ROCKFISH Games は、スペースコンバット シューティングゲームの制作ならお手の物です。CEO であり共同創設者でもある Michael Schade 氏を始めとするスタジオメンバーのほとんどは、モバイル ゲームの限界を塗り替えた、あの受賞作品 Galaxy On Fire シリーズの元制作メンバーです。
クラウドファンディング キャンペーンで目標額の 2 倍を見事に達成した ROCKFISH Games は、ローグライクなストーリーをぎりぎりまで展開しつつ、PC 上でのスペースコンバットシューティング シーンに旋風を起こそうとしています。
EVERSPACE は、リアリズムを重視した従来のシムとは違って、高速移動と超大型 FX 満載の大胆なアーケード風アクション ゲームといったところです。ただし、ストーリーやクラフト機能といった部分も大切にしているので、武器が火を噴く単なる戦闘もの以上の作品に仕上がっています。
このジャンルにこめた思い、EVERSPACE でプレイする際の様々なメカニクス、そして宇宙のレベル デザインが思った以上にややこしくなる理由を Schade が語ってくれました。彼のゲームへの情熱をとくと感じ取ってください。
EVERSPACE はどのようにひらめいたのでしょうか ?
MS:この数年間、ローグライクなエレメントをもつゲームをいろいろプレイして、このジャンルにのめりこんでいきました。中でも我々が気に入ったゲームは、FTL、Rogue Legacy、The Binding of Isaac です。最近のローグライク ゲームはレトロなグラフィックスの 2D ゲームがほとんどなので、ローグライクなエレメントと綺麗な 3D ビジュアルを組み合わせて新しい土台を作ってみてはどうかと思いました。
他の宇宙ゲームの中でも一際目立つローグライクな Galaxy On Fire シリーズを担当したメンバーで構成されたチームだったので、テーマは当然宇宙ものを選びました。マウスとキーボードが正しく操作でき、アーケードゲームのようにお手軽感覚で楽しめるスペースゲームは、Freelancer 以降ないようにも思っていました。
かつてはダンジョン ゲームの特殊版と思われていた「ローグライク ゲーム」は、いまや一般的なデザインとして受け入れれるようになりました。これについてはどのようにお考えですか?
MS:最も重要な事は、ランダムなエレメント、もしくはプロシージャルな生成を通じてローグライク ゲームに高い再プレイ性を与えることだと思います。プレイヤーは次に何が起こるか予想だにできず、思いがけない障害が立ちはだかった時、創造的かつ瞬時に対応する必要があります。ローグライクはほとんどの場合、永久進化ではないので、プレイヤーはゲームの仕組みを徐々に学び技術を習得することで、腕をあげていきます。
EVERSPACE では、死は失敗の最終的な結果ではなく、プレイヤーの進化の一部と考えられています。これについてはいかがでしょうか?
MS:ゲームの中で何度も死ぬたびに、プレイヤーにいらいらしてもらいたくないのです。もちろんプレイヤーはミスから学んで徐々に腕を上げていきますが、直近のプレイでゲットしたクレジットを使って死の直後に永久アップグレードを購入可能にすることで、一層の進化を感じてもらいたいのです。死んだ直後に「さあ、もう 1 度」という気持ちになった人の中には、宇宙船を強化する人もいれば、すべての新機能のロックをすべて解除する人もいます。
このような仕組みによって、プレイヤーの強くなりすぎを防ぐ工夫などされていますか?また、それでもなぜプレイヤーは死なないようにするのでしょうか?
MS:見事にゲームをクリアして新記録を作ろう、とか、たくさんクレジットを集めていつもよりも高価なアップグレードのロックを解除しよう、とか、プレイヤーは行けるところまで自然に頑張る気になります。ランダムな仕組みにしているので、うっかりして失敗することが多くなります。何度もアップグレードを経験しているベテランのプレイヤーですら、1発でゲームを終了することは難しいのではないかと思います。技術も十分にあるパワフルなプレイヤーであれば、難度の高い次のレベルを選ぶでしょうし。さらに我々は、恒久的な死だけでなく、いろいろなルールを選択可能にしてさらに課題を増やして、さらに面白くした特別ハードコア版を計画しています。
プレイヤーが宇宙船をカスタマイズする方法、それがプレイ形式に及ぼす影響について説明してください。
MS:正しいブループリントを見つけたら (永久進歩の一部として保持可能)、必要なリソースがそろったところで実行中にいつでも好きな装備を作ることができます。ただし、ゲームの重要な要素は探索、そして装備の使用戦略です。プレイスタイルをいろいろ試して、その状況に適したデバイス、消耗品、武器を見つけていきます。
例えば、インストールしておくとすべての武器の能力を格段に高めるデバイスの場合、攻撃型のプレイスタイルを推奨するデバイスなので盾は永久に取り払われます。クロークやテレポーター、長距離武器などのデバイスは、戦闘を避け、リソースの収集に重点を置いています。宇宙船を 2 台、およびプリランのカスタマイズ オプションを追加して、プレイスタイルの幅を広げたいと思っています。これらはまだ計画段階です。
ストーリーテリングにもかなり重点を置いていますよね。ローグライクのデザインとの絡みはいかがでしょうか?
