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Old Boy John Wick Sifu:白眉カンフーマスターの設計

Brian Crecente |
2022年4月7日

Sloclap は、2015 年にパリで設立されたインディーゲームスタジオです。彼らの最初のプロジェクトである Absolver は、独自のゲームプレイメカニズムを備えたオンラインアクションゲームです。このゲームは、まず PC と PS4、その後 Xbox One でリリースされました。Absolver はこれまでに 30 万部以上が販売され、PS Plus Game of the Month および Xbox Game Pass プログラムを通じてさらに数百万部がトライアルでプレイされています。
Slowclap は、わずか 7 年間、そしてたった 2 つのゲームのリリースで、ビデオゲームにおける格闘とその本質を魔法のように再現するスタジオとして名を世に広めました。

2017 年にリリースされた Absolver がスタジオのデビュー作です。詩的で流動的かつダイナミックな動きでダンスをしているかのような戦闘が繰り広げられ、「己の五体を武器とせよ」というゲームのキャッチコピーを表しています。

Sloclap の待望の 2 番目のタイトルである Sifu では、Absolver の戦闘が白眉カンフーマスターの技術の習得を通じてさらにレベルアップしています。くわえて、このゲームでは心に迫る復讐のストーリーと、ゲーム内でキャラクターが死ぬ度に歳を取って復活し戦闘バランスが変化するというシステムも採用されています。

その結果、Sifu は多くのパブリッシャーから「ほぼ満点」のレビュースコアを獲得し、多くの賞賛を得ています。パリを拠点とする開発チームに、ゲームのインスピレーション、彼らが作り上げた評判の高い戦闘システム、そして製作にあたり映画やビデオゲームからどのような影響を受けたのかについて話を伺いました。
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2017 年に Absolver が発表されたとき、本作の流動的でダイナミックな戦闘が多くの批評家を感動させました。Absolver の製作中に学んだ教訓は、Sifu の戦闘の仕組みと制御にも生かされましたか?

Sloclap 共同創設者、Sifu クリエイティブディレクター、ゲーム&レベル デザインリード Jordan Layani 氏:
Absolver は私たちの最初のゲームだったので、すべてをゼロから行う必要がありました。Absolver と同様のことを Sifu でも多く行っていますが、戦闘の設計と制御の点で 2 つのゲームで目指したことはまったく違います。

Absolver は主に一対一の対人戦ゲームとして作られました。そのため、戦闘時のカメラの動きはどちらかというと静的で固定されており、トラバーサルはありませんでした。このゲームにおける攻撃と防御の複雑さは、方向性のある受け流し、さまざまなスタンス、またはインスタンスに対するゴールド攻撃のタイミングの点でバランスが取れていました。

Sifu で目指したのは、キャラクターにより機敏で多彩な動きをさせて、武道系の映画で見られるようなアクションを再現することでした。そのため、操作性と戦闘メカニズムの観点から、プレイヤーがゲーム内で決まったリズムに従うことでダイナミズムを得られるように、より直接的でわかりやすい操作を実現する必要がありました。

チームが Sifu を製作するきっかけとなった出来事はありますか?

Layani 氏:
私は、Sifu を作るにあたってインスピレーションを次の 3 つから得ました。多くの武道映画やカンフー映画、私自身が実践している白眉のカンフーとそれに関連するすべてのカルチャー、そして主に God HandMetal Gear Rising などの他のキャラクターアクションゲームです。

Slowclap チームのメンバーの多くは、カンフーと武術全般が大好きです。そして特に、新旧を問わず、武道のアクション映画が好きです。
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私は Sifu の戦闘システムが素晴らしいと感じています。ビデオゲーム業界では、戦闘時の動的な動きをどのように再現するのかについて、これまでたくさんの試行錯誤を行ってきた長い歴史があります。あなたがこのゲームで行っていることは、Jet Li 氏が 2000 年代初頭に Rise to Honor でやろうとしていたことと、バットマン: アーカム・アサイラム の流動的な戦闘を少し思い出させます。Sifu の戦闘システムを構築する際に、設計に関してどんなゲームの影響があったのか、すごく興味があります。

