2015.10.29

映画製作にアンリアル エンジンを使用: Outlaws

作成 Stu Horvath

私が Wired のアンリアル エンジンの特集記事 で UE4 関係者にインタビューしたとき、デジタル ワールドをビルドし、実際に動作するのを見ることができるようにする「ベイク時間」にかなりの時間を費やしたとのことでした。プロジェクトの複雑さに応じて、こうしたベイク時間は数時間から数日かかることがあります。レンダー ファームを構成する数千の CPU で処理されるからです。非常に小さなエラーがいくつかあったらどうでしょう? 膨大な制作時間を無駄にしたことになります。

写真家がシーンを念入りにアレンジしたが、ビューファインダーや調整機能がないカメラを使って作業したようなものです。やみくもに写真を撮ってフィルムを現像に出すみたいなものです。現像されたものを見て初めて写真のピントが合っているか、ピンボケかがわかります。

エピック ゲームズでは、これを変えることに意欲を持っていました。UE4 の革新のひとつとしてリアルタイム レンダリングがあります。コード変更はただちに行うことができます。何か失敗したら、そこで立ち止まり、すぐに問題に対処することができます。ベイク時間もなく、レンダリング ファームも存在しません。見た通りの結果が得られます。

前述のように、ベイク時間は複雑さに応じて長くなります。多くのビデオ ゲームは非常に精巧であるため、『カールじいさんの空飛ぶ家 (原題: Up)』『ヒックとドラゴン (原題:How to Train Your Dragon)』のようなデジタル アニメーション化された映画では、非常に高い視覚的忠実度とそれに匹敵する驚くほど長いレンダリング時間が必要になります。こうした制作パイプラインからベイク時間がなくなれば、まさに革新的変化といえます。

これこそが、Jason Edwards 氏 と Greg Meeres-Young 氏が全編をアンリアル エンジン 4 で制作した長編 Sci-Fi アニメーション フィルム、『Outlaws』で成し遂げようとしたことなのです。

『Outlaws』について語る前に、ご自身の経歴について少しお聞かせいただけますか?

Greg:私は、現在まで 10 年以上にわたり VFX に携わってきました。主に、ハリウッドの超大作映画に関わってきました。最初は R&D 部門のコーディングの第一線のアーティストのツールやパイプラインからはじめて、ライティング部門に移りました。そこで、スクリーン上に表示される最終画像を制作したのです。現在は、ロンドンにある Double Negative でライティングとレンダリングの監督をしています。

Jason:私は、現在、ロンドンの Framestore に勤務しています。

英国のハリウッドとして知られる Borehamwood/Elstree で育ちました。幼少時代は映画製作が日常的に存在する家庭で過ごしました。祖父はカラータイマー (映画画面の色を最終調整する仕事) として、祖母はフィルム スプライサー (フィルムをつなぎ合わせる仕事) として祖父母は映画産業に従事していました。父は元々ロンドン郊外の Elstree にある MGM studios でドキュメンタリー映画の編集の仕事をしていました。その後、EMI Elstree Studios でサウンド エフェクトのレコーディングを担当するようになりました。

父は次のようなテレビ作品や有名な映画作品の製作に関わりました。例えば、『2001 年宇宙の旅』、 『サンダーバード』『キャプテン スカーレット』『UFO』、 007 シリーズの一部、『エイリアン』『ブレード ランナー』、ティム バートン監督の 『バットマン』など数多くの作品があります。特に、映画『スター・ウォーズ』が 1976 年に Elstree で作られ、父が関わっていたため、制作終了後に解体された X - ウィング ファイターを幸運にも見る機会がありました。いまだに、この時のことが私を映画業界に進むきっかけになったと信じています。あの映画を観て以来、バルサ材やプラスチックの断片からモデルをひたすら作りたくなりました。

『Outlaws』で見られるシップやエイリアンのテストは、オリジナルのスター・ウォーズ トリロジーを思い起こさせるものです。模型でしか気づかないようなディテールに重みを置くことに配慮しています。模型製作はあなたに大きな影響を及ぼしましたか?

