スポットライト

2025年5月12日

街角からスクリーンへ:車両シーンを変えるバーチャル プロダクションの最前線

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移動する車両が登場するダイナミックなシーンの撮影は、非常に複雑です。映画制作者が直面する最大の課題の 1 つは、路上でのライブ撮影にかかる手間と費用、そしてもう 1 つは、スタジオで静止した車両を撮影する際に生じるリアリティの欠如です。

市街地でのライブ撮影には、道路の封鎖、警察の護衛手配、プロセス トレーラーの設置、そして「野外」での撮影に付きものの、あらゆる制御の難しさが伴います。
 
スタジオ撮影では、従来のバーチャル プロダクションにおいて車両を静止させたまま撮影する必要がありました。動きのないセットアップでは、ビジュアルの一部は美しく見えるかもしれませんが、説得力のある映像にはなりません。

PXO AKIRA は、こうした常識を覆す、画期的なバーチャル プロダクション システムです。
映画制作において 24 年の実績を持つ Pixomondo が開発した、この最先端の車両処理エコシステムは、車両シーンの撮影手法に変革をもたらしています。
 
PXO AKIRA は、モーション プラットフォーム、ロボット カメラ クレーン、LED ボリューム、レーシング シミュレーター、デジタル ツイン ソフトウェアを組み合わせることで、車両ベースのストーリーテリングにおける、まったく新しい創造的な可能性の世界を切り開きます。

「私たちは、皆さんが直面している困難、それに伴うコスト、そして数々の課題を目の当たりにしてきました。だからこそ、そうした問題の多くを解決できるものを生み出そうと考えたのです」Pixomondo の LED ボリューム部門でこのツールの配布を担当する PXO Clara のテクニカル オペレーション責任者、Jay Elbourne 氏はそう語ります。
 

車両の動きをシミュレートする動的なプラットフォーム

車両の映像を撮影するにあたって、技術に精通した映画制作者たちは、コストを削減し、クリエイティブな選択肢を広げるために、何年も前からバーチャル プロダクションを活用しています。

ほんの数分間の撮影のために、車両を遠く離れたロケ地まで輸送する必要はありません。LED バックドロップに表示されたフォトリアルな映像を背景にして撮影できるようになりました。これにより、ボタンをクリックするだけで、アルプスから火星まで、想像力のままにあらゆる場所に車両を配置し、プロダクション ロットを一歩も出ることなく撮影が可能になります。
 
PXO AKIRA は、このワークフローを基盤として構築されています。「LED スクリーンを背景に撮影された車両にリアルな動きを与える」という難題を解決する革新的なソリューションを提供することで、そのワークフローをさらに前進させます。
An SUV in front of an LED screen in the PXO Akira system.
Image courtesy of PIXOMONDO
一例をご紹介します。PXO AKIRA が他のバーチャル プロダクション リグと大きく異なる点の 1 つとして、最先端のモーション プラットフォームがあります。

名前が示すとおり、モーション プラットフォームは、自由に回転および傾斜ができる、車両を載せるプラットフォームです。あらゆる形状やサイズの車両に対応できるよう設計されています。小型飛行機の胴体やレーシング バイクを撮影する場合でも、このプラットフォームを使用すれば、車両ベースのシーンにおけるリアリティを高めることができます。
A vehicle under atmospheric lighting in the PXO Akira system.
Image courtesy of PIXOMONDO
車輪付き車両のタイヤは、プラットフォームに設置された個別のペダルの上に載せることができます。これらのペダルは車のサスペンションに動力を与え、タイヤの回転を完全に制御します。これは、バーチャル プロダクションで車両を撮影する際にしばしば問題となる、「タイヤが回転していないため不自然に見え、そもそも画面に映せない」という課題に対処する機能です。

「当社のタイヤは、サスペンションを作動させて上下に動いたり跳ねたりするだけでなく、車輪自体も回転します。したがって、よりリアルなショットの撮影が可能です」と Elbourne 氏は語ります。
 

