Image courtesy of Zuru Tech

建物を設計、建設するためのリアルタイム BIM アプリ

Ken Pimentel |
2021年3月1日
住宅を好きなように設計し、まるでシステムキッチンであるかのように、組み立てられる形で届けてもらえるとしたらどうでしょうか。ある革新的な企業は、未来の住宅建設はそのような形になるというビジョンを掲げています。

Zuru Tech は、世界初のデジタル建築システムを作成しました。3 大陸におよぶ国際的なチームを擁する Zuru Tech は、建築設計用のビルディング インフォメーション モデリング (BIM) ソフトウェアと、工場のスケジュール設定とシミュレーション用の製造オペレーション管理 (MOM) ソフトウェアを主に開発しています。

そうした専門知識を活用して、Zuru Home アプリを開発しました。これは建物の特別注文を申し込めるようにするアプリです。注文を受けて建物が製造され、現場に届けられます。
Image courtesy of Zuru Tech
単純なアイデアのようですが、これは建物に対する革新的なアプローチです。Zuru Tech の CTO、Martin Carianni 氏は次のように述べています。「建設のデジタル化が Zuru Home の目的です。建設業界にあるアナログのバリアーを取り除こうということです。私たちが目指しているのは、思い描くことができるあらゆる建物を作成することです。ロボットを導入した工場で製造し、現場に届けて、超高速で組み立てることができます」

Carianni 氏は、Zuru Home によって住宅の設計と建築のあり方を大きく変えることができると信じています。「建物の製造のデジタル化は、かつてなかったような、パラダイム シフトです。私たちは建築の仕組みを大きく変えるつもりです。ソフトウェアを活用して建物の柔軟な設計を可能にし、単純なクレーン 1 台あればすべての部品を世界のどこででも組み立てられるようにします」
 

 
建物の設計と建築の新しい形

顧客は CAD アプリケーション Zuru Home を使って自分の建物のプランを作ることができます。Zuru Home は誰でも使えるように設計されています。建築家や技師はもちろん、自分の家を設計することに関心がある一般の人でも利用できます。「私たちのプラットフォームは、地主と建築家、技師、内装業者を引き合わせることを目的としています。マルチユーザー対応のクラウド アプリで協力して設計し、建物を一から作成できます」と Carianni 氏は述べています。

誰でもアプリをダウンロードして図面を作り始めることができるというのが Zuru Home の重要な特徴の 1 つです。設計を進めていくと、建物のコストが増加していくことをユーザーがリアルタイムで確認でき、いつでも購入できます。

このアプリケーションは、建築ビジュアライゼーションのプロフェッショナルだけが使うものではないので、使いやすさに重点を置いて設計する必要がありました。Carianni 氏は次のように述べています。「私たちは、CAD と BIM のソフトウェアを長年にわたって分析してきました。その結果わかったのは、こうしたソフトウェアはユーザーにとってシンプルなものではないということです。また、未来の住宅所有者や建築家が自分のプロジェクトについて構想を練るときに求められるであろう、WYSIWYG (what-you-see-is-what-you-get、見たままのものが得られる) のグラフィックス エクスペリエンスを提供することもできていません。そうしたことを念頭に、C++ での CAD ソフトウェア開発のエッセンスと Unreal Engine の美しいグラフィックスを組み合わせました」
Image courtesy of Zuru Tech
顧客が建物の設計を完成させると、設計が製造施設に送られます。製造施設では、その建物を作るために使われる構成部品が作られます。部品ができたら顧客に届けて、現場で組み立てることができます。

各部品を製造するために使われる工場のロボットと機械も、Zuru Tech が特別に製作したものです。「私たちは垂直統合を好んでいます。建物を作るためのモバイルのロボットや完全に自動化された機械を独自に製造しています。このアプローチによって、イノベーションのスピードに対応する柔軟性を得ることができ、建設分野で初めてのハードウェア/ソフトウェア システムの限界を広げ続けることができています」と Carianni 氏は述べています。
 