Jason:私は 9 才頃に模型制作に夢中になりました。Airfix や Revell などのキットを使って作ったものです。『スター・ウォーズ エピソード 5 /帝国の逆襲』のセットで原寸大のミレニアム ファルコン (ファルコン号) を見て、その後すぐに『レイダース/失われたアーク 《聖櫃》』の魂の井戸 (Well of Souls) のセットを訪れると、何もかもが本格的に動きだしました。インスタマチックのカメラで宇宙船やプラスチック フィギュアを作り、スチルから映画を作るためにシーンの写真を撮り始めました。十代になる頃には、スーパー 8 ミリカメラを与えられ、友人達と短い戦争映画を作り始めました。カメラをいじって、映像を反転させて不気味なシーンを作ったりしました。

その後、アニメーションを少々学んで、Action Man や Six Million Dollar Man のようなおもちゃを用いてストップ モーション フィルム (コマ撮り) を作り始めました。スター・ウォーズの自作の 8 インチのスピーダー バイクを用いたストップ モーション フィルムもあります。バルサ材と銅管でまとめて庭を飛ぶようにしました。Return of the Jedi でステディカムを用いて行われたように、「通常」の映像とカメラに付けたバイクとを混ぜ合わせ、ガラスや折れた枝の周りでズームするフロント ビューを作りました。

監督役だったのでしょうか?それとも特殊効果担当ですか?または両方でしょうか?

Jason:私はいつもグループ内でストーリーボード (絵コンテ) を描き、やるべきことを用意していました。プロみたいにやりたかったんです!

スター・ウォーズのアートで Joe Johnston のボードや Ralph McQuarrie のイラストを見てインスピレーションを得ました。小さな 3D の矢印をカメラのパンやシーンの方向のために入れたりしました。模型製作と同じでした。モデルに関してはいつも ILM のLorne Peterson の著作を読んでいました。すべてのものに夢中になりました。私は小さなベッドルームにこもって何時間でもミニチュア模型を作って色塗りするようなタイプの人間なんです。

ミニチュア セットでスモークのようなものが必要だったら、沸騰するやかんを録画して絶えず煙が出るようにしたり、小さな爆発だったらデオドラント用品の缶にゴム管を取り付けて噴霧するでしょう。基本的に我々が作り、アニメートし破壊するものは何でもカメラの前に置きます。

思い起こすと私の部屋はあまり体に良い環境だったとは言えませんね。接着剤やペンキを使っていたので窓はいつも開けていましたけど。母は化学物質の危険性を心配していましたが、父は私が何をやっているのか良くわかっていたので放っておいてくれました。できあがったものはスーパー 8 mm ですごく見栄え良く見えました。私達にとってはですけどね。毎年クリスマスには、各映像が仕上がっているようにしてキャストとクルー全員でプレミア上映会を開いたものです。

そうした極めてアナログ的な少年時代の作業から 3D アニメーションの世界にどのように移行していったのですか?

Jason:実のところ、1996 年まで 3D は使いませんでした。

1994 年から Photoshop を使っていました。当時、戦前戦後の写真を復元する仕事をしていました。車のフェンダーの復元の仕事でトラブルを抱えていました。反射の問題があったためうまくいかなかったのです。Stratavision という無料の 3D ソフトウェアがあることを知っていました。そして必要なことを何とか学んだんです。フェンダーを作り、その上で空の反射をさせた画像をレンダリングし、ライトのノイズ フィルタリングを加えて写真に戻したらうまく行きました。

そのすぐ後から 3D 画像を目にするようになりました。そのひとつは、プレイステーション ゲームの『ワイプアウト』です。ホバリングするレーサーのある画像を見て 3D で何ができるかを確信しました。そこで仕事が終わった夜間に Stratavison 3D ソフトウェアをきちんと学びはじめました。同時期に Shepperton Studios にある Magic Camera Company に招かれ、映画『007 ゴールデンアイ』でデジタル エフェクトがどのように実現されたかを見る機会がありました。彼らは 3D グラフィック作成ソフトの Lightwave を使用していました。

1997 年には、基礎から 3D を学習することに没頭していました。『スター・ウォーズ』 がスペシャル エディションという形で再リリースされたばかりだったので、私のテンションも上がっていました。万人受けするものではありませんでしたが、身近なものであったので映画産業についに飛び込み、自分のプロジェクトを展開する動機付けになりました。

『Outlaws』はどのようなきっかけで始まったのですか?