急降下ショット用のロボット カメラ クレーン

ロボット カメラ クレーンは、PXO AKIRA を使用して撮影された車両に動きの感覚をもたらすための、パズルのもう 1 つのピースです。

クレーンは「テクノ ドリー」の上を走行します。これは、世界に 4 台しか存在しない特別なドリーのうちの 1 台です。59 フィートのドリー トラックと、最大 24 フィートのカメラ高さにより、動きとスピードを緻密に制御し、驚くようなカメラワークを実現できます。テクノ ドリーは、システムの他のすべての接続部と同期し、繰り返し再現可能で一貫性のあるカメラ ワークを実現できるようにプログラムされています。
The PXO Akira techno dolly.
Image courtesy of PIXOMONDO
この同期を可能にしているのが、PXO AKIRA の中核にある「Digital Twin」と呼ばれるソフトウェアです。Unreal Engine を搭載した「Digital Twin」は、システムのさまざまな要素すべてを制御するコントローラーとして機能します。クレーン、運転シミュレーター、LED ボリュームと通信し、それらすべてを同期、動作させます。
 
Digital Twin は、カメラ クレーン、モーション プラットフォーム、周囲の LED ウォールなど、物理的なセットアップ全体を Unreal Engine 上でデジタルに正確に再現します。このデジタル セットアップを活用すれば、さまざまなカメラ アングルを試したり、LED ウォールにレンダリングされた環境を調整したり、車両の走行経路のバリエーションを検討したりしながら、撮影を事前に視覚化することができます。
Image courtesy of PIXOMONDO
「従来のバーチャル プロダクションで使用していた環境を、車両、カメラ、クレーン、プレビズのすべての動きと組み合わせて活用できます。同じ Unreal Engine のソフトウェアをそのまま撮影現場に持ち込んで、映画制作全体をコントロールすることができるのです」と Elbourne 氏は語ります。

ショットの計画は、Digital Twin ソフトウェア内の仮想ワールド マップからロケーションを選ぶことから始まります。次に、現実世界の車両の CG レプリカを選択し、サウンド ステージ内に仮想カメラ セットアップを配置します。

LED スクリーンに表示する CG 環境を選択した後、仮想シーン内での移動経路を編集し、ソフトウェア上で車両の動きを微調整できます。モーション プラットフォームは、荒れたダート トラックであれ、摩擦のないレース トラックの路面であれ、その場所特有の運転状況を忠実に再現します。 

こうしたクリエイティブなシーンが撮影現場に持ち込まれると、ショットが PXO AKIRA エコシステムを通じて変換されます。ダイナミックなカメラの動きはクレーンへ、CG 環境は LED ボリュームへ、そしてテレインの動きはプラットフォームへとそれぞれ送信されます。
 

LED スクリーンに映し出される、驚くほどフォトリアルなバックドロップ 

車両の動きにリアリティを加えるのがモーション プラットフォームとロボット クレーンなら、環境の見た目をリアルに見せるのは LED スクリーンの役目です。

プラットフォームを囲む LED スクリーンには多様な環境を投影できます。車両にリアルなライティングを当てることで、シャドウや反射も演出され、まるで実際にその場所にいるかのような映像表現が可能になります。

Elbourne 氏によると、LED スクリーンの構成は、映画制作におけるバーチャル プロダクションのセットアップを模倣したもので、従来のグリーン スクリーン技術を改良し、俳優により高い没入感を与える仕組みになっています。グリーン スクリーンのように周囲の環境を想像しながら演技するのではなく、俳優は反応可能なフォトリアルなシーンに没入することができます。
The PXO Akira camera crane in action.
Image courtesy of PIXOMONDO
「車を運転していて、周囲に見えるのがただのグリーンやブルーだったとすると、自分がどこにいて、その状況で車が何をしているのかが、実際にはよくわからなくなるものです。バーチャル プロダクションでは、環境やライティング条件、あるいは自分に向かってくるあらゆるものを実際に目で見ることができます」と Elbourne 氏は言います。

LED スクリーンはゲーム エンジンと組み合わせることで、コンテンツをリアルタイムでレンダリングすることができます。これにより、さまざまなシーン要素をオンザフライで調整できるようになり、監督に無限の可能性をもたらします。ゲーム エンジン テクノロジーのリアルタイム性によって、動的なライティングや反射も実現できます。
Image courtesy of PIXOMONDO
仮想環境では、ショットを完璧な精度で計画できるほか、Digital Twin の LED ウォールや仮想カメラを設定することで、実際の環境にある本物の車両と同じような光の反射を再現することもできます。すべての設定が整ったら、それをサウンド ステージに送信します。サウンド ステージでは、設定が物理的な LED ウォールとカメラに正確に反映されます。

