画像提供:Thirdverse, Co., Ltd.

Thirdverse が没入型 VR ヒーロー シューターの X8 で指によるトリガー操作を実現

Mike Williams
2020 年に設立された Thirdverse, Co., Ltd は、VR および Web3 ゲームの開発、配布、管理を行う企業であり、日本と米国の 2 つのスタジオでメタバース分野の開拓を進めています。2019 年には、世界初の VR マルチプレイヤー ソードファイティング アクション ゲームであるソード・オブ・ガルガンチュアをリリースしました。2022 年 8 月には Meta Quest 2 と PCVR で次世代ソード ファイティング VR タイトル ALTAIR BREAKER を発売しています。9 月には、米国スタジオが開発する新しい VR の戦略的マルチプレイヤー ヒーロー シューター タイトルの X8 を発表しました。また、以降のタイトルは PlayStation®VR2 のラインナップに加わることも発表しています。現在 Thirdverse は、2023 年以降にリリースを予定している新しいタイトルの開発のため、VR ゲーム クリエイターの採用を強化しようと計画しています。
Thirdverse, Co., Ltd. の究極のビジョンは、メタバースの新しい道を切り開くことです。この日本のスタジオによる以前のリリースは、VR のソードファイティング アクションゲーム、ソード・オブ・ガルガンチュアALTAIR BREAKER の 2 作品です。次に、同社の米国法人ではその経験を生かし、独自の VR タイトルである X8 を制作しています。このマルチプレイヤー VR ヒーロー シューターは、現在、Meta Quest 2、Steam VR、さらに最近リリースされた PlayStation®VR2 でのリリースに向けて開発中です。

X8 は、遠い未来の別世界を舞台とし、意識を持つ X8 エンジンによって、過去の FPS シリーズから生まれた多種多様なヒーローが自分にふさわしい敵を探して登場します。プレイヤーはこれらのヒーローになり、すばらしい能力と強力な武器を活用して勝利を目指します。X8 の開発のアイデア、VR のヒーロー シューター設計アプローチの方法、そしてそれらをまとめ上げるのに Unreal Engine がどのように役立ったかを知るため、Thirdverse に話をうかがいました。
 

X8 は、どのような作品ですか?

Dax Berg 氏 (Thirdverse 米国スタジオ副社長):
X8 は、チームベースの 5 対 5 で行う、没入型かつアクション満載の戦略的ヒーロー シューターです。発売時には探索および破壊を行う形式のゲームを利用でき、その後別のモードが追加されます。多数の武器、手のジェスチャで使用する能力、さまざまなスキル、コンボ、情報収集戦略を盛り込み設計しています。さまざまな戦略的な作戦を採用できるようになっています。砲塔で通路や部屋全体をロックしたり、さまざまなエフェクトを備えた多数のスモーク スフィアを作成したり、強力なヒーロー アイテムを活用したりして「サイフォン」を設置または起動解除します。これは、古典的な爆弾のシナリオを当スタジオが独自に作り変えたものです。

X8 の高度な能力を使用すると、戦略的な情報収集が可能になり、敵の動きを追跡し、最善の位置を確保して最適な攻撃戦略や防御戦略を展開できます。楽しいゲームプレイと多数の機能を搭載した X8 は、自分の戦術スキルを試したいプレイヤーに魅力的でスリリングな体験を提供します。

チームが X8 を制作することになったきっかけは何ですか?

Berg 氏:
Overwatch 2VALORANTApex Legends など、私たちはヒーロー シューターのジャンルが大好きです。また、こうしたゲームと本質的に同じ体験をプレイヤーに提供したいと考えていましたが、独自の戦略的な VR による工夫を設計の中心にしました。プレイヤーには、ボタンを押しているのではなく能力を呼び出している感覚を味わってもらいたかったのです。それは実際に物体を人に向けて投げ、物理的にナイフや武器の狙いを定め、剣やナイフを振り回して敵を倒す感覚です。

以前の VR ゲーム作品はソード・オブ・ガルガンチュアALTAIR BREAKERで、どちらもソードファイティングに焦点を合わせたものとなっています。X8 をヒーロー中心のシューターにしたのは、どのような意図からでしょうか?