Jason:『Outlaws』がいつから始まったかをピンポイントで示すとすれば、1997 年の後半だったと思います。「スター・ウォーズ」のスペシャル エディションを見た後に、物事が動き始めました。夏の間、長い退屈な二週間を過ごしていました。Kent の田舎の辺ぴな場所にある(不気味な雰囲気の) 築 200 年の古いコテージでスケッチブック片手に親戚の代わりに留守番をしていました。当時 Project X と呼んでいたプロジェクト向けにキャラクターやシチュエーションのデザインを始めました。ある意味イラついてもいました。こうしたものの構築には、たとえ見栄えが悪くても、最初はコンピュータを使いたかったからです。本腰を入れて取り掛かりたくて、うずうずしていました。

当初はグラフィック ノベルとして 『Outlaws』 の構想を練っていたんですよね。

Jason:1999 年に Graphic FX (後に Striker 3D と社名変更) という会社で働き始めました。ロンドンの有名なカナリーワーフ (Canary Wharf) にある会社です。3D コミック ストリップと英国の全国紙に対する広告を専門とする小さな会社です。当時、Lightwave と Poser を使用してキャラクターと背景を日常的に制作していました。

コミック ストリップの仕事を 1 年程続けた後、『Outlaws』 はグラフィック ノベルに向いていると確信しました。2004 年には、このプロジェクトは『OutlawsTales』として知られるようになり、2005 年頃に 『Outlaws』のチャプターを乗せた早期ウェブサイトをリリースしました。すべて美しい 3D で表現されています。

2006 年半ばに、プロジェクトの始まりに戻り、古いアート作品を廃棄して始めからやり直すことにしました。その時の目標は、一気に最初のチャプターの全アセットを構築し、適切にメインキャラクターを用意し、それ以外のものの標準を設定することでした。

2007 年 5 月に『Outlaws』は、グラフィック ノベルとしてインターネットに戻ってきました。確実に大きく、より良いものになりました。ウェブサイトを改訂し、読者がページを行ったり来たりできるようにして、コメントも残せるようにしました。すると、すぐに成功を収めました。何の宣伝もしないで世界中のオーディエンスから一か月で 70 万ものヒットを集めることがありました。オンラインでリリースするまで二週間あれば新しいページを作ることができて、同じオーディエンスが来てくれるだろうと考えました。本当に信じられないようなことでした。

こうした状況は 2010 年までしばらく続きましたが、仕事や他のプロジェクト、怪しげな出版のオファーなどによって『Outlaws』は活動休止状態になりました。

いつ 『Outlaws』 に戻ってきたんでしょう?また、どうして映画にしようと考えたんでしょうか?

Jason:それは 2014 年の夏のことです。その前年に一緒に仕事をした友人の Greg Meeres-Young からメールが届きました。Greg はニュージーランドの Weta Digital での仕事を終えて英国に戻ってきていました。我々はランチを共にして 1 年間分のたわいもない話をしました。

このランチの間、Greg がアンリアル エンジンについて話してくれたのです。アンリアルを何に使っているか、また VFX の分野に統合するとどんなに優れているかについてなどです。私にとってはワクワクする話でした。それまでアンリアル エンジンはいつもゲームに結び付けて考えていたんですが、Greg が私たちの仕事でどのように使えるかを教えてくれたからです。こうした話がそのうち 『Outlaws』 へとつながりました。

