Reston Station Proposals October 2020 | Image courtesy of Arup

デザイン・エンジニアリング会社の Arup はインタラクティブ3D技術シフトを採用

By Ken Pimentel |
2021年1月20日
インタラクティブ3D技術は、技術に精通したスタートアップの建築事務所から長い歴史を持つエンジニアリング会社まで、建築、エンジニアリング、建設業界全体で採用されています。 

そのいい例が、70年以上にわたり今日の建築環境のあらゆる分野に対応してきた Arup です。コンサートホール、国立競技場、再生可能エネルギー、自動運転車など、Arupは、今日の最も野心的なデザインとエンジニアリングの課題を解決しています。 
Reston Station Proposals October 2020 | Image courtesy of Arup
同社は最近、クライアントとのコミュニケーションを改善し、より正確な設計レビューを促進させ、プロジェクトの所要時間短縮に役立つリアルタイム イノベーションの爆発的増加にともない、技術的な変化を遂げました。 

従来のワークフローを変革するリアルタイム ツール

Colin Hanford 氏は、イギリスのカーディフに拠点を置く Arup のビジュアライゼーションチームのうちの一人です。チームを構成するもう一人は、シニア ビジュアライゼーション デザイナーの James Jackson 氏です。この二人の間には、あわせて50年以上にわたりビジュアライゼーションに携わってきた経験があります。このチームは、Arupの事業部門、特にイングランド南西部とウェールズのインフラ、都市設計、交通計画プロジェクトを担当しています。

Hanford 氏とJackson 氏は、自分たちのコアスキルを向上させるにはどうすればよいかを模索するための演習中に、リアルタイム技術に注目するようになりました。現在では、約 1 年半ほど Unreal Engine を使用しています。「以前は別のリアルタイム エンジンを使用していたのですが、非プログラマーにとっての学習曲線が非常に急であることがわかったため、Unreal Engine を検討するようになりました」と Jackson 氏は説明します。 

彼らはすぐに、Unreal Engine がプログラマー以外の人に対して忠実度の高いリアルタイム体験作成への扉を提供できることに気が付きました。 「そのビジュアル品質と、プログラマー以外の人でも簡単に導入できる障壁の低さは非常に素晴らしく、Unreal を採用することにしました」と Hanford 氏は述べています。 
Morrison's Island Public Realm and Flood Defence Project | Image courtesy of Cork City Council
リアルタイム技術を採用して以来、従来のワークフローに比べて多くの利点があることがわかりました。チームは、よりタイトな納期に対応し、プロジェクトやオプション設計をより迅速にレビューし、アイデアをより簡単に伝えることができるようになりました。「これらの課題を克服できたことで、これまでとは違う企業と仕事をする機会が増えました」と Hanford 氏は述べています。 

インフラ プロジェクトをリアルタイムで視覚化する

リアルタイムワークフローは、イギリスの高速道路と主要なA道路の運用、保守、改善を担当する政府企業である Highways England のために取り組んだ最近のインフラ プロジェクトで極めて重要な役割を果たしました。

イングランド南西部のブロックワースとカウリーという町の間で、A417高速道路の2つの区間をつなぐ新しい道路が計画されています。Hanford 氏と Jackson 氏は、プロジェクトのステークホルダーにデザインの意図を伝えることを目的とした、予定されている工事のビジュアライゼーション作成を担当しました。

「非常にタイトな納期プログラムで作業を進めていたので、Unreal でアニメーションをレンダリングする柔軟性とスピードがなければ、期限に間に合わせるのは非常に困難だったでしょう。」
 
Animation courtesy of Highways England. Published October 2020.
彼らが直面した最大の課題のひとつは、ビジュアライゼーションの規模の大きさでした。許容できる解像度、忠実度、フレームレート内で大規模な環境を実行し、なおかつ、地平線を見ることができる方法です。

彼らはエンジンの外でモデルを様々なレベルのディテールに分割し、航空写真をより小さな正方形に分割しなければなりませんでした。初期の複雑な作業と Epic との連携を経て、Hanford 氏と Jackson 氏は現在、将来のプロジェクトに向けて利用できるプロセスを手に入れました。「Unreal Engine のバーチャル テクスチャを使用して実現したのですが、これは私たちの環境のリアリズムを維持するために非常に重要になります」と Jackson 氏は語ります。 

