2020年1月6日
『House at the Waterfall』の解説: Twinmotion コミュニティチャレンジ #2 の優勝作品
SketchUp でモデリングを終えると、作品を友人や家族に見せたいと思いました。そのためには、動画を作成するのが一番よい方法です。そこで、私は Twinmotion について知り、すぐにそれを入手したのでした。それを使い始めてから最初の 1か月で、必要としていた出来栄えを達成することができました。
私は、フランク ロイド ライトの落水荘 (フォーリング ウォーター) を見て、このプロジェクトの着想を得ました。建物と滝の融合がとても気に入っているのですが、自分独自の建物を作りたかったので、もっとガラスを主体とした創作も探してみると、すぐに、ルートヴィヒ ミース ファン デル ローエによる伝説的なファーンズワース ハウスにそれを見出すことができました。

きのこや木の切り株のようなものは、Quixel Megascans のライブラリのものを使いました。超リアルな自然物を見つけるためには絶好の場所です。それらのアセットを Twinmotion に取り込むためには、次のようにして、まず必要なアセットを Megascans ライブラリで参照します。


最後に、アセットに必要なテクスチャを選択します。ダウンロードしたら、.fbx ファイル形式のそれらアセットを Twinmotion にインポートします。それらは白いテクスチャ マップとして自動的にインポートされます。テクスチャ設定に移動し、すべてのマップを、モデルと一緒にダウンロードしたマップに置き換えます。さらに、必要な場所にそのモデルをシーンに配置します。

このシーンには人工的なライトはありません。リフレクション プローブを背景に使用することによって、建物内で反射がより自然に見えるようにしています。下の画像では、リフレクション プローブの位置がわかります。

私がこのシーンで使用した重要なライティングの設定は以下のようになります。 クローズアップ ショットの場合、影の距離が非常に重要であるということをおぼえておくべきです。ご覧のように、私は最も近い 10 m に設定しています。

この設定により、カメラの 10m 以内にある影が一層鮮明になりますが、背景には影がまったくありません。アンビエント オクルージョンと被写界深度 (DOF) の設定を極めて高くしたため、この距離に設定しても不都合なことは生じませんでした。

このシーンの空は、空のテクスチャが貼り付いたドーム状スフィア オブジェクトを使用して作成しました。それらのテクスチャは、インターネットで検索するとすぐに見つけることができます。この空は HDRI Haven によるものです。よく見ていただくと、実際には 2 つの異なるスカイドームを使用していることがわかると思います。一つは屋外のショット用で、もう片方は屋内のショット用に日没感を出すものです。スカイドームの使用方法については、Twinmotion サポートサイトに詳細なガイドが掲載されています。

アニメーションのランドスケープ全体は、Twinmotion で作成されました。テレインのスカルプティングに追加のソフトウェアは使用していません。私の見立てでは、Twinmotion だけで、必要となるスカルプティング作業の 95% をカバーすることができます。

画像の左上にあるような山や崖を Twinmotion で作成するためには、Rocks ライブラリを開き、リストの最後に見えているアイテムを検索します。山全部と滝の大部分は、まったく同じ岩を使用して作成されました。岩は、何度も拡大 / 縮小 / 回転することによって、同じものを使っていることがあからさまにわからないようにしています。Megascans ライブラリでも、さまざまな岩を検索することができますが、Twinmotion の岩は素晴らしいクオリティであることがわかりました。


上の屋根に草を敷くのは簡単でした。Twinmotion のライブラリから 2つのプリミティブを屋根の上に追加し、そのうち 1つをクリックして、オブジェクト メニューで Isolate (分離) オプションを選択します。このようにすると、シーンに表示されるオブジェクトは、これからペイントするものだけになり、草は屋根の上にのみ配置され、他には配置されなくなります。


先に述べたように、建物自体は SketchUpでモデリングし、それを Twinmotion にインポートしました。滝を作成するプロセスは、おそらくこの作品で最も困難な部分であり、最も時間がかかりました。まず、次のように、テレインをスカルプティングする必要がありました。

