新たな手法に挑む Seven: The Days Long Gone
2017年8月4日

新たな手法に挑む Seven: The Days Long Gone

作成 Brian Rowe

最近、アイソメトリック RPG が復活の兆しを示しています。これは、初期のターンベース、テーブルトップにインスパイアされたゲームプレイに対する一般的な期待と、懐古によるものと言われています。

Seven:The Days Long Goneで、Fool's Theory と IMGN.PRO は、従来の手法を変えることに挑みました。アイソメトリック RPG で期待されるキャラクター育成だけでなく、オープンワールドでパルクールのような自由な動きをしながら、ステルスとリアルタイム コンバットとの間で選択できるようにしました。

IMGN.PRO と共に、Seven:The Days Long Gone 制作に関わった Fool's Theory はまだ歴史の浅いスタジオですが、『The Witcher 3:Wild Hunt』 を制作した経験があり、素晴らしい RPG の作り方を心得ています。
 

Seven:The Days Long Gone 制作のきっかけは?

クエスト デザイナー、Karolina Kuzia-Rokosz 氏 -  昔ながらのアイソメトリック RPG に敬意を払い、上質な成熟したストーリー主導の世界を作りたいと考えました。最も影響を受けたのは、『The Gentleman Bastards』 (Scott Lynch 著) と 『The Broken Empire Trilogy』 (Mark Lawrence 著) です。

『Thief』 からもインスピレーションを受けたそうですね。『Thief』 というゲームはあなたにとってどんなものですか? 何故、いまだに人々の共感を得ているのでしょう?

プロジェクト リード、Jakub Rokosz 氏 - 詳細なステルス コンポーネントを持つ 『Thief』は、当時の流行の先駆け的存在でした。影に隠れる、ライトを消す、音の伝わりを意識する、敵を避けるなどのメカニクスは、最近の作品でも一般的に使われています。非常に重要なのは、 『Thief』 シリーズは、目に見える攻撃よりも、ステルス要素を全面に打ち出したということです。

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ゲームプレイの RPG 要素についてお聞かせください。プレイヤーはどのようにメイン キャラクターを定義し、成長させるのでしょう?

プロジェクト リード、Jakub Rokosz 氏 - 主人公の成長はアイテム指向のものです。プレイヤーは、主人公 Teriel が頭部に持っている専用のスキルチップに特殊なコンポーネントを挿入することができます。このチップは、現在導入されているスキルのハブとして機能し、プレイヤーはそのスキルを簡単に切り替えることができます。それ以外に、沢山のアイテムを必要な手段を講じて入手し、武器やアーマーをアップグレードすることができます。

アイソメトリックな視点を採用した理由は? それがゲームの他の部分にどんな影響を及ぼしましたか?

プロジェクト リード、Jakub Rokosz 氏 - 我々はみんな昔ながらのアイソメトリック RPG が大好きです。こうした俯瞰的視点では、美しく変化するジオラマを見下ろしているように感じられるからです。だけど、このスタイルに関してもっとできることがあるのではないかと常に感じていました。それで、このスタイルでいろいろ試してみたんです。

既存のアイソメトリック RPG で特に限界を感じたのは、目に見えない壁の存在と平らな場所で動きが取れなくなることでした。そこで、クライミングを遮るもののないマルチレイヤー レベルを実装することにしました。動きから考えて動的なものにすると決めたときにリアルタイム コンバットは当然の選択でした。しばらくターンベース システムで試してはみたんですけど。

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特に背景は目をひきますよね。懐かしさもありながら、エキゾチックな雰囲気もあります。世界観の設定とデザインが与える影響についてお話いただけますか?

