2019年11月11日
60 fps のリアルタイム テクノロジーでブルース スプリングスティーンのリリック ビデオを制作
Ingenuity Studios はハリウッドに本社を置き、ニューヨークとバンクーバーにオフィスを構えています。CG、アニメーション、3D 映像、編集、カラーリング、フィニッシングなど、視覚効果に関するサービスを全体的に提供しています。Ingenuity Studios は、幅広い業務に対応するために、パイプラインの限界を拡げ続ける必要があります。「それが Unreal Engine を使うようになった理由の一つです。Unreal Engine には、さまざまなことが実現できる幅広いツールが用意されています」と Wilson 氏は述べています。
最近制作したブルース・スプリングスティーンの『Hello Sunshine』のためのリリック ビデオでは、UE4 のツールセットを利用して高度なリアリズムを実現し、クライアントに感銘を与えました。
リリック ビデオとは、曲の再生に合わせて歌詞を表示することに重点を置いたミュージック ビデオです。レーベルがアーティストのコンテンツを増やす手段として人気が高まりつつあります。元々は初期の YouTube に見られたもので、当初は単に、楽曲の再生中、アルバムのカバー画像を背景に、歌詞をオーバーレイして表示するだけのものでした。ファンが作った DIY ビデオから発展して、レコード会社がもっと格好のいいものを作るようになり、プロダクション バリューもそれに応じて向上しています。
夢の中のようなハイウェイと乾いた印象を与える景観を舞台にしたブルース・スプリングスティーンの『Hello Sunshine』のリリック ビデオは、現実の世界で本物のカメラを使って制作したような質感の映像になっています。Ingenuity Studios のパートナー兼 VFX スーパーバイザー、Grant Miller 氏は次のように述べています。「クライアントが望んでいたのは、車が砂漠を走るシュールな映像でした。また、ストック素材は使いたくなくて、はっきりとしたスタイルのあるものにしたい、という希望がありました」

時間と予算の両方が問題になる、とわかっていたので、CG で環境全体を構築するのではなく、Unreal Engine マーケットプレイスとアセット ライブラリを活用することにしました。デザインおよびアニメーション担当ディレクター、Alex Popkin 氏は次のように述べています。「そのおかげで、コストをごくわずかに抑えて制作できました。マーケットプレイスはとても有用なものだと思います。選べるものも多数あるので、非常に驚きました」


Ingenuity Studios は、クライアントのためにプレゼンテーションをまとめて、Unreal でのレンダリング結果をいくつか送りました。すると、クライアントはストック素材がまだ使われていることに懸念を示しました。「そのため、『これがシーンの全体像ですよ』とか『作ってきたデモは、実のところ、まだ簡単な砂漠のシーンにすぎず、車も無限ループする道を走っているにすぎませんよ』と説明する必要がありました」と Miler 氏は述べています。

「本物の車で本物のカメラを使って撮影したような映像ができ、レンダーパワーは必要なく、2 人のチームでやっていくことができました。このプロジェクトを 2 週間で完了できたのですからワクワクしてきますね」と Popkin 氏は述べています。

Miler 氏はリアルタイム テクノロジーの熱烈な支持者であり、リアルタイム テクノロジーが VFX 業界に大きな変化をもたらし、特にアーティストの満足度が大きく向上するだろうと予測しています。「3D アーティストに Unreal を使い始めてもらうと、半日ほどで美しい映像を作り出せるようになります。また、表情はとてもにこやかになります。なぜなら 60 fps でレンダリングできるからです」
Miller 氏は次のように述べています。「VFX 業界への Unreal やリアルタイム テクノロジー全般の影響は、とても大きなものになるでしょう。CG が出始めたころと同じくらい大きな影響力をもつことでしょう。私たちの仕事はポスト プロダクションからプリ プロダクションへと移行することになるでしょう。リアルタイム テクノロジーを使えば、従来の VFX パイプラインでは考えられないようなペースで工程を運用し、実験を行い、作業を進めることができるからです」
Unreal Engine マーケットプレイスでは大量のアセットが提供されていて、その一部は無料でご利用いただけます。Unreal Engine をダウンロードして、今すぐお試しください。