Image courtesy of DNEG Animation and Howdybot Productions

DNEG Animation が Mr. Spam Gets a New Hat でリアルタイム パイプラインの可能性を探る

2022年1月27日
William Joyce 氏は創造性あふれる多作のアーティストです。 50 冊以上の児童書に作家およびイラストレーターとしてクレジットされています。Joyce 氏のイラストは風変わりなスタイルで、古風なようでありつつ未来的でもあります。

CGI のファンは、Joyce 氏が手がけた子ども向けテレビ番組、ローリー・ポーリー・オーリーを思い出すでしょう。1998 年から 2004 年にかけて放送されたこの番組は、最初期のフル CG アニメーション作品の 1 つであり、Joyce 氏はこの作品でエミー賞のプロダクション デザイン部門を獲得しました。2005 年には、アニメーション長編映画ロボッツの制作を手がけました。そして 2012 年には、The Fantastic Flying Books of Mr.Morris Lessmore でアカデミー賞の短編アニメ賞を獲得しました。この作品では、3D のモデル、2D の絵、手作りのミニチュアを組み合わせて、優雅でこの世のものとは思えないようなルックを作り出しました。また、オズの魔法使いやバスター・キートンの映画にオマージュを捧げる作品でもありました。

Joyce 氏の最新作、Mr.Spam Gets a New Hat は、DNEG Animation との協力で制作された短編アニメーション映画です。このレトロ調の物語では、失望し想像力をなくした工場労働者が、愛情あふれる友人の助けを借りて想像力を取り戻します。
 

Mr.Spam の世界のビジュアルのスタイルは、Morris Lessmore のものと似ていますが、水面下では大きな違いがあります。Lessmore の世界は従来のアニメーション パイプラインで作成されたのに対し、Mr. Spam Gets a New Hat は Unreal Engine でリアルタイム プロジェクトとして作成されました。

Mr. Spam の誕生

Mr.Spam Gets a New Hat の中心となっているのは愛とサポートの物語です。Mr.Spam の隣人であるアーティストの Dot が、失われた想像力を取り戻せるよう Mr.Spam を手助けします。
Image courtesy of DNEG Animation and Howdybot Productions
DNEG Animation は取り組むプロジェクトを非常に慎重に選択していますが、このプロジェクトについてはすぐに決断が下されました。DNEG のプロデューサー、Shelley Smith 氏は次のように述べています。「この物語は私たち全員が共感できるものでした。助けを求めるのは簡単なことではありません。しかし、そのニーズを理解し、サポートしてくれる人がいるというのは、とても元気を与えてくれることです。Dot はこの物語の真のヒロインであり、愛と芸術を通じて Mr.Spam を支えているのです」 

DNEG はこのプロジェクトで初めてリアルタイム アニメーション パイプラインを採用しました。課題もありましたが、チームではこの変化への備えができていました。「ストーリーテリングのためにリアルタイム ツールを利用することには大きな可能性があり、アニメーションの物語を大きく変えることができるとわかっていました」と Smith 氏は述べています。 

DNEG で CG スーパーバイザーを務める Gabriele Pellegrini 氏もその意見に同意しています。「DNEG でリアルタイム プロジェクトに取り組めるようになることをずっと求めていました。これは初めての大きなチャンスで、申し分のないものでした」
Image courtesy of DNEG Animation and Howdybot Productions

Mr. Spam の作成

ストーリーを手にしたチームは、Mr.Spam の世界を作り始める準備ができていました。レトロ調の工場と Mr.Spam の暮らす家の近所に加えて、主役のキャラクターとなる Mr.Spam と Dot を作成する必要がありました。
Image courtesy of DNEG Animation and Howdybot Productions
DNEG は Maya を使ってモデル、リグ、アニメーションを作成し、Mari と Substance Painter を使ってテクスチャを作成しました。キャラクターに対する追加のスカルプトの作業を ZBrush で行い、モデルを Maya にインポートしてトポロジーを検証しました。 

それからモデルを Unreal Engine に取り込む必要がありました。Pellegrini 氏は次のように述べています。「当初から、特定の I/O タスクは自動化したいと考えていました。パイプラインで自動化できるようになってからは、プロセスが円滑に進みました」 

