2016.8.17

Virtual Empathy - FATED:The Silent Oath が VR でより感情的な旅路に

作成 Brian Rowe

アナログ スティックからモーション コントロールまで、新しいビデオゲーム インタラクションを使い始めてしばらくの間は、当然珍しいものに遭遇した気分になります。VR の場合も同様で、最初のプロジェクトでは衝撃と畏敬の念を感じます。

Frima Studio はスペクタクルを超える可能性を VR に見出しました。そして登場したのが FATED:The Silent Oath です。現在 Oculus RiftHTC Vive で利用でき、まもなく PlayStation VR にも対応する予定です。

FATED:The Silent Oath はナラティブ アドベンチャー設定で、バイキング神話に基づいた勇気ある男性の情熱的な物語です。夫また父として、巨人による破壊行為から家族を救うため、普通では考えられない冒険を繰り広げます。

Executive Producer の Vincent Martel 氏、プログラマーの Marc-André Girard 氏に、VR を初めた動機、また VR から得た教訓についてお話を聞きました。

FATED:The Silent Oath のきっかけは何でしたか?なぜ VR ゲームにしようとしたのでしょうか。

Vincent Martel (VM):2 年前に Oculus DK1 のローラーコースターのデモで初めて VR と出会いました。乗っている間立っていることができなかったので、周りの人達に大笑いされました。

この衝撃的な体験を数ヶ月間忘れることができなかったので、これは新しい戦略だと思いました。デモの後数時間は VR 酔いが収まりませんでしたが、それでも考えが変わることはありませんでした。

2 回目の VR 挑戦までには、もちろん数週間必要でしたが、ものすごく楽しかったのです。

2 度目の体験も DK1 だったので、私はまた笑いの対象になりました。ただし理由は異なりました。

それはホラーデモだったのですが、そこまで怖くはないはずなのに、私の怖がり度は異常でした。ゲームの中だと理解しているのに、怖くて一歩も動けず、ヘッドセットを外さなければならなかったのです。

この体験で VR に対する考えがガラリと変わりました。その瞬間から、VR が物語の進め方を変え、ゲームの購買者の心をつかむことができると思いました。VR でいこう、そう思いました。物語性と感情を全面に押し出した、意味ある体験をつくる必要がありました。

FATED は「ゲームプレイよりも感情」に重点を置いているといわれています。詳しく説明して頂けますか?

VM:FATED にはゲームプレイ メカニクスがほとんどいないので、体験中に感じる物語性と感情に重点を置きます。VR のホラーゲームをプレイ中に完全に怖がっている人々の動画を見て、VR というのは感情反応をトリガーする場合、非常にパワフルなツールだと確信しました。ただ、VR は人を怖がせるだけなら簡単にできます。単純に飛び上がって驚かしたりすればよいのです。でも、FATED は幸福、共感、悲しみといった、もっと複雑な感情を目指しました。当初は、ヘッドセットをつけたまま泣けるような作品が目標でした。マスクの中に涙がたまるので「The Reverse Scuba-Diving Effect」と名付けたくらいです。

そして「言うは易く行うは難し」ということをすぐに悟りました。VR では、控えめだったり、テンポがずれたり、不自然に感じると、真実味がなくなってしまいます。そうなってしまうと、求めている感情反応も得にくくなります。だからといって、反応ばかりを気にするのも嫌でした。プレイテストを繰り返して、スクリプトで行ったイタレーションは数知れず。「実際のプレイヤー」が泣いてしまったことをコメントやレビューで読んで初めて、それらがすべて意味をなしたと実感しました。

FATED に登場するキャラクター達は、感情的な面持ちで旅をしているように見えます。FATED の物語と設定、VR という媒体の利用方法についてお聞かせください。

VM:FATED:Silent Oath は、バイキング時代の神話に基づいたファーストパーソン アドベンチャーです。ラグナロクにおける、ある男と彼の家族の話です。旅に出ると、感動したり恐怖のイベントが混ざって起こり、自分と家族への理解を深め、プレイヤーを感情のローラーコースターに誘います。

VR での物語づくりは簡単ではありませんが、あたかも自分のことのように、自分が実際そこにいるかのような物語を体験することは非常にパワフルです。私にとって、それが新しくユニークな媒体としての VR の定義です。

このプロジェクトにアンリアル エンジン 4 を選んだ理由は?

