2020年4月22日
ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤のセットとアクション シーケンスをバーチャル プロダクションでデザイン
巨大なセットと複雑なアクション シーケンスを必要とした制作チームからデザインとビジュアライゼーションの依頼を受けたのが、高い評価を受けているデザイン スタジオ、Painting Practice です。Painting Practice が提供するサービスには、プリビジュアライゼーション、アニメーション、VFX、プロダクション デザイン、コンセプト アート、デジタル マット ペイントなどがあります。
Painting Practice のチームは、以前にいくつかほかの番組でもリアルタイム レンダリングに少し携わったことがあり、ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤のプリプロダクションの初期段階で Unreal Engine の導入を開始しました。
デザインが難しいセットの 1 つにトロールサンドがありました。物語の主人公であるライラ・ベラクアの世界にあるラップランドの主要な港です。このセットのために、チームはフォトグラメトリー用のドローンを使って岩場のスキャンを行い、それを使って、Unreal Engine にインポートする高解像度モデルを作成しました。さらにモデルとテクスチャをいくつか加え、リアルタイムのモックアップが完成しました。

このプリビジュアライゼーションにより、監督とプロデューサーは、構想用の環境を確認し、建物やセットの規模に関する重要な判断を下すことができました。Painting Practice のクリエイティブ ディレクターであり、会社の共同創業者でもある Dan May 氏は、「Unreal は、まだ構想もされていない空間に人々が物理的に身を置くことができる、優れた方法でした」と述べています。
番組のエグゼクティブ プロデューサー兼プロダクション デザイナーの Joel Collins 氏は、次のように詳しく説明してくれました。「セットは非常に高価であり、1 エピソードのために街全体を組み立てるダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤のような番組では、実用性、コスト、クリエイティブの面で最適な判断を下す必要があります。また、それぞれの面が結び付いてもいます」
「Painting Practice のチームが作成したセットにより、重要な点について判断を下し、予算面と撮影面の条件をちょうど満たし、無駄がないものを作ることができました」

別の重要なプリビジュアライゼーションに、よろいぐま 2 頭の戦闘シーンがありました。エピソード 7、The Fight to the Death (死闘) では、ライラの友人であるイオレク・バーニソンと、イオレクから王位を奪ったイオファー・ラクニソンが死闘を繰り広げます。このエピソードの監督である Jamie Childs 氏は、まだ存在しないセットで仮想カメラを使ってあれこれ試すことができたおかげで、最適なカメラ アングルを探り、シーンのリアリティを最大限に高めることができたと説明します。
Childs 氏は次のように述べています。「熊の戦闘は、CG ではなく本物の戦闘を撮影したかのような印象を与えたかったため、歩き回ってさまざまな角度から確認しました。Unreal ならそれが可能です。部屋の中を物理的に動き回り、好きな位置にカメラを置き、カメラ モニターで内容を確認し、そうしたショットを記録、編集できるので、監督にとっては本当に自由でした」

Childs 氏は、この感覚が、技術を学び始めた頃を思い出させると説明します。当時は、外に出ていろいろなものを撮影し、試しに使ってみて、クリエイティブ面からストーリーの本質に行き着いていたと言います。
「プリビジュアライゼーションがそういった面に役立つとは思っていませんでした」と Childs 氏は言います。「カメラをどこに置くか、などの技術面には役立つかもしれないと思っていましたが、実際には、雑音を気にせずに、すぐに何かを作り出すことができました」
リアルタイム テクノロジーは、プリプロダクションだけでなく、制作の一部の要素にも使われるようになっていて、Collins 氏は、いずれ制作プロセス全体に行き渡るときが来ると考えています。
「今後 10 年間が楽しみです。最初から最後まで Unreal を活用することになるのではないでしょうか」と Collins 氏は言います。「あらゆる制作が最終的にそのようになるかもしれません」
Painting Practice は、Unreal Engine をベースとする新しいソフトウェア アプリケーション Plan V をリリースすることで、業界内でのリアルタイム テクノロジーの利用普及を目指しています。Plan V は VR のオーダーメイド スタジオ環境であり、アーティスト、プロデューサー、監督、その他多くの制作クルーが、レンズ、ストーリーボード、プリビジュアライゼーションなどを試すことができます。

Plan V は、シンプルなワークフローとユーザー フレンドリーなインターフェイスを備えています。技術に精通していないユーザーでも高品質の 3D 環境を操作でき、映画、テレビ、広告、ゲーム用の世界、セット、シーンのデザインに使用できます。また、ローカルとリモートの両方でのコラボレーションが可能です。
この無料アプリの初期バージョンは、5 月 1 日より Steam と Painting Practice の Web サイトからダウンロードできます。
制作予算を最大限に生かしたいと思われている場合は、Unreal Engine を無料でダウンロードしてください。