Layani 氏:
The Raid のような映画の雰囲気を味わいながら、プレイヤーが自由に戦闘を行えるディープな戦闘システムを備えたゲームを作りたいと考えていました。そのため、その設計にあたっては、映画を参照したり、MGRベヨネッタゴッドハンドなどのキャラクター アクションゲームの影響を結構受けたりしています。

不思議なことに、バットマンスリーピングドッグスといった映画は、プラチナゲームと比較して私たちが目指す方向性と近かったのですが、戦闘デザインの観点からは参考にしていません。

Sekiro についても触れなければなりません。白眉が伝授する、「道を開き」、対戦相手を「終わらせる」という概念をゲームに反映したいと考えていました。したがって、これを実現するためにさまざまなことを試しましたが、最終的には、Structure System (ストラクチャー システム) というものを作るに至りました。このシステムの製作には、Sekiro から大きく影響を受けています。

ご存じの通り、カンフーには豊かな映画の歴史があります。ゲームのルックアンドフィールとその戦闘スタイルを形作るのに役立った特定の映画や監督、俳優はいますか?

Layani 氏:
フィーリング、より正確に言えば戦闘のリアリズムと緊張感のバランス、そして画面上にかっこいいものを配置してファンシーで非現実的な雰囲気を作り出すのに、The Raid (Gareth Evans) が役立ちました。

一対複数の敵と戦う状況では、Jackie Chan 氏の映画であるPolice Story (Jackie Chan)、Dragons Forever (Sammo Hung)、Miracles (Jackie Chan) を参考にしました。

また、John Wick (Chad Stahelski)、Fearless (Ronny Yu)、The Blade (Tsui Hark)、Kill Bill (Quentin Tarantino) など、その他多くのアクション映画や武道映画からも参考にしたりインスピレーションを得たりしています。
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Sifu の戦闘システムの仕組みについて教えてください。

Slowclap マーケティング&パブリッシング マネージャー Felix Garczynski 氏:
Absolver の戦闘システムがベースになっていますが、今回はシングルプレイヤーゲームとして、カンフーと武道の映画の要素をふんだんに入れたユニークなプレイヤー体験を Sifu で提供できるようにしたいと考えました。ナイトクラブで悪役と戦ったり、テーブルを飛び越えたり、ボトルを投げたりする感じです。プレイヤーに自分がカンフー映画の主人公のように感じてもらえるようにしたかったのです。

なので、デザイン面でキレの良いアクションと没入的なカメラフレーミングによるリアルさ (リアルな戦闘技術とアニメーション) と美学の間のバランスをとることに力を注ぎました。Sifu では、古典的なカンフー映画の美学と、The RaidOld BoyJohn&Wick などの現代映画に見られるような生の近接戦闘を混ぜ合わせたいと考えていました。

これらから得られるさまざまなインスピレーションをベースにして戦闘システムを作っています。私たちは、ゲームプレイ自体にカンフーの精神、つまりトレーニングと自己改善に重きを置く価値観を練り込みたいと思ったのです。つまり、プレイヤーがカンフーを学び、能力を伸ばし、徐々に強くなるのを実感できるゲームです。

Structure System というシステムも設計しました。これは、実際の戦闘のように相手の攻撃により姿勢が変化したり崩れたりするといったような、攻撃や防御に関する行動をエミュレートします。これはゲーム内では自分と敵の両方でゲージとして表示されます。相手のストラクチャーを壊せば、パワフルな一撃により敵を倒すことができます。そして、壊した後は白眉のパワフルなテクニックを試す絶好の機会となります。しかし、自分のストラクチャーゲージがいっぱいになると、短期間攻撃や防御ができなくなります。そのため、相手の攻撃に対して無防備になってしまいます。

