インタビュー

2025年4月8日

ソロ デベロッパーが UE5 を駆使して Lushfoil Photography Sim のビジョンを実現

Lushfoil Photography Sim

ゲーム

インタラクティブなエンターテインメントの優れた点の一つは、参加する体験のデザインが一次元である必要がないことです。本質的に、エンターテインメントや教育を目的として作成することも、またはその両方を融合することを目的として作成することもできます。 

ソロ デベロッパーの Matt Newell 氏が制作した Lushfoil Photography Sim は、写真撮影の初心者にも、経験豊富な写真家にも、没入感と楽しさだけでなく、インスピレーションや参考情報となる、きわめて魅力的な体験の機会を提供します。 

Lushfoil Photography Sim では、プレイヤーは見事に作り上げられた環境を気ままに歩き回って、探索し、機能満載のインゲーム カメラで息をのむほど美しい景観や風景を撮影することができます。このカメラには、実世界のプロ仕様の一眼レフ カメラに匹敵する豊富な設定が搭載されています。

アイデアを試して、クリエイティビティを発揮するキャンバスを作るために、Newell 氏は UE のウェブサイトのリソースを活用したり、UE のデベロッパー コミュニティに質問したりしながら、Unreal Engine を基礎から学習しました。 

その後、Newell 氏は Megascans などの Epic エコシステムの機能をフルに活用しながら、ディスタンス フィールド、コンタクト シャドウ、バーチャル テクスチャ などのさまざまな UE 機能を取り入れ、従来の制約の多いゲーム ルールに縛られることなく、好奇心を刺激し、満たす自由な体験を制作しました。 

先日、Newell 氏に、ご自身の経歴や Lushfoil Photography Sim のビジョンを実現したプロセスについて詳しく伺いました。
本日はよろしくお願いいたします! これまでのご経歴の概要を教えていただけますか?

Matt Newell 氏:オーストラリアのパースでコンピューター システム エンジニアリングを学び、3 年前に卒業しました。学生生活の終盤では、空き時間に Unreal Engine 関連のプロジェクトでフリーランスとして働いていました。UE の知識を蓄積し、幅広い分野の作業に取り組むことができたので、とても充実した日々を過ごすことができました。 

Lushfoil プロジェクトは、私自身が制作した私個人の作業とクライアント向けの作業の両方の成果です。また、Annapurna のサポートを得られたことで、あらゆる作業にさらに本格的に取り組むことができました。直近の 3 年間は、プロジェクトの完成に向けて、フルタイムでほぼ単独で集中して取り組んできました。
 

最初に Unreal Engine を学ぼうと考えたのはいつですか?またその理由についても教えてください。

Newell 氏:私は、高校時代に写真について勉強しました。若かったので、大きな影響を受けたのですが、カメラ、編集、カラー デザインについて多くのことを学ぶことができました。当時利用できたゲーム テクノロジーやビジュアルに刺激を受けて、数週間かけて Unreal Engine を学ぶことにしました。 

Unreal では、とても自由に環境を制作できると感じました。光、フレーミング、合成など、実世界の写真撮影では簡単には行えない作業も細かく調整することができたからです。Unreal と一緒に Cinema4D や Blender などの他の 3D ソフトウェアも検討しましたが、リアルタイム グラフィックスの方がはるかに魅力的でした (クライアントの納期に合わせてレンダリングを制作するときに圧倒的に効率的であることがわかったのです)。
 

Lushfoil Photography Sim のコンセプトは、何をきっかけにして生まれたのでしょうか?

Newell 氏:仕事や個人のプロジェクトで小さな UE 環境アート ポートフォリオを制作してきたので、私のハード ディスクには、さまざまなシーン、森林、実世界の場所を含む各種の Unreal プロジェクトが保存されていました。 

当時のウォーキング シミュレーター ゲームからインスピレーションを得て、いくつかの簡単な一人称視点のメカニクスを組み込み始めました。これには、私が制作した作品を体験するための新たな楽しい方法として、UE 提供のテンプレートを使用しました。  

私は、引き続きスクリーンショット ツール、目標、教育資料の追加など、体験をより楽しくするゲーム デザイン コンセプトとアイデアについて考えました。楽しく取り組めるなら、何でも追加しました。そのため、Lushfoil は、真に迫るリアルな環境を特徴とする、非常にオープンエンドなプロジェクトになりました。
A photo of a mountain in Lushfoil Photography Sim.
Images courtesy of Matt Newell (@lushfoil)
写真シミュレーションとして、写真撮影の初心者、経験豊富な写真家、またはその両方に受け入れてもらいたいと考えていますか?

