リブート版 System Shock に UE4 が選ばれた理由
2017年6月4日

リブート版 System Shock に UE4 が選ばれた理由

作成 Jeremy Peel

System Shock は、1 年以上前のリマスター版でもすでに素晴らしい作品でした。ファーストパーソン ジャンル開発はこの 20 年で進化し、すっかり時代遅れとみなされた Citadel Station は、青と緑のライトがポストヒューマンのぎくしゃくした動きで揺れる大聖堂としてトレイラーの中で輝きを放っていました。『サイバースペース』などという言葉をうっかり口走ってしまったものの、デベロッパー NightDive が何とか作りあげたリマスター版は意外にもしっくりするような作品に仕上がり、しかも現在でも通用する形で表現できたのです。

免責事項では「このビデオの中のすべてのゲーム コンテンツは変更する可能性があります」と書かれています。スタイライズドされた Bioshock シリーズの確たる続編が変わることなど誰も想像できませんでした。ところが、本当に変更してしまったのです。

なぜ Nightdive は 新たな System Shock の開発エンジンを Unity からアンリアル エンジン 4 に移行したのでしょうか?そして、その結果はどうだったのでしょうか。
 

TriOptimisation

エンジンの変更に関しては、重要な 2 点を考慮しました。まず最初に、Nightdive はエピック ゲームズと Unity の両社と話し合ってみて、コンシューマゲームで目指す処理能力を満たしてくれるのがアンリアル エンジン 4 だと判断しました。もう 1 つは、チームです。Nightdive は「かなりのベテラン」デベロッパーを大勢採用しました。彼らの多くは、Obsidian on Fallout:New Vegas のゲーム ディレクター Jason Fader 氏のもとで働いていました。

「彼らは Unity よりもアンリアルの方に慣れているのです」と Fader 氏は説明します。「Unity に速く慣れさせるよりも、現在進行中のものにアンリアルのエコシステムを使う方が理にかなっていました。」

Nightdive はプレアルファ版の多くを流用することができました。

「コードは変換されませんが、作業中の基本要素は確実に変換されます」と Fader は言います。

クリーチャーのデザイン、アイテム、武器、ある程度の背景レイアウト - これらすべてが最短の時間ロスで Unity デモから変換されました。そして3 月、初公開後まだ 1 年もしないうちに、Nightdive はアンリアルで別のトレイラーを発表しました。

「全体的にスムーズな移行でした」と Fader 氏は振り返ります。「アンリアル トレイラーで我々が見せたかったのは、アート スタイルの仕上りというよりも技術デモでした。すべてを凝縮してアンリアルで作った素晴らしい作品を見せたかったのです。アンリアル エンジンのお陰で複数のプラットフォームで同時に視覚的忠実度を高めることができました。」

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モジュラーで Citadel をビルドする

もしも Ken Levine 氏に Thief で使った Dark Engine で System Shock 2 の開発を行うことがどういったことなのかを聞いてみると、ぎっしり岩がつまっているかのようなエディタを彫りながら道をつけていくようなものだと答えることでしょう。リブート版 System Shock の Citadel の再ビルドは極めて異なっていました。Fader 氏と彼のスタッフの多くが Fallout:New Vegas で使っていたものを思い出させるようなタイル ベースの構築システムを取り入れたからです。

「何をしたかというと、背景アーティストにレベルのチャンク、廊下のチャンク、ウォールの構成要素、フロアの構成要素、天井の構成要素のタイルを作成させたのです」と Fader 氏は説明します。「その後で、まるで Lego のデジタルブロックで作業するように構築していきました。」

これによりレベルの起動と実行が速くなったので、モジュラー デザインには Fallout よりも System Shock の方が適しているのだと確信しました。「宇宙環境なのでテレインや極端な環境について心配する必要がなく、幸運にも宇宙ステーション自体が作りとしてモジュラー的なものだったのがその主な理由です。」

Bethesda は以前、「アセット疲労」の問題にぶつかりました。20 番目のアイレイド ダンジョンで、以前にもそれと同じサルコファガスを見たことがあるという不気味な感覚です。1 回気になると、気にせずにはいられなくなる - Nightdive が避けようとしていることです。

「我々が過去のゲームから学んだ『背景がすべてではない、何を仕掛けるかが重要である』という戦略を使いました」と Fader 氏は言います。「ステーションのあちらこちらに内臓がばらまかれていれば、視覚的なストーリーテリングをいろいろ作りだすことができます。」

宇宙ステーションの廊下だけでは、視覚的な創造性だけではスリルや恐怖を引き出せない場合があります。ですが、サイバネティックスの道具やボディパーツの着こなしや衝撃的なライティングをプラスすると、私達を見事に怖がらせる特異なものになります。

もちろん、Nightdive は 1994 年に Looking Glass が起案したマップに若干執着しています。90 年代のスタジオでこの分野で由緒あるスタジオであることを考えると、それはそれで意味があります。ですが、このチームは 20 年に渡るレベル編集の限界に屈しませんでした。

「当時レベル デザインは時代の産物でしたが、今ではプレイヤーを効果的に夢中にさせる段階にまで進化しました」と Fader 氏は言います。「レベルをさらにオープンにして、ややこしい部分を減らし、なぜサイバー系モンスターが生み出されたのかが分かるような興味深い部分を追加することで、ゲームの面白さを一層引き出すことができます。この順応性には敬服しますね。」

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凍りつく通路での殺人

アンリアル エンジン 4 で作成した System Shock のトレイラーは、ゲーム内容の紹介というよりは素晴らしい技術のお披露目です。最高潮に盛り上がるのが、何人かの突然変異体が近くの燃料容器で固体に凍結された瞬間です。プレイヤーがレンチで、ステーションのこの新しい彫刻達の頭と手足吹き飛ばすと、彼らは硬い金属フロアに倒れて粉々に砕けます。

「宇宙ステーションの中はとても寒いのです」と Fader 氏は説明します。「たくさんの凍結システムを張り巡らせています。プレイヤーがこれらの物理システムとたくさんインタラクトできるようにしたいです。」

Bioshock と Mass Effect での氷結処理方法を確認したチームは、それらのソリューションでは充分でないことが分かりました。

「彼らの技術ははターゲット ベースの破壊ではないという制約がありました」と Fader 氏は説明します。「Bioshock では、凍ったものに向かってパイプを振ると全体が粉々になってしまうので、実際に殴った時の手応えが得られないのです。我々はもう一歩進んだことをしようと思いました。」

Nightdive は System Shock のために Nvidia のあるパッケージを使ってい、非スタティックメッシュ (たとえば、生きていてフラフラ動き回るミュータント) をスタティックメッシュに変換しています。その結果、非スタティックメッシュでも本質的にはワールド内で置物のような物体となります。そのオブジェクトは数秒前の影形もなく、その場で破壊されます。

「トレイラーではその技術の最初のパスが見れます」と Fader 氏は言います。「リードプログラマーの Matthew Kenneally が熱心に調整をし続けているので、今後のトレイラーでは、さらにインパクトの強いものを披露するつもりです。」

編集注記: PCGamesN は、長く続いている Making It in Unreal シリーズのためにアンリアル エンジンで制作された素晴らしいゲームを選んでそのデベロッパーにインタビューしています。エピック ゲームズは編集プロセスに関与していません。