3D プラットフォーマー復活の兆しを感じさせる Skylar and Plux
2017年5月26日

3D プラットフォーマー復活の兆しを感じさせる Skylar and Plux

作成 Stu Horvath

3D プラットフォーマーに何が起こったのか?ゲームストアの棚でひしめき合うように並び、あれほど溢れかえっていたゲーム達は、この 15 年間一体どこへ行ってしまったのか。3D プラットフォーマーで育った世代のプレイヤー達は今、ゲーム開発プログラムを習得して卒業し社会人となりました。プラットフォーマーは復帰だけではなく生まれ変わろうとしています。

そのような新生 3D プラットフォーマー群の中から、Right Nice Games が手掛ける Skylar & Plux:Adventure on Clover Island を紹介します。Skylar & Plux:Adventure on Clover Island は、ストックホルムの Futuregames School の学生達によるプロジェクトで誕生しました。この 6 名のチーム (Jakob Gavelli 氏、Johan Aberg 氏、Leo Toivo 氏、Kevin Martinez 氏、Max Herngren 氏、Eric Valentine 氏) は卒業後も Skylar & Plux の開発を継続し、本格的なゲームに仕上げました。

そして先日、Xbox One、PlayStation 4、PC 向けにリリースされました。レベル デザイナーとナラティブ デザイナーを兼務し Right Nice Games の共同創始者でもある Eric Valentine 氏が 3D プラットフォーマーのリバイバルを率先した猫とフクロウについて語っていただきました。

blogAssets%2F2017%2FMAY+2017%2FRTE+-+Skylar+and+Plux%2FRTE_SkylarAndPlux_Pic1-770x433-c74f75ece4fd4b00a6ef15b34d0437b9c6c35c86

オープン ワールド 3D プラットフォーマーに再び注目したのはなぜでしょうか?

ひと昔前は販売されるゲームのほとんどが 3D プラットフォーマーだったのだから、マーケットが飽和してゲームの品質が落ちジャンルそのものが廃れてしまっても、恐らくそれは仕方がなかったのだと思います。ただ我々は、3D プラットフォーマーの楽しさを忘れることができませんでした。そして、楽しかったゲームへの思いを募らせた 15 年の間に、そのジャンルを手掛けていたデベロッパーのほとんどは別の道を歩んで行ってしまいました。ならば我々が自分達でこの思いを形にしようじゃないか、と思ったのです。

3D プラットフォーマーには楽しさの伸び代があります。近年盛り上がりを見せているインディ ブームにより、大好きだったあのゲーム デザイン、そして下火になってしまったゲームジャンルの再生が証明されてきました。開発中、このように考えている人がとても多いことを知って、3D プラットフォーマー再生の可能性を確信し、とても興奮しました!

3D プラットフォーマーには、素晴らしいゲームが多かったですよね (例えば『ラチェット&クランク』)。どのような作品の影響を受け、どのように発展させていったのでしょうか?

お手本にした傑作はいくつかありますが、最も重視したゲームの 1 つは『Jak and Daxter』シリーズです。主人公の動きと能力をプロトタイプして、ジャックがいいなと思いました。このゲームで使用しているジェットパック ガジェットは、『Ratchet & Clank』と『Super Mario Sunshine』 の F.L.U.D.D. を参考にしています。もちろん、我々の目的と嗜好に合わせるために、微調整、リミックス、再開発を行いました。

ゲーム自体は『Jak and Daxter』に似ているので、『Ratchet & Clank』の影響をかなり受けていることに気付く人はあまりいないと思います。未来のサイファイ テーマも加えていますし。ただし、我々は幅広いソースからインスピレーションを得るようにしました。アートに関しては、『Wildstar』、『Rime』、『The Witness and Wind Waker』などです。テーマに関しては、『Ratchet & Clank』、『Star Wars、Zelda』などからです。

blogAssets%2F2017%2FMAY+2017%2FRTE+-+Skylar+and+Plux%2FRTE_SkylarAndPlux_Pic2-770x433-7f2bbc52de333179718f6418353f3d9027d4594e

主人公を 2 人にするのも、このジャンルでは必須です。この 2 人はどのように重なったり補ったりするのでしょうか。

Skylar になる前は、主人公は Clank のような怪しい小さなロボットでしたが、会社を創設しゲーム発表が決まったタイミングで、この主人公を変えたいと思ったのです。3D プラットフォーマーは男性ファンが圧倒的だと感じていたので、主人公を女性にしてみることにしました。表情豊かな猫のデザインに決定し、後は皆さんもご存じの通りです。

