The Pathless では、プレイヤーはハンターとなります。ハンターは弓術の達人であり、謎めいた島を旅して、闇の呪いを解こうとしています。その旅を通じて、ハンターは仲間となるワシと絆を築いていきます。両者は協力して、汚れた魂を狩り、もやが立ちこめる謎に満ちた森を探検し、古代の遺跡で謎を解き、美しく作られたボスとの壮大な戦闘でスキルを試すことになります。 先日、Giant Squid のチームをサンタモニカに訪ねました。小さな企業である Giant Squid が、雰囲気がありイマーシブなエクスペリエンスの作成に力を注いでいることは明らかでした。Giant Squid の共同創業者兼プレジデント兼クリエイティブ ディレクターである Matt Nava 氏は、プレイヤーと感情的なつながりを築くことが同社にとっての差別化要因の 1 つであると述べています。
「インディー デベロッパーは、人がやっていないニッチな分野を見つけ出す必要があります」と Nava 氏は述べています。Nava 氏は、前職では thatgamecompany でアート ディレクターを務め、高い評価を受けた Journey(風ノ旅ビト) で象徴的なビジュアルを制作するなど、業界ではよく知られた存在です。「私たちが作ろうとしているゲームは、雰囲気があり、イマーシブな美しい場所へとプレイヤーを導き、最終的にはプレイヤーに何かを考えさせるものです」
The Pathless では、記憶に残る結末を作り出すというだけでなく、冒険の間にいろいろと考えることをプレイヤーに提供するという目標もありました。そのために、操作のしやすさがエクスペリエンスの中心となっています。Nava 氏は次のように述べています。「The Pathless の中心となるのは、呪われた獣がたくさんいる森を探検するなかでの、ハンターとワシの関係です。このゲームでは、ABZÛ で示した当社の哲学を発展させながら、伝統的なゲームプレイの要素をより多く取り込んでいます」
正確には、Giant Squid は前作での取り組みをどう発展しようとしているのでしょうか。単純に言えば、緑豊かで生気あふれる世界を探検し、世界と触れ合うなかで、インタラクションについてプレイヤーに強く意識してもらおうとしているということです。リード ゲームプレイ プログラマーの Cosmo Fumo 氏は次のように述べています。「ゲーム内のキャラクターとして好きな形で自分を表現するうえで、コントロールが障壁であってはなりません。そこで、ABZÛ では、自由に泳ぎ回れるようにしました。上下反転もできるようにして、自分のしたいことができないと感じることがないようにしました。The Pathless でも同様です。今度はキャラクターはダイバーではなく弓の射手です。ハンターは達人なので、エイミングについて意識する必要はないでしょう。ですから、プレイヤーもエイミングについて意識する必要はないようにしました。プレイヤーにも達人であるという感覚を持ってもらいたいのです。考えてもらいたいのは、何を射っているのか、なぜ射っているのか、ということです」
根本的なレベルでは、Giant Squid が作り出そうとしているエクスペリエンスは、コンテンツとプレイヤーの間に緊密な結び付きを生み出すものです。そして、それは簡単にできることではないと Giant Squid は認めています。Nava 氏は次のように述べています。「キャラクター、ほかのプレイヤー、ゲームの世界との感情的な結び付きを築くのは非常に難しいことであり、その方法を明確に示すのも困難です。ABZÛ の開発で、最も意外で有益だったのは、ファンの方々からたくさんのメールをいただいたことでした。そのメールから、プレイヤーが想定していなかった感動を与えるエクスペリエンスとなったということがわかりました。The Pathless が発売されるときにも、そのようなエクスペリエンスをプレイヤーに提供できることを願っています」
Giant Squid は、ABZÛ の次の作品となる The Pathless では、感情的な結び付きを生み出し、操作をしやすくすることを重視しています。それに加えて、同社にとってすでに基礎的なこととなっている点、インディーのゲーム開発に関連する課題、同社の目標達成に必要なツールを選択することの重要性についても十分に検討しました。
Nava 氏は次のように述べています。「Giant Squid の創業当初は、机がたくさんある部屋に私が 1 人で座っていて、ゲームを動作させる方法について考える必要がありました。私は視覚的にものを考えるタイプです。数学は多少できますが、プログラマーではありません。そこで、まずビジュアルを作って雰囲気を早い段階で決めるようにしています。Unreal Engine ではそれが簡単にできます」
Fumo 氏は次のように述べています。「プロトタイプをすばやく作成できるのは Unreal のとてもクールなところです。ブループリントを使えば、実装方法の詳細を調査する必要なく、動くものをすぐに作ることができます。プロトタイプで改良を進めて、それからネイティブ コードを作成できます。Unreal はソース コード全体にアクセスできるので、簡単に手を加えて、高性能、高スピードで動作させることができます」
Unreal Engine を使うことにしたのはチームにとって大きな決断の 1 つでした。インディーのゲーム開発において成功を左右することが多いものは何かについて話しているとき、Nava 氏は次のように述べました。「どの作業についても、コストに見合った価値があるかどうか、どのツール、どのエンジンを使うのかなど、検討するときにはいろいろと考える必要があります。小さなインディー スタジオでは、こうしたことすべてについてよく考える必要があります。間違った選択をしたら一巻の終わりということもあり得ます。Unreal Engine は私たちにとってすばらしい選択肢であり続けています。ゲームを開発するためのエンジンの開発に長い時間をかけるのではなく、ゲームの開発に集中できます」
The Pathless は Epic Games ストアと PlayStation 4 で今年発売される予定です。