「LED ウォールは、Unreal Engine で構築したものと同じ環境です。同じライティング条件と同じ反射を投影します。それにより、映画にさらに一層の正確さが加わるのです」と Elbourne 氏は言います。
 

スタント ビジュアライゼーションと高速チェイス

車両の動きにさらなるリアリティを加えるために、PXO AKIRA には、最後の重要なコンポーネントとしてレーシング シミュレーターが搭載されています。

「すべての監督や撮影監督と同様、芸術的な観点からもう少し調整したいときもあると思います。当社のドライビング シミュレーターにスタント ドライバーを乗せれば、車やボート、飛行機を自分の思いどおりに物理的に動かしながら、その場でアート ディレクションを行うことができます」と Elbourne 氏は言います。

その動きのパターンはモーション プラットフォームに変換されます。そして、シミュレーターが記録された動きをプラットフォームに送信することで、車両のサスペンションを通じてその動きを体感できるようになります。
Image courtesy of PIXOMONDO
このワークフローは、難しく費用もかかりがちなスタント ドライビングにおいて、大きなメリットとなります。

「スタント ドライビングは、本当に特別なものなのです。車両の動きを最もリアルに再現できるのがスタント ドライビングだからです。ただ、それを実際の道路上で行おうとすると、許可が必要になり、道路の封鎖もしなければなりません。さらに、そういったことが許可されていない場所にいる場合は、実現自体が非常に難しくなります」と Elbourne 氏は言います。

レーシング シミュレーターでは、スピンしながらのドリフトや、レーシング ラインに沿った走行、さらには田舎道をオフロードで駆け抜けるようなテイクを録画し、それをモーション プラットフォーム上の実車で再生することで、一貫性のあるリアルなモーションを実現できます。
The PXO Akira racing simulator.
Image courtesy of PIXOMONDO
「ドライビング シミュレーターの動きをプラットフォームに変換し、それをロボット カメラの動きと組み合わせて、本当に求めているショットを撮影できれば、時間と費用の節約になります。くわえて、完璧なテイクとショットが得られるまで、何度でも繰り返すことができます」と Elbourne 氏は言います。
 

Unreal Engine の潜在能力を最大限に引き出す

Pixomondo は、Unreal Engine 5.2 を使用して PXO AKIRA の構築を開始し、その後はエンジンの各イテレーションやリリースのたびにシステムを更新してきました。 

「現在は Unreal Engine 5.5 を使用しており、アップデートのたびに処理速度の向上や、ライティングの精度、反射の改善が見られます。この 1 年間 Unreal Engine を使用してきましたが、機能面の充実と生産性の向上を実感しており、非常に満足しています」と Elbourne 氏は語ります。

PXO AKIRA の開発以前、Pixomondo は Unreal Engine をゲーム制作やバーチャル プロダクション向けの環境構築、短編映画の制作などに使用していました。しかし、スタンドアローン型デスクトップ ツールの制作には使用していませんでした。

「このソフトウェアを、ここで私たちが活用しているやり方には、本当に可能性を感じています。映画制作の準備として、プレビズと計画段階の両方でこのソフトウェアを活用していますが、撮影現場でもまったく同じソフトウェアを使用して、ロボット アームやロボット プラットフォームを制御できるのです。非常に効果的で、現場でもしっかりと機能しています。Unreal Engine は、PXO AKIRA プラットフォームとそのエコシステムの実現を支えてくれています」と Elbourne 氏は語ります。

次回の制作に、PXO AKIRA を導入してみませんか? ウェブサイトをご覧ください。
A sports car on the PXO AKIRA system.
Image courtesy of PIXOMONDO
A sports car on the PXO AKIRA motion platform
Image courtesy of PIXOMONDO
A plane on PXO AKIRA.
Image courtesy of PIXOMONDO
A motorcycle on PXO AKIRA.
Image courtesy of PIXOMONDO
The PXO AKIRA racing simulator.
Image courtesy of PIXOMONDO

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