Unreal Engine ベースのデモをいくつか提供するところから出発した HTX Labs は、そのわずか 18 か月後には、アメリカ空軍の Pilot Training Next (PTN) プログラムの一環として、VR による緊急時対応 (EP) のトレーニングをパイロット訓練生に提供していました。そして今年、空軍から中小企業技術革新研究 (SBIR) プログラム フェーズ II の対象に選ばれ、次世代 VR トレーニング プラットフォーム EMPACT® の拡張を期待されています。この拡張では、イマーシブなコンテンツの作成、管理、配布を可能にして、トレーニングを当事者の作業員や兵士まで届けられるようにします。
PTN は大きな反響を得ています。「HTX のイマーシブな緊急時対応トレーニング システムは、パイロットのトレーニング プログラムに足りていなかった重要な部分を埋めてくれました」と、アメリカ空軍の PTN プログラム責任者、Paul "Slew" Vicars 氏は述べています。 EMPACT では、教官パイロットが緊急時のシナリオを VR で設定し、それを使って新人パイロットをテスト、トレーニングできます。HTX Labs の CEO、Schneider 氏は次のように説明します。「たとえば、高度 10,000 フィートで突然エンジンから出火するか、コックピット内で煙が感知されるか、油圧系統に異常が生じたとします。訓練生は厳密に定められた手順でそういった緊急事態に対応する必要があります。この手順を熟知し、口頭で説明するだけでなく、実際の状況と同じように実行できる必要があるのです」
空軍は緊急時の対応手順を数多く定めていますが、そのほとんどは、トレーニングの参加者を危険にさらすことなく実演するのが困難または不可能です。このようなシナリオが VR トレーニングの対象として最適です。

「実際に航空機が燃えているところは見たくないものですが、空軍はそれに近い体験の再現を求めていました」と Schneider 氏は説明します。
HTX Labs の CTO である Verret 氏は次のように述べています。「軍関係のお客様をはじめとして、当社のすべてのお客様は、当社の VR トレーニングに対して、可能な限りリアルでイマーシブであることを求めています。Unreal Engine を使えば、その期待に応えることができます」
民間と軍の橋渡し
ソフトウェア エンジニアの Schneider 氏と Verret 氏は、2016 年に、企業向けトレーニングの時間、コスト、リスクを減らす手段として、イマーシブ テクノロジーの可能性に強い関心を抱きました。カンファレンスでデモを始めたところ、AFWERX に所属する空軍大佐の目に留まりました。AFWERX は、イノベーションと民間セクターとのコラボレーションを促進するためのアメリカ空軍の組織です。
これが、HTX Labs による Pilot Training Next のための最初の仕事につながり、そして最終的には、VR トレーニング ソリューション EMPACT の拡張に対する SBIR フェーズ II の獲得につながりました。SBIR には多面的な目標があります。それは、助成先に研究開発 (R&D) 用の革新的なツールやサービスを提供しつつ、同時に商業用製品を開発する手段も与えるというものです。Verret 氏は、チームに企業向けソフトウェアの開発経験があったことが SBIR によく適合したと考えています。「私たちはこれまでもこれからも常に企業を意識していて、この姿勢がすべての取り組みの背景にあります」と Verret 氏は述べています。また、メンバーの多くはスタジオで仕事ができるスキルを持っていると認めつつ、「当社の文化は、商用ソフトウェアと、それに伴う方法論やプロセスに重点を置いている」と加えます。
そのアプローチに従い、EMPACT のすべての側面は、さまざまな業種にわたり複数のタイプのトレーニングをサポートできるプラットフォームに収まるよう設計されています。Verret 氏は次のように述べています。「どの取り組みも 1 回限りとは考えません。私たちにとってはアーキテクチャが重要です。再利用性、API、レイヤーを重視しています」
安全性と準備態勢についてのトレーニングは、パッケージの一部に過ぎません。HTX Labs は、データ追跡機能やトレーニング後の分析用ツールを含む、包括的なプラットフォームを多様な業種向けに提供することを目指しています。「新しいシミュレーションを開発するたびに、取り込む必要がある情報を検討します」と Schneider 氏は言います。「訓練生が進歩しているのかどうかを正確に判断するためには、どのようなデータを一定期間にわたって確認できる必要があるのか。訓練生同士、訓練生と熟練者、訓練生と全体を比較するために十分なデータを追跡できるのか、ということを考えます」「多くのデータをまとめて、有意義な形で公開できれば、誰かがそのデータの意味を解明し、データを視覚化できるようになり、トレーニングに対する VR の有効性が高まります」
Unreal Engine の選択
HTX Labs が作業のベースとして Unreal Engine を選んだ理由は、レンダリングの品質だけでなく、幅広い機能を使って緊急時用トレーニングの具体的なシナリオを作成できるからでした。「ありとあらゆる緊急時対応をゼロから作成したくはありませんでした」と Schneider 氏は言います。「飛行中の出火、電気系統からの出火、発電機の動作不良など、緊急時対応にはさまざまなものがあります。空中のシナリオと、地上のシナリオがあります」
HTX Labs は、ビジュアル スクリプティング言語ブループリントをフレームワークとして使用することで、緊急時のシナリオを作成するための再利用可能な基盤を整えました。「Unreal Engine により、多くのコンテンツを再利用する手段を確立し、シナリオの作成時間を大幅に短縮できました」と Schneider 氏は述べています。
HTX Labs は、Modo、Maya、Houdini など、さまざまな DCC パッケージを使用して環境やプロップを作成しています。「誰かの設備を仮想化するとき、それが格納庫であっても、製油所であっても、オフィス ビルであっても、時間をかけて築き上げた厳密で効率的なプロセスがあります」と Verret 氏は言います。「Unreal Engine はこのすべての中心にあります」Verret 氏は、Unreal Engine とソース管理リポジトリ Perforce の連携によって生産性が大幅に向上したと加えたうえで、次のように述べています。「開発者にとってはスピードとイテレーションが重要です。それが迅速な開発につながります」
VR ベースのトレーニングの今後
HTX Labs は、重工業分野、特に軍事分野では VR ベースのトレーニングの未来は明るいと見ています。「この技術に対する興奮は、ほとんどの主要基地まで広がりました」と Verret 氏は言います。「現在ではどこも仮想現実機能を導入しています。足りないのは、取り組みの連携ぐらいです。もう後戻りはできません。この勢いは今後さらに加速するでしょう」ご自身の業界でのシミュレーション トレーニングに Unreal Engine をどう利用できるか関心をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。
