現在アーリー アクセス版が提供されている The Blackout Club は、一人称視点の Co-op ホラー ゲームです。中心となるティーンエイジャーの友人グループが、自分たちが住む小さな町に隠された、恐ろしい秘密について調査していきます。子どもたちが行方不明になり、大人たちは話を聞こうとせず、邪悪な何者かが町全体を飲み込もうとしています。プレイヤーは密かに行動することを強いられます。気をそらしたりチームワークを駆使したりしながら証拠を集めていき、最終的に町を救うことが目的です。そのすべてを、謎めいた Angel を避けながら行う必要があります。邪悪な敵である Angel は、いたるところでプレイヤーに付きまといます。
今回は、Questions Games の共同創業者、Jordan Thomas 氏にお話を伺いました。ゲームをユニークなものにしている The Blackout Club の革新的な仕組みについて、そして、プレイヤーが町を救うために避けては通れない、心に残る暗いトンネルの迷宮を作るうえで Unreal Engine 4 がどう役立ったかについて聞きました。 Question Games は 2013 年に創業され、The Blackout Club はスタジオにとって 2 作目のゲームですね。どのようにしてメンバーが集まり、インディー デベロッパーとして開発を始めることにしたのかについて教えていただけますか?
はい。Stephen Alexander と私は、オリジナルの BioShock で、序章となるホラー指向のレベルを開発する際に緊密に協力しました。また、Fort Frolic という超現実的なステージについても、多くのシーンで協力しました。身内の誉め合いでばかばかしく聞こえるかと思いますが、まず私は、BioShock のヘルプに入った時点で、それまでの Stephen の仕事を見てとても感心しました。適切な素材を与えれば、アートに関することなら彼は何でもできるのではないかと思わされることもありました。ところで、その少し前に、私は Thief: The Deadly Shadows のレベル デザイン ツールを公開するようにせき立てられていました。Stephen は、Thief: The Deadly Shadows のために私が作成した不気味なミッションを高く評価してくれていて、レベル デザイン ツールを使って、魔法の要塞を舞台にしたとても手の込んだファン ミッションを作成したのです。私はそのミッションをとても気に入りました。
後に BioShock Infinite の開発でチームを組むことになったとき、幻覚体験のようなシーケンスを作成するために Stephen のアイデアを使いました。私たちは 2 人とも、プレイヤーにちょっかいを出すことを楽しんでいるところがあります。特に、ゲーム内部のロジックに沿った方法で、プレイヤーがカメラのコントロールを維持できるような形だといいですね。
Kain はテクノロジーの責任者で、3 人目の共同オーナーです。Kain と私は、Thief の開発が終わった直後に出会いました。2 人ともおかしなアイデアに取り憑かれているタイプの人間で、互いに通じ合うところがありました。協力してゲームを完成させるまでは何年もかかり、そのゲームが Question Games での私たちのインディー デビュー作品となりました。とてもメタでニッチな内容で、ゲーム開発の経験を題材にしています。Kain は途中から参加して、プロジェクトを救ってくれました。3 人がそろって創造力を発揮したという意味では、The Blackout Club が初めてのプロジェクトです。