次に、水のテクスチャと動きをともなった 2つのプリミティブを追加しました。

さらに、次のように、岩を追加しました。

最後に、Twinmotion のパーティクル メニューを開き、Waterfall (滝) のエフェクトを選択しました。このエフェクトを縮小して、滝全体に 50回コピーして、流れるような感覚がもっと出るようにしました。

屋外のショットほぼすべてについて、以下のようなライティングの設定を使いました。プロからのヒント: 視野角 (FOV) はより高くするべきです。私は、ほとんどのシーンで 85 または 90 の FOV を使用しています。これにより、カメラの角度が広くなるからです。また、ほとんどのショットで、パースペクティブ補正を使用しています。特にカメラが直線的に動いている場合はそうしています。
最後に注目してもらいたいのは、カメラワークです。私の考えでは、何回もカメラを停止して 1つの大きなクリップを作成するよりも、2~3回の停止で短いクリップを多数作成して 1つのムービーにまとめる方が、大体において優れた結果となります。


私が屋内のシーンを作成するときは、いつも、開始する前に頭の中で素敵な見栄えを想像します。何らかの「すごい!」という要素が必要なのです。そうしてから、そのような精神的なイメージを基にして、できるだけ上手くそのシーンを再現しようとします。
このプロジェクトでは、建物のほぼ全部がガラスで作られています。つまり、カメラをどこに配置しても、常に屋外のものが表示されることになります。そのため、可能な限り美しい景観を作り出すことが超重要でした。
家は、ミニマリスト風インテリア デザインをともなった超モダンな外観にするべきだと思い至りました。屋内のシーンにものを多数配置する代わりに、ディテール豊かなアセットを少しだけ置くことにしたのです。
次に重要なことはマテリアルでした。天井と床を同じマテリアルにしたかったので、どれが一番ぴったりくるか決めるのに時間がかかりました。Twinmotion の木のテクスチャは、格段に素晴らしく見えます。バンプマップとリフレクションで非常に細かいディテールがともなっているためです。これらの屋内のシーンでは、次のようなライティングの設定を使いました。

バスルームのシーンでは、デカールを使ってフロアに水たまりを作りました。これにより、リフレクションのレイヤーが追加されました。また、壁にもディテールをいくつか加えました。アンビエント オクルージョンが高い設定になっていることにも注目してください。私は、プロジェクトのあらゆるシーンで 100% に設定しています。

いつも同じ設定にすべきでしょうか?絶対にそんなことはありません。私の考えでは、アンビエント オクルージョンはできるだけ高くする必要がありますが、「どれだけ高くできるか」はそのシーンに大きく依存します。
高いアンビエント オクルージョンを使用することによって生じる主な欠点は、壁と天井の隅に影ができることです。しかし、私が作った建物では、ガラスが多いため、壁と天井の接合部はあまり見えません。つまり、ほとんどの場合、設定のスライダーを 100% にできることになります。また、カメラ アングルを調整してこれらの影が見えないようにする作業も私は行っています。

Twinmotion の夜空は素晴らしいです。スカイドームは必要ありません。夜景のライトは、やりすぎないことです。下のシーンでは、テーブルに直接影を落とす全方位ライトは 1つだけであり、リフレクション プローブもあり、すべてのものを照らすのに十分です。このシーンで使われたライティングの設定は次のとおりです。

このプロジェクトでは、モデリング ソフトウェアを使用し、インテリアのアセットを検索することに、ほとんどの時間が費やされました。その後は、Twinmotion で全部作成するのに 大体 20〜30時間かかりました。さまざまな調整を多数行い、追加シーンもいくつか作成しました。ただし、それらの追加シーンは、表示するための時間が足りなかったため、最終のレンダリングでカットしなければなりませんでした。私のハードウェアの構成は、古い PC でも Twinmotion で最高の結果が得られる典型的な構成例と言えます。具体的には、Intel i7 2600K (7年稼働) 、16 GB RAM、GeForce GTX 1060 6GB を使っています。
Twinmotion で私が気に入っている点は、まず、ランドスケープを簡単に作成できるという点です。それと、誰でも ― 建築設計の経験がない人でも ― 使えるほどシンプルで優れた UI です。
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