その後数週間というもの Greg は彼が作った 3D シーンを使ってアンリアル エンジンの威力を示してくれたのです。信じられないほど素晴らしく、ただただ圧倒されました。彼から見れば、私は間抜けに見えたことでしょう。「どうして大きなレンダリング エンジンの代わりに VFX にこれを使わないんだろう?」というような内容も含めて沢山の疑問がわいてきました。実際にアンリアル エンジンが動作しているのを目にしてからは他の物は何の意味も持たなくなりました。

その後、『Outlaws』 の世界に再び飛び込むのは非常に簡単でした。Greg と私は、アンリアルの技術を使って我々の初の映画を制作するために 『Outlaws』 と Nagapi Productions でパートナーを組みました。このプロジェクトは私たち二人が絶えず互いに支え合いながら非常に短期間で急速に展開していきました。これまでのところ、その成果はとてつもなく大きなものです。しかも、まだほんの始まりにすぎません。

『Outlaws』に関わっているチームはどれくらいの規模ですか?

Greg:現時点では Jason と自分だけという小さなチームです。複数部門にまたがる数百名という規模の通常の制作チームと比べたら、非常に小さなものです。初めのうちは小さいことはいいことです。技術的なアクシデントに出くわしても簡単に調整して対応できるからです。つまり、複数の肩書を持っているけど、二人とも VFX の別の分野を専門としているので、うまく調子を合わせられます。現在、プロジェクトのビルド フェーズが進んでいます。Jason がモデリングを行い、自分はそのアセットをアンリアルに取り込んでいます。

『Outlaws』について説明していただけますか?

Jason:『Outlaws』 は基本的に大規模な宇宙を舞台にしたウェスタンです。無法状態の銀河系を舞台にしています。様々な理由から警察が逃亡者を捕まえて賞金を受け取るバウンティ ハンター (bounty hunters) になります。もちろん壮大な人物経歴もありますが、時期がくるまで興味深々の方々にはまだ話さないでおきます。『Outlaws』はスティーブン キングの映画、『クリープショー (原題:Creepshow)』 のようなオムニバス形式の物語ですが、各物語が互いに絡み合い、キャラクター同士が途中で鉢合わせすることがあります。

現在、取り組んでいる 『Outlaws』 の部分では、女性のバウンティ ハンターに焦点をあてています。彼女は帰宅途中に、犯罪組織の親玉に乗っ取られた惑星から SOS を受信します。彼女はこの戦闘を解決すべく介入しますが、複数の悪人に出くわしてしまいます。さらに、自らの過去にも直面しなければなりません。

『Outlaws』のインスピレーションとなった Sci-Fi の分野やそれ以外のジャンルはありますか?

Jason:そうですね。『Outlaws』の早期の原稿段階でインスピレーションとなった 『スター・ウォーズ』 の要素以外に、いくつか目ぼしいものがありますが Sci-Fi とはあまり関係ありません。セルジオ レオーネ監督のマカロニ ウェスタンには大きな影響を受けました。こうした映画を観るだけで誰だってインスピレーションを受けますよね。爪の中の砂粒から、広い美しい眺めのショット、決闘中の登場人物の瞳の超クローズアップに至るまで何もかもです。とても格好いいんですよね。レオーネ監督の映画の登場人物は 『Outlaws』 のキャラクターに確かに影響を与えました。疑いの余地はありません。

美しく撮影された伝説の傑作映画、『アラビアのロレンス』 にも影響を受けました。この映画の風景は本当に壮大でアーティストとしてとりこになりました。撮影のスケールはとてつもなく大きなものです。『Outlaws』でも同じことを行います。砂漠に魅力を感じて、参考として使うためにネットで素晴らしいマテリアルをたくさん見つけました。

最後になりますが、『マッド マックス』『Outlaws』に重要な影響を与えたと言わざるをえません。初期三部作の中では二作目と三作目の映画に心奪われたものです。最近では、『マッドマックス怒りのデス ロード (原題:Mad Max: Fury Road)』 に魅了されました。『Outlaws』は、『マッド マックス』の世界観の影響を受けたものになるでしょう。車輪はありませんが、面白い物語で魅力的なキャラクターや素晴らしい乗り物のある世界です。

なぜアンリアル エンジンを使うことになったのでしょう?