プレイヤーは、まずどんな敵にも対処できる基本的な攻撃を用いて戦闘することになります。さまざまな特性を持つテクニックもありますが、これは少し時間をかけて使い方を学ぶ必要があります。強力な攻撃と高速な攻撃を組み合わせることで、1 人の敵に対して、または複数の敵に対して順番にコンボを構築することもできます。そして、成長して新しいスキルのロックが解除されると、プレイスタイルや状況に対してどのように対処したいのかに合わせて、色んな方法から選択できるようになります。敵を打ち倒したり、敵を吹き飛ばしたり、気絶させたり、強力な敵の武器を武装解除したりするなど、色んな方法があります。同時に戦う敵の数がどんどん増えていくにつれて、これらテクニックの便利さを実感できるはずです。
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プレイヤーが、まるで自分が武道のマスターかのように感じられるアクション操作を実現するために、ゲームのアニメーション スタイルと戦闘システムをどのように組み合わせて作りましたか?

Garczynski 氏:
私たちは、カンフーマスターの Benjamin Colussi 氏と協力して、アニメーションのデザインと主人公のさまざまな戦闘の動きを作り上げました。まずゲームデザイン チームがゲームに入れたい動きのリストを定義し、その後、Benjamin 氏と協力して主人公が行うすべての動きをキャプチャし、キーフレームを用いて手作業で再現しました。また、モーションキャプチャ スタジオで 2 日間かけて、Benjamin 氏やスタントアーティストと一緒にすべてのテイクダウンをキャプチャして調整したりもしました。

これにより、主人公の 200 以上の動きとアニメーションは非常にリアルなものとなりました。これらは、白眉の実際のテクニックと動きから取り入れたものなので、自分が攻撃をしているのか、攻撃を受けているのかにかかわらず、そのリアルさを実感できるはずです。Benjamin 氏とのコラボレーションの詳細については、以下をご覧ください。
 

ゲームの戦闘に関して、白眉のカンフーをベースにした理由は何ですか?別の形や、Wushu のようにより広い形で武術を取り入れなかったのは何故ですか?

Garczynski 氏:
白眉の武術は北部というより南部のスタイルです。そして、わかりやすいスタイル、主として大きなインパクトがあって勢いのあるスタイルをゲームに使用したいと考えていました。そして、白眉のスタイルこそががそれにぴったりだったのです。また、彼のスタイルは猛々しく、そのパワーは Sifu の復讐ストーリーとうまくかみ合います。

Sifu の魅惑的な戦闘システムについては多くのコメントが寄せられていますが、ゲームで優れているのはその洗練された戦闘システムだけではありません。死ぬたびに歳を取るというシステムの仕組みと、そのアイデアを得たきっかけを教えてください。

Garczynski 氏:
「功夫 (カンフー)」とは、勤勉、練習、忍耐によって達成されるあらゆる分野やスキルのことを指します。武道としてのカンフーには、永続的な実践を通じて関連技術の習得や維持を行い無限の自己改善を実現するという概念があります。そういった意味で、一度きりの人生でカンフーを完全に理解したり習得したりすることはできません。

Sifu の主人公はカンフーの鍛錬に打ち込んできましたが、それでもまだ 20 歳です。彼は燃えるような復讐の感情を胸に抱えつつ、都市の有名人で、強固に守られた要塞に拠点を置く危険な暗殺者グループに対して戦いを挑むことになります。カンフーを完全に実践するために、普通の暮らしは捨てています。復讐を果たすため、夕暮れ時に旅立ち一晩ですべての敵を見つけて倒す必要があるからです。

すでにお見せしたとおり、主人公には目的の達成をサポートする強力なツールが 1 つあります。それは、人を生き返らせることができる古代のペンダントです。しかし、その使用には代償が必要となります。というのは、このペンダントは生命エネルギーを基にして人を生き返らせるため、復活後は老化してしまうのです。

つまり、クエストをクリアするには限られた寿命を慎重に使いながらゲームをプレイする必要があります。老化によって弱くなることはありませんが、能力に対して多少の影響を与えます。その影響というのは、歳を取るにつれて、最大体力と最大攻撃が下がることです。プレイヤーは、キャラクターのモデルの姿によって主人公が今何歳であるかがわかるため、それによってどんな戦略を取るべきかを検討することが可能です。とはいえ、年をとっても能力を失ったりすることはないので、どの年齢であってもゲームを完了することはできます。

この能力とコンボロック解除システムによって、プレイヤーは長時間プレイする中でどんな選択が最も効果的かを考える必要があり、その選択肢も老化するたびに広がっていきます。キャラクターの戦闘スキルの習得にこのような仕組みを採用した理由は何ですか?

