2018年12月4日
Mutant Year Zero: Road to Eden、ステルス要素で戦術アドベンチャーを一新
この趣のあるテーブルトーク ゲームを革新的でインタラクティブなエンターテイメントに仕上げるのは簡単ではありませんが、マルメを拠点とし、PAYDAY のデザイナーや HITMAN の主要スタッフであったチームを抱えるデベロッパー、The Bearded Ladies が、困難に挑みました。その成果が、Mutant Year Zero: Road to Eden という、まったく新しいエクスペリエンスとなりました。Unreal Engine 4 で開発されたこの戦術アドベンチャー ゲームは、人気の XCOM シリーズをヒントにした、複雑なターン制の戦術的戦闘システムを採用しています。
「私たちは、独特で少し変わったゲームを開発したいと思っています」とゲーム ディレクターの Lee Varley 氏は言います。「人気のジャンルに少しひねりを加えることを目指しているスタジオです。そこで可能性を探っていこうとしています」
決まったやり方の中に新しい体験が見つかるのではないかと想像するのは楽しいものですが、独自性のあるものを実際に開発するのは、はた目から見るよりもずっと難しいこともあると、The Bearded Ladies はよく理解しています。
「開発の 1 年目は、メタゲームについて考えました。つまり XCOM のスタイルに何を加えるかを検討することに費やしましたが、無残に失敗しました」と The Bearded Ladies の共同創業者、David Skarin 氏は述べています。
「Mutant Year Zero は、XCOM のような、本当に奥が深く複雑な戦術的ゲームにしたいと考えていました。そして、ただ単にまねるだけでなく、そこからインスピレーションを得たものにしたいと思っていました」と Varley 氏は述べています。
それでは、XCOM に何を加えれば、Mutant Year Zero: Road to Eden 特有のゲームプレイにできるのでしょうか。意外にも、それはステルスの要素でした。
動きがグリッドベースである従来の戦術アドベンチャーとは異なり、Road to Eden ではステルスが大きな役割を果たします。プレイヤーは、影に隠れて敵に忍び寄り、衝突を避けたり、不意を突いたりすることを求められます。リアルタイム ステルス要素のおかげで自由なアプローチをとることができます。プレイヤーは、敵の陣地に潜入し、自分が有利になるようにチームを配備し、敵の意表を突くことができます。
ステルス機能を活用して適切な隠れ場所を見つけ、適切な武器やアップグレードを使用し、ミュータントの特性を生かし、3 人パーティの連携を保つことが、勝利の鍵となります。
ただし、ゲームのウェブサイトによると、最大の課題は、ほかの戦術的ゲームで学んだ知識を捨て去ることかもしれません。なぜなら、このゲームではターン制の戦術が一味違ったものになっているからです。戦略を適応させることができなければ、長く生き延びることはできないでしょう。
この前提は、ゲームのプレイヤーだけでなく、ゲームを開発したチームにも当てはまります。
「プレイ可能な最初のプロトタイプには別のエンジンを使用していましたが、ソース コードにアクセスできなかったため、その時点で Unreal を検討し始めました」と Skarin 氏は言います。「当然、Unreal には、移動コンポーネントや、三人称視点のゲーム向けのいくつかのテンプレートが付いてきました。私たちは、デバッグ目的でリアルタイム要素を残していましたが、あるとき、リアルタイムで戦闘に足を踏み入れたり、抜け出したりしているうちに気づきました。これは、すごくいいループなのではないか、しかも、設定なしですぐに使える、と」
こうしてゲーム最大の特徴となる (革新的な) メカニクスは偶然発見され、チームは人気の Mutant Year Zero ブランドに値するエクスペリエンスの開発に着手しました。このとき、Unreal Engine のブループリント ビジュアル スクリプティング システムを使用して、最大限の成果を目指しました。
「小さなチームなので、ブループリントで、各担当間のワークフローを効率化できました」と、シニア プログラマーの Patrik Skoog 氏は述べています。「ブループリントは技術的な専門知識がなくても使用できます。C++ のプログラマーでなくても理解できるのです」
迅速なイテレーションも作業を進めるために役立ちました。コンセプトがわずか 1 日でコンテンツになることもありました。Varley 氏は次のように述べています。「マップをすぐに作成できます。午前中にホワイトボードでどのようなマップにするかを話し合ったら、午後にはそのマップでプレイしています。Unreal はこのようなことが得意です。だから気に入っています」
作業を無駄にしないため、ブループリントと C++ のバランスをとることで、開発期間を通じて柔軟性が高まったと Skarin 氏は説明します。「ブループリントは堅牢にできているため、プロジェクトでそのまま残すか、一部を C++ にするかを決めるまで、長期にわたって維持できます」と Skarin 氏は述べ、さらに続けます。「レベル デザイナーは、レベル スクリプトだけでなく、自分たちがテストに使うツールもブループリントで作っています」
ブループリントに加えて、アイデアに基づいてスピーディに開発を行うためにコンテンツを見つけてくることも、The Bearded Ladies の開発プロセスにおいて重要でした。そのために、The Bearded Ladies のチームは Unreal Engine マーケットプレイスを利用しました。「ゲームのほとんどすべての側面で、Unreal Engine マーケットプレイスをかなり利用しました」と Skarin 氏は言います。「最終的に製品では使用しないものでも、とりあえず置いておけば、ゲームのスコープを決め、品質レベルを定めるのに役立ちます」
スウェーデン発祥の有名 IP に対する期待 (あるいはプレッシャー) に応えるためか、経験豊富な開発者から成る小さな独立スタジオのプライドゆえか、チームは品質面で妥協するつもりはありませんでした。このため、Unreal Engine のソース コードにアクセスできることは、プロジェクトが完成に近づいたときにコードを確認し、対応するために不可欠でした。
Skarin 氏は次のように述べています。「本当のバグが表面化するのは出荷時です。エンジンのソース コードがなければ、問題がエンジンにあるのか、自社コードにあるのか、判断するのは困難です」
Varley 氏は次のように述べています。「ゲーム デベロッパーとして、プロジェクトのあらゆる側面に対してできる限りコントロールできることが理想的です。コントロールできないところは単純にリスクとなります。ソース コードで問題を自分で修正できるということは、信じられないほど重要です。それができなければ、プロジェクト全体が遅れるリスクが生じます」
「ゲーム開発は重労働であるということを皆さんにお伝えしたいと思います。優秀なエンジンと優秀なチームがあっても、膨大な作業が必要なのは変わりません」と Skarin 氏は述べています。「完成が近づいてきました。作品には自信を持っていますが、どのように受け入れられるか心配でもあります。泣いたり笑ったりを 2 時間おきに繰り返していますが、この状況を楽しんでもいます」
Funcom をパブリッシャーとする Mutant Year Zero: Road to Eden は、2018 年 12 月 4 日に PC、Xbox One、PlayStation 4 向けにリリースされました。
ご自分でも開発に取り組んでみたい方は、Unreal Engine 4 を無料でダウンロードすれば、すぐに始めることができます。