Greg:素晴らしい偶然が重なったんです! 映画製作の最終段階で夜更かしをしていました。結果を見ることができるまでレンダー ファームでレンダリングに 5 日かかっていました。こうしたことは制作の修羅場では非常にストレスがたまるものですが、その時は特にきつかったのです。数千ドルの価値があるショットを一回のチャンスでうまくできるようにレンダリングしていました。細部にこだわり微調整した後、その苦労が報われるかどうかは数日後までわからなかったのです。ベッドに倒れ込む前にリラックスするために、PS3 で『The Last of Us』を起動しました。自分のレンダリングが数百という CPU でクックされている間、足元で音をたてているマシン上でリアルタイムで生成されている美しいワールドをうらやましく思いました。このあまりにもひどい格差が私のスイッチに火を着けました。その時思ったんです。VFX 業界のやり方を変えて、同じことをやるのにゲーム テクノロジーを使おうとね。

それはちょうど UE4 が月々わずかなサブスクリプション料金で利用可能になると発表があったときだったんです。活気のあるコミュニティと求めていた多くの機能があったので、私にとってアンリアル エンジンを使用するのは非常に簡単でした。VFX アセットをアンリアル エンジンに取り込んでからは、後ろを振り返りませんでした。UE4 で VFX アセットをリアルタイムでレンダリングするときには、いまだに笑みがこぼれてきます。これが従来のオフラインのレンダリング ソフトウェアだったら数時間もかかっていたんですから。

大まかにいうと、従来の 3D アニメーション映画はどのように作られるのでしょうか?

Greg:従来の VFX 制作は複数部署にまたがる大規模チームによって行われてきました (多くの場合、複数大陸にまたがるチーム)。全員が一人の監督のクリエイティブなビジョンを実現するために作業します。各部署はかなり独立して作業します。最終的なショットは複雑なジグゾーパズルのようなものだと考えるといいでしょう。各部署が厳密に定義された個々のピースを作り、うまく行けば最後にうまく組み合わさり完成します。個々のクリエイティブなひらめきに火をつけるような重なり合う部分や機会は最小限しかありません。これはゲーム開発とは違います。ゲーム開発では、コンセプトやプロジェクトは協調的に展開します。

VFX はコンセプト アートとストーリー ボードから始まり、プリビジュアライゼーション (撮影前に場面やシーケンスを映像化すること) へと続きます。リグ構築、モデリング、テクスチャリングなどを行うアセット部門では、キャラクターや背景の簡易版を提供し、アニメーターがアニメーションのショットの輪郭を描き始められるようにします。これは 3D アニメーション映画では特に重要です。ここでカットや構成が確立するからです。

この作業と並行してアセット部門では最終的な外観のためにフル解像度版を作る作業を続けます。アニメーションの手直しは多くの場合、最後の最後まで続きます。ショットをレンダリングする十分な時間が残ることを願いながらです。

アーティストのシーン ファイルがギガバイト サイズになり、開くのに数分かかるというのもよくあることです。最後の画像のレンダリングが終了するまでには数日と言わないまでも数時間はかかります。その間、数千という CPU から構成されるレンダー ファームで処理されます。制作期間中に作られるデータ量は涙ものです。多くの場合、テラバイト単位のディスク領域を消費します。

アンリアル エンジンのようなエンジンが従来の制作パイプラインに入る余地はあるでしょうか?