リアルタイム レイトレーシングによる美しいビジュアル 

Zuru Home アプリは、新しい建物を設計しやすくするだけでなく、顧客がリアルタイム レンダリングを活用して設計の可能性を探ることができるようにもします。「顧客のためにカスタマイズした受注生産の建物を製造し、販売します。顧客は当社の BIM アプリから住宅を注文するので、グラフィックスについての最終目標は、すべてが実行時にプロシージャル生成されるコンテンツでライトを完全にシミュレーションすることです」と Carianni 氏は述べています。
Image courtesy of Zuru Tech
アプリでは、レイトレーシングなどの Unreal Engine の技術を使い、建築、ライト、マテリアルの高品質のシミュレーションを顧客のために作成します。Zuru Tech は、Unreal Engine で C++ を使ってバックエンドとフロントエンドを作成しました。その際、プラットフォームの主要な構成要素をいくつか活用しました。たとえば、パフォーマンスに優れた物理と破壊のシステム、スレート UI フレームワーク、Unreal Motion Graphics (UMG) UI デザイナーなどを使用しました。

アプリが生成したデータを Zuru の工場に送り、実際の建築部材を生産し、最後に住宅を組み立てます。Zuru Tech は、組み立ての段階で Unreal Engine を利用することや、スマート ホーム向けのホーム オートメーション アプリを作成することも予定しています。

Carianni 氏は、良い設計を行い、それをうまく施工するには、すべてがリアルタイムで実行される WYSIWYG のフロー内で設計とレンダリングを行う能力が重要であると言います。「中断されないこと、シンプルであること、即時性があることが重要だと考えています。現在、最新の 3D アプリケーションを作成するには、リアルタイムが唯一の選択肢となっています。私たちはプロジェクトのために最良のものを取り入れました」


成功に向けた Epic との提携

Zuru Tech は 2017 年から Unreal Enterprise program に参加しています。このプログラムに参加することで、Epic Games の建築・土木 (AEC) チームと直接やり取りできるほか、Unreal Developer Network (UDN) にアクセスできています。UDN では、Zuru Tech の開発者が質問し、Epic のスタッフから回答を得ることができます。「Epic の AEC チームは、AEC 分野での Unreal Engine の幅広い用途に対応するために、高いプロ意識とすばらしい経験を持ち合わせていることがすぐにわかりました」と Carianni 氏は述べています。

「ジオメトリのプロシージャル生成、建築ビジュアライゼーションのレンダリング、CAD の I/O など、Unreal Engine の特殊な領域に取り組んでいると、Epic の AEC チームがすぐにそうしたトピックについての重要なセッションを紹介してくれて、私たちが製品を正しい方向に進化させる方法を理解できるように支援してくれました」

Zuru Tech のチームは 2 か月に 1 回 Epic の AEC チームとキャッチアップのためのミーティングを実施しています。そこで開発者が Unreal Engine の方向性を知ることで、自社での開発のロードマップを調整できています。Carianni 氏は次のように述べています。「これはチームからはとても感謝されています。私たちは、Unreal Engine の設計の一面について理解する必要があったり、どのようなテクノロジーが開発される予定なのか前もって知る必要があったりすることがよくあります。ですから、Epic との関係は開発者やアーティストからはとても喜ばれています」

Carianni 氏によると、Zuru Tech と Epic が最初に関わりを持つきっかけとなったのは、Unreal Engine のコードでした。Zuru Tech のチームは、Epic のエンジニアと直接接触できる UDN にアクセスできることが特に便利だと考えています。「Unreal Engine のコードの品質、アーキテクチャ、パワーには本当に感謝しています。エンジンのコードが貴重であることを考えると、コードについての理解を促進してくれるものはどれもみな貴重です。UDN で Epic の AEC チームやエンジニアリング チームから直接サポートを受けられることは、私たちが成功を収めるためにとても重要なことです」と Carianni 氏は述べています。


伝統的なワークフローの変革

インダストリー 4.0 を実現するテクノロジーが急速に発展するなかで、Zuru Home のようなアプリケーションが伝統的なモノリシック ワークフローを変革しているのは、驚くべきことではありません。「世界は回り続け、建設は変わらないままであり続けています」と Carianni 氏は述べています。
 
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「今、完全にデジタルで垂直統合された建築工場を作るために必要なロボット、ソフトウェア、AI が今、ようやく揃ったと考えています。ハードウェアとソフトウェアが組合わって建築をおこないます。本当に単純なことです。」

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