May 18, 2018

西部劇風ビジュアルの大乱闘 FPS、『Sky Noon』の制作背景

作成 Nathan Minifie, Lead Artist at Lunar Rooster

こんにちは!

私たちは、Lunar Rooster のチームのメンバーです。この記事をご覧いただきありがとうございます。私はリード アーティスト (2 名しかいませんが) を務めている Nathan Minifie です。Lunar Rooster はニュージーランドを拠点とするゲーム デベロッパーで、アーティスト 2 名とプログラマー 2 名の総勢 4 名の会社です。今年、Sky NoonSteam で初めて正式リリースするために頑張っています。Sky Noon は西部劇風ビジュアルの激しいマルチプレイヤー シューティング ゲームです。ヘルスの概念はなく、銃は相手を傷つけるものではありません。代わりに、すべての武器や能力は敵をノックバックさせるために調整されています。これが天空に漂う島から敵を吹き飛ばし、排除する唯一の方法だからです。ありきたりのシューティング ゲームではなく、『大乱闘スマッシュ ブラザーズ シリーズ』スタイルのようなプレイ感覚が得られる FPS です。主にグラップリング フックを駆使して移動したり、境界を越えて落ちないように自分の身を守ることができます。スピード感あふれるゲームプレイを繰り広げ、様々な方法で身を守り、敵を吹き飛ばしてやっつけます。 

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我々は、ここ 2 年間というもの本作の制作を続けてきました。大学の卒業制作として始まったプロジェクトを継続し、本格的なゲーム作品としてフルタイムで作業しています。Unreal Dev Grant とパブリッシャー パートナーの Reverb Triple XP の支援のもと、本作を誰もがプレイして楽しめるユニークなオンライン体験にしたいと考えています。以下で、大学の課題として始まった作品が、実際の販売に至る過程について説明します。
 

初めの一歩 

Lunar Rooster は数年間、大学で一緒に学んだ仲間が集まって創設されました。メンバーは、それぞれ多様なスキルと経験を持ち合わせています。大学のカリキュラムの一環として、 3 つのプロトタイプを短期間で作る課題を与えられました。この過程で実際の作品に取り組む前に様々なアイデアを試すことができました。期限が短かかったし、やり直しにかかる作業を考えて、失敗の可能性があるプロジェクトには深入りしないようにしました。プロトタイプが 3 つできあがった後、自分たちの作品を評価し、今後の方向性としてどれが一番良いかを考えました。Sky Force は本作、Sky Noon の原型ともいえるものですが、西部劇のテーマや空気銃はまだありませんでした。現在のゲームプレイの中心であるノックバックは当時もありましたが、まだ荒削りでした。 

我々は Sky Force の制作をさらに進めることに決めて、バーティカル スライス (ゲームの主要機能をまとめた 1 ステージを試作したもの) を作りました。この中で Sky Force をポリッシュして全く新しい形で表現しましたが、規模と内容は絞りました。ゲームの中心的メカニクスに力を入れて作業し始め、ベースとなる体験やゲームのループが安定するまで必要性の低いマップや武器の追加を後回しにしました。この時間を使って場外に相手を吹き飛ばす戦闘スタイルのノックバックとカラフルなアート スタイルに磨きをかけました。時間が経つにつれて、アートができあがってきて、プッシュ プル メカニクスがうまく伝わるようになり、少しづつ盛り上がってきました。 

その年の後半に、Steam Greenlight キャンペーンを始めましたが、主にゲームの評価、自分たちが行ったものと学校を通して行ったわずかな広報活動で短期間で成功を収めました。本作は販売に向けて素晴らしいポテンシャルがあると思いました。そこで、大学卒業後もフルタイムで制作を続けることにしました。それ以来、オンライン機能の追加に加えて、コンテンツの追加、ゲームプレイの微調整など作業に励みました。


