リアルタイム技術はデザイナーがコンセプトとどのように関わるかを変えています。デザインの最初期から構造をテストし、その体験を活かしてデザインを発展させることができるので、デザイン全体において高速なイテレーションとアイデアの検証が可能になりました。創造性が広がり、新しい可能性を発見できるかもしれません。
皆に恩恵のある形でこうした新たな力をパッケージ化するには、業界のリーダー達と技術を提供する企業が集まり、ビジョンを共有して協力する必要があります。その素晴らしい一例が、ニューヨークを拠点とする先進的な教育機関であるコーネル大学、業界大手の KPF (Kohn Pedersen Fox Associates) と FXCollaborative によるジョイントイニシアティブの Virtual Places です。 HP も支援している Virtual Places プロジェクトの目標は、建築家とデザイナー向けに、高速に仮想都市空間をデザインし、リアルタイムに共同体験ができるような Unreal Engine ベースのツールセットを開発することです。
コーネル大学の環境システムラボのディレクターで、建築学科の助教授である Timur Dogan 氏は以下のように述べています。「都市の密度は高まり続けています。車のための計画パラダイムから、徒歩や自転車で移動できる人間にとっての体験がある都市へと移行しています。公共空間がさらに重要になっているように感じます。」
プロジェクトでは都市をプロシージャルに生成する方法が必要でした。まったく新しいツールを制作する代わりに、チームは既に都市規模のプロジェクトで使用されているパラメータ制御による建物生成ツールである Esri CityEngine に目を向けました。Esri は喜んで技術的支援と CityEngine のライセンス及びサンプルプロジェクトの提供を行いました。
技術要件を満たすようプロジェクトの技術的側面を監督するために、チームは地元の VR 及び AR のプラットフォーム会社である The Glimpse Group の力を借りました。Esri と Epic と協力し、 Glimpse は CityEngine と Unreal Engine を繋ぐプラグインを制作しました。Glimpse は Unreal Engine の Collaborative Viewer テンプレートを強化して、デスクトップ環境と VR の両方で、複数人がパラメータ生成された建物を同時に体験し編集できるようにしました。
完全にレンダリングされたフォトリアルな結果を VR で見ることで、ユーザーは環境と環境に加える変更を真に体験することができます。コーネル大学の Henry Richardson 教授はこの重要性を理解しています。
「制作する建物は、パラメータ的に作り上げ、変更していくことができます。ですが、このプロセスで鍵になるのは、その場所の雰囲気、感じ、感触、意味的な象徴といったものになります。」
業界にとってこのプロジェクトは、都市プロジェクトにおいて様々なデザイン情報と環境的制約をどのように新しい方法で使用できるのかを考えるものになります。
FXCollaborative のプリンシパルでデザイン技術ディレクターの Alexandra Pollock 氏は以下のように述べています。「この最初のイテレーションでは、ツールで共同調整作業をリアルタイムで行い、都市環境の変化を実感し理解することができます。住人のように空間に入って周りを見ること、歩き回ることが可能で、空間がどのように機能するかを理解できます。」
Kohn Pedersen Fox のシニア アソシエイト プリンシパルでディレクターである Luc Wilson 氏も同意します。「このツールとシミュレーションを接続し、定量化を行えればと考えています。この場所は日中よく日が当たる、と言うことはできるのですが、その場所に行って『なんてこった、よく日が当たるのはこちらではなくて、あちらの方だ』と言えたらより望ましいのです。」
コーネル大学はプロジェクトを全面的に受け入れ、研究の継続と開発と並行し、非常に早く関連する講義を開始しました。さらに建築学科に新しく VR ラボも設立することまでしています。こうした動きは熱意を持って歓迎されています。
学科の教授 Martin Miller 氏も以下のように述べています。「学生からの反応はほぼ常に好意的なものです。新しい何かにワクワクし、新しいツールとテクニックに可能性を見ているのです。」
Pollock 氏も同意しています。「彼らはこの技術がどのように業界での技術の活用方法を変革する引き金になる可能性があるか、創造的に、分析的に深く考えています。」
このプロジェクトは広い業界からの注目を集めています。Zaha Hadid、 HOK、 Shop Architects、 Jacobs、 CRTKL、 Woods Bagot などの先進的な企業がすべて強い興味を示しています。
Richardson 氏は語ります。「デザイン思考でのパラダイムシフトが起こります。このことを受け入れる企業が、先駆者になるでしょう。この研究は、リスクを緩和することを実際に助けるはずです。こうした技術は建築家の働き方を変革します。そのための方法論と実現のためのツールを開発することに関われていることをとてもうれしく思います。」
チームは学校や他の企業もプロジェクトの研究成果に無料でアクセスできることを保証することに心を砕いています。CityEngine と Unreal Engine が進化を続ける中、Esri と Epic も協力してプラグインとテンプレートのメンテナンスを行っています。興味がある方は、Esri が用意したコミュニティサイト Vitruvio でプラグインのコードにアクセスすることができます。 CityEngine ランタイム DLL の使用は非商用用途では無料です。詳細については Esri SDK ライセンスをご確認ください。「Collab Viewer」テンプレートは Unreal Engine に同梱されています。
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