Daxter のような連れという設定で Plux を考えました。Skylar は喋らないので、ストーリーテリングの便宜上、偉ぶる悪党 CRT に対する声と反抗を表現します。このような可愛いミニフクロウが好きですし、まん丸のシルエットが開発上とても便利でした。このようにして、Plux が誕生しました。

猫とフクロウのコンビは珍しいですよね?彼らはどのような生い立ちなのでしょうか。

珍しいところがとても気に入っています。変わったコンビと奇妙なものに弱いんですよ。このゲームを作り始める時、世界を作り始める気分でした。苦戦の連続でした。それをキャラクター達の表現にも使いました。彼らは勝ち目のないコンビですが、嫌がらせに立ち向かいますし、それができない人のために反抗します。Skylar は謎めいた素性の持ち主です。彼女は人生の岐路に立っていて、自分がどうなりたいのか、どうあるべきか分からずにいます。Plux は過去を忘れられないため、家や将来の目標を見つけることができません。ちょっとずれてしまう場面もありますが問題ありません。他にも、仲良くなれる変わった形のパズル要素も登場します。

blogAssets%2F2017%2FMAY+2017%2FRTE+-+Skylar+and+Plux%2FRTE_SkylarAndPlux_Pic3-770x433-4fda98581ef033140e7b39714d2ff591b8b65da9

ますますノスタルジアがゲーム開発の主要コンポーネントのように感じてきました。このゲームをプレイすることで、Eric さんやプレイヤーが一番強く感じるノスタルジアは何でしょうか?

もっとシンプルだった時代への懐かしさだと思います。子供の頃は、ビデオゲームだけにとことん時間を費やしました。新しい技を習得し、ゲームの世界にどんどんはまっていったものです。大人になると、手放したくないすべてのことに同時に集中しなければならなくなります。子供時代のようにゲームプレイだけに時間を費やせないので、ゲームも変わってしまいました。しかしながら、今のゲームでも、見かけ、サウンド、プレイ方法を昔のゲームのようにすることで、プレイヤーは幼少時代を懐かしんで没入できるようになります。ノスタルジアは個人的な感情ですが、3D プラットフォーマーに対するノスタルジアは我々の世代全体が共有しているため、思い入れはより強くなるのだと思います。

全盛期には、3D プラットフォーマーは大規模チームが開発していました。Skylar & Plux の開発はわずか 5 名ということですが、少人数での開発での挑戦はいかがでしたか?また、また、今の時代に新しく登場した制作の要のようなものは存在するのでしょうか?

課題は非常に多かったです。とりわけ、チームはいろいろなタスクに分かれて作業するので、作成したい機能の検討と掘り下げが難しいのです。少人数なので、チーム全員がいくつかのタスクを兼務しているのです。不十分な点をカバーしたり、チームにスキルが不足していても対応することも難しいです。例えば、我々には専任アニメーターがいません。そこで、学生時代の友達にアニメーション作業を外注しなければなりませんでした。このゲームが完成したのも、優秀な友達の助けのお陰です。10 年前、このタイムフレームでこのようなプロジェクトの実現は不可能だったと思います。アンリアル エンジンで 3 ヶ月後にこのようなゲームの開発を開始できなんて贅沢です。

blogAssets%2F2017%2FMAY+2017%2FRTE+-+Skylar+and+Plux%2FRTE_SkylarAndPlux_Pic4-770x433-8705f36ca41210c0a0036ecda6b3f934a512e697

Skylar & Plux を開発する中でアンリアル エンジンはどのように役立ちましたか?思いのほか便利だった点、または難しかった点はありますか?

アンリアル エンジンはこのゲームを作るために必要不可欠でした。メカニクスのプロトタイプとレベル デザインのテストの速さだけでも、ものすごい時短になりました。Skylar & Plux の 95% 以上はブループリントを使ってスクリプト化しましたが、個人的には従来の C++ よりもかなり簡単に習得できると思います。大量のツールと便利な機能で、レベル デザイナーの作業をここまで楽にできるエンジンは他にはないと思います。

思いのほか苦労した点ですか?アンリアル エンジンが提供するツールとサブ エディタの数は半端ないです。ものすごい数なんです。なので、開発するゲームの種類によっては、これらすべての機能とツールの管理はとても大変です。ただし、時間と共にコツが分かりますし、何よりもコミュニティが助けてくれたので、我々は乗り越えることができました。

編集注記: この一連の記事シリーズはエピックのアンリアル エンジン 4 の寛大なスポンサーシップによって実現しました。毎月、Unreal Dev Grant (アンリアル デブグランツ、開発支援プログラム) の賞金受賞者を紹介します。エピックは我々にインタビュー対象を紹介してくれますが、最終版の記事へのフィードバックや、記事の承認には関っていません。