大野木 (ノギ) 勝氏 (Thirdverse 共同創設者兼 X8 エグゼクティブ プロデューサー):
ソード・オブ・ガルガンチュアALTAIR BREAKER はどちらも、弊社の高く評価されている日本のスタジオで開発され、ゲームの世界で有名なタイトルとしての地位を獲得しています。しかし、X8 は、毛色が異なる作品となりました。開発した米国スタジオ チームの中核メンバーは、優れたシューター ゲームの制作で豊富な経験を持っていました。加えて、前作のゲームを尊重するため、X8 には刺激的な近接戦闘も含めたのです。

とは言うものの、ヒーロー シューターの領域へと踏み込むことで、より競争力ある魅力的な対戦の体験を生み出せると感じていました。開発プロセスでは多数の課題を抱えることになったものの、その成果を誇りに思っています。また、これまで築いてきたコミュニティとその成果を共有できることを楽しみにしています。

プロジェクトには何か目標はありましたか?

Berg 氏:
X8 では、世界で最も人気のある VR マルチプレイヤー シューターになることを目標としています。最終的には、E スポーツに完全対応するゲームでありながら、カジュアルなプレイヤーも十分に利用できるものにしたいと思っています。現在、操作の簡単さと習得の難しさの間で「黄金のバランス」の発見を目指しています。
Image courtesy of Thirdverse, Co., Ltd.
従来のファーストパーソンまたはサードパーソンのシューターと比較して、VR はどのように戦闘の感覚を強化すると感じていますか?

Berg 氏:
VR では、従来のファーストパーソン シューターやサードパーソン シューターよりも照準や移動が難しくなる場合があります。しかし、VR 内で能力を繰り出したり、完璧なヘッドショットを決めたり、剣を振り回したりする没入型の体験は、真に満足感を得られるものです。武器を撃ってその反動をコントロールし、すばやくリロードしたり、敵にナイフを投げると同時に能力を繰り出したりするアクションは、気分を爽快にさせます。この感覚は非常に直感的かつ確かなものであり、プレイヤーはアクションに没入する感覚を真に感じることができます。そのため、VR ゲームで特定の課題を抱えることになっても、ゲーム内の世界に真に存在することを実感できるので、その努力に値すると感じています。

X8 では、ユニークな能力を持つヒーローが登場しています。VR を活用するためにヒーローのスキルをどのように設計したのか教えてください。

Berg 氏:
能力は、当スタジオのエンジニアが「アーク スローイング システム」と呼ぶものを基盤としています。このシステムでは、能力を配置したい方法に応じて、能力に照準を合わせたり回転させたりできます。ある能力では、手首を軽く動かして投げると閃光を放つ発射物を曲げられます。また、持ち方によって、銃弾をブロックしたりその方向を変化させたりするシールドの能力もあります。発売時には、18 の異なるスキルと、6 つのユニークなヒーローのアイテムが利用できます。こうした能力の多くは、VR 空間での利用に対応しています。

ゲームのストーリーでは、ヒーローは全員が異なる FPS シリーズの出身です。ヒーローが全員異なるゲームの出身と感じさせる一方で、一貫性あるアート スタイルにどのようにしてたどり着いたのかを教えていただけますか?

Berg 氏:
X8 の物語は、人気のあるゲーム エンジンの歴史に由来するもので、このエンジンは、前世紀の終わりに Unreal Engine と同じ頃に登場したものです。この「X8 Engine」は開発者の支持を集めますが、Unreal Engine とは異なり、最終的には利用されなくなります。数十年後、X8 Engine は、感覚を持つエンティティとして進化を遂げ、交流を強く求めるようになります。

そして、X8 Engine を使用して作成されたゲームからキャラクターを呼び寄せて互いに競わせるようになり、キャラクターがそれぞれの世界に戻ってゲームを再稼働させるためにエンジンからデータを抽出するよう強制します。過去の有名なファーストパーソン シューターやサードパーソン シューターに敬意を示すため、さまざまなゲーム ジャンルからアイデアの要素を得て、それらをヒーローの作成プロセスに組み込みました。

アート スタイルについては一貫性を優先し、異質なスタイルを使わないように決定しました。元のエンジンに戻ってから各キャラクターの外見がどのように均一化されたのかを説明する背後のストーリーを作成したのです。物語のこの要素は、キャラクターを X8 の世界にシームレスに適合させる上で役立ちました。

各キャラクターが異なるゲームに属する感じを出すため、初期にはそれぞれにいくつかの開発フェーズを模索し、さまざまなジャンルのタイトルからアイデアを引き出しました。次に、単独で魅力を備える個々のゲームとして機能する前提や背後のストーリーを作成しました。これについては、今後さらに模索を行う予定です。全体として、キャラクター デザインや背後のストーリーへのアプローチによって、プレイヤーにはユニークかつ没入型の体験を提供できると考えています。
Image courtesy of Thirdverse, Co., Ltd.
VR が従来のシューターのレベル デザインを変化させる方法はあると思いますか?

