2016年4月21日

Paranormal Activity VR が恐怖の新たな高みを目指す

作成 Daniel Kayser

将来の恐怖はどんなものになるでしょうか? 恐怖という感情は、「不快」なものであり、「誰か、もしくは何かが危険であるという考えによってもたらされる」もので、痛みや恐れを生じうるものとして一般的に表現されます。これは常に人類の存在の一部でしたが、実際の危険を何としてでも避けようとする一方で、恐怖のスリルを求めるファンはこの感情を受け入れて、絶えず次の大きな刺激を求めています。

恐怖は様々な形をとりますが、これまで多様なメディアがホラー市場に入りこんでいます。文学、映画、もちろんゲームも含めて恐ろしいゾクゾクする体験が生み出されています。仮想現実 (VR) の時代がやってきましたが、VR という新しいメディアが引き起こす恐怖のレベルは、それ以前に存在していたあらゆるメディアを超えるものだと感じざるをえません。結局、恐怖は非常に個人的なものであるため、VR が実現する類を見ない没入感によって恐怖感が増し、ご覧になってわかるように求めていた刺激に対して大げさな反応を引き起こします。

VR が普及するまでにはまだやるべきことがありますが、特定の体験をすることでリッチな没入感がリアルであると人々を納得させてきました。Paranormal Activity VR は、ここのところパーソナルな恐怖体験とクチコミで広がる映像を生み出してきました。このゲームは同名の映画をベースにしたもので、恐怖の概念を新たな高みに引き上げました。

最近、VRwerx の共同経営パートナーである Alex Barder 氏と Russell Naftal 氏と話をする機会がありました。UE4 を利用して、Paramount Pictures の映画をベースに勇気を持って挑んだプレイヤーの背筋を凍らせるような VR 版 Paranormal Activity の制作背景を語ってくれました。

これまで、映像の世界で成功したものを新興のインタラクティブ エンターテイメントのプラットフォームに取り入れることには限界があり、必ずしもよい結果にはなりませんでした。IP として Paranormal Activity は映像とゲームという二つの世界でユニークな体験を創り出すという機会に恵まれました。VR を使ってどのように過去の障害を乗り越えて二つのメディアを融合し、新しいエキサイティングな体験を生み出しましたか?

Paranormal Activity VR ゲームを制作する我々のアプローチは、過去の多くの映画ヒット作をベースにしたゲーム制作のアプローチとは根本的に異なります。特定の映画のプロットから始めるのではなく、一歩離れて映画の元になっている神話や宇宙の世界観に目を向けます。映画のプロットではなく、その神話の中でユニークな物語を作ることを目指します。プレイヤーは既に映画を観ているため、完全に VR 向けにデザインされた全く新しい物語にすべきだと考えています。圧倒的に没入感のある VR によって、プレイヤーは映画ではできなかった新たな方法でその世界を体験することができます。 

VR 分野ではどちらかというとパイオニア的存在になりつつありますが、真に没入感のある体験を VR のレンズを通して生み出すうえで重要な教訓があればお話いただけますか?

我々が学んだのは、これまでのプラットフォームとは全く異なるものとして VR を扱わなければならないということです。皮肉なことに、最高レベルの VR 体験を制作するうえで大切なことは、VR の中にいるという事実を忘れるということなんです。VR 体験から技術的な障害を取り除くことに努め、実際にそこにいると信じ込ませる究極の没入感をプレイヤーに与える仲介をします。 

ライフスパンを通して Paranormal Activity VR 体験はどのように進化してきましたか?

ゲームは絶えず進化しています。ゲームのデモ バージョンを世界中の人々に向けて公開して以来、 恐怖の仕組みや技術だけでなく、没入感のある環境で人々がどのように体を動かすかについても多くのことを学びました。プレイヤーがゲーム コントローラーとどのようにインタラクションするか、さらにゲームのメカニクスについても学びました。プレイヤーからのフィードバックは非常に有意義なもので、注意深くそれをゲームに組み込みました。

GDC VR Lounge で実際に体験できましたが、Paranormal Activity は大人気ですよね。チームはプロジェクトのこうした側面を利用して認知度を挙げながら、昔ながらの楽しみをどのように生み出したのでしょう?