バーチャル テクスチャリング は、ライト マップやテクスチャに必要なテクスチャ メモリを削減し、プロシージャル マテリアルやレイヤー マテリアルのレンダリング パフォーマンスを向上させる Unreal Engine の機能です。4K や 8K のテクスチャに制限されるのではなく、任意のサイズのテクスチャを使用することができ、ハードウェアが処理できる範囲でエンジンが管理します。
何十万もの既存の樹木や提示れれていた樹木も、実行可能なフレームレートと解像度でリアルタイムモデルで表現する必要がありました。チームは、3dsMax のForest Pack Pro を使用して単純なプロキシツリーをエクスポートし、 Datasmith を通してUnreal Engineにインポートし、そこで SpeedTree Unreal Engine アセットと置き換えました。 

ツールとプラグインのコレクションである Datasmith を使用することで、Unreal Engine にさまざまなデータ タイプをインポートする時間を大幅に短縮することができます。Hanford 氏と Jackson 氏は、プロジェクトの初期開発を行う 3ds Max からデータをインポートする際に、主にこのツールを使用しています。「Datasmith は私たちのパイプラインで非常に役立っています」と Jackson 氏は述べています。 

Datasmithは、 RailCloneとともに Forest Pack Pro アセットに特化したサポートを提供しています。これにより、各エンティティを階層インスタンス静的メッシュとして直接変換できます。これは、オブジェクトが広い領域に分散している場合に高いフレームレートを提供する特殊なタイプのオブジェクトです。  

樹木だけではなく、道路には多数の車を配置する必要がありました。以前は、車両交通 モデリング ソフトウェア VISSIM から 3ds Max にインポートし、必要に応じて調整した後、3ds Max から .fbx ファイルとしてエクスポートし、Unreal Engine でアニメーションの品質を保持していました。現在では、Datasmith を使用して VISSIM アニメーションを 3ds Max から直接迅速にインポートできるようになりました。 

インタラクティブ3D ドライビング&サイクリング シミュレーション

Hanford 氏と Jackson 氏は、Arup の関係者向けにビジュアライゼーションを作成するだけではなく、他のビジュアライゼーションの専門家と協力して、Unreal Engine をもとに構築された社内ツールを開発しました。このようなツールの 1 つが、Arup 社のインフラ プロジェクトのジオメトリが正確な仮想シミュレーションに没入することで、エンジニアリング設計の改善に役立つシミュレーター、DriveSim です。 
 
DriveSim footage courtesy of Highways England. Published September 2019.
DriveSimによって、道路や橋梁の設計者は提案されている工事に沿ってバーチャルに車で移動するテストオペレーターを観察し、初期段階における重要なユーザー体験を評価することができます。照明、時間帯、その他の環境変数はリアルタイムで反応し、一定のリアリズムを提供することで、設計者はより正確に体験を評価することができます。

この初期のフィードバックから、設計上の重要な考慮事項とリスク領域を特定し、最も効率的な設計を確実に行うことができます。これにより、その後に必要とされる設計のバリエーションを減らすことができます。

DriveSim はもともと Arup のブリスベン オフィスで、他のリアルタイムエンジンを使用して設計されていました。カーディフのチームにはこのエンジンを使用するためのプログラミングの知識がなかったため、 ブループリント ビジュアル スクリプティング システムを使用して Unreal Engine  でシミュレーターを作り直すことにしました。Hanford 氏が先に使用していたソフトウェアからプロジェクトを移植して以来、ブリスベンのチームは Unreal Engine の熱心なユーザーとなりました。  
DriveSim footage courtesy of Highways England. Published September 2019.
チームは Unreal Engine マーケットプレイス から購入したアセットを使用してライブ プロジェクトで多くのテスト シミュレーターを作成し、社内で展示しました。「DriveSim は社内クライアントと繋がりを深めるのに本当に役立ちました。彼らは今やより深く設計プロセスに関わるようになりました」と Hanford 氏は語ります。「DriveSim はビジュアライゼーションの観点から、すべての高速道路プロジェクトに使用されており、プロジェクトの標準アウトプットとなっています。」

