ありそうもないことに思えるかもしれませんが、ジョージア州のこの 7 歳の宇宙飛行士は VR で土星へと飛び立ちました。これは、Make-A-Wish Foundation のジョージア支部とTRICK 3D の連携で実現した彼の夢の物語です。
Zayden はわずか 2 歳のときに、先天性の心臓疾患があると診断されました。38 枚の心エコー図を撮り、6 回のカテーテル治療と 4 回の心臓手術を受けてきました。こうした状況でも、若き宇宙飛行士は大きな夢と希望を持つことをあきらめませんでした。実に壮大な夢です。Make-A-Wish のジョージア支部が Zayden に連絡を取り、彼の夢を尋ねると、赤いロケットに乗って宇宙に旅立ち、土星に行きたいと答えました。
不可能に思える夢を実現するために、Make-A-Wish のジョージア支部は TRICK 3D とパートナー関係を結びました。TRICK 3D は、成功を収めた 『The Elf on the Shelf:An Elf’s Story』 でディレクター兼プロデューサーを務めた Chad Eikhoff 氏が代表を務めるスタジオです。TRICK 3D はハイテクを駆使するクリエイティブなスタジオで、エンタープライズとエンターテイメント向けの想像力豊かな没入感のあるコンテンツ制作を専門としています。こうした専門性と想像力に富んだ子供向けコンテンツ制作に対する Eikhoff 氏の情熱を兼ね備えた TRICK 3D は、Zayden の素晴らしい空想の世界と技術的課題に取り組む非常に適切なスタジオでした。
この夢について想像力あふれる世界を考えたのは Zayden 自身です。7 歳の彼は、ロケットの赤色、無数の星々、“Bee Bo! Bee Bo!” と人懐こくしゃべる緑色をしたエイリアンとの出会いについて事細かに生き生きと表現しました。こうした豊かな想像の世界を元に、ディレクターである Eikhoff 氏と TRICK 3D のプロダクション チームが Zayden の夢を叶えるために動き出しました。
「Zayden の計り知れない想像力に応えるべく、我々のチームは新たな制作パイプラインを作り出しました」と Eikhoff 氏は説明します。「TRICK 3D チームはアンリアル エンジン 4 (UE4) と他の主要ツールの限界を押し上げて夢を叶えるシネマティックな世界を生み出したのです。」
TRICK 3D チームは UE4 を活用して何度も反復して開発を進め、既存の CG アニメーション技術をリアルタイムの没入感のあるパイプラインに移行しました。一例として UE4 を使って、VR で完全にレンダリングされた仮想体験でアニメーションを定期的に評価するプロセスを構築しました。Eikhoff 氏によれば「ディレクターとして最後のシーンに取り組んだことは、標準の CG アニメーション パイプラインで用いられるプレビューやプレイブラストのレビューに比べて大きなメリットがありました」とのこと。
“Zayden’s Wish” の技術面、クリエイティブ面を支えるチームには、NASA の元宇宙飛行士である LeRoy Chiao 氏、Make-A-Wish ジョージア支部のボランティア コミュニティの皆さん、ジョージア州の空軍基地である Dobbins Air Force Base の方々など沢山の人々が関わりました。こうした人々を親しみを込めて Zayden’s Squadron (Zayden の宇宙飛行応援部隊) と呼びました。彼らは Zaiden の壮大な VR アドベンチャーに向けて共に取り組んだのです。5 月 1 日に Zayden はジョージア州のマリエッタにある Dobbins Air Force Base から土星に向けて出発しました。
その後、Zayden の想像力の素晴らしさがさらに実証されました。Make-A-Wish Foundation が、 “Zayden’s Wish” に対して Make-A-Wish ジョージア支部と TRICK 3D に ‘Most Innovative Wish of the Year (年間で最も想像力に富む夢) ’ 賞を授与し、全米で賞賛を集めたからです。
「Zayden の夢は実現可能なことを想像するインスピレーションを我々に与えてくれました。VR を使って希望と喜びを与える高い目標を示してくれたのです。VR には未知の可能性がありますが、Zayden の夢と想像力をきっかけに、まだ想像もつかないような未来の夢実現への扉が開かれました。同時に没入感のあるアニメーションの威力にも気付かされました」と Eikhoff は語ります。