2019年11月25日
CM Labs 社、最高峰のリアルタイム ツールを連携させ、高忠実度のエンジニアリング /トレーニング シミュレーションを制作
CM Labs Simulations は、業界で最も信頼される地上および海中のシミュレーターを開発しています。トレーニング、ミッションのリハーサル、シリアスなゲーム、仮想的なプロトタイプの制作、製品テストといったサービスを提供しています。
カスタム ソリューション向けにビルド済みのシミュレーターとシミュレーション ソフトウェア双方を提供
CM Labs は、20 年ほどにわたり、精度が高くすぐに使い始めることができるインタラクティブなシミュレーターをエンジニアリングとオペレーターのトレーニング用に作成し、シミュレーション業界で名を馳せてきました。これまで、30 か国以上の顧客に、1,000 を超えるシミュレーターを提供してきました。一見して明らかなことではないかもしれませんが、CM Labs のシミュレーターはすべて、共通の強力なプラットフォーム Vortex Studio で開発されています。Vortex Studio は、リアルタイム シミュレーションとビジュアライゼーションの高度なソフトウェア スイートです。CM Labs のチームと顧客は Vortex Studio を同じように利用して、独自のシミュレーターを作成し、展開しています。
重機などのオフハイウェイ車両を扱うエンジニアは Vortex Studio で開発したシミュレーションを利用して、重機をリアルタイムでビジュアライズしています。海洋エンジニアは、洋上と海面下で使用する機器の設計とテストという課題を解決するために、シミュレーターを開発してきました。ロボット工学のエンジニアは、つかむ、アクセス、その他のタスクに基づくロボットの用途について、リアルタイム シミュレーションをテストし、洗練させています。また、Vortex Studio は防衛産業でも広く使われています。車輌、重機、海上での操作のための、忠実度の高いトレーニングが作成されているのです。
CM Labs の共同創業者兼 CIO、Arnold Free 氏は次のように述べています。「Vortex Studio は、妥当性が確認されたマルチボディ ダイナミクス エンジンを利用しています。高い忠実度で、機械をリアルタイムでシミュレーションできます。トレーニング目的の利用では、トレーニング シミュレーターが現実の機械の挙動を極めてリアルに表現するので、現実的なスキルを獲得できます。シミュレーターで獲得したスキルは、現実の物理的な機器に適用できます」
忠実度の高い物理モデリングと物理シミュレーション
CM Labs が制作するシミュレーターが高忠実性を実現できているのは、機械とその環境の基本的な物理をシミュレートして、挙動を正確に予測しているからです。それによって、現実の機械の動作がリアルに表現されているのです。Free 氏は次のように述べています。「エンジニアリングの言語を使って機械のモデルを作成しています。たとえばトラックのような車輌であれば、エンジンにはトルクカーブとパワートレインがあることがわかっています。また、ホイールは独特の特性があり、地形と接触することがわかっています。クレーンの場合であれば、ウインチとケーブルがあり、各ケーブルに固有の工学的特性があります。シミュレーションはそういった特性に基づいて作成され、シミュレーション内の挙動はすべて、作成されたモデルに基づくものであり、その点は現実の機械と同様です。どの挙動も、事前にスクリプト化されたものではなく、エンジニアリング モデルに基づいてその場で発生するものなのです」
需要が高まる VR ベースのエンジニアリングとトレーニング
CM Labs のシミュレーターのためのメカトロニクス モデルは、Vortex Studio の統合エディタ アプリケーションで作成されます。このエディタは、シミュレーション対象の車輌、ロボット、重機のモデルの作成とテストに使われています。Vortex Studio にはビジュアライゼーション エンジンが組み込まれていますが、このエンジンは特定の用途に特化しているため、顧客に役立つ機能や、CM Labs のチームによるシミュレーター開発に役立つ機能 (特定の VR デバイス向けの機能など) が一部欠けています。「業界では、エンジニアリングとトレーニングの VR ベースのソリューションに対する関心が高まっています。多数のモニターを使うより 1 台の VR ヘッドセット向けに開発するほうがイマーシブな環境を迅速に作成できます」と Free 氏は述べ、さらに次のように付け加えています。
「VR ベースのトレーニング ソリューションを開発して、ビジュアルを優れたものにしたいと考えていました。それを最も早く、最も簡単に行う方法は、Unreal Engine を使うことだろうと思いつきました」
最高レベルのツールそれぞれの長所を活用
