2016.7.7

独特な雰囲気と没入感を備えた『The Solus Project』の制作背景

作成 Daniel Kayser

没入感を実現する機能が、インタラクティブ エンターテイメントを非常にユニークなものにしています。他のメディアもパワフルな体験を与えてくれますが、ゲームではプレイヤーがペースを定めて、特定の結果になるように決定し、ストーリーの展開に加わる余地があります。

インタラクティブ エンターテイメントはジャンルによって定まる側面があるので、コンテンツ クリエイターは制作したい体験について色々な考え方をすることができます。効果的に行われるとプレイヤーを別世界に連れて行く、真に記憶に残る体験を作ることができます。

これこそが 『The Solus Project』 の目標です。アンリアル エンジン 4 (UE4) で制作し、通常のアクションよりも雰囲気と探検に重点を置きました。しかし、このプロジェクトが特にユニークなのは、プレイヤーを完全に没入させることに全力で取り組んだということです。『The Solus Project』 のクリエイティブなビジョンはどのように実現したのでしょうか? また、小規模チームが UE4 を活用して探検対象の惑星全体をどのように作成したのでしょうか? このゲームのクリエイティブ ディレクターである Sjoerd de Jong 氏にお会いして、『The Solus Project』 のミステリアスで魅惑的な世界についてお話を伺いました。

 

Q:『The Ball』 の精神を引き継いだものとして、『The Solus Project』のアイデアがどのように生まれたかをお聞かせいただけますか?

70 年代や 80 年代に育った子供たちは往々にして、自分一人で、ときには友人たちと家から離れた世界を探検して大きくなりました。『インディ・ジョーンズ』 などの映画は、『トゥームレイダー』、『Unreal』 など我々がプレイしたゲームと同様にすべてアドベンチャーに関するものです。こうしたことに加えて宇宙時代が過ぎて、目の前には 2000 年、そして 21 世紀という未知の世界が広がっていました。SF の時代です。

『The Solus Project』 では、こうしたアドベンチャーと探検の感覚を再現したいと思いました。宇宙時代と未来を待ち望む気持ちを改めて想像しなおしたいと考えました。『The Solus Project』 は未知の世界を旅するゲームです。あなたは太陽系を離れた初の宇宙船の唯一の生存者で、奇妙な惑星にたった一人残されます。周囲の世界は息づいており、プレイヤーは好奇心をそそられる大きな世界の中でほんの小さな存在にすぎず、秘密や危険があらゆる場所にひそんでいるのです。

Q:ストーリーと中心となるメカニクスを考えると、この設定は 『The Solus Project』 にとって不可欠なものですね。惑星 Gliese-6143-C についてお話いただけますか?

Gliese-6143-C は過酷で不毛な惑星で、広い海に覆われています。そこには多数の群島があり日中は非常に暖かく、夜間は冷え込み、頻繁に嵐に見舞われます。まだ比較的若い惑星です。生命体はまだ進化の早い段階にあります。進化した生命体は海にいますが、土地が分断されているため陸の生物はそんなに遠くには行けません。島々はほとんど草や苔で覆われています。小さな島に不時着後、この惑星に足を踏み入れたのは自分が初めてではないことがわかります。何かがここにやってきていたのです。地球上の古代の建築物に似た巨大な石でできた変わった建築物と無数の遺跡を発見します。いったい誰が? 彼らに何が起きたのでしょう? 生存者は? 彼らを滅ぼした者は、まだここにいるのだろうか? Gliese-6143-C では、素晴らしい日没やビーチがある美しい未知の世界を描きながら、この別世界の楽園が暗い秘密を抱えるようデザインしました。

Q:この惑星は探検しようとするといくらでも驚きを与えてくれますね。このプロジェクトで秘密のエリアを作ることはどうしてそんなに重要だったんでしょうか?

『The Solus Project』 では秘密エリアの中にさらに秘密のエリアを作りました。探検ゲームではこうしたものが重要だと感じたんです。ゲームでは壮大さも感じることでしょう。『The Solus Project』 の世界は、大きく複雑に感じられるようにデザインしました。こうすることで、プレイヤーは自分がちっぽけな存在であり、孤独を痛感させられます。探検する大きな広い秘密のエリアを用意することで、ワールドは単にストーリーの背景としてではなく、ごく一部だけを発見したにすぎない大きな未知の環境になります。これ以外に、このゲームを 90 年代の古典的 FPS に対する叙事詩にしました。秘密のエリアはこうした記憶に残る体験の一部になります。

Q:サバイバルが中心ですが、敵をやっつけるよりもエレメントと環境について習得していくゲームです。何故、アクションではなく探検に重点を置いたゲームをデザインしたのでしょうか?

私のバックグラウンドはワールドと背景のデザインです。ですから、自分の強みを最大限引き出す体験を作りたかったんです。ゲームはワールドそのものです。たった一人で別の惑星にいるという設定です。仮想環境で可能な限り最高の没入感と、出来る範囲の最高の雰囲気にしたいと思い、惑星に焦点をあてました。銃を連射するヒーロー物語をあらたに作るのではなく、『The Solus Project』 では孤独な生存者が未知の惑星を旅します。とはいえ、危険がないわけではありません。自然そのものが容赦なく襲ってくることがあります。竜巻、雹、雪に至るまで厳しい気候変動によって自然が生存に深刻な影響を及ぼします。しかも惑星に足を踏み入れたのは、あなたが初めてではありません。過去にここで恐ろしいことが起こったようです。プレイヤーとして、何がみんなを滅ぼしたのか考えさせられます。暗く人影のない洞窟や地下通路を探検するときに武器がないことで増々不安がかきたてられます。

Q:『The Solus Project』 では雰囲気と没入感がすべてです。クリエイティブ面のビジョンを実現するうえでアンリアル エンジンはどのように役立ちましたか?