Greg:CG はどんなスタイルを用いても難しいものであり、CG を使った映画制作は非常に困難なものです。従来の VFX 制作会社が見栄えの良いものを制作したとしても、非常に長いクリエイティブな作業を繰り返しているのは疑いの余地がありません。私が言いたいのは、厳しく管理された制限のあるパイプラインを使用した非常に複雑なモデルに頼るようになっていたということです。つまりシミュレーションの後に長いレンダリング時間がかかるようなモデルです。

こうした柔軟性の無さは苦痛です。ゲーム テクノロジーは、VFX 業界がこの窮地から抜け出す手段になりますが、業界は非常に反応が鈍かったのです。表面的な障害ですぐに断念したのです。「X 量のポリゴンを扱えない」とか「オフラインのレンダラーにはかなわない」などということを言ったのです。

アンリアルのようなゲーム エンジンは、リニアなコンテンツ制作では宝の山の機会だと信じています。私にとって一番価値があったのは、監督とアーティストとの間のコミュニケーションが大幅に向上したことです。映画の観客がますます多くの特殊効果を求めるようになるにつれて、こうした関係がバラバラになってきていました。先入観の障壁に思い切って切り込み、アンリアル エンジンを使ってクリエイティブな問題に効率的に対処するツールを一流の VFX アーティストに与えて自由にさせたらどのようになるかを実証したいと考えています。

アンリアル エンジンはこうしたプロセスにどのような変化をもたらしましたか? 映画全体が UE4 内で作られたのでしょうか? リアルタイム技術は、ベイク時間をなくす以上に制作パイプラインに多くのメリットをもたらしたと思います。

Greg:非常にエキサイティングな時代になってきました。俳優のパフォーマンスによって動くリアルなキャラクターを用いた仮想セットがもはや Sci-Fi のページの中にとどまらず、最新の映画製作における不可欠なツールになってきました。私が最近関わった 2 つのハリウッド映画では、こうした方法を頻繁に用いていました。『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(原題:The Adventures of Tintin) 『アビエイター』(原題:The Aviator) などではこれが特に顕著です。しかし、これは面倒なプロセスです。リアルタイムのセットは不自然に VFX パイプラインとつなげられます (これは協調的とは程遠いものです)。その結果、このいわゆる新しい映画製作プロセスは、従来の方式を模倣したものになります。プリプロダクションとポストプロダクションとの間ではっきりとした線引きがあります。

UE4 ではプリプロダクションとポストプロダクションとの間の線引きをぼかしてくれます。オフラインの VFX レンダラーで制作されるものと同等の画像を、数時間、場合によっては数日ではなく、ミリ秒単位で作ります。制作中にこうしたフィードバックが得られるのは非常に嬉しいものです。以下は現代の VFX における最大の問題に対する答えです。作業を行うアーティストとクリエイティブなビジョンを持つ監督との間で効果的なコミュニケーションが取れないという問題です。VFX パイプラインは優れたアーティストをますます締め付けてがんじがらめにする状態になってきました。UE4 で制作パイプラインを構築すると、クリエイティブな問題をリアルタイムで解決することでアーティストを解き放ちます。長いレンダリングとシミュレーションにかかっていた時間は、即時のフィードバックに置き換えられました。監督はますますこうしたフィードバックを求めるようになることでしょう。

いつも UE4 には驚かされ続けています。従来の VFX では、制作中にパイプラインのかなりの量のスクリプティングの修正があります。しかし、UE4 のブループリントを使えば必ずしもコードに戻らなくても機能豊富で十分に動作するアーティスティックなツールを作ることが可能です。毎回新規リリースはライティングの改善からアニメーション ツールやレイアウト ツールの更新まであり、素晴らしい贈り物です。

『Outlaws』 では、モデリングとテクスチャリングは使い込まれた実証済みの映画技術を用いて行い、可能な場合はアニメーションのためにモーション キャプチャー技術を使います。いまだに 2D 編集のポリッシュ段階を経たファイルを扱っています。その中間のものについては何でもリアルタイムにするというのを原則にしています。基本的に UE4 を使って『Outlaws』を撮影し、監督することでリアルタイムを実現しています。こうしたアプローチをすることで従来のコストの障壁が次第に崩れることになるでしょう。

Dev Grant 受賞はプロジェクトにどんな影響がありましたか?