DriveSim は Arup に変革的な効果を及ぼし、エンジニアはかつてないほどは明確に自分たちの設計作業を確認できるようになりました。「エンジニアリング ソフトウェアに組み込まれている他のビジュアライゼーションツールを使用した設計レビューはすでに行っているため、Unreal を使用して同じデータを示すことにより、チームは設計をナビゲートしたり検討したりするのがより簡単になりました」と Hanford 氏は述べています。「視覚的忠実性と瞬時のフィードバックの組み合わせ―つまり操作にタイムラグがないことで、チームはさらに多くのことに目を向けられるようになりました」

DriveSim の成功以来、チームは VRCycle を含む多数ののツールを開発してきました。VRCycle は、 VR HMDと、ユーザーがインタラクティブな電子オブジェクトを作成できるオープンソースのプロトタイピング プラットフォームである Arduino のプラグインを使用して物理的な自転車と組み合わせたサイクリングシミュレーターです。「Unreal が幅広く採用されたことで、すぐに Arduino プラグインを手に入れ、物理的なものとバーチャルのものを繋げることができ、ほんの数時間で機能するプロトタイプを手にすることができました」と Jackson 氏は語ります。  

DriveSim と同様に VRCycle も Arup では非常に高評価を得ており、今後のプロジェクト開発のためのプラットフォームとして期待されています。

チームはまた、高速なリアルタイム建築ビジュアライゼーション ツールである Twinmotion をこの1年、とくに、スコットランドの2つの鉄道プロジェクトで使用してきました。

Arupは、Network Rail からスコティッシュ・ボーダーズにあるレストン駅とイースト・リントン駅の開発計画申請をサポートするための輸送評価を依頼されました。カーディフのビジュアライゼーションチームは、提案されている2つの鉄道駅のアニメーション制作を担当し、デザインレビューと公開協議の両方をサポートしました。
Reston Station Proposals October 2020 | Image courtesy of Arup
Jackson 氏は次のように述べています。「プロジェクトの期限が厳しかったため、Twinmotion を使用することによってデータ準備中でも高品質な静止画とアニメーションを迅速に取得できるようにしました。人や車両などのアセットの組み込まれているライブラリを使用することによって人間のスケールを明確にすることができ、設計の条件を特定するのに役立ちました。」

チームはこれらのプロジェクトを、現地のチームとイギリス北部の Arup の多くのオフィスにおいて、特に3Dビジュアライゼーションの作業に関する知識の共有とスキルアップを目的として活用しました。「新しいテクノロジーに適応することでクライアントが提示する期限を守り、新しいスキルを習得し、可能な限り最高品質のソリューションを生み出すことができました」と Jackson 氏は述べています。  

全社的に採用されたリアルタイム ワークフロー 

Hanford 氏と Jackson 氏の Unreal Engine での成功は、Arup 全体のビジュアライゼーションチームが、「私たちと同じ理由で」このツールをパイプラインに採用することにつながったと Hanford 氏は述べています。それは「使いやすさとビジュアル品質」です。

リアルタイム技術は社外の関係者からも熱烈に歓迎されています。「彼らはとても気に入っています」と Jackson 氏は語ります。 「彼らは、私たちが設計した様々なリアルタイム環境を試すために、定期的にクライアントを私たちのところに連れてきてくれます。」
Morrison's Island Public Realm and Flood Defence Project | Image courtesy of Cork City Council
外部のクライアントからの反応もまた非常に好意的で、Arup のリアルタイム体験は、特にコンサルテーションやエンゲージメント イベントなどにおいてステークホルダーとのコミュニケーションにおいて新たな方法を提供しているとの声が寄せられています。

「Unreal Engine は私たちのワークフローに変革をもたらし、クライアントに新しいサービスを提供するのに役立っています」と Hanford 氏は語ります。「それは、デザイン チーム、クライアント、社外の関係者との連携を強化し、意思決定とデザインオプションの検討選択をより迅速かつ簡単に実行できるよになりました」と Hanford 氏は述べています。

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