UE4 のレンダリング機能をはじめ、ブループリントやマテリアル エディタなどのパワフルなビルトイン ツールは実に素晴らしいものです。グラフィックスを最高レベルのものにし、未知の惑星というコンセプトを最大限うまく表現することができました。通常のゲーム PC で 60 FPSで実行し、自分たちのビジョンやグラフィックスの品質に妥協する必要なく、すべてのディテールを最大限にしました。ブループリントと他の多くのツールを利用することで、自分たちの世界を生き生きとしたものにしました。これが、没入感を生み出す重要な部分になりました。これを表す例として、満ち潮のシステムと夜になると閉じる花があります。こうしたものをわずか数分以内に作成し、多くの類似機能を簡単に実装できたことで、実際に生きていて時間の経過とともに進化しているかのように感じさせるワールドにするのに多いに役立ちました。

Q:最初のリリースから大きな更新をしてきましたね。アンリアル エンジンでは、新しいコンテンツをデザインし、ゲーム コミュニティで共有するために、どれくらい迅速にイタレーションできましたか?

アンリアル エンジンのツールセットは完成度が高く安定しているので、制作を遅らせるような問題にはほとんど出くわしませんでした。こうしたこととブループリントのようなパワフルなツールによって、一貫してハイペースでコンテンツを量産できます。ブループリントを使うとチームの誰もが機能の構築に参加できます。例えば、我々のオーディオ担当の Jonas は、コンポーザーであり、サウンド アーティストですが、プログラマではありません。しかし、ゲーム内のすべてのサウンドと音楽のロジックを自分でセットアップしました。2 月半ばに 『The Solus Project』 の最初のバージョンをリリースし、6 月までのわずか 3 ヶ月半の間に既に 4 つの拡張を行い、ゲームプレイを 2 時間から 12 時間以上にしました。UE4 の安定性と威力がなかったら、我々の作品は制作できなかったと思います。

Q:制作チームは比較的小規模ですよね。アンリアル エンジンのどういった部分が、作業を最大限効率的に行うのに役立ちましたか?

中心チームのメンバーはわずか 6 名でした。アンリアル エンジンのあらゆる面によって、小さなチームでありながら、かなり大きなチームのように制作に取り組むことができました。一般的な安定性やツールの完成度から、ブループリントによってプログラマーではないデベロッパーが機能の開発に加わったり、大規模で視覚的に求められるレベルが高いゲームを簡単に制作できたりします。当初、PC ゲームとして始まりましたが、間もなくコンソールでも使用できるようになりました。VR も簡単に実装できることがわかりました。さらに、あらゆるプラットフォームやデバイス上でのパフォーマンスも素晴らしいものでした。例えば、VR では、完全に動的にライティングされる大きなアウトドア環境を LOD (Level of Detail) をほとんど使わずにレンダリングしています。また、ワールドの波やフォグなどの透過サーフェスがありますが、安定したフレームレートで実行しています。エンジンの機能は実に素晴らしいものであり、パフォーマンスを高めるために我々が行った方法が利用できなければ、このゲームを制作できなかったことでしょう。

Q:どの層のプレイヤーが 『The Solus Project 』 を楽しめるとお考えですか?

主に 30 才以上の方々を対象にしています。長い一日の仕事を終えて別の世界に行く没入感のある体験を求める人々です。90 年代にゲームをし、初期の大きなストーリー性のあるゲームで楽しい思い出がある人たちです。『Unreal』 と 『Myst』からかなりインスピレーションをもらいました。特に 『Unreal』 ファンには、 『The Solus Project』 を気に入っていただけると思います。未知の惑星への不時着からドラマティックな空、沢山の暗い洞窟や地下の建築物に至るまで、『Unreal』 を初めてプレイしたときの感覚を思い起こさせるようにデザインしました。『Half Life』、『LOST』、『スターゲイト』 などの他の多くのゲームや映画も参考にしています。『The Solus Project』 は皆さんが成長するときに体験したアドベンチャー感覚を再現するものです。ゲーム中のどの時点でも難易度を上下に調整できます。自在に設定可能な難易度と戦いがないことで、自分のペースでストーリーをたどることができます。ストーリー全体を女性または男性のキャラクターのいずれかでプレイすることができます。

Q:『The Solus Project』 の今後のプランはどういったものですか?

7 月 15 日に Xbox One 向けのフル ゲームをリリースします。それ以外に PC で Vive と Oculus のサポートが現在進行中であり、数週間、数か月単位で改善を続けます。現在、ゲームは最初から終わりまでほとんど VR でプレイ可能ですが、左手で持っているポケット コンピュータ上のボタンを実際に押せるようにさらにサポートを拡張すべく取り組んでいます。VR のアイテム欄のメニューの作業も行っています。このゲームは没入感を大切にしているので、VR でプレイすると本当に効果的です。

Q:このゲームはどのプラットフォームでプレイできますか? また、詳しい情報はどこで見たらよいですか?

PC (Steam/GOG/Humble) で入手可能です。現在は Geforce 経由でも入手できます。Xbox One では Preview プログラムの一部として入手できます。フル リリースは 7 月 15 日です。詳細は弊社のウェブページ www.thesolusproject.com をご覧ください!

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