アンリアル エンジンのメリット

Sky Noon は 2016 年当時 Sky Force と呼ばれていました。そのとき 3 週間毎に新しいユニークなゲームのプロトタイプをゼロから作るラピッド プロトタイピング フェーズの作業を行っていました。アンリアル エンジンを使ってプロトタイプ開発をすることに決めました。アンリアル エンジンの初心者のデベロッパーにとってブループリントは非常に使いやすく、実際に動くゲームを簡単かつ迅速に制作できることが決め手になりました。 
  
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Sky Noon の前身となった Sky Force のごく初期のレベルとメモ

アート チームはマップのプロトタイピングをグレーボックスの BSP (バイナリ空間分割) を使って高速かつスムーズに進めて、プレイ可能な環境を迅速に作り出すことができました。いくつかのグレー ボックス アセットを追加し、スプラインを使ってパスを作ることで、初期のゲーム メカニクスをテストするためのあらゆるプロトタイプを確実に作り始める用意ができました。Sky Force の場合、マップのデザインの原則に焦点をあてやすくなりましたが、これについては迅速なイタレーションを通してさらに追求していきました。必要としていたものに簡単にアクセスできて、基本レベルの操作は簡単だったため、アンリアル エンジン初心者のメンバーでも難しさを感じることはほとんどありませんでした。

ブループリントを使用して、実現可能なものであるか、人の心を動かすものであるかをプロジェクトの早期にテストし、コア メカニクスを試すことができました。マルチプレイヤー ゲームを迅速にセットアップしてプロトタイプをあっという間にテストすることができました。プロジェクトをさらに安定させて調整する段階になったときに、C++ への移行は簡単かつ自然にできました。それだけでなく、ソース コードにアクセスできるということは、学習の点からも、アンリアル エンジンを自分たちのニーズに合わせて調整するという点においても素晴らしいことでした。

Sky Force から Sky Noon への進化

当初の Sky Force のプロトタイプでは、プレイヤーは必ずしも左手のメイン アイテムとしてグラップルを持っていませんでした。左手はプレイヤーの現在の動きの能力を保持しますが、プロトタイプでは、グラップリング フックとジェットパックでした。プレイヤーはクレートをピックアップして自分の動きの能力を変更できますが、テストを行った結果、ほとんどの状況でグラップリング フックの方が優れていることがわかりました。さらに、グラップリングのプル メカニクスは、相反する武器のノックバックとは絶妙なバランスで対照的なものになっています。そのため、持続的な能力にしましたが、ジェットパックは一般的なアビリティ プールに入れました。グラップリング フックは、周囲の他のメカニクスをデザインしバランスをとるうえでの基礎となりました。すべての能力は同じソースであるアビリティ クレートから生じるようになりましたが、それぞれ攻撃機能と防御機能を持つように整備されています。 
  
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Sky Force の早期プロトタイプ

Sky Force のプロトタイプには当初ヘルスがあり、ゼロになるとスタン (気絶状態) になるものでした。これはプレイヤーがやっつけられて終了するのによいきっかけになると考えましたが、実際は犠牲者をかなり落胆させることになりました。そこで、Sky Noon に向けてヘルスのメカニクスはすぐに廃止されて、その延長線上でスタンも廃止されました。テンポの速いこのゲームでプレイヤーからコントロールを奪うのは良くないことがわかりました。ヘルスのメカニクスは、作り始めていたスキルベースの型にははまらないものだったからです。Sky Noon からヘルスの概念をなくすことで、プレイヤーが楽しめる息をのむような数多くの命拾いのチャンスや爽快なエリミネーションなどが起こるようにしました。
  
