Andy Serkis 氏は、パフォーマンスキャプチャの第一人者です。ハリウッドとインタラクティブ エンターテイメントの 2 つの分野でこの活動を進めてきました。そして、Serkis 氏の最新プロジェクト 『Planet of the Apes:Last Frontier』 で、この 2 つの分野が遂にひとつになりました。インディー デベロッパー The Imaginati Studios が開発、Serkis 氏率いる Imaginarium が発行を担当、FoxNext Games からライセンスを受け、人も猿も新しい配役となって全世界に披露されました。
現在 Playlink に対応した PlayStation 4 で利用できますが、Xbox One および PC にも対応予定です。最大 4 人のプレイヤーがホモサピエンス (人) と勢力を増していく霊長類 (猿) の両方をプレイする構成になっています。本作でデベロッパーが重視したのは、オープン ワールド アクション ゲームプレイではなく、プレイヤーが道徳的な決定を瞬時に迫られるストーリー展開でした。
映画最新 3 作品の全世界興業収入は 1 億 6 千万ドルを突破、批評家と観客から称賛を集めましたが、そこで使われた最先端のパフォーマンス キャプチャにより、ゲームの猿に生命が吹き込まれました。このインタラクティブ エンターテイメントの中心的役割を担ったのがアンリアル エンジン 4 です。
「アンリアルとパフォーマンス キャプチャ技術を組み合わせると、ここまで繊細でニュアンスのあるパフォーマンスを引き出すことができるのです」と Serkis は語ります。「キャラクターの細部だけでなく感情もよく表現されますし、毛皮のテクスチャリングは素晴らしいの一言です。すべてが驚きです。
中でも毛皮など、これまでビデオゲーム エンジンでは難しいとされてきたテクスチャの限界を突破しました。映画の中の美しいライティングのインタラクションを、そのままゲームで実現することができました。」
Sirkis 氏は数年にわたり、Ninja Theory の Heavenly Sword および Enslaved:Odyssey of the West (UE4 採用) を始めとする数多くのビデオゲーム作品を手がけてきました。ビジネスに求められる創造性にも長けており、アンリアル技術がこの 10 年間で遂げた「驚くべき」進化を目の当たりにしてきました。
「独創的かつ観客に受け入れられるマテリアルを作成できるのです」と Serkis 氏。「The Imaginarium では、とにかくアンリアルを使って完成版のコンテンツを作成するようにしましたが、これまたパフォーマンス キャプチャとの相性が抜群でした。とにかく優秀の一言に尽きますが、特に仮想現実作品の制作用ツールは素晴らしい。世界のトップレベルであり、レンダリング パワーは映画の完成版さながらです。アンリアルのずば抜けた機能をは、爽快に、ワクワクして使えるんです。しかも直観的です。」
「アンリアルを使うのが大好きです。監督として素晴らしいツールだと思います。その名の通りにドラッグ アンド ドロップができるので、非常にクリエイティブなインタラクティブ ラインティングが出来ますし、キャラクター達も見事な出来栄えでした。高速で並はずれた機能を備えた直観的なエンジンだからこそキャラクターの周りに作り出してくことが可能ですし、とても面白いものを瞬間的に思いつくこともあります。」
The Imaginati Studios の創設者でオーナーでもある Martin Alltimes 氏は、長年 Disney Interactive Studios で経験を積みました。彼は「アンリアル エンジン 4 なしでは自分ののチームは 『Last Frontier』 を作り上げることはできなかっただろう」と話しています。
「私がビデオ ゲーム開発を始めた頃は、トップ プログラマー集団が作った社内技術のみでした。単にゲームをビルドするツールを作るだけなのにゲーム開発工数の半分を割いていました」と Altimes 氏は話します。
「The Imaginati Studios は創設して 2 年も経っていませんが、初日から全員が非常に効率よく作業しています。アンリアルのツールの成熟度が非常に高く、組み込まれている素晴らしい技術によってトップレベルさながらのビデオゲームをわずか 1/10 の予算でつくることができるためです。これもすべてアンリアル エンジンの高い成熟度のお陰です。」
Alltimes 氏によると、大手のビッグタイトルにはプログラマー集団が存在しますが、『Last Frontier』 のプログラマーはわずか数名だったそうです。
「我々が実現したゲームのグラフィックスと視覚的忠実度を見れば、世に出回っている最高品質のゲームに匹敵することが分かります」と Altimes 氏は付け加えます。
ゲーム版 『Planet of the Apes』 では、Serkis 氏の経験から多くのアイデアを取り入れてパフォーマンス キャプチャを新たな局面に押し上げました。一方、ゲーム エンジンがタイトルに生命を吹き込むことによってハリウッドの映画監督はリニアな物語が伝えやすくなりました。
「仮想現実の制作は映画制作プロセスでますます重要になり、アンリアルはまさに中心的存在です」と Serkis 氏は説明します。「『Rogue One』 では、アンリアル エンジン 4 でレンダリングされたショットが完成版に使用されています。これぞ技術が意外な方向に向かっているという兆候です。実は The Imaginarium ではアンリアルを使って、自社スタジオで独自映画を制作しているんです。なので、この兆候にとてもワクワクしています。
「アンリアル エンジンを使って、スクリーンいっぱいに映し出す映画をまるまる 1 本制作できれば、ポストプロダクションの費用も大幅に削減できます。さらに自発性も促されますし、映画の主題と俳優の直観的な関係性も維持できるので、考えるだけでワクワクしてきます。ポストプロダクションが何ヶ月もの長丁場になると疲弊してしまいますが、美的感覚も含めて必要なものはすべて部屋の中にそろっているので、やる気と活気が維持できるのです。」
「仮想現実映画制作はかなり注目されています。事実、ハリウッドではビデオゲーム技術を映画制作ツールとして考え始めている人が増えています」と説明してくれた Serkis 氏はこう締めくくりました。「その意味で、とても達成感があります。」
『猿の惑星』のファンのみなさん、Serkis 氏によると、映画でもビデオゲームでも、物語はまだまだ展開が期待できそうです。