし、VR を試してみたこともありません。ルーム スケール VR でプロジェクトを見ることができるというのは、そうしたクライアントにとっては特別な経験であり、2D の設計図や図面よりもずっと効果的です」

Guillo 氏が率いるプレコンストラクション チームは、約 15 人のデザイナーとエンジニアを擁し、数年にわたって、VR、AR、フラット スクリーンのビジュアライゼーションをクライアントのために作成しています。最近の Datasmith のアップデートにより、イマーシブな 3D のエクスペリエンスをかつてないほどのスピードでクライアントに届けることができるようになりました。ときにはプロジェクトの開始後 2、3 日でそうできることもあります。
VR パイプラインの開発
VR 向けのリアルタイム レンダリングの調査を始めたとき、Guilllo 氏のチームは、幅広いソリューションを試しました。そして、画像の品質、ブループリントによるビジュアル スクリプティング、使いやすさから、Unreal Engine を選択しました。
Datasmith を使えるようになる前、Guillo 氏とそのチームは、Revit のモデルを 3ds Max にエクスポートしてから、FBX と MAXScript を使ってシーンを UE4 にインポートするというパイプラインをまず開発しました。顧客向けの面では、Unreal Engine の画像の品質とクライアント向けのナビゲーション ツールはとてもよく機能しましたが、開発プロセスには制限がありました。データの準備とクリーンアップに時間がかかり、チームは BIM データをスプレッドシートに集めて個別にエクスポートする必要がありました。

現在 Unreal Studio の機能として含まれている Datasmith が2018年3月にリリースされると、Guillo 氏とそのチームは、3ds Max のファイルをインポートするために FBX ではなく Datasmith を使うようになりました。「テスト段階の当初から、Datasmith のシンプルさと効果をすっかり気に入りました」と Guillo 氏は述べています。
Datasmith によって処理時間は短縮されましたが、Guillo 氏とそのチームは、さらに一歩進んで、Revit と Unreal を直接つなぎ、中間での 3ds Max への変換を省きました。「BIM エンジニアと建築家の多くが Revit を使っているので、Revit 用のプラグインがあったらいいのではないか、と Datasmith のチームに提案しました」と Guillo 氏は述べています。
今年の初めにリリースされた Datasmith Exporter for Revit は、Guillo 氏のチームにすぐに気に入られました。「負担を大幅に減らすことができました」と Guillo 氏は述べ、このツールによってインポートの速度が最大で 100 倍になったと付け加えました。

「処理時間がとても短くなり、以前は 1 か月以上かかっていたクライアントへのデモの準備に、1 週間もかからなくなりました。最近では、ビデオの制作、静止画像のレンダリング、VR デモの開発を 2 日もかけずに行うことができました!」と Guillo 氏は述べています。
VR でクライアントを魅了
Datasmith を使うスピーディな新しいパイプラインを活用して、Guillo 氏のチームはより野心的なプロジェクトに挑み、引き続き VR でクライアントから好評を得ています。Guillo 氏は次のように述べています。「どのクライアントもデモで感動しています。『Oh 顔』と呼んでいるものをよく目にします。クライアントはヘッドセットを身に付けると、『Oh! Oh!』と何度も言い続けるのです」

VR の用途はクライアントを感心させることだけではなく、デザインとエンジニアリングの各チームへのフィードバックも同じくらい重要だと Guillo 氏は付け加えます。「プロジェクトの最初期の段階でクライアントのコメントすべてを集めているので、当社のスペシャリストたちは建築のモデルをコメントに応じて修正できます」
Groupe Legendre の最近のプロジェクトには、完全にカスタマイズできるインタラクティブなバーチャル高級マンションや、クライアントの従業員 100 人以上を対象とした未来のオフィス ビルのデモなどがあります。また、世界中でイベントに参加して、建築ビジュアライゼーションや BIM エンジニアリングのために VR で何ができるかを示しています。
建築ビジュアライゼーション向け VR の未来
Guillo 氏は VR の未来は明るいと考えています。忠実度の高い VR を求め続けるなかで、Guillo 氏のチームは、Unreal Engine 4.22 の新機能、リアルタイムのハイブリッド DXR レイ トレーシングを NVIDIA Titan RTX GPU で試しています。Guillo 氏は次のように述べています。「レイ トレーシングの新機能をいくつか試して、とてもわくわくしています。ライトマップをベイクする必要がないため時間を節約できます。また、マテリアルのリアルな反射とグローバル イルミネーションによって、レンダリングの忠実度を引き上げることができるようになるでしょう」
Groupe Legendre はプロジェクトの 80 ~ 90% に Unreal Engine を使っています。近い将来にその割合を 100% にすることを予定しています。Guillo 氏は次のように述べています。「建築・土木業界の CAD データを扱ううえで大きな課題となるのは、シーンの最適化、精度、レンダリングの品質、BIM 情報の維持、技術に詳しくないクライアントでも使えるインターフェイスの開発です。Unreal Engine はそのすべてを可能にして、さらにそれ以上の機能を提供してくれます」
建築ビジュアライゼーション向けに独自の VR エクスペリエンスを作成するには、Unreal Engine をダウンロードして、Datasmith を使った建築物の屋内環境についてのビデオ トレーニング シリーズをご覧ください。