画像提供:Odyssey Interactive

Riot Games 出身のデベロッパーが立ち上げた新興のスタジオ Odyssey Interactive がマルチプラットフォーム ゲーム Omega Strikers の制作秘話を語る

80 Level |
2022年12月21日
Odyssey Interactive は、Riot Games 出身のデベロッパー Dax Andrus 氏、David Capurro 氏、Eric Lawless 氏、Richard Henkel 氏が 2020年に立ち上げたカナダのインディーズ ゲーム開発スタジオです。Odyssey Interactive では、不健全なコミュニティを形成しがちであるというゲームの固定観念を払拭するような対戦ゲームの開発に注力しています。Odyssey Interactive は、League of LegendsTeamfight Tactics などのタイトルで培った長年の経験を活かし、エキサイティングな PvP ゲームを提供して、そのゲームの健全なコミュニティが構築されるように導くことで、世界中のプレイヤーにポジティブな影響を及ぼすことを目指しています。

先日、Odyssey Interactive チームは、Makers Fund 主催のシリーズ A 資金調達ラウンドで 1,900 万ドルを獲得し、基本プレイ無料のマルチプラットフォーム 3v3 ノックアウト式ストライカー対戦ゲームのデビュー作 Omega Strikers のベータ版をリリースしました。今後は「さらなる高みを目指したゲームに」というベータ プレイヤーからのフィードバックをゲームに反映していく予定です。本作は Unreal Engine を活用して制作されており、PC、コンソール、モバイル デバイス版が 2023年2月にリリースされる予定です。
ゲーム開発で使用したアプローチの詳細や、近日リリース予定の Omega Strikers のメインのゲームプレイ メカニクスとアート スタイル、Riot で培った経験がチームのビジョンに及ぼした影響、さらには Unreal Engine を活用してチームのクリエイティブなアイデアを実現した方法について Odyssey Interactive に詳しくお話を伺いました。
 

Omega Strikers に取り組むことになったきっかけについて詳しく教えてください。

私たちは制作したいゲームのジャンルが決まらないまま Riot を退職しましたが、制作したいゲームの特性は決まっていました。作りたいと考えていたのは、親しみやすく自在に操作可能でありながら、高度なスキルも活かすことができ、独自のゲームプレイを備えるゲームでした。

こういった目標を満たすと考えられるゲームの特性を組み合わせることから始めて、最終的には、League of LegendsSmash Bros を組み合わせたようなゲームになりました。この時点のゲームは、旧作 Dota の mod Pudge Wars を彷彿とさせ、とても面白かったのですが、さらに何かスパイスになる要素が必要だと感じました。

そのスパイスを加えるために、さまざまなメカニクスを試してみて、すぐにボール/パック メカニクスにたどり着きました。このメカニクスにより、ゲームに親しみやすさが加わっただけでなく、プレイヤーは他のプレイヤーと戦うことと、ボールを打ち込んでスコアを獲得することのバランスを取る必要があり、ゲーム メカニクスの深みが増しました。

数か月かけてこの「ボール モード」のプロトタイプを制作し、カナダ全域の大学生にテストしてもらったところ、大変好評で、このゲームの実現に向けてさらにエンジンがかかりました。

Riot で得た経験は、チームの当初のビジョンにどういった影響を及ぼしたのでしょうか?

Riot は最新のライブサービス型ゲーム開発を理解するうえで最適な職場で、多くのことを学びました。Riot は、常にプレイヤーの体験を最重要視しており、プレイヤーにとって最適な取り組みを行えば、プレイヤーも必ず答えてくれるというゆるぎない信念をもっています。

私たちは、ライブ ゲームプレイの管理、コスメティック コンテンツの開発、R&D 分野のプロトタイプの作成、そしてプレイヤーを重視した方法でのゲーム パブリッシングを経験してきました。率直に言うと、Riot で学んだ方針を最大限活かして、自分たちが行う開発に適用したいと考えていました。

目指しているのは、プレイヤーに Riot と同じくらいの影響を及ぼすゲームを開発することです。つまり、League of Legends をプレイしていた私たちと同じように、数十年後、私たちが制作するゲームについても、ゲームをプレイして過ごした時間、ゲームで獲得したスキル、ゲームを通じてできた友人を、プレイヤーが懐かしんでくれるような作品にしたいのです。これは、開発初日から、スタジオと Omega Strikers のコアとなる考え方です。
画像提供:Odyssey Interactive
Omega Strikers のアート スタイルについて教えてください。

本作ではアニメに強くインスパイアされたアート スタイルを採用しています。Genshin ImpactOverwatchSplatoon を融合したスタイルです。当スタジオのメンバーはアニメの大ファンなのです。それに、アニメは特に世界的にも影響力と注目度が増しているビジュアル スタイルだと確信しています。

目指したのは、希望に満ちた、エネルギッシュなアート スタイルです。ゲーム全体のスタイルとクリエイティブな演出は、プレイの調子がよいときは高揚感をさらに高め、調子がよくないときは沈みがちな気持ちを和らげるようなものにしたいと考えていました。私たちが作成している各キャラクターの個性、色、全体的な雰囲気、そしてワールドからは、あらゆる人がプレイへの情熱でつながる希望に満ちた未来の世界を感じていただけるのではないかと思います。

Omega Strikers のゲームプレイ メカニクスについて教えてください。

Omega Strikers のメカニクスは、プレイしたことがあるような感覚を覚えると同時に、若干ワイルドな側面も備えています。厳密に現在のようなメカニクスに落ち着くまで、かなり時間をかけて調整しました。すぐにわかるメイン メカニズムはコアですね。コアというのはボールまたはパックのことです。このボールは高速でバウンドするため、スリル満点です。コアはサッカーのボールというよりは、エア ホッケーのパックのように動作するようにして、プレイヤーから切り離すことにしました。そうすることで、よりダイナミックな (スタジオでは「騒々しい」といっていますが) ゲームを実現したのです。

また、プレイヤーがゲームで行う主なアクションに一貫性と流動性を持たせたかったので、PvP