画像提供: Emre Okten

フォートナイトのフィルム フェスティバルで上映された 3 つの短編アニメーション

フォートナイトの Short Nite フィルム フェスティバルでは、ゲーム内で 10 編の短編アニメーションが上映されました。そのうち 3 編がワールド プレミアで、その中の 2 編は Unreal Engine で制作されています。このイベントで注目を受けた映像制作者から、アニメーション プロセスでの Unreal Engine の使用方法に関する秘話を伺いました。
 

Little Bird

哀愁に満ちた Little Bird は、つらい選択をする若くて勇敢な宇宙飛行士を見守る短編アニメーションです。この作品で扱っているテーマは、Chris Perry 氏が自分の人生で直面した出来事が反映されています。彼はライターかつディレクターであり、 Bit Films の設立者でもあり、2019 年の秋、国の反対側に家族を残し、仕事のために Los Angeles に移りました。

「家族、とりわけ一緒に暮らしていた 10 代の娘と離れるのは非常につらいことでした」と、Perry 氏は言います。「別れて暮らしながらも再会を願う父と娘を、 Little Bird では描いています。引っ越しのわずか数週後に、このストーリーが思い浮かびました。私にとって、これは家族と離れて抱いていた寂しさに立ち向かうための手段でもあったと思います」
 

これは、Perry 氏が Unreal Engine を使用して完成させた最初のプロジェクトです。彼と同僚の Raf Anzovin 氏は、カスタム パイプラインで作業して、複数のレンダリング パスとカスタムのリギング システムを使用するスタイリッシュな CG を制作していました。2 人は Epic MegaGrants プログラムのことを知って資金調達に成功し、パイプラインを Unreal Engine に移行したのです。

「Epic MegaGrant はこのプロジェクトを一変させました」と、Perry 氏は言います。「MegaGrant から提供されたリソースのおかげで、すばらしい仲間を集めることができました。そして、私たちが希望したとおりに必要な時間をかけてプロジェクトを実行することもできました」
画像提供:Chris Perry

このプロジェクトを思いついた最初の数週間、Chris 氏は 20 年以上前に Pixar で学んだとおりに取り組みました。「代表的なフレームを選び、納得いくまでライティング設定を微調整しました」と、彼は言います。「それから、私は思い出したのです。当時、ただ [Play (プレイ)] を押すだけだったことを。今回も同じです。最終品質のレンダリングをリアルタイムで見ながら、ライティングの調整を始めました。変更がすべてのフレームでうまくいっているか考える必要はありませんでした。目の前に展開されているのですから!一般的に、パイプラインを妨げることなく、カメラやライティングや設定に調整を加えることができるということは、本当に自由に、そしてクリエイティブに進められるということなのです」
 
画像提供:Chris Perry

Unreal Engine を初めてアニメーションの制作に使用することを考えている他のアニメーターは、すぐにでもやってみるべきだと Perry 氏は考えます。「実際のショットや短編映像を選んで、ぜひやってみましょう」と、彼は言います。「実際にこのエコシステムを使ってみることほど、ためになるチュートリアルはありません」
Perry 氏自身が、アニメーションのリアルタイム ワークフローの恩恵を受けた転向者と言えるかもしれません。 「現在、Unreal Engine を使用するシリーズもののプロジェクトにアクティブに取り組んでいます。リアルタイム ツールを今後も使い続けたいと思っています!」と、彼は言います。
 

Two

「Two」は、太陽への片道だけのミッションを実行する 2 人のロボットの間に、ミッションが終わりに近づくにつれて生まれる友情を描いた感動的な作品です。この短編アニメーションは、ディレクター兼シネマトグラファーの Emre Okten 氏によって制作されました。
 

Okten 氏は、リアルタイム ネイティブと言ってもいいかもしれません。彼は従来のアニメーション ツールを使ったことがなく、USC でモーション キャプチャのクラスを受ける学生だった 4 年前に、迷わずリアルタイム エンジンに飛びついたのです。「ライブアクション映像制作は大変な作業です。ですから、ゲーム エンジンでアイデアを試したり、模索したりすることは、非常に柔軟に作業ができるということなのです」と、彼は言います。「やめられなくなるような、クリエイティブな自由を感じます」
この作品は当初、小さなサイド プロジェクトでした。「私はこのエンジンに関して初心者だったので、完成させるにあたり、シンプルにする必要がありました」と、Okten 氏は言います。

シンプルにしなければならないということが、宇宙でのストーリー設定など、基本的でクリエイティブな決定の多くに影響を与え、Okten 氏は孤立したキャラクターや制限のある環境、そして顔や指をアニメートする必要がないロボットを主要キャラクターとして使用することにしました。
画像提供:Emre Okten
Okten 氏はキャラクターの動きにモーション キャプチャの技術を使用しました。光学式のモーション キャプチャを、Unreal Engine に Live Link で接続されている MotionBuilder に Motive を介して送信しました。

新しいタイプの映像制作者として、当然のことながら、Okten 氏はモーション キャプチャとフォトグラメトリの可能性を強く信じています。「このような技術に興味を惹かれます。なぜなら、デジタルにおいて物理的なリアリティを再現する未来への開始点だからです」と、彼は言います。「デジタル ワールドをたやすく構築できるようになるだけでなく、デジタル ワールドを自然に操作する方法も提供してくれるのです」