Garczynski 氏:
スキルは 1 回の実行でロック解除できます。それにより、プレイヤーは困難な状況をどのように対応するのか、さまざまな方法を試すことができます。しかし、永続的にロックを解除して、プレイヤーがお気に入りのスキルを最初から利用できるようにすることもできます。
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ゲームの舞台として、「ギャングがひしめく郊外」と「高層オフィスビルの冷たい廊下」をどのように設計しましたか?

Garczynski 氏:
ゲームの 5 つの主要な設定のそれぞれは、昔の中国的な要素から発想を得ています。おっしゃったものの 1 つは、それぞれ木と金属 / 金といったようなイメージですが、これら各レベルの視覚的アイデンティティはそうした要素から影響を得ています。ゲームをプレイするとわかりますが、各環境の雰囲気は、最初は現実的なものであったものが徐々に幻想的で魔法のようなものへと変わっていきます。芸術的なエフェクトを使用する以外では、各環境はゲームのストーリーと伝承を映したものとなっており、現実世界にいるかのようなディテールの細かい説明的な雰囲気とファンタジー敵な雰囲気を両方組み合わさった感じになっています。

ゲームの設計を行う際に苦労したことで、ここで話しておきたいものはありますか?

Garczynski 氏:
戦闘システムを設計する際に直面した特定の課題の 1 つは、プレイヤーが圧倒されることなく、一度に多くの敵と戦えるようにするにはどうすべきか、ということでした。複数の敵が異なる方向から同時に攻撃を繰り返すと、プレイヤーはそれをさばききれなくなります。これに対しては、戦闘中に 1 人目の敵と 2 人目の敵で「チケット」システムを作成することで、プレイヤーが戦闘を予測しやすくなるようにしました。また、プレイヤーが戦闘の流れを管理しやすくなるような防御方法も用意しました。回避して敵の間にスペースを作ったり、敵のトラックをブロックしてコンボを中断させたり、プレイヤーが攻撃のリズムを中断することなく維持できたりするような仕組みです。
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AbsolverSifu の両方に Unreal Engine が使用されています。最初にエンジンに惹かれた理由と、Sifu でも Unreal Engine を採用した理由を教えてください。

Garczynski 氏:
Unreal Engine は非常にパワフルで柔軟性があります。Unreal Engine を採用した大きな理由の 1 つは、最初のプロジェクトである Absolver のニーズに合わせてエンジンを変更できることでした。また、Unreal Engine の「ブループリント ビジュアルスクリプト システム」が非常に便利だったというのもあります。プロトタイピング用の機能か本番環境用の機能かを問わず、設計者が自分でメカニズムを実装できるからです。

PlayStation 5 の設計とその多数の次世代機能は、Sifu にどのようなインパクトがありましたか?

Garczynski 氏:
PS4 と PS5 の両方でスムーズなゲームプレイ体験が得られるように Sifu を設計しました。しかし、触覚フィードバックなどの PS5 の高度な機能が統合されたこと、4K 解像度が可能になったこと、読み込み時間がほぼゼロになったことにより、PS5 の体験が非常に価値のあるものになりました。

お話を聞かせていただき、ありがとうございました。Slowclap と Sifu の詳細はどこで確認できますか?

Garczynsk 氏:Sifu公式ウェブサイトTwitterYouTube チャンネルSloclap の公式ウェブサイトでチェックできます。このゲームは PS4、PS5、および Epic Games Store で利用できるようになりました。

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