VM:過去にアンリアル エンジンで数々のゲームを作成して、いつも大変満足していました。我々はかなり大きいスタジオで、常に複数のプロジェクトが進行しているので、アンリアル エンジンだけを使っているわけではありません。ただし、FATED の場合、エピックが完全に VR を支援し、必要なリソースを全面に押し出して、新たな技術と利用するデベロッパー達をサポートしてくれました。ソースコードにアクセスできるので、新規のプラットフォームを作る場合に便利です。

予想以上に便利だった機能はありますか?どのように役立ちましたか?

Marc-André Girard (MAG):ブループリントが FATED を作り出したといっても過言ではありません。最初は、ブループリントの使い過ぎでぐちゃぐちゃになってしまいました。そこで初めて、ブループリントをいつ使うべきかを理解しはじめました。イベントとフロー管理に関係していることは、すべてブループリントに任せてしまうのが最善の方法でした。長所を活用するために、ボイスオーバー、フェイシャル アニメーションなどを処理するダイアログ関数を C++ で作成しました。それをブループリントに公開して、ゲーム全体に拡張して使いました。これらのノードを使うと、カスタム仕様のアニメーションのあるダイアログをチェーン処理すると、C++ で有効な制御はそのままにでき、我々やデザイナーにとって非常に使いやすくなります。

Spline コンポーネントも拡張して使用しました。既存の機能にさらにいくつか機能を追加しました。Spline は戦車レース セクションのような面白いゲームが非常に簡単に作成できるようになりました。Spline を使って NPC 移動をたくさん行って、より自然に見えるようにしました。

Swarm も素晴らしいです。1 台の端末で作業をし続けていたら、恐らく今でもライトをベイクしていると思います。

FATED の開発ブログには、ヒントとチュートリアルがたくさん含まれています。アンリアル エンジン 4 に初めて挑戦する人が役立つアドバイスをお願いします。

MAG:アンリアルは非常にとっかかりやすいツールです。アンリアル エンジンのランチャーを開いて、[Learn] セクションを開きます。プログラマー、アーティスト、レベル デザイナー、あるいはアンリアル エンジンに興味のある人すべてにとって、アンリアル エンジン 4 のコツが分かる素晴らしいチュートリアルにつながります。アンリアルのすべてを理解しようと思わないでください。アンリアル エンジン 4 には素晴らしい機能が備わっていますが、それらに手を出す前に、自分は何をすべきか知るためにも、小さな事の習得に集中してみましょう。いくつかチュートリアルが終わったら、エピックが提供している作業用プロジェクトをいじってみると良いでしょう。プロジェクトを変更して、違うものに変えてみましょう。思い通りに変更することができたら、次はいよいよ自分のプロジェクトを作ります!おっと、ブログの途中でしたね!パフォーマンス、ローカリゼーション、メモリ管理など、ためになるヒントと情報が一杯です!

FATED は Frima 初の VR プロジェクトです。これから VR を始めようとしているスタジオが参考になるような教訓はありますか?

VM:プラットフォームでも苦労しましたし、ジャンルに関係した問題もありました。まず最初に、新しい媒体に対して、制約と可能性を理解しなければなりませんでした。パフォーマンスは、制作全体を通して常に気をつけなければなりません。コンテンツは申し分ないのに、パフォーマンスが今ひとつのプロジェクトが多いです。90 FPS で実行するためにプロジェクトの終わりを切りたくはありません。

ただ、多くの場合、物語を 360 度に展開しようとして、問題が発生してます。カメラを制御できないととても難しいです。プレイヤーがナラティブに従って狙っているものを見てくれるように、プレイヤーを引き付ける方法を見つける必要があります。解決方法としては、プレイヤーが見ている時のみイベントをトリガーする、あるいはスローモーションを使ってプレイヤーが当たりを見回して何が起きているかを把握する時間を与える、などです。