Newell 氏:写真家であってもそうでなくても、あらゆる方に受け入れていただければと思います。カメラの設定や写真のエフェクトのシミュレーションで写真愛好家にも受け入れてもらえるように最大限努めてきましたが、写真撮影の本質は、写真を撮影して、大切にしていくことであり、このゲームではそういった体験を生み出せるように取り組みました。Lushfoil の価値は人それぞれだと思いますが、ゲームがどう受け止められるかに関係なく、プレイヤーの皆さんが、プレイ後に振り返ることができる素敵なスクリーンショットをたくさん作成できればと考えています。
 

カメラや、さまざまな設定を調整することで生じるエフェクトを正確に再現するために、どのような作業を行ったのでしょうか?

Newell 氏:画像が撮影される仕組みをシミュレートし、画像をフルにコントロールできる、一眼レフ カメラの一連の機能をシミュレートするように努めました。シャッター速度、絞り、ISO、ホワイトバランス、露出補正設定を調整できます。また、長時間露光エフェクトも搭載されています。これは、Unreal では初のエフェクトだと思います。 

カメラ システムは、シャッターが開いているときにフレームを正確に組み合わせて、きわめてリアルな光跡とモーション トレイル効果を生み出します。プレイヤーが最もよく使用していると考えられるのは一眼レフ カメラですが、2000 年代のデジタル カメラ、フィルム カメラ、テープ式のビデオ カメラ、そして最近見つけたビンテージ カメラをベースにした懐かしい撮影オプションも追加しました。
 

Lushfoil を体験することで、プレイヤーが実世界での写真撮影スキルを身に付けることができると思いますか?

Newell 氏:できると思います。スキル向上に役立つあらゆる側面を練習できます。写真撮影の知識が不足している部分を補いたい方のために、カメラの設定やテクニックに関するチュートリアルや説明をたくさんご用意しています。環境もとても広大ですので、プレイヤーは制限なくユニークなアングルや視点を見つけることができます。ただし、結局のところ、写真撮影が「うまい」かどうかは主観的なものであり、本当の上達とは、自分の写真に対する気持ち次第です。
A close-up photo of a pagoda in Lushfoil Photography Sim.
Images courtesy of Matt Newell (@lushfoil)
この体験ではプレイヤーはどのようなキャラクターとしてプレイしますか?また、主人公がこういった異国情緒あふれる場所を探索するきっかけとはどのようなものですか?

Newell 氏:私はいつも、Inside、Journey、Minecraft のようなコンテキストのないゲームを好んできました。本作でも同じで、目的やタスクはありますが、前提となる設定等はなく、プレイヤーの皆さんは自分自身としてプレイします。
 

ゲーム内の環境は驚くほどフォトリアルですね。 UE はこの環境の制作にどのように役立ちましたか?

Newell 氏:UE には信じられないほど多くの最先端の技術が搭載されています。その多くはバックグラウンドで自動的に行われるため、制作だけに集中できます。それが特に気に入っている点ですね。この Lushfoil プロジェクトでは、Lumen や Nanite などの UE5 の主力機能を利用していませんが、UE には一貫した芸術的な演出を創出するために必要なあらゆるツールが搭載されており、必要に応じて独自のテクニックを活用して品質と詳細を向上させることができます。 

環境自体は一から作成されており、アセットを収集し、シーンの雰囲気とライティングを細かく調整する際には、実際の場所の写真を詳細なリファレンスとして使用します。プレイヤーが実際に行ったことがある場所では、細部に至るまでのこだわりを感じていただけるとうれしいです。
 

美しい風景以外にも、散策する際のカメラの揺れや地形を横切るのにかかる時間も驚くほど正確ですね。 本作を設計する際に、プレイヤーにリアルな感覚を提供することはどれほど重要だったのでしょうか?

