2017.5.13

アンリアルが大活躍:サイバーパンク アクションゲーム Ruiner

作成 Stu Horvath

「サイバーパンク」という言葉を口にするたびに、いらっとします。

サイバーパンクという言葉が悪いわけではありません。 RUINER のテーマの多くは、堕落に導く娯楽、デジタル社会の奴隷、危険な仮想現実を仕掛けている巨大企業への疑惑です。 ネオン、ごみだらけの道、そして未来志向のアニメスタイルが若干加えられ、ゲームもテーマを裏切らない見た目になっています。

サイバーパンクという言葉は、何か関係するものがある状況であれば、気軽に、ともすれば安易に使うことができる表現なので、使うのに抵抗があるのかもしれません。サイバーパンクとは、一般的な近未来を表現するための言葉で、1984 年にウィリアム ギブスンによって作り出されました。その後に育った世代にとってはサイバーパンクは、そうなるはずと予測された未来からちょっと過去にずれてしまった、レトロな未来ということになります。

根底は同じとはいえ RUINER はサイバーパンクではありません。ゲームのトレイラーを見るとそれが分かります。むしろ RUINER は、サイバーパンクの亡骸を愛で、咀嚼して、馴染みがあるけど全く新しい形に変えたのです。それゆえ、近未来を象徴したゲームなのに、なぜかこれから起こることには感じられないのです。1984 年の時点でパンクが未来を表現しているとならば、 RUINER はまさに現在ということになります。

Reikon Games の共同創設者である Jakub Stylinski 氏および Magdalena Tomkowicz 氏、そして Creative Director である Benedykt Szneider 氏が RUINER について Unwinnable に語ってくれました。

ビデオヘッド ヘルメットがとても気に入りました。被っている本人ではなくて、その男を操作するハッカーの感情が表現されるんですよね。斬新です。よく思いつきましたね。

Jakub Stylinski 氏 (以下 J.S.): 最初は、主人公を怖く見せるためにマスクを被せてみたんです。

Magdalena Tomkowicz 氏 (以下 M.T.): そしてフェイシャル マッピングで、顔をプラスチックっぽくいじってみました。

Benedykt Szneider 氏 (以下 B.S.): ヘルメットを被らせた以上、それを使って何かしないといけなくなりましたが、逆にその方が楽しくなりました。あとは、私の Tumblr ストリームから、憂鬱な感情などのスニペットの gif を使いました。

J.S.: 憂鬱さを顔に投影した時に、主人公をハッカーが操作する乗り物にできるなと確信しました。トレイラーはそこから作成しました。最近ゲームにもそれを実装しました。

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RUINER を作るきっかけとなったゲームなどはありますか?少し Hotline Miami に似ている気がします。その他にもサイバーパンク常連の小道具もたくさん登場していますね。いろいろありますか?

J.S.: 参考にしたものを列挙し始めたらきりがありません。我々は、最終的な形を決めて RUINER を作ったわけではありません。このゲームプレイを見た多くの人は、Syndicate を思い出します。または、 Blade Runner と Hotline Miami を混ぜた Crusader でしょうか。特定のゲームではなく、これまで見たりプレイした中からいろいろ参考にさせてもらっています。

ゲームはトップダウンで、中でも ( The Raid のような) 格闘シーンの振りが気に入っています。ゲームを実装すると、敵から武器を奪ったり、敵の背後へジャンプしたりテレポートしたりと、ダッシュがたくさんありました。新しい機能ではないのに、なぜかとても面白いです。

M.T.: 我々の潜在意識はリファレンスで溢れています。それは文化とインタラクトすることで、生きている間ずっと積みあげられていきます。それが感覚というものだと思うんです。 Hotline Miami が出た時、興奮しました!過激で、興奮したり、急いだり、考え込んだり、このゲームは我々を様々な気持ちにさせてくれます。 Hotline Miami では、特定の状況と色とパッケージを全部まとめて、終わりのない過激なドラッグまみれのパーティのようになっています。

このような強い感情を生み出してプレイヤーに伝えることが、我々のインスピレーションです。

ゲームプレイにおいて、熱狂的なアクションとストーリー性のバランスはどのように決めましたか?なぜこのようなストーリー性のある面白いゲームができたのでしょうか?