Greg:エピック ゲームズが大志を抱く駆け出しのプロジェクトを積極的にサポートしてくれるのは素晴らしいことです。もちろん、お金は有り難いですが、もっと重要なのはエピックが理解を示してくれたという事実です。それだけでなく、ゲームという安全な領域を超えてエピックのテクノロジーを新たな適用分野で使うことを歓迎してくれました。世の中の動向に逆らい、何か新しいものを始めるためにおずおずと踏み出した最初の一歩に対する信任投票です。こうしたことにまとまったお金は使えません。

賞金のお陰で夜間と週末に行っていたプロジェクトの作業を、日中、夜間、週末に行うようになりました。今はフルタイムで働いているからです。今では物事が非常に速く進んでいます。ショート トレーラー (予告編)を完成させて、従来のやり方で資金集めの第二ラウンドをうまくやるために一生懸命取り組んでいます。

Dev Grant 受賞のきっかけは?

記憶があいまいなんですが、SoHo にあるパブで飲んだ時に話した大学関係者から聞きました。私はアンリアルを使って『Outlaws』の制作を計画していることを彼に話したのです。正直に言うと最初はためらっていたんです。まだ開発の初期段階でしたから。

メールの下書きをいくつか作りましたが、削除し続けました。何を成し遂げようとしているかをメールではうまく伝えられませんでした。だから、カメラを使って初めの頃の UE4 のレンダリング テストと Jason のコンセプトとストーリーボードをつなぎ合わせて売り込むことにしました。オリバー ツイストがポリッジ (おかゆ) をねだるずうずうしい画像で終わらせました。賭けは成功して数か月後に思いもよらないメールが届きました。プロジェクトが Dev Grant を受賞し、私の銀行口座はかなり健全なものになりました。

『Outlaws』のようなもので、進行中の他のプロジェクトはありますか?

Greg:VR でも素晴らしい動きがありますが、物語を伝えることが原動力である私にとっては道に逸れることになります。

エピックのリアルタイムの “A Boy and his Kite” (およびそれ以前の Elemental と Infiltrator のデモ) は明らかに先駆者的存在です。映画とゲーム業界の従来の立場は、二つの業界は別のものであるというものでした。教師が学校のディスコ パーティーで社会的に注意が必要なキスを恐れてティーンエージャーを指導するようなものです。最も革新的な業界の変化が起ころうとしているのは、こうした注意深く対処しなければならない連携なのです。我々はこうした連携がもたらした成果なのです。

ゲーム開発とは違って、最高レベルに最適化する必要性の制約がなく、超高速な洗練されたゲームプレイを追い求めていません。こうしたことから、ゲームで見られるビジュアルを超えてハリウッドの VFX で期待されるビジュアルを自由に追い求めることができます。技術の用途を変えて焦点を定めなおすことで、我々はハイエンドの映画製作の新しい波に確実になるであろう最先端を進んでいます。

短期的および長期的な視点から『Outlaws』とアンリアル エンジンが業界に及ぼす影響についてご意見をお聞かせください。

Greg:短期的には、VFX のプロ達をあっと驚かせてみたいです。映像に忠実なアセットを美麗な詳細度でリアルタイムで実行することで、すでに何名かの関係者を驚かせています。自分にとっては、監督とアーティストのコミュニケーションを改善して、アーティストにクリエイティブな問題を効率的に解決するツールを与えることに意味がありました。

『Outlaws』 のような小規模な制作が増えるのは素晴らしいことです。こうした物語はこれまで莫大な資金を持つ大物プロデューサーのためのものでした。ロンドンには作家、エンジニア、アーティストが大勢集まっています。こうした方々の物語がさらに多く発表されるのは喜ばしいことです。

大手 VFX 制作会社がこうした仕事を成し遂げるにはまだ時間がかかりそうです。立ちはだかる表面的な障害を乗り越えるのが重要な鍵になるでしょう。大きな船ならそうであるように、方向を変えるには時間がかかり、航路を示す小さなタグ ボートが必要になります。UE4 のような技術は将来の VFX パイプラインのあらゆる場所で用途があり、プリビジュアライゼーションの道具にとどまることはないと信じています。

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