MS:ローグライク ゲームには、集結する物語ではなく、ナラティブなコンテキストのみ付ける場合が多いです。その理由の 1 つは、ランダム化をたくさん使用して、絶えず最初から始めなければいけないことです。成功させるのはかなり難しいです。そこで我々は、プレイヤーが何度死んでしまっても、自然な形で物語の流れに統合できる方法を見つけたのです。プレイヤーは、各々が何かしら物語を持っている別のキャラクターと出会います。中には物語の主要な部分に関連するキャラクターもいます。そしてプレイヤーは徐々に自身の存在の秘密を解き明かしていくのです。死ぬたびに一層鮮明になってきます。
既に Galaxy on Fire モバイル ゲームを他のチームのメンバーと作成しているので、これが初めてのスペースコンバット ゲームではありませんが、開発がモバイルから PC に変わったという点ではいかがでしたか?
MS:モバイル マーケットは PC とは全く異なります。タイトルのほとんどは無料プレイで、マネタイズ デザインを実際のゲーム デザインと同じレベルに入れなければなりませんので、妥協する結果になることが多いです。チーム メンバーは、自分達がプレイしたくなるゲームを作りたかったのです。それが、1 回払えば永久にプレイできるスペースコンバット ゲームだったのです。それが背中を押された大きな要因ですね。あともう 1 つは、技術面での制限を取り払うことでした。モバイル プラットフォームはとてつもなくパワフルになっているのに、小画面での制御と UI には常に制限が付きものです。創造性と決断力のみに依存するゲームを作ることは、信頼できるエンジンと組み合わせて、作業工数を減らし、ゲームに特化したタスクに集中し、そして私達の (いや、おそらくすべてのゲーム デベロッパーが抱いている) 夢です。
EVERSPACE の作成にあたり、アンリアル エンジン 4 を採用した理由は何でしょうか?
MS:UE4 は非常にパワフルで使いやすいツールです。プロトタイピングと微調整にとても便利です。作業が速くなる上に、技術面での問題を最小限にしてくれるので、ゲーム ロジックに集中できます。グラフィック パワーも半端なかったので、我々のテクニカル リードは完全にパーティクル エフェクト狂になりました。
そういえば、EVERSPACE には FX が満載なので、強烈なビジュアルによる体験は確実ですよね。なぜこの部分を重視しましたか?
MS:リアルな宇宙シミュレーションとはまた違った、生き生きとした、躍動感のあるビジュアルで、アクション指向のゲームのフォーカスを強調したかったのです。このゲームの醍醐味は「リアルさではなくて、プレイして楽しめること」ということを、プレイヤーにすぐに理解してもらいたいのです。
宇宙の背景用のレベル デザインに関して、予期せぬ課題は何でしょうか?
MS:ランダム化を多く使っているので、ランダムな問題が起きやすいです。従って、ルールと制限は多すぎても少なすぎてもダメなので、バランスが非常に難しいです。探索と戦闘も、よいバランスで作ろうと思いました。重要なポイントと通常の位置を分ける距離、複雑度、背景の LOD、遭遇する敵の人数など、いろいろなことの調整に時間がかかりました。プレイヤーが途方に暮れてしまうような作りではダメですからね。6 DOF があり、基本的に空間もエンドレス、でもレベル ジオメトリはエントリーポイントの正面にある想像上のプレーン中に広がっています。これにより、いろいろ試してみることができるようにしました。
サウンド デザインについてお聞かせください。
MS:そこに見合った雰囲気、緊張感、ビジュアル FX を作り出すために、サウンドは必要不可欠です。ただし、ローグライクでのサウンドデザインはややこしいです。
1 回ごとの実行はユニークにしようとすると、完全にランダム化した時におかしな組み合わせが発生してしまう確率が高くなるため、静的なサウンドトラックが使えません。そこで、異なるサウンドに何かしら調節を加えてユニークなサウンドドラックを作成し、特別にプロシージャルに生成したものに結びつけたのです。
例えば、セクターごとに BGM を付けてプレイヤーにその場所の基本情報を与えます。脅威レベルが上昇すればするほど、それは印象的になります。同時に、それぞれの音は重要な点からくるので (戦場の墓場の不気味なメタルの軋みなど)、音楽と組み合わせるとその場所は特別で記憶すべき位置であることを定義しやすくなります。
もちろん、EVERSPACE の中で最も興奮する要素である戦闘部分のサウンドデザインは、全身全霊で打ち込みます。Dolby Surround 5.1 を使えば、飛んでくる発射物を避けたり、敵の武器を音だけで十分認識できるようになります。
EVERSPACE はまだ開発中ですが、現在利用できます。プレイヤーから驚きの声はありましたか?
MS:長時間プレイされている方が、もうかなり出現しているということで本当に驚きました。250 時間超えだなんて驚異的です。しかもゲームはまだ終わっていないんですよ!ゲームは非常に難しいですが、ゲームをリセットしてからスピードランをして、アップグレードを一切インストールせずに見事到達した人もいます。それが、こんなに早く起こるとは予想していませんでした。コミュニティは常に言葉が飛び交って非常にアクティブです。役立つ提案を既にたくさん頂きました。
EVERSPACE の情報はどこで見ることができますか?
MS:プレイヤーの宇宙船、難易度の選択、その他の調整や機能を追加したアップデートをリリースしたばかりです。年末あたりに 3 台目のプレイヤーの宇宙船が登場します。また、来年追加される物語の要素にも既に着手しています。フル リリースには、アニメートされたコックピットや前述のハードコア モードも含まれています。もちろん、 ユーザーのみなさんからのフィードバックを集めて、ゲームを調整します。
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