作品自体に委ねましたが、一般の方々、プレイヤー、そしてメディアの反応が素晴らしく良かったことを非常に嬉しく思います。とても興味深かったのは、VR は HMD を装着している間だけの体験ではないということです。プレイ中の人を観るのも同じくらい楽しいんです。人々は友達がプレイしている様子をソーシャル メディアで共有するのを楽しんでいます。

GDC 中の Paranormal Activity に対する一般的な反応はどのようなものでしたか?

叫び声をあげる人が沢山いましたし、恐怖から HMD を外したりコントローラーを投げ出す人もいました。一方でもう一回プレイしたいと病みつきになる人もいました。

ゲームプレイの観点からいうと、VR にはホラーとホラー サバイバルのゲーム ジャンルを全く新しいレベルに引き上げる可能性があります。VR のレンズを通してインタラクティブなホラーはどのように進化するとお考えですか?

VR は誰も想像できなかったレベルを超えたホラーのストーリーテリングを実現するプラットフォームとして考えています。VR の道具箱を使うと、ディープでパーソナルなやり方でプレイヤーと関わることができます。こうしたことは映画という受け身な体験では不可能なことです。デモは恐ろしいものでしたが楽しい面もたくさんありました。実際にゲームをプレイしていただくのが待ちきれません。すごい迫力でぶちのめされること間違いなしです。

Paranormal Activity VR では、ルーム スケールの探検など HTC Vive のユニークな機能を利用していますが、他の主要 VR プラットフォームでもこの体験ができます。アンリアル エンジン 4 (UE4) を使用して、どのように複数ハードウェア デバイスに対して複数のビルドをシームレスに開発することができましたか?

UE4 は非常に直観的で包括的なものです。すべてのプラットフォーム全体の開発を極めて効率的に行いながらストーリーテリングに焦点をあてることができます。どの VR プラットフォームを選んでもプレイヤーが一貫して素晴らしい体験ができるようにします。

複数デバイスの VR 体験を実現する以外に、UE4 は Paranormal Activity VR 体験のビジョンをいかに生き生きとしたものにしましたか?

UE4 は最高レベルのフォトリアル体験を与えてくれるため、我々がゲームで目指す完全な没入感を実現できます。

GDC 2016 では、アンリアル エンジンの VR エディタ機能が発表されました。VR 内で VR 体験を作成し、編集する機能は、開発プロセスにどのような影響を及ぼすと思いますか?

実際に VR 内で VR 体験を制作し、編集できるということに非常にワクワクしています。まさに大変革をもたらすと思います。この機能によって開発プロセスの効率が非常に高まり、はるかに直観的なものになります。 

VR ベンチャーを目指す他のデベロッパーに UE4 を勧める理由をお話しいただけませんか?

もしもフォトリアル環境に加えて使いやすく、高度なツールセット、直観的な VR コントロールをお求めならば、当然 UE4 がソリューションになるでしょう。

VR 体験として Paranormal Activity の今後のプランについてお聞かせください?

GDC で披露したものは実際のプレアルファのゲームプレイの一部にすぎません。Paranormal Activity VR ゲームは HTC Vive、Oculus、PSVR 対応の AAA ゲームです。3 時間のストーリーラインと 8 時間から 10 時間程度のゲームプレイがあり、2016 年の夏にローンチ予定です。ファンの皆さんに向けて出来る限り最高の強烈な恐怖体験を作り出すために一生懸命取り組んでいます。

本日はお時間を割いていただきありがとうございます。 Paranormal Activity VR をいつ、どのように利用できるか、また最新情報の入手先を教えていただけますか?

このゲームのことをもっと知りたい場合は、弊社の www.pavrgame.com または Facebook ページ www.facebook.com/pavrgame をご覧ください。

[編集者注] GDC 2016 の参加者がどのようにゲームにはまったかについては、以下でそのリアクションについて IGN の Marty Sliva が Mitch Dyer と語っている様子をご覧ください。