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Sky Force でのクレート物理テスト

Sky Force に投げ縄 (ラッソ) 機能も追加し、他のアイテムと一緒にプールに入れました。この機能は当初、新しいクレート アイテムをつかむためのものでした (後になって、別のクレートを入手することで新しいアイテムをリロールする素晴らしい方法になりました)。Sky Noon では、永続的機能として投げ縄を導入し、クレートやプレイヤーを引っ張ることができるようにしました。これはゲーム ループにとって素晴らしい追加であることがわかりました。新しい武器や能力をピックアップしやすくし、敵に撃たれた後に相手を投げ縄で捕まえたり、隠れ場所から敵を引きずり出したりなどの楽しいゲームプレイが可能になります。この機能はすぐにゲームにとって欠かせない要素となり、プレイヤーが色々なことを試す新たな機会を与えました。

西部劇の世界

テーマを思いついたとき、唯一必要なのは、つかんだり、落下したりするスペースが十分空いている天空に漂う島々でゲームが展開することだと考えました。これまでにあまり使われていないものや少し変わっているものにしたいと考えたのです。

Sky Noon の西部劇スタイルのテーマは、プロトタイプ後にどの方向に進むかを再検討するまで思いつきませんでした。Sky Force のテーマでは、墜落機や崩壊の兆候がある現代の終末世界を目指していました。武器は手に入る部品やランダムなメカニカル ピースからクラフティングされたまとまりのないもので、背景やキャラクターのデザインも同様でした。急速に開発したため、コンセプトに費やす時間がほとんどなく、スタイルのほとんどはいくつかのスケッチ、ムード ボード (コンセプトを伝えるためのコラージュ)、集めた資料を参考にしました。これはグレー ボックスのプロトタイプに対して、自分たちの大まかな方向性を示すうえでうまく機能しました。 

プロトタイプのフィードバックから、特に FPS のアクション作品ではありがちの、まとまりがない現代のテーマではユニークさが感じられないことがわかりました。昔ながらの西部劇映画 (そして当時新しかった『Westworld 』のファースト シーズン) の楽しさは、現在の本作のようなアメリカ開拓時代に独自のひねりを加えた方向性に導いてくれました。この新しいテーマはすぐにチームに受け入れられて、オルタナティブなスチームパンクのテーマを組み込むというような面白いクリエイティブな道筋をたどることになりました。西部劇のテーマを我々が制作したレベルのような島々に取り入れることで、歴史と生活を感じさせてくれる、Shanty Town (ニュージーランドにある開拓時代の生活を示すテーマパーク) のような美しさを生み出しました。 
  
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クローズド ベータ版

2018 年 4 月に Sky Noon の初のクローズド ベータ版を公開しました。こんなにも多くの人々がオンラインで一緒にゲームをプレイして、これまで他の手段で得たよりも多くのフィードバックがあったのは素晴らしいことです。ゲームの仕組みを習得した高いスキルを持つプレイヤーはすごいものを見せてくれましたし、最初からうまく判断していたので驚かされました。例えば、何かをつかむ機能をすぐに習得し、撃った人やクレートにくっつきながらマップを飛び回っていました。 

さらに印象的だったのは、‘Fish in a Barrel’ メダルを何回獲得できたかということです。このメダルを勝ち取るには、素早く連続して 6 名の敵をやっつけなければなりません。うまくやるのはほぼ不可能に近いと考えながらこのクローズド ベータに進みましたが、これは大きな間違いでした。ここから学んだのは、リボルバーのバランスを取り直す必要があるということでした。毎回リボルバーのおかげで ‘Fish in a Barrel’ が表れたからです。さらに、マップ、武器、能力、全体的なバランスについても貴重なご意見をいただきました。これを参考に次のクローズド ベータ版に向けて前進したいと思います。

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終わりに

Sky Noon の制作背景についてお読みいただきありがとうございます。大変だけどやりがいのある道のりでした。沢山の人が仲間とこのゲームをシームレスに楽しんでいただけたらと願いながら作業を進めました。Steam のアーリー アクセスを通してバランスとマップについてフィードバックを集めるつもりです。その間、予定されている機能を追加してから、今年後半にフルリリースを計画しています。次に予定されているベータ テストへのご参加をお待ちしています。新しいDedicated サーバーとバランス変更をテストします。