映像制作にゲーム エンジンを真っ先に使い始めた Okten 氏は、この最新の映像制作方法に興味深い視点を提供しています。「リアルタイムでの作業は、初心者やインディーズの映像制作者が制作を開始するための優れた方法です」と、彼は言います。「このエンジンを、Two 以降は幅広く使用しています。現在は、新しい短編の制作も Unreal Engine で行っています。これをアイデアのプロトタイプ制作にも使用して、いくつかのアイデアを一緒にしたり、イメージを作ったり、すばやくアイデアを形にしたりしています。非常に便利です!」
画像提供:Emre Okten
他のアニメーターや学生たちのために、アニメーションにおいて Unreal Engine で実験してみたことについて貴重なアドバイスをいただきました。「ゲーム エンジンは大海のようなものです。アイデアが浮かぶのはよいことで、やってみたいと思うプロジェクトが進むべき方向を示し、大海を渡るためのラーニング パスを決定してくれます」と、彼は語ります。「それ以外は、制約を認識し、その制約をうまく利用することです。やってみてください!」
 

Mall Stories 

ドキュメンタリー スタイルの短編Mall Storiesには、実在するレストランから着想を得た架空のフード コート、Atilla the Grilla にかわいらしいスタッフが登場します。このアニメーション映画は、 Elizabeth Ito 氏が制作しました。彼女はピーボディ賞を獲得した Netflix のヒット シリーズ、「City of Ghosts」の作者でもあり、実際にバーバンク タウン センターの Mongolian Grill で働く人々から主人公たちの着想を得ました。
 

「実際の人々のストーリーに興味を惹かれました」と、Ito 氏は言います。「自分で考えたら、同じようなものはできないと思います。ドキュメンタリーのアプローチと私がいつも使っているデザインとストーリーテリング スタイルを組み合わせると、実写では表現できない最大の魅力を作り出すことができました」

「Mall Stories」は、Ito 氏が Unreal Engine を使用して制作した初めてのプロジェクトです。「私は Unreal を試したいと思っていました。というのも、以前に Chromosphere がこれを使って制作した作品を見たことがあり、初めて Kevin (DART) にショッピング モールから着想を得たアイデアのことを話したとき、励ましてもらったからです」と、Ito 氏は話します。「私のスタイルではリアルなものを描くので、Unreal を使えばそれが非常にうまくいくだろうと Kevin は感じていたようです。Chromosphere は様式化された外観の実現方法を熟知していますから」
Mall Stories is a Chromosphere Production
Kevin Dart 氏はクリエイティブ ディレクターであり、LA に拠点を置くデザインとアニメーションのスタジオである Chromosphere の CEO です。このスタジオと Ito 氏がコラボレーションして、Unreal Engine で短編アニメーションを制作しました。

このプロジェクトは、Epic MegaGrant のサポートを得てスタートしました。「MegaGrant は素晴らしい機会を与えてくれました。私は、Unreal でできることをすべて試し、それがどのようなものになるかを確認して Unreal のプロジェクト全体を Chromosphere ともに構築し、生み出すことができました」と、Ito 氏は言います。

Unreal Engine で完全なショッピング モールを構築しました。そこにはエレベーターや噴水もあり、ストーリーの展開やレイアウト、ショット計画に使用されています。「これを 2D ボーディング プロセスで表現したら、非常に難しくなったでしょう」と、Dart 氏は言います。
 
Mall Stories is a Chromosphere Production
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Ito 氏には、リアルタイムのワークフローを使用する際の速度と柔軟性が新鮮なものに感じられました。「途中で調整する箇所が多数ありましたが、すぐに改善することができました」と、彼女は言います。「私たちはさまざまな技術を試すことができ、それによって即興的に作業することができました。実にエキサイティングで新鮮な経験でした」

チームはリアルで様式化されたシェーダーを使用して、リアルタイム環境で City of Ghosts のようなハイブリッドな外観を実現することができました。「日本の奇抜なテレビ ゲームのデザインと Chromosphere との試行錯誤から、 Mall Stories のスタイルは生まれました。そこから、キャラクターのスタイルをよりリアルな背景環境に適応させる新しいアプローチを見つけることができました」と、Ito 氏は説明します。「これは City of Ghosts でやってきたことを進化させたものですが、今回はすべてリアルタイムに行うことができました」
キャラクターと小道具は、より平坦で様式化された外観になるようなマテリアルでライティングを当てました。Chromosphere が Yuki 7 のために構築したものと同じマテリアルを使用しています。一方で環境は、レストラン バーでのクロムや輝くネオン サインなどがリアルな外観になるようにライティングを当てています。

Ito 氏が経験したもう 1 つの初めてのことは、彼女の作品がフォートナイトの Short Nite フィルム フェスティバルでワールド プレミアになったことです。「人気のあるゲームの中で自分の短編アニメーションを見て、うれしくなりました」と、彼女は言います。「キャラクターたちが飛び跳ねながらやって来たり、コスチュームを変えたり、ビーン バッグ チェアを自分で作ったりしています。こういったものを目にすることは非常に楽しいことです。上映会場に押し込まれることなく、コミコンの上映に参加しているという実感が得られました。とてもエキサイティングで楽しい経験でした」
 

アニメーションのための Unreal Engine

リアルタイム テクノロジーとプラクティスを使用すると、アニメーションのストーリーに対する制約が少なくなり、新しいワークフローとチャンスがスタジオやインディーズのアーティストに与えられます。「私はほとんどベッドルームにいて、1 人で Two を作成しました」と、Okten 氏は言います。「私が学んだのは、権限を与えられることや少ないチャンスを待つ必要がない、自分が見たい映画を作るために莫大な予算を集める必要がない、ということです」

「リアルタイム CG は 映像制作において民主的な革命のようなものです。映像制作が大幅に効率的になり無駄がなくなりました。今後はさらに簡略化されるでしょう」

「アニメーションのリアルタイム ワークフローの詳細については、リアルタイム技術、制作秘話、事例紹介、最新のアニメーション分野ガイド、アヌシー国際アニメーション映画祭のハイライトなどが揃ったお祝い、「アニメーションの未来」をチェックしてください。」

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