髪の作成にも工夫が必要でした。アニメーションのチームは、多くの場合で、キャラクターの髪を適切なものにするにはある程度の作業が必要になることに気が付きました。Mr.Spam もその例外ではありませんでした。DNEG のチームは、Maya で XGen を使って髪のグルームを作成してから、そのグルームを Unreal Engine にインポートしました。
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DNEG の VFX スーパーバイザー、Taylor Moll 氏は次のように述べています。「グルームを Unreal に取り込むのは最初は難しく、適切な設定を見つけるまでトライ アンド エラーを繰り返す必要がありました」しかし最終的にはいいやり方が見つかり、Mr.Spam は新しい帽子にあった髪を手に入れることができました。

リアルタイム パイプラインでの作業

従来のパイプラインからリアルタイム パイプラインに切り替えるには、考え方を大きく変える必要があります。リアルタイム パイプラインでは、従来順番に実行していたタスクを並行して実行できます。また、1 つのシーケンスに対して多数のメンバーがいつでも作業を行うことができます。
Image courtesy of DNEG Animation and Howdybot Productions
「Unreal Engine を使うことで、従来のパイプラインが完全に変革されました。どの部門もパイプラインでただ直線的に作業を行うことはなくなりました」と Smith 氏は述べています。

この新しい働き方は、プロジェクト管理を含む制作のあらゆる面に影響をおよぼしています。Moll 氏は次のように述べています。「従来のパイプラインでは、1 つのシーケンスについて 3 つの部門が同時に作業できたかもしれません。しかし今では最大 8 つになっています」

制作に対する新しいアプローチが必要となるのは、部門のトップたちも同様です。「ほかの部門で何が起きているのか理解することが、部門のトップにとっての大きな義務となりました。以前はそのようなことはあまり気にかける必要がありませんでした」と Moll 氏は述べています。

新しいパイプラインはスケジュールの設定にも影響しました。たとえば、DNEG はライティングのスケジュールを早めて、レイアウトの時点まで移動させることができました。同時に、各部門がアニメーション チームと協力してテスト ショットを出力できるようになり、すべての部門で問題や懸念点を早期に洗い出せるようになりました。

一部の人にとっては気に障ることもありましたが、最終的にはクリエイティビティと効率の面でプラスの結果が得られました。Moll 氏は次のように述べています。「複数のアーティストがコンテキストを共有して働くことができました。レイアウト、ライティング、サーフェスを同じレベルに置き、ショットを同時に調整させることができました。また、Unreal のセッション内で、さまざまなテクニカル ディレクターがアーティストと協力することができました」
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従来のパイプラインでは、ディレクターはシーケンスについて難しい決断を下すことに慣れていました。ショットを送り返して手を加えてもらい、その分遅れを我慢するか、あるいはそのままシーケンスを使うかという判断です。しかし、すべてのシーケンスで複数の部門がリアルタイムに作業を行うことができるようになれば、このような判断を素早く行うことができ、はるかに短い時間で要望を出し、変更を受け取ることができます。

Pellegrini 氏は次のように述べています。「私にとっては、従来のパイプラインとの最大の違いは、判断にかかる時間でした。通常の制作と比べるとずっとスピーディで、意欲をかき立てられるものになりました」

制作についての新しい考え方の導入

Mr.Spam Gets a New Hat の制作を通じて、DNEG はリアルタイム パイプラインの利点を見出しました。Smith 氏は次のように述べています。「Unreal Engine で作業すると、複数のユーザーが協力して実験し続けることができるというメリットがあります。従来のパイプラインとは異なり、締め切りに追われた状態で次の部門に仕事を引き渡す必要はありません」

Smith 氏によると、リアルタイム テクノロジーは意思決定を迅速化するだけではありません。真のメリットをもたらすのは情報共有の面です。「1 つのシーンについて複数の部門が協力できるようになり、従来のパイプラインよりもはるかに早い段階で情報共有できるようになりました」

また、Smith 氏は、将来のアニメーションの制作方法を変えようとしている、最先端の働き方を取り入れることのメリットにも触れています。

「最先端のテクノロジーを使うプロジェクトに参加し、限界を追求できると同時にこれまでよりもコラボレーションを促進できるというのは、とても楽しいことでした」
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