Newell 氏:きわめて重要です。私は自分自身に非常に高い基準を設定し、本作のほぼすべての側面でプレイヤーの没入感を高めるように努めました。また、プロジェクト自体を「ゲーム」と見なさないようにしたため、目標、ポップアップ、集中を妨げる要素など、ゲームに出現するような要素を減らすように努めました。そうすることで、プレイヤーがこのワールドをよりリアルに感じることができるからです。ゲームの性質は非常にノンリニアです。歩く方向や目標に近づく方法が「間違っている」ということはありません。プレイヤーが自由に選択できるようにすることで、没入感が高まると思います。
A close-up photo of a forest fence in Lushfoil Photography Sim.
Images courtesy of Matt Newell (@lushfoil)
プレイヤーはバラエティに富んだ小道具を発見できるので、クリエイティブな写真のアイデアを刺激します (南イタリアのロケーションに捨てられた紙飛行機など)。 こういったヒントはどのように選択したのですか?また、ゲーム内ではどのような役割を果たすのでしょうか?

Newell 氏:発見できるものの中には写真撮影に関係するものもあります。また、ボート、ドローン、自転車、スタンドアップ パドル ボードなど、別の方法で環境内を移動したり、撮影したりするのに役立ちます。凧、紙飛行機、傘、その他の秘密の小道具など、その他のアイテムは、お楽しみとして用意しています。
 

忍耐力があればプレイヤーが発見できる隠れた秘密があると示唆されていますね。 この秘密について、詳しく教えていただけますか?

Newell 氏:最初は何も現れません。ゲームで体験できるものはすべて、基本的に自分で探す必要があります。プレイヤーは、秘密を自分で見つける意思があれば、先に進むことができます。
 

ゲームの臨場感たっぷりのサウンドトラックについて教えてください。

Newell 氏:自慢のサウンドトラックです!過去数年にわたり、ライセンスされる音楽のコレクションとしてサウンドトラックを制作してきました。ゲームの環境ごとに雰囲気が異なるため、細心の注意を払って、それぞれの環境に最適なプレイリストを厳選しました。プレイヤーが新しいアーティストを見つけて、聴いてもらえるきっかけとなるとうれしいです。
 

現在、プロジェクトには何人のメンバーが携わっていますか?

Newell 氏:Annapurna がコンソールへの移行を支援するチームを編成してくれましたし、Steven Green 氏がマスター サウンド デザイナーとしてさまざまな面で支援してくれましたが、基本的には私一人でプロジェクトに取り組んできました。
A photo of a mountain range at sunset in Lushfoil Photography Sim.
Images courtesy of Matt Newell (@lushfoil)
ラーニング リソースやマーケットプレイス (Fab) など、Epic エコシステムのさまざまなコンポーネントは、ソロ デベロッパーとしてのご自身の経験にどのような影響を与えたのでしょうか?

Newell 氏:そもそも Epic のエコシステムがなければこのプロジェクトは実現しませんでした。一人で作業していたので、利用可能なリソースのおかげで、あらゆる作業を実行するのに十分な時間を節約できました。もちろん、豊富な無料のアセットやラーニング リソースも利用できました。特に Quixel Megascans に関しては、このライブラリが Epic に買収され、UE ユーザーに無料で提供されるようになったときは、クリスマスの日がやってきたように、とてもワクワクしました。Quixel Megascans ライブラリは他では得られないメリットをこのプロジェクトにもたらしました。
 

開発中に特に役に立った UE5 の機能はありますか? ありましたら、教えてください。

Newell 氏:気に入っている機能がいくつかあります。
  • ディスタンス フィールド - リアルなアンビエント オクルージョンやその他の重要なエフェクトを追加する、非常にコスト効率の高い方法です。
  • コンタクト シャドウ - サーフェスやジオメトリに小さなスケールのシャドウを付けることで、環境の詳細が際立ち、すべてがきわめてリアルに見えます。
  • バーチャル テクスチャ - パフォーマンスを節約し、環境アセットをブレンドする優れた方法です。
  • うろ覚えですが、UE4 サイクルの後半くらいで、シェーダーのコンパイル方法が、必要なものだけをコンパイルするように変更されました。それ以来、エディタのロードが非常に迅速になりました。本当にすばらしいです。
 

今日はお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。 Lushfoil Photography Sim の詳細はどこで確認できるでしょうか?

Newell 氏:4月15日にリリースされる Lushfoil をぜひチェックしてください。PC (Epic Games Store および Steam)、PlayStation、Xbox のストアページでゲームの詳細をご確認いただけます。リリースのお知らせ、テクニカル アートのディスカッション、今後のプロジェクトについては、各種 SNS で私にご連絡ください。

Unreal Engine のインストール方法

ダウンロード方法

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