その目標を達成するために、CM Labs のチームはプラグインを開発して、忠実度の高い強力なデータを Vortex Studio から取得して、ブループリントを入口として Unreal Engine に取り込むことができるようにしました。これで、ゲームプレイ、グラフィックス、VR に関する Unreal Engine の機能すべてを Vortex Studio の機械工学的ワークフローと結び付けることができるようになりました。CM Labs は、テクノロジーをリンクさせて、それぞれの長所を活用するソリューションを提供しています。「エンジニアリング主導のワークフローを完全に置き換えたかったわけではなく、Unreal のすばらしいワークフローにアクセスして、2 つの世界のいいところを組み合わせたいと考えていたのです」と Free 氏は述べています。
Vortex Studio で確立されたワークフローを利用すると、機械のエンジニアは忠実度の高い機械のシミュレーションを開発できます。また、Vortex Studio は、ほかのシミュレーション エンジンや関連するハードウェアと連携するために欠かせない構成要素を提供します。具体的には HILS や、 ハードウェア、ソフトウェア、コンソール、データベースを接続するネットワーキング フレームワークを提供しています。CM Labs は、Unreal Engine のゲームプレイ ワークフローとビジュアライゼーション ワークフローと結びつくことによって、最高レベルのツールとなり、シミュレーション ソリューションの開発、および、VR 向け/従来型のディスプレイ向けの実装を支援しています。
このように、市場をリードするツールを組み合わせることによって、CM Labs は、その顧客にとっての最優先事項の 1 つに対応することができます。Free 氏は次のように述べています。「エンジニアリング、あるいはトレーニングの市場に目を向けると、ユーザーが望んでいることは、最高レベルのソリューションを開発するために必要な最高レベルのツールを組み合わせることです。Vortex Studio はそのような連携を容易にします」
連携の対象となるツールには、制御システムをシミュレートするための MathWorks Simulink のような 1D ツール、OEM ジョイスティックのような物理的なコントロール、UDP のようなネットワーク プロトコルなどがあります。「連携できるということこそ Vortex Studio が多くの価値をもたらす分野です。Vortex Studio を使えば、すべてをつなぎ合わせて、デスクトップでシミュレーションを開発したり、物理シミュレーターにデプロイしたりすることが簡単になります」と Free 氏は述べています。
NATO 向けに次世代の車輌評価シミュレーターを開発
Vortex Studio の忠実度とリアリズムは、著名な組織からも注目を集めています。CM Labs は、NATO のプログラムである Next Generation NATO Reference Mobility Model (NG-NRMM) に協力しています。このプログラムの目的は、多様な地形における軍用車輌の機動性を評価する際に使用できる次世代型シミュレーション ツールを見出すことです。「これは極めて重要なプログラムです。車輌がうまく移動できなければ、任務の遂行に支障が生じ、人命が損なわれる可能性があります。NATO は実際に車輌を用意して、標準的なテストを実施し、データを収集して、車輌のシミュレーションと比較しました」と Free 氏は述べています。
Vortex Studio を含めて、6 社ほどのベンダーのツールがテストされ、車輌の性能と機動性を評価するうえでの有効性が調査されました。「ほかのツールはどれも、1 分間か 2 分間分のシミュレーション データを計算するのに数時間かかりましたが、Vortex Studio ではすべてをリアルタイムでシミュレーションできました。そして、リアルタイムでありながら、NATO のテスト データとの一致率においても 1 位~2 位となりました。インタラクティブでリアルタイムであるということは、私たちの強みです。Unreal のようなビジュアル エンジンと論理的な接続を図ることによってイマーシブなシミュレーションを制作しているのも、この強みが得られるからなのです」
オープンで拡張性のあるコネクション エンジンの連携の作成
CM Labs は、今後数か月のうちに、Vortex Studio を Unreal Engine と連携させるプラグインを Unreal Engine マーケットプレイスで無料公開する予定です。また、そのソース コードも公開されます。これは Unreal Engine のオープンな哲学に合った考え方です。「このプラグインは、Vortex Studio をほかのエンジンと連携させる場合の好例になっています。プラグインはオープン ソースとして公開されます。ですから、ソフトウェア エンジニアリングのスキルがある人なら拡張することもできます」と Free 氏は述べています。
興味をお持ちになった方は、ソース コードとプラグインがダウンロードできるようになった時に通知を受けるように登録していただけます。Vortex Studio を Unreal Engine と連携させるには、このプラグインと Vortex Studio (2019c 以降) の有効なライセンスが必要です。
Unreal Engine がご自身の業界のシミュレーション トレーニングにどう役立つか関心をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。