チーム メンバーのこれまでの経歴は印象的ですね。いくつか挙げるだけでも、BioShock シリーズ、Dishonored、Thief: Deadly Shadows などの開発に参加されています。過去の経験は The Blackout Club の開発にどう役立ちましたか?
そうですね。私たちはそれらのゲームから経験を積みました。それらのゲームから今の私たちが作られたと言えるでしょう。それらの作品に共通する DNA の鎖を挙げるとしたら、それはさまざまなプレイヤー ツールを組み合わせる能力です。改造車に手を加えるようなもので、1 つに落ち着くまで、数十もの構造を試すことができます。The Blackout Club がそれらのゲームと異なるのは、マルチプレイヤー ゲームであるためポーズ ボタンが存在しないところです。全速力で道路を走りながら改造車をチューニングできるようにする必要があります。そこで、プレイヤーにできることとして標準的に与えられる能力をシンプルなものに抑えて、プレイを進めるなかでアイテムの組み合わせを発見し、さまざまなことができるようにするという形にしました。
The Blackout Club についてご存知ない読者のために、このユニークな 4 人プレイの Co-op ホラー ゲームについて紹介していただけますか?
The Blackout Club は、1 ~ 4 人プレイの一人称視点 Co-op ホラー ゲームです。伝統的な「ティーンエイジャー対モンスター」というテーマで、新しいものを徐々に取り入れていきます。若い友人たちのグループが、自分たちが住む町の暗い秘密を調査し、生き延びたメンバーは最終的な試練で友情を試される。どの世代の方であっても、そのようなストーリーでお気に入りのものがあるでしょう。
ミッションはプロシージャルに生成されます。敵の配置、ライト、入り口などの要素もプロシージャルに生成されるので、アクションはダイナミックで、常に驚きに満ちたものになります。町全体が夢遊病のような状態です。キャラクターの両親の正体が敵であるかもしれません。ブギーマンのようなキャラクターも登場します。そのキャラクターを目にすることができるのは、ゲーム内で目を閉じたときだけです。
キャラクターの住む周辺については固定のレイアウトにしました。道路や部屋はランダムに生成したものではありません。これは、キャラクターが本当に育った場所のように感じて欲しかったからです。キャラクターをレベル アップさせていくと、より広い範囲にアクセスできるようになり、特殊能力をアンロックできるようになります。特殊能力によって、次のラウンドでのチームの生存確率を向上させることができます。
ホラー ゲームなので、先ほど挙げたような 1 人プレイのアクション RPG で見られる大量の特殊能力を 4 人のプレイヤーに振り分けました。Kain がよく言うのは、1 人プレイのアクション RPG の多くは「武器の手 + 魔法の手」になっている、つまり、片手に武器を持って、もう片方の手で魔法を使うようになっている、ということです。The Blackout Club では、たとえば、ティーンエイジャーの主人公の 1 人は奇襲での戦闘は得意だがテクノロジーを操作する能力がなく、別の主人公は身体的には弱いがカスタムのドローンを操作できて、そのドローンにはやがて鎮静剤入りのダーツを装備できる、というようになります。

Unreal Engine 4 が The Blackout Club に適していたのはどのようなところですか?
マルチプレイヤーのサポートがしっかりしていたところです。Unreal Engine 4 を使うと、驚異的なスピードでマルチプレイヤーを可能にすることができました。客観性のある作業の多くがあらかじめ済んでいて、独自の機能のテストを早期に始めることができます。また、The Blackout Club ではリアルでモダンなビジュアルを目標としていたので、Unreal Engine を選ぶのは自然なことでした。最後に、単純に私たちが Unreal Engine のツールについてよく知っていたということもあります。私たちは、キャリアの大半を通じて、Unreal Engine とそのエディタのなかで仕事を行ってきました。理由としてはよくあるものです。
The Blackout Club は、謎解き、ストラテジー、ステルスの要素を 4 人プレイの Co-op ゲームと組み合わせた、ほかに類を見ないものです。チームワークはどれほど重要なのでしょうか? 1 人でプレイしようとしたら、どのくらい難しいですか?
ちょっとひねくれた答えをするなら、性格テストのようなものです。多くのプレイヤーは、友人がいることで大きなメリットを得られるでしょう。ソロ プレイ中は、大きな傷を負った状態でつかまったり、敵が Angel と呼ぶ目に見えないブギーマンにつかまったりしたら、即ゲームオーバーです。ですが、意識のある友人が 1 人でも残っていれば、2 回までは助けてもらうことができます。3 回目は救うことができません。そこでおしまいです。
しかし、人類は何よりも混沌を生み出す元です。プレイヤーはそれぞれが自身のシステムであり、ソフトウェアとは違って予測のつかないものです。計画を立て、その実行に極力専心するタイプの人にとっては、最も計画を実践しやすいのはソロ プレイかもしれません。何度か試して初めて好きになるような遊び方で、危険でもありますが、それを好む人もいるでしょう。