M.T.: 非常に早い段階で、ゲームでのナラティブ ツールの使い方を検討したからかもしれません。私のお気に入りは Kane & Lynch です。Co-op モードでサイコパスの Lynch でプレイしていた時、ある場所でそこらじゅう警官だらけになったので私は彼らを銃で撃ち始めました。すると横で友達が「なんであの人達を撃つんだよ!」と言うので、すかさず「警官だからに決まってるだろ!」と言うと、彼は「よく見ろ、警官なんかじゃない」と。彼の画面を見ると、そこにいたのは市民でした。

多くの人はまずゲームプレイ、そして次にナラティブに集中します。私としては、その区別をせずにゲームそのものがストーリーになることが重要だと思っています。

B.S.:  Homefront:The Revolution やその他の Ubisoft ゲームは、ナラティブの部分がうるさすぎます。ゲームプレイ有りきで、それに合わせてストーリー要素をフィットさせるのです。そうすればゲームを邪魔せず自然にゲームを進めることができます。

M.T.: ストーリーを優先してゲームプレイを犠牲にするのか、あるいはその逆にするか、ゲームを作るためには両者を押したり引いたりして、どうにかして妥協点を見つける必要があります。我々にとって、ゲームはあくまでもゲームであり、ゲームのすべての側面はしっくり噛み合うべきなんです。一切の妥協は許されず、創造的なコミュニケーションとソリューションがあるのみです。背景が変われば、非常に強く結びついているゲームプレイとストーリーもすべて変わります。

そうすればストーリーに違和感はありません。無駄にナラティブ ポイントをつくると、プレイヤーに違和感を与えてしまうのです。

J.S.: 大切なのは流れです。

B.S.: 我々のような小規模チームは制約があるので、あの手この手で対処します。他のインディーゲームはよく分からないカットシーンを作っていましたが、それは必要ないと分かっていたので我々は割愛しました。

J.S.: リソースが限られているのに、ゲームとストーリーを派手に連携させて制作されたインディーゲームはたくさんあります。ただ、個人的に言うと、実際にプレイした時の流れを考慮せずに作られている感じがします。ずっと単調な流れで、あるポイントで面白いからくりが起こる。そしてそれで終わりです。

M.T.: パートナー候補の会社とこれについて話し合ったことがありました。「目玉の仕掛けは何ですか?ゲームの売りは何でしょうか?」と聞かれました。仕掛けも売りもありません。我々が作りたいのは、楽しめるゲームです。すると彼らは「匠の心ですね」と言うんです。匠の心とも違いますよね。何かを作る時、そのような区別はしません。仕掛けだの、売りだの、匠の心だの、それらはただの言葉です。

「仕掛け」や「匠」といった抽象的な表現は、ビジョンが欠乏していたり、マーケティングやゲーム分析後の後知恵で、都合よく使える曖昧な表現です。何かを作る時、目標やビジョンがしっかりしていれば、他の人もそれを理解または信頼したいと思うようになります。

物づくりはそういうものです。

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 RUINER がリリースされたら、手に取ったプレイヤーにどんな風に感じてもらえたら、デベロッパーとしての達成感を得られますか?

J.S.: ほとんどの人はこのゲームを終わらせることができません。精巧な Portal 版では、ゲームを終了したのはプレイヤーの 20% です。所要時間約 5 時間で、過去最高のレビュースコアもでました。

プレイヤーがこれなら惜しまずお金を出す。しばらくはまってプレイし続けてくれる。大汗かいて、罵声は飛ばすけれども、不公平だとは思わない。ゲーム中は周りの事を忘れてしまう。そしてゲームを終えた時、1 つでもいいので強烈な何かが記憶に残る。そんなゲームであってもらいたいです。

これまでたくさんのゲームをプレイしましたが、記憶に残っているゲームはおそらく 5% 足らずです。ほとんどのゲームは、終わった時はとても楽しかったと思いますが、特に心に残ったシーンがないのです。

B.S.: プレイヤーの頭にシーンを焼き付けるようなゲームにしたいですね。

J.S.: 記憶する価値があるほどのシーンを作りたいです。過去にプレイした中で鮮明に記憶しているゲームの 1 つは Dark Souls です。プレイ中、興奮のあまり本物の汗をかいた唯一のゲームです。真っ暗な地下墓地で、魔術師によってリスポーンされるスケルトンと戦います。我がゲーム人生の中での最高ともいえる体験の 1 つです。 Syndicate および Eye of the Beholder を初めてプレイした時も、これといい勝負ですね。この 30 秒の体験に匹敵する何かをゲームの 1 シーンで実現できたら、偉業です。

サイバーパンクという言葉を使うことをためらっていましたが、それについて詳しく説明して頂けますか?