Berg 氏:
確かなこととして、プレイヤーは自身がゲームの世界の中にいると感じているため、通路が狭くなっても従来のゲームほど閉所の恐怖を感じにくくなるでしょう。長い距離の射撃を成功させるのは難しくなるため、戦闘は管理できる範囲内に維持するようにしています。自由落下は気分が悪くなる可能性があるため、最小限になるようにしています。とはいうものの、プレイヤーがその状態に慣れたら、今後はこれ以上のものを実装する可能性もあります。

X8 のチームが最終的に 5 人のチームになった理由を説明していただけますか?

Berg 氏:
特定のマップで従来の 2 つの目標を使用して進めていく中で、これよりも少ない人数だとラウンドの終了が早くなりすぎると感じたのです。どちらを攻撃し、チームをどのように分けるかを決定する際の戦略性が低くなり、守備がしにくくなりました。また、存在するヒーローの数や能力の組み合わせによって、マップ上のプレイヤーや能力が少ないと面白味がなくなります。ゲームプレイでオーバーロードを避けながら、シーン、ラウンドの長さ、戦略において発生する事柄を踏まえると、5 人のプレイヤーが最適な数だと感じました。

ヒーローの能力、さまざまな武器、固有のロードアウトを作成するプレイヤーのオプションがある中で、チームではバランスを取るためにどのようなアプローチを行ったのですか?

Berg 氏:
他のシューターでプレイヤーとしてランクが高い数人のデベロッパーが内部でゲームをプレイしました。それ以外にも、プロの E スポーツの VR プレイヤーに評価を依頼し、ゲームをプレイした感想や、どのような期待を持ったか、能力についてどのような感想を持ったかなどをフィードバックしてもらいました。かなり長い時間をかけて、クローズド ベータのコミュニティによって共有されたフィードバックを分析し、ゲームのバランス調整を行う業界のベテランを武器のコンサルタントとして採用し、機能を追加したりマップが完成したりするたびに複数回のイテレーションを行いました。

特に強調したいヒーローや能力はありますか?

Berg 氏:
チームメイトを回復させ、サポートすることができるので、優れたバイオテクノロジー発明家のサライがお気に入りです。サライの「アルティメット」能力は、デプロイ可能な [エフェクト エリア] であり、ハンド スロットの形式でチームメイトに渡すことができます。これは、エフェクト エリア内の全員のダメージに対する抵抗力を向上させます。守備のアルティメットや、守備のパイロン、回復のヒーロー アイテムなどがある中で、傷を負わずにやりすごすことが非常に難しい敵のディフェンダーやアタッカーに対して、彼女自身が信じられないほどのサポート能力を発揮するキャラクターとなります。
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今後のベータで予定されている最初のゲーム モードはエクストラポレーター モードで、このモードではアタッカーが装置を配置し、ディフェンダーがデプロイを阻止しようとします。競い合うマルチプレイヤーの基礎として、このモードに決定したのはなぜですか?

Berg 氏:
Counter-Strike: Global OffensiveVALORANT などで見られるように、デモリション ゲーム モードは人気がある形式のゲーム プレイであり、適切なものです。幅広い戦略性、効率性の管理、高いリプレイ性を備えています。ラウンドの内容が同じになることは一切ありません。ヒーローの能力と VR のゲームプレイの汎用性を取り込むことで、アクション満載のアドレナリンが出る組み合わせができました。

Thirdverse, Co., Ltd. が VR ゲームに特化してきたことを考慮し、ALTAIR BREAKERソード・オブ・ガルガンチュア などの VR ゲームの開発からチームが学び、X8 の制作に活かしたことはありましたか?

大野木氏:
当スタジオのチームには、VR ゲームの開発において豊富な経験があります。また、その知識を X8 に活用することができました。日本と米国のスタジオが連携し、過去の VR ゲーム開発の経験を元に制作を行っています。この協力を通じて、マルチプレイヤー システムの実装が簡単だということがわかりました。また、成功にはプレイヤーの体験と維持が非常に重要な要素であることを学びました。また、プレイヤーにより多くの選択肢やオプションを提供することで全体的な体験が向上することも知りました。さらに、この考え方を X8 の設計にも組み込んでいます。

ソード・オブ・ガルガンチュアALTAIR BREAKER の両方でクロスプレイが提供されていることを踏まえると、X8 でもクロスプレイが提供されるのでしょうか?