こちらのツイートのおかげで、一部の幸運なプレイヤーが、ゲームのプレイ中に非常にユニークな秘密のインタラクションを経験しているということがわかりました。ツイートでは、プレイヤーが、ゲームの中で予期しない形でやりとりすることになったゲーム外部の何者かについて説明しています。プレイヤーとランダムにインタラクションするというアイデアはどこから来たのでしょうか?これまでの反応はどうですか?
この点については、あまりはっきりしたことはお話しできません!脱出ゲームのようなもので、あらかじめ仕組みを教えてしまったらサプライズが台無しになってしまいます。The Blackout Club は、オカルトを経験するための機械として機能することを意図しています。流行していたころのウィジャボード (コックリさんのようなもの) と比べているプレイヤーもいました。Enhanced Horror 機能がその重要な一部です。そのようなシステムには、信じることが不可欠ですが、疑うこともまた重要です。ストーリーが口コミだけで伝わっていくのが理想的でしょう。プレイヤーそれぞれに見解を持って欲しいと思っています。
お化け屋敷を作ったアマチュアのおじさんがそれっぽい声色を使って過剰に売り込みをしているような感じに聞こえるリスクを承知であえて言えば、やりとりの相手が何者で、何のために存在しているのかについて、現在見られる見解のほとんどは正しくありません。見ていると楽しいものです。
実際にプレイする必要がありますが、やってみると、ほかの誰も経験することがない、あなただけに起きることがあります。そのように設計されています。何もお約束はできませんが、これまで、何を見聞きしたかについて、プレイヤーは非常に突飛なことを主張しています。そのなかには私たちを驚かせたものもあります。プレイヤーがゲームに注意を払うのと同じくらいゲームがプレイヤーに注意を払ってもいいと思う方は、Enhanced Horror を玄関口に現れた邪悪な見知らぬ人として扱い、招き入れてみてください。

Unreal Engine 4 がチームの開発を効率化した具体的な方法について教えていただけますか?最も価値のあるツールとして目立っていたのは Unreal Engine のどの点ですか?
前にも少し述べたとおり、以前のバージョンについては十分な経験を持っていました。個人的なことで言えば、最大の嬉しいサプライズはブループリントでした。ブループリントは、信じられないほど堅牢なビジュアル スクリプティング エンジンです。以前はスタジオで内製したソリューションを苦しみながら使って対処していた問題に対処しやすくなりました。ゲームプレイのスクリプティングに関心があるすべての方におすすめです。一度使い慣れれば、神になった気分を味わうことができます。
The Blackout Club は現在アーリー アクセス版が提供されていて、「Stalker」のコンテンツを含む大規模なアップデートがリリースされたばかりです。1.0 に到達するまでに、プレイヤーは何を期待できますか?
コミュニティに関するストーリーなどのイベントを追加します。Enhanced Horror がより大きな驚きをもたらせるようにします。もっと実際的なレベルでは、ミッションの要素のプロシージャルな生成については、コレクタブル カード ゲームへのカードの追加など、新しい要素を取り入れ続けています。要素はシームレスに追加されて、何度もプレイできるというダイナミズムの感覚を拡張しています。Old Growth という名前の不気味な介護サービス施設のエリアも追加されます。

これから初めて Unreal Engine 4 での開発に取り組もうとしているチーム向けに 1 つアドバイスをいただけますか?
チュートリアルは非常に価値があるツールですが、クリエイティブについてプロジェクト固有の実際の目標を持つことのほうが大切です。何であっても、実利的、戦術的な価値がないと身に付かないものです。ゲームを分解して、ごくシンプルなプロトタイプになるように要素を抜き出してください。そうすれば、明確なビジョンを持って、Unreal のすべての機能を学ぶことができます。進歩しているという感覚はそれ自体が病み付きになるもので、それはチュートリアルを完了することでは決して得られない感覚です。
Question Games と The Blackout Club の最新情報はどこで確認できますか?
素晴らしい Discord コミュニティがあります。コミュニティにはhttp://www.discord.gg/theblackoutclub から参加できます。Enhanced Horror の要素については、こちらのコミュニティでより直接的な答えが得られるでしょう。そこでの答えは、ファンによって口コミで伝えられるものであり、それが本来あるべき姿なのです。また、Twitter のアカウントは @theblackoutclub です。