アート ディレクター、Krzysztof Mąka 氏 - ずっとゲームのスタイライズド グラフィックスが気に入っていました。このスタイルを採用することでフォトリアルなアプローチよりも自分たちの才能をはるかに活かすことができました。それだけでなく、現在のフォトリアルは数年後に技術が進歩すれば時代遅れになることでしょう。これに対してスタイライズドの美しさはゆっくりと古くなるため、昔のゲームを今見ても美しく見えるのです。スタイライズドでは、Seven の世界観のルール作りと、物事がどのように動くかについてクリエイティブ面での自由も与えてくれます。

ゲームの舞台は、「ポスト アポカリプスの世界の先にあるもの」です。文学からインスピレーションを受けることが多いです。同じような世界を創作したゲームはわずかしかないと思うからです。前述の 『Gentleman Bastards』 と 『The Broken Empire』 のシリーズには大きな影響を受けました。こうした本に書かれている古代の技術は神秘的で不可解なものです。人々はできる限り古代の技術を使用しますが、考え方とライフスタイルはどちらかというと中世のものです。Seven の世界は親しみが感じられるものですが、エキゾチックな雰囲気もあります。ポスト アポカリプス、サイエンス フィクション、そしてファンタジーをそれぞれの場所で使用していますが、これらの融合が新しさをもたらしていると思います。

オープン ワールドのデザインとパルクールにインスピレーションを受けた動きを組み合わせると、レベル デザインで大きな課題が生じますよね。プレイヤーは自分の行きたい場所にどれくらい自由に行かれますか?

リード レベル デザイナー、Krzysztof Mąka 氏 - レベル デザイン チームにとっての最大の課題は、オープンでマルチ レイヤー レベルをカメラの視野角を妨げないように構築することでした。カメラが 360 度回転可能であることは必須です。その上、ゲームプレイは無制限の探索、かなりのスニーキング、動的リアルタイム コンバットを特徴とします。こうした機能では、これまで他のアイソメトリック RPG では見たことがないようなレベル構築とカメラ処理のアプローチが必要になりました。

様々なアウトラインやビネットのような多くのアイデアを試した後、いくつかの異なるシステムを実装して、プレイヤーがシームレスに探索できるようにし、前方と下方の経路がはっきりわかるようにしました。こうしたシステムのひとつに、統合された動的クリップ マスクがあります。これは、キャラクターとカメラとの間にスタティックメッシュがあれば隠します。もうひとつは、カスタムのビルディング アウトライン システムです。これは、廃墟や建造物を探索する際に、フロアの可視性を処理します。

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これまで UE4 を使用したことはありますか? 今回のプロジェクトで UE4 を採用した理由をお聞かせください。

プロジェクト リード、Jakub Rokosz 氏 - 数年にわたり、Unreal Development Kit (UDK) を使ってプロトタイプを制作していました。UDK では、ソース コードにアクセスできないため、自分たちのビジョンを実現するために多くの妥協が必要でした。幸い、我々が Seven の資金を確保した頃、アンリアル エンジン 4 (UE4) がリリースされました。すぐに UE4 に切り替えました。オープン アーキテクチャで、ブループリントがあり、迅速にプロトタイピングできることも UE4 採用を決定するうえで重要なポイントでした。

UE4 を使って制作中に、特に便利だと感じたり、驚かされた機能はありますか?

アニメーションおよび物理担当プログラマー、Rafał Jarczewski 氏 - 既存のナビゲーション メッシュ システムとそのアーキテクチャを使って、高度なクライミング メカニクスとレッジ (棚状の障害物) の再生成のためのシステムを実装することができました。 自動ナビゲーション ビルディング プロセスを拡張してレッジ状のエリアを集めてマーク付けすることで、アノテーションを手動配置する必要性を最小限に抑えました。さらに動的ナビゲーション再生成は、プロセス全体を大幅にスピードアップしました。

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Seven:The Days Long Gone は、最近 E3 で Unreal Underdog 賞を受賞しましたよね。受賞の感想は?

クエスト デザイナー、 Karolina Kuzia-Rokosz 氏 - 最高の気分でした!自分たちが一生懸命取り組んだことが認められて本当に良かったです。同時に誇りも感じています。これは我々にとって非常にパーソナルなプロジェクトです。ですから、自分たちのやっている方向性が正しいことが認められてとても嬉しいんです。

Seven:The Days Long Gone についての情報を知りたい場合はどうしたらいいですか?

弊社のウェブサイトは、www.seven-game.com です。ここにすべての最新情報が投稿されます。さらに、 Steam のウィッシュリストに Seven:TDLG を追加していただくこともできます。