大野木氏:
はい。Meta Quest、PC の VR、PlayStation®VR2 でまずクロスプレイを提供する予定で、その他については取り組みを行っているところです。

スタジオのモットーは、「誰よりも早く挑戦し、誰よりも早く失敗し、誰よりも早く復活する」ことであると述べられています。この企業哲学について、詳しく教えていただけますか?

大野木氏:
新しいテクノロジーが次々と登場する環境、およびそのマーケットの中で、当スタジオはスタートアップ企業として早期に経験を積むことが勝利の鍵になると強く信じています。スタートアップにとっては、スピードだけが大手企業に対抗する推進力となります。Thirdverse は実験的な試みを恐れません。また、何が起きても常に「次善の策」を取るように努めています。これこそが当スタジオにとってのビデオ ゲーム制作のエッセンスであり、それは成功を保証することだけを主眼に置くのではなく、本当に楽しいことを探すことなのです。成功は、その単なる副産物として得られるものです。
Image courtesy of Thirdverse, Co., Ltd.
Thirdverse, Co., Ltd. は VR に焦点を合わせたゲーム デベロッパーとしては日本で最大と言えますが、どのような理由から VR に取り組むようになったのでしょうか?

大野木氏:
当社のビジョンは、有名な映画の Ready Player One で描かれているような、完全にリアルな仮想社会を VR 内に創造することです。この野心に満ちた目標を達成するため、当社すべての VR プロジェクトで基礎となる包括的なテクニカル アーキテクチャを開発しました。このアーキテクチャの主要要素を各ゲームに組み込むことで、プレイヤーが真に没入できる仮想社会を実現するという究極のビジョン達成に向けて、前進することができます。

日本の VR 開発の現状について説明していただけますか?

大野木氏:
現状では、日本の VR 開発は VR プロジェクトに特化して取り組むスタートアップがまだその大部分を占めています。しかし、大規模な企業が既存の知的財産を活用して VR ゲームの制作を開始すれば、日本の VR マーケットは大幅に成長すると考えています。そうなれば、スタートアップが獲得してきた VR テクノロジーの専門技術と知識がそうした大規模企業にとって貴重になるはずであり、最終的にはそれが VR 業界のさらなるイノベーションや成長につながるでしょう。

なぜ Unreal Engine が X8 に適していたのですか?

Berg 氏:
当スタジオのデベロッパーの多くは、Fortnite が登場する前の Unreal Engine 3.17 以前から利用しているので、エンジンの成長とともに自分たちも成長してきました。Unreal Engine のゲームプレイ アビリティ システム は、プレイヤーが利用できるヒーローの能力やアイテムの数を管理する上で非常に役立つため、詳しい知識を習得しました。

Unreal Engine ツールの中で、X8 の開発にとりわけ役立ったものはありますか?

Berg 氏:
厳密にはツールではありませんが、エンジンのソース コードが最も役立つ部分でした。 

とはいうものの、メッシュ結合関数や CVar など、ビルトイン最適化ツールの多くが品質設定の調整や、各プラットフォームのチューニングを行うための多数のノブやダイヤルを搭載しており、多数の機能がありました。Unreal Insights は、ゲームのボトルネックを迅速に見つけるのに役立ちました。また、Reference Viewer は、さまざまなプラットフォームで依存関係、メモリ消費、およびシェーダー ビュー モード (Vulkan、Desktop Shader Model 5) を絞り込むのに役立ちました。そして、何よりもブループリントがデザイナ、サウンド エンジニア、UI、およびアートにとって強力なツールとなっています。

Sessions は、テスト用のオンライン マルチプレイヤー環境の設定に、また先ほど述べたとおり、ゲーム全体の基盤がゲーム アビリティ システムであるため役立ちました。Niagara は VFX に非常に便利で、PlayFab プラグインはマルチプレイヤーや統計のシステムに役立ちました。

お時間をいただきありがとうございました。X8 の詳細は、どこで確認できますか?

Berg 氏:
X8 の詳細については、公式 Twitter アカウント公式 Discord サーバー、および公式ウェブサイトでご覧いただけます。

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