B.S.: 我々は最初、その言葉を知りませんでした。我々の世代ではあまりに一般的だったので、わざわざ考えることもしませんでした。両親と同じように育っていますから。

M.T.: エルビス プレスリーとか?

J.S.: 我々のスマホは、ほとんどのサイバーパンクよりももっとサイバーパンクっぽいはずです。

M.T.: サイバーパンク ゲームは作りたくなかったのですが、自分達が一番興味があって一番反応が良かったアイデアが、その時点での技術開発と人類の状態に関係するものだったのです。世界中の奴隷を調査して分かったことは、誰もが技術に夢中になりすぎて、もはや奴隷について気にもしなくなっているということでした。同時に、人間性もまた大きな落とし穴です。我々はまだ人間でいることに問題点があります。

このゲームでは、ぼんやりとではありますが、いろいろなトピックを発見しています。これがバックグラウンドとなり、キャラクターを生み出すノイズになっています。キャラクターの視点で探索します。

未来は予測しません。すべての予測は過去のものです。我々にとってその瞬間に鮮明なテーマを即興で作ります。仮想現実、奴隷、人身売買、国民管理システム、企業と市民の関係などです。サイバーパンクはギブソンが持った当時の世界の印象なので、現在とはいえ非常にレトロです。

B.S.: 人間性は今後も変わりません。100 年後も我々はお互いを利用し合います。

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 RUINER の開発にアンリアルを使ったメリットは何でしょうか?

M.T.: シーケンサー [エンジン内カットシーンの作成ツール] が本当に素晴らしいです。最先端のツールです。実装されることを祈っていたので、実現して実は驚きました。非常にパワフルな新機能で、まさに鬼に金棒です。

J.S.: ブループリントも素晴らしいです。我々のチームにはプログラマーが 1 人しかいません。スクリプト処理やコード処理ができても、コーダーではありません。ところが、チーム全員がブループリントを使って作業できました。素晴らしい機能としか言いようがありません。

B.S.: もうちょっと付け加えてもいいですか?私はゲーム専門ではないので、ゲーム エンジンを使ったことがなかったのですが、動的に照らされた 3D の中にワールドを作った時からすぐにアクセスできます。非常に作業しやすいですが、アニメーションとポスト プロダクション環境については、1 年前はシーケンサーがなかったことを知って衝撃でした。

シーケンサーを使えて良かった、本当にグッドタイミングだったと感動しました。そしてマチネのお陰で、トレイラー作成も外注せずに済みました。

Unreal Dev Grant は RUINER にどのように影響しましたか?

J.S.: 追加のパソコンを購入したり、ワルシャワのゲーム開発スクールの学生をインターンとして雇うことが出来ました。

M.T.: 大型テレビも買いました。

J.S.: ゲーム開発では大型テレビがとても重要なコンポーネントなんです。我々は 15 名が同じ部屋で作業しているのでコミュニケーションは取れています。ただ、みんなで集まって一緒にゲームをプレイして確認するまで、背景とゲームプレイについての話し合いができないのです。1 台のパソコンを 15 人で見るのは無理ですから。大型テレビを使ってみんなでゲームをじっくり確認できるようになりました。

B.S.: ゲームにしてみて、変な現象が現れたりしますし。

J.S.: 我々はイタレーションが大好きです。

B.S.: 大型テレビは救世主でした。 RUINER の開発スケジュールはちょっと杜撰でしたから。

J.S.: そもそも我々のゲーム開発のアプローチは結構ひどいですよね。

B.S.: 無駄がありすぎ。

J.S.: 確かに賢いやり方とは言えません。本当に良くなるまでひたすらイタレーションして、できるだけ近道をしない方法です。CD Projekt からのやり方です。リソースも限られている 18 人の小さなインディー デベロッパーですが、イタレーションという手法で、自分達が提供できる最高の仕上がりを目指しています。手間暇かかりますが、それは必ず、トレイラー、gif、細かい部分を始め、作品に現れます。見た人に必ず伝わります。

M.T.: 制作者のゲームに対する愛情もね。

編集注記:この一連の記事シリーズはエピックのアンリアル エンジン 4 の寛大なスポンサーシップによって実現しました。毎月、Unreal Dev Grant (アンリアル デブグランツ、開発支援プログラム) の賞金受賞者を紹介します。エピックは我々にインタビュー対象を紹介してくれますが、最終版の記事へのフィードバックや、記事の承認には関っていません。

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