Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe

Adobe Substance 3D と Unreal Engine を使った自動車のデザイン改革

2022年3月28日
2018 年に、Substance 3D Painter と Substance 3D Designer で知られる Substance 3D が車をデザインすることになりました。ただし、その車がニュルブルクリンクのサーキットを走行することはありません。なぜなら、それは 3D デジタル モデルとしてのみ存在するからです。その車は、すぐに使える 700 超のマテリアルを含む Substance 3D の 5 つのメジャー リリースを中心とする、自動車デザイン分野への参入を推進するために作成されたものでした。アーティストは、プロかアマチュアかを問わず、クロムからビニールやゴムまで自動車用ビルディング アセットを自由に選ぶだけで、新タイプのデジタル プロトタイプを組み立てられるようになりました。

その X-TAON モデルが、Unreal Engine により、今度は新しいスタイル、新しいリアルタイム パイプラインを伴って生まれ変わりました。
 

X-TAON と、Substance 3D の自動車コレクションの初期リリース時にはコンテストが開催されました。プロかアマチュアかを問わず X-TAON のオリジナル デザインが募集され、一風変わったものから最新式の改造仕様まで、多岐にわたる作品が集まりました。受賞者の一人、環境アーティストの Ronan Mahon 氏は、審査員の高い評価を受け、X-TAON の再リリースの際に Substance 3D のチームに迎え入れられました。そのときに彼が持ち込んだのが Unreal Engine です。

2 周目

Mahon 氏は、Free Radical Design、Rebellion Developments、Rocksteady Studios などのゲーム スタジオで、Substance 3D ツールを使ったテクスチャ処理に慣れていました。そもそも Substance はゲーム開発ツールとして生まれ、その後、数々の業種に拡大していったものです。しかし、Mahon 氏が X-TAON の新スタイルの作成に適任と見なされた理由の一部は、Unreal Engine の経験にありました。たとえば、Batman: Arkham シリーズで何年かにわたり Unreal Engine 3 の修正版を使い、最近ではリリース間近の AAA 作品 Suicide Squad: Kill the Justice League などで Unreal Engine 4 を使用していました。

Mahon 氏は、Unreal Engine 用に独自のアプリまで作成しました。それはユーザーが Unreal Editor のビューポートでデカールや特定のマテリアルを直接作成できるようにするものです。この「Decal Designer」は公開中で、最近 Epic のスタッフによって選ばれ、Unreal Engine マーケットプレイスのショーケースでも紹介されました。

Mahon 氏は次のように述べています。「Unreal Engine と Substance 3D は強力な組み合わせであり、ここにリアルタイム レイ トレーシングを投入すれば、本当に魔法のような感覚になります」

新しい X-TAON の外観は、Mahon 氏と、Adobe Substance 3D の従業員 2 人の共同作業でした。カラー マテリアルと仕上げのデザイナー Anaïs Lamellière 氏と、3D コンテンツの責任者であり、X-TAON プロジェクト発足時のオリジナル メンバーである Nicolas Paulhac 氏です。この 3 人で、強調される金属の光沢から、タイヤのゴムの質感まで、車の外観のルックとテクスチャを決めました。その後、Mahon 氏がほとんど 1 人で内装に取り組み、2022 年向けに X-TAON のルックが一新されました。
「私たちはそれぞれ違う国で暮らし、実際に会ったことはありませんが、プロジェクトには現実世界での制作と同じように取り組んでいます」と Mahon 氏は言います。「3 人の間で、デザインとフィードバックのやり取りが何度も交わされました」

X-TAON は造形そのものが芸術作品と言っても過言ではありませんが、ほかの車と同様に、スピードを感じるデザインになっていました。そして、それを伝えるには、モデルに動きを加えることが最適な方法でした。そこで Mahon 氏は、ルックとテクスチャが完了してから Unreal Engine で X-TAON の動画を作り始めました。背景はリアルになっていて、車が走り出すところが映し出されています。
Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe

静的なデザインに動きを加える

Mahon 氏は、X-TAON の全体的なルックが確立されてから、Substance in Unreal プラグインと、Substance 3D Assets ライブラリのマテリアル (Substance 3D Designer で作成) を使い、背景環境の作成を始めました。このとき、Substance マテリアル グラフのプロシージャル パラメーターは、Unreal Editor で直接、編集、調整できました。

動画の中心は X-TAON ですが、背景も質のレベルが一致しなければ、車ではなく背景に目がいってしまいます。Mahon 氏は、柱のブロック数から、コンクリートの傷み具合、ライトの下の色が適切かどうかまで、あらゆることに細心の注意を払いました。その後は、仮想カメラの動きに集中し、Unreal Engine 内でルックや解像度を直接調整しました。
Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe
この車のために広大なセットを組む時間がないことはわかっていたため、Mahon 氏は「ネオンが灯るトンネルや、深夜の街中を高速で走る雰囲気」を車に反映させることを Lamellière 氏と Paulhac 氏に提案しました。それが、矩形ライトに Media Texture の再生を使用することにつながりました。その際には Adobe Stock の動画を PNG に変換しました。
Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe
反射は動きの感覚を伝えるためにも重要でした。そこで、レイトレーシングによる反射、GI、AO を使ってフォームに光沢をつけました。印象的なルックが求められる展示用の車にとって、独特なスタイルのカーブへの反射は極めて重要でした。このことが、レイ トレーシングの使用を後押ししました。特に、NVIDIA RTX 3090 GPU を活用した、レイ トレーシングによる反射、つまりシャドウ、グローバル イルミネーション、透過性です。
Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe
その後、すべてがまとめられ、Unreal Engine のシーケンサーを使って撮影されました。音楽を加えて編集され、プロジェクト全体がムービー レンダー キューでレンダリングされました。

リアルな問題、リアルタイムの解決策

Substance 3D Painter は、イテレーションを通じた制作を意図して設計されています。車、環境、ファブリックなどのために Substance 3D Assets ライブラリに用意された数千に及ぶマテリアルは、いろいろ試すことを想定しています。しかし、動画では、新たな調整を加えると、理論上はレンダリングに数時間、場合によっては数日かかるため、試すことは現実的な選択肢になりませんでした。そこで Unreal Engine の出番です。
Mahon 氏は次のように述べています。「私は 1 人でやっているスタジオなので、大規模レンダー ファームのオフライン レンダリングが終わるまで待ったり、ビューポートが最終出力と一致しないため、最終的なレンダリングがどうなるか想像したりする時間の余裕はありません。時間は待つことではなく制作することに使う必要があります」

X-TAON の動画制作では、簡単に変更できることが不可欠でした。制作サイクルの後半に入り、動画の完成が近づいた頃、チームは X-TAON のテーマがしっくり来ないと感じました。完成間近だった動画に大規模な変更が必要になる可能性がありましたが、パイプラインはまさにこのような変更を念頭に構築されていました。Lamellière 氏が新しいテーマに合わせてマテリアルを調整し、それを Mahon 氏に送り、Mahon 氏がそれを Substance 3D Painter に直接追加しました。

Mahon 氏はその後、オーサリングの段階とテクスチャ処理に戻り、自動再インポート機能を使用することで、結果が Unreal Engine にリアルタイムで反映される様子を確認できました。これにより Mahon 氏は、車のデザインがまだ変化しているときに、複数回の再レンダリングについて心配することなく、動画の全体的なルックに続けて取り組むことができました。Unreal Engine が備えるリアルタイム機能を使用することで、何週間も待つ必要なく簡単に変更を加えることができました。

「クリエイティブな仕事をしている人ならほとんどが、このようなプロジェクトが A から B から C という直線的な経過をたどることはまずないと言うでしょう」と Mahon 氏は言います。「パイプラインの先頭まで戻り、更新や改善を行いながら作業を進めることができる柔軟性が必要です。この Substance 3D から Unreal Engine へのパイプラインは、高い柔軟性とフィードバックを実現します」
Artwork by Ronan Mahon | Courtesy of Adobe

新しいソリューションからの新しいソリューション

自動車のデザインに関わるこのようなプロジェクトの場合、動画に対してリアルタイムでイテレーションを行うことができるメリットを過小評価することはできません。自動車分野のデザイナーは物理モデルを作成する必要がなくなります。数千規模のアセットのライブラリからマテリアルのタイプを選択し、それを必要に応じて Adobe Substance 3D を使って簡単に編集、調整できます。

これは、カラー、マテリアル、仕上げ (CMF) のデザイナーにとって特に有効です。こうしたデザイナーたちは、デジタル ムード ボードや、カラーとトリムのレビューにこのワークフローを適用し、リアルな結果をこれまでにないスピードで実現しています。これに、バーチャル プロダクション、ゲーム開発、仮想現実などを可能にするプラットフォーム、Unreal Engine の汎用性を加えれば、デザイン チームはコンセプトをあらゆる方向に発展させるために必要なものすべてを手に入れることができます。

Substance 3D の自動車用マテリアル ライブラリには現時点で 900 を超えるマテリアルがあります。ライブラリは現在、Substance 3D の全ユーザーに公開されています。Substance 3D in Unreal プラグインもダウンロード可能です。

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