ゲームのパブリッシャーである 2K Games は、シミュレーションに力を入れた NBA 2K19 も手がけていますが、Saber Interactive はもっと取っつきやすいタイトルを目指したと言います。「NBA 2K19 はバスケのシミュレーションとして見事な出来栄えになっています。シリーズ全体がすばらしく、年を追うごとに改良が加えられています。ただ、ボールさばきを楽しみたいだけで、技術を追求したいわけではない場合もあります。その場合は NBA 2K Playgrounds 2 の出番です」と Heussner 氏は言います。Heussner 氏によれば、「Playgrounds はバスケのシミュレーションを目指したわけではない」とのことですが、それでも奥の深いものにはしたいと思ったそうです。「複雑で挑戦のしがいがあるアーケード ゲームのような体験を提供したいと思いました」
タイトルからわかるように、NBA 2K Playgrounds 2 は Saber Interactive が開発したシリーズ 2 作目です。この続編を開発するにあたり、このデベロッパーは 1 作目に寄せられた数々のフィードバックを参考にしました。「最初の NBA Playgrounds のリリース後、フォーラムを閲覧し、ソーシャル メディアでのファンのコメントを熟読し、ユーザー レビューに一つ残らず目を通しました。その後、改善したい点や、前リリースでは時間が足りず、採用できなかったことについて話し合いました。リリースの直後に、プレイヤーやプレイグラウンドを追加するパッチに取り組み始めました。それと同時に、ショット メーターや改善されたリバウンド システムなど、ゲームプレイの改善も図りました。休むことなく、継続的に改善に取り組みました」と Heussner 氏は言います。Saber Interactive は、コミュニティの意見などもゲームに取り入れました。「スポーツ ゲームで有名な YouTuber も含め、1 作目のファンは、率直な感想を発信していました。どのような改良や追加が求められているかは明確でした。これが NBA 2K Playgrounds 2 のデザインに大きく影響しました。私たちは開発期間中ずっとフィードバックを確認し、受け入れました。こうしたファンにクローズド ベータ版の評価を依頼しました。このプロセスが、ゲームの仕上げ段階で現実とのずれをチェックするために不可欠でした」

こうした調査や変更を通じて、Playgrounds 2 は前作と比べて数々の面で優れたものになりました。「オンライン モード用の専用サーバー、お気に入りのチームでプレイできるシーズン モード、選手権、オンラインで対戦するか、協力してプレイする新しい方法、プレイヤーをパーソナライズするための装飾アイテムを追加しました。また、コア メカニクスをすべて改良し、ゲームプレイ体験をより複雑で楽しめるものにしました」と Heussner 氏は言います。さらに、次のように加えます。「プレイグラウンド、プレイヤー、動きが増え、ビジュアルもよくなっています」
ビジュアルは最初からやり直されました。「各キャラクターとプレイグラウンドの開発を始めるとき、リアルなルックスをデフォルメしたコンセプトを作り出しました。こうしたコンセプトで雰囲気をとらえ、望ましいルックスを定めました。その後、こうしたコンセプトをガイドライン、品質チェック基準として使用して、アーティストたちは、最終成果が似たものになるように、またもっと重要な点として同じ派手な技や雰囲気をとらえられるように取り組みました」と Heussner 氏は述べています。

臨場感あふれるビジュアルになっている理由の 1 つに最高水準の VFX があります。スラムダンクを決めるときに放たれる光、ロシアなど寒い地域で降る雪、レンズフレアなどが印象的です。スタジオは、こうした細部をうまく表現するために、かなりの時間をかけました。「インターフェース環境、そしてゲームの 3D ゲームプレイに必要な基本エフェクトのリストを作るところから始めました」と Heussner 氏は述べた後、続けます。「その後、参考になるものを探しました (同様のビデオ ゲーム、Artstation、映画など)。VFX 開発のこの部分が、エフェクトの最後の仕上げとともに、開発期間のほとんどを占めます」。さらに「参考資料が十分に揃ったら、エフェクトのプロトタイプが始まりました。シンプルで機能的、最適化について悩む必要がないものです」と加えています。これにより、方向性がある程度定まりました。「言うまでもなく、1 つのエフェクトに複数のプロトタイプを作成してから、そのエフェクトの最終的なスタイルを決めて、定義しました。プロトタイプを定義したら、イテレーションを行い、ビジュアル的に魅力的で、パフォーマンスを最適化したバージョンを作成しました」とプロデューサーは述べています。技術レベルでは、「シンプルなジオメトリの変形、UV の移動、パーティクル システム、シェーダーなどのテクニックを使用した」そうです。

Saber Interactive は、色鮮やかな 10 種類の新しいコートの開発にも長い時間をかけました。たとえばサンタモニカ ビーチなら、背景に大きな観覧車が見えます。サンフランシスコなら、有名な路面電車が走っています。レベルによって景色が変わるだけでなく、これらはすべて実際の場所に基づいており、Heussner 氏はこのことを「エクスペリエンスに不可欠な要素」と述べています。プロデューサーはさらに詳しく説明します。「こうした要素によって、世界が生き生きとリアルに感じられます。アーケード ゲームであったとしても、ゲームと、バスケというスポーツの間に独自のつながりを生み出せるようリアルさを求めていました」
Playground 2 では、アニメーション システムが強化され、空中でのバック転からのダンク シュートや、キャラクター間の強力な連携が可能になっています。こうした追加について、Heussner 氏は次のように説明します。「大きな変更点が 2 つあります。1 つは、プレイヤーが頭を動かしてチームのパートナーに目を向けられるシステム。もう 1 つは、アニメーションをミラーリングするシステムです。これにより、左利きと右利きのプレイヤーをサポートでき、また 1 人のプレイヤーが両手で交互にボールを扱うこともできます。結果的に現実感が高まりました。これは 1 作目のプレイヤーから多くの要望が寄せられた点でした」。これを実現するために、Saber Interactive は Unreal Engine マーケットプレイスに頼りました。「アニメーションをミラーリングするため、Unreal マーケットプレイスで見つけた非常に便利なプラグインで実装を始めました。アニメーション システム全体で、骨の位置を予測するシステムを使い、関連するアニメーションを状況に合わせて調整できるようにしました」。UE4 がどのように役立ったかについて、Heussner 氏は次のように説明します。「当社のアニメーション システムは、Unreal のネイティブ アニメーション ツールを広範囲で使用し、またモンタージュやアニメーション通知を使用して、プレイヤーがとれるあらゆる動作のアニメーション セットを作成します」

AI の刷新も Saber Interactive にとって重要な課題でした。1 作目では、ゲームに精通したプレイヤーが特定の動きを悪用することもできましたが、デベロッパーはこうした問題を解決しながら、全体的なプレイ体験を改善することに決然と取り組みました。「AI をもっと戦術的に感じられるようにしたいと思いました。1 作目には、プレイヤーが AI を回避して簡単にスコアできるテクニックが存在しました。こうした問題に対処すると同時に、人々がゲームをプレイする様子を見て、さらなる改善の余地がないかどうかを確認しました。目標は、アーケード スタイルを残しながら、ゲームをもっと自然に感じられるようにすることでした」
スタジオは Unreal Engine 4 を利用して数々の目標を達成しました。Heussner 氏によると、Unreal Engine によって作業の負担が軽減されたそうです。「このゲームの開発プロセス中に役立ったツールはたくさんあります。ビルド自動化システム、アニメーション システム全体 (アニメーション モンタージュ システム、アニメーション デバッガ、リターゲッティングなどを幅広く使用)、メモリ プロファイラ、ゲームプレイ プロファイラなどです」と Heussner 氏は言います。

NBA 2K Playgrounds 2 は PC、PS4、Switch、Xbox One でプレイできますが、プロデューサーは Unreal Engine 4 で移植を楽にできたことも評価しています。「通常は UE4 でマルチプラットフォーム ゲームの開発が簡単になるはずです」。詳細については、次のように加えます。「UE4 のマルチプラットフォーム サポートで最も重要な側面は、ほとんど完璧に TRC/XR/Lotcheck を満たす実装と UDN サポートです。これら以外でも、各プラットフォームの設定に応じてコンテンツを適応させ、制作時間を大幅に節約し、各プラットフォーム固有のアセットの制作を最小限に抑えることができました」
NBA 2K Playgrounds 2 のファンの皆さんは、将来的にコンテンツの大幅な増加を期待できそうです。Heussner 氏は次のように述べています。「ハロウィーン時の DLC と同様に、既存の機能の一部をゲームに加え、プレイグラウンドを増やすことを計画しています。また、使用可能な NBA プレイヤーも増やしていきます。DLC は今後まだまだ続きます!」
NBA 2K Playgrounds 2 は、楽しく達成感が得られるゲームプレイが充実し、各種プラットフォーム向けにリリースされています。ゲームの詳細については、https://nba.2k.com/playgrounds/ をご覧ください。
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