Image courtesy of Random42

Random42 のすばらしい医学アニメーションが顕微鏡以上の精度を実現

細胞、血小板、ウイルスを拡大するとどのように見えるか、顕微鏡なしでわかるとしたらどうでしょうか。SF 小説 (あるいは記憶に残る科学博物館での校外学習) のように聞こえるかもしれませんが、Random42 のチームにとっては、それは日常生活の一部です。

SF との唯一の違いは、人間を縮ませるのではなく、テクノロジーを使って観察対象のほうを拡大しているという点です。ロンドンに拠点を置く Random42 は、先駆的な医学アニメーションを 30 年ほど制作しています。同社は、Oculus DK1 について調査したあと、Unreal Engine のビジュアル スクリプティング システム、ブループリントを使って、VR で探検できるリアルな血管を作り始めました。Random42 の研究開発責任者、Callum Welsh 氏は次のように述べています。「以前に試したことがあったほかのゲーム エンジンと比べると、Unreal Engine をセットアップしてプロジェクトを作成するのはとても簡単だったので、驚きました」
そこから始まったパイプラインを通じて、Random42 による COVID-19 の感染とワクチンの開発についてのアニメーションが制作されました。これは、Random42 が初めて全体を Unreal Engine で作成したアニメーションでした。最近公開されたこの短い映像は、2020 年に公開された、コロナウイルスの感染爆発についてのアニメーションの続編にあたります。そのアニメーションは 2020 年の公開以来 200 万回ほど視聴され、大きな成功を収めています。世界中のさまざまなニュース番組やドキュメンタリーで取り上げられてきました。最新の続編では、ワクチンの開発について説明しています。
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失敗の許されない挑戦

Welsh 氏によると、Unreal Engine に移行したことにより、ショットへのイテレーションに多くの時間をかけられるようになりました。これは、すべてのフレームをできるだけ科学的に正確なものにする必要がある場面では大きなメリットとなります。ワクチンの開発に関する最新のアニメーションではこの点が特に重要でした。明確さに欠けるところがあると、ワクチンの接種率に影響したり、誤った情報を伝えることになってしまったりするおそれがあるからです。

医学アニメーションをできるだけ正確なものにするために、Random42 の科学部門は、まず、多様なソースからの情報を整理して、ファクトチェックされた内容にまとめました。それからアートとアニメーションのチームが蛋白質構造データバンクから点群をダウンロードし、ウイルスの高精度のジオメトリを作成するために参照しました。Houdini を使ったプロシージャル セットアップにより、数十の点群を一度に処理して、影響を受けるエクスポート対象全体にまとめて変更を加えることができました。それから各エクスポートを Niagara に取り込んで、Unreal Engine のレベルでメッシュをインスタンス化しました。
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Welsh 氏は次のように述べています。「リアルタイムのワークフローを使っていたので、特定のショットにすぐ移動して、アニメーションを改善し続けたり、パーティクルをスポーンしたり、さまざまなライティングを試したりすることが簡単にできました。空いている空間を別の目立つ蛋白質で埋めて、数分のうちに更新したプレイブラストを編集中の映像内にレンダリングできました。シーケンサーを使うことで、ブループリントと Niagara のシステム内でイベントをトリガーし、変数を更新できました。そのおかげで、アニメーションの自由度が非常に高くなりました。タイムラインをスクラブして改善が必要な箇所を発見したら、ビューポートに移動して、レイアウト、マテリアル、ライティングを直ちに調整できました」

このプロジェクトが完了するまでに、Random42 のチームは独自のカスタム ツールを作成し、プロジェクト全体でのマテリアルの作成をシンプルにしました。また、MetaHuman Creator を使ってリアルなキャラクターを作成することで、さらに時間を節約しました。
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Welsh 氏は次のように述べています。「プロジェクトに取り組んでいるうちに、MetaHuman の最初のプレビューが公開されました。ほかの方たちと同様に、私たちもとてもわくわくして、試してみました。アーティストの 1 人が簡単なテストのシーンを作ってみたところ、完璧にフィットすることがわかりました。とても直感的で使いやすく、顔のさまざまなモーフィングはアニメーションにするとすばらしい出来映えでした。私にとって最もありがたかったのは、全員が使用するリグが標準化されることです。1 人の MetaHuman でアニメーションを制作すると、そのアニメーションを別の MetaHuman へと簡単に移すことができます。ブループリントや Niagara と組み合わせると、アニメーション プロセスのコラボレーションが強化されます。レビューをリアルタイムで行い、アニメーションを記録的なスピードで完成させることができます」

さらなる教育の必要性

「私たちの目的は人々を啓蒙することです。そのためには、私たちが信頼できるリソースであると保証することが重要です。Unreal Engine を使うと作業の効率が大幅に向上し、計画を立てるために長い時間がかかっていないので、うまくいかないところがあったときにボツにするという判断を下しやすくなります。私たちが求める高い精度の基準に及ばないところがあった場合には、シーン全体を廃棄することもできます。そうしても期限に遅れることはないでしょう」と Welsh 氏は述べています。

医学と医療がますます高度化するなかで、多くの人にとっては、人体の複雑さを理解し、治療について情報に基づく意思決定を行うことがいっそう難しくなるおそれがあります。新しいリアルタイムのワークフローを導入した Random42 は、アニメーションの品質をさらに向上させて魅力的なコンテンツを作成し、人々にとってわかりやすく、学びにつながるものにすることを目指しています。
 
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「将来的には、Unreal Engine を使ったさまざまな研究開発のテストを再検討したいと考えています。たとえば以前には、Oculus Touch を使ってバーチャルなカメラ リグを作成しました。しかし、最も重要なのは、情報を民主化して人命を救うことです。研究からわかっているとおり、動画を使った学習は、エンゲージメント、理解、定着の面で、テキストベースの学習スタイルよりもはるかに高い効果を上げることができます。アニメーションはストーリーを伝える方法としてこれまでもずっと効果的であり続けてきました。医学についてのアニメーションも同様です。私たちは病気の仕組みについてのストーリーを伝えています。そのストーリーを通じて、どうすれば病気の影響を和らげることができるか、私たち全員が理解を深められることを願っています」と Welsh 氏は述べています。

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