オーディオ分の工数もかなり甘く見積もっていました。VR ではすべてを背景に散らして配置する必要があります。ステレオから鳥のさえずりは出せないので、各サウンドを別々に配置しておかないと、存在感を台無しにしてしまいます。

VR の開発をする場合、新規プラットフォームというよりは新規媒体のようにアプローチする必要があります。テキストブックの裏技はもはや通用せず、新しいことをたくさん学ばなければなりません。大変ですが、ここから仮想現実が生まれるのだと思うとわくわくします。

いう間でもなく、本当にイマーシブなワールドと真実味のあるインタラクションの作成は VR では特に重要です。どのようなテクニックがこれらの目標を FATED で達成するために役立ちましたか?

VM:プリプロダクション中に数々のアートの方向性を発見しましたが、漫画的なアートスタイルがパフォーマンスとキャラクターと感情的につなげる能力の両方に対して正しい選択だということが証明されました。仮想現実で超現実的なキャラクターは気味が悪く、感情移入が難しいことがほとんどです。

スタイライズド アートスタイルを使うことで、Northern wilderness の影響を深く受けつつも、独特に味わいを持った背景を作ることができました。最低限かつカラフルなアプローチでパフォーマンス全体が良くなったので、動的ライティング / シャドウとビジュアル FX を追加することができて、大満足です。VR に入ると、それはもう、素晴らしいです。

FATED は現在 Oculus と Vive で利用できます。まもなく Playstation VR にも対応予定です。この 3 種類のプラットフォーム用に開発中、苦労はありましたか?苦労があった場合、どのように克服したのでしょうか?

VM:いえ、それほどでもなかったです。この 3 種類のプラットフォーム向けに配信するという思いで私達はゼロからゲームを作成したので、プロセスを簡素化する決意をしていました。例えば、すべてのプラットフォームに共通した基準となるゲームパッドを使用しました。アンリアル エンジン 4 はゲーム制作にいろいろ役立ちました。エピックは、VR 開発と主要なプラットフォームすべてをサポートしてくれています。VR にコミットし、VR デベロッパーのためににエンジンを絶えず改良する姿勢に私達は安心感と信頼感を覚えます。

改善の余地があるとすれば、PC から PS4 へのオーディオのポートです。私達は PC 用に Two Big Ears のプラグインを使っているため、PS4 用の PSVR プラグインに切り替えなければならず、PS4 用のサウンドミックスをリドゥしなければなりませんでした。VR に適したクロス プラットフォームのオーディオ ソリューションは、今のところないと思います。

PAX East では、プレイヤーを馬車の御者席に座らせるという、記憶に強く残るようなデモを行いました。すべての物理コンポーネントの統合は難しかったですか?こういったライブ体験でまだ知られていない可能性があると思われますか?

VM:FRIMA の Connected Toys チームは小さいので、内部でこれを行うことは比較的簡単でした。カスタム仕様の Arduino ボードを作り、各種センサーを追加し、ゲームと通信する小さな API にすべて接続します。必要なのは、振動、風、霧をトリガーするイベントをデモで作成することだけでした。

PAX でのプレイヤーの反応を見ると、確実に市場があると感じました!以下の動画で実際のリアクションをご覧ください。


アンリアル エンジン コミュニティには参加されましたか?

MAG:正直に言いますと、コミュニティにはあまり参加しなかったんです。FATED の開発を始めた頃、アンリアル エンジン 4 も仮想現実も、かなり新しい状態でした。フォーラムと AnswerHub には、ほとんどリソースがありませんでした。あちらこちらで質問して、回答がくる場合もありましたが、結局は質問したよりも多く回答してもらえました。

そのコミュニティも今では大変大きくなり (2 万人越え、おめでとうございます!) フォーラムやその他のプラットフォームで大賑わいです。つい最近、ちょっとした質問をのせて、アンリアル エンジン デベロッパー仲間とチャットできるという便利な Slack channel (Unreal Slackers) を見つけたばかりです。

FATED の詳細が見れるサイトを教えてください。

MAG:www.fatedgame.comwww.fatedblog.com@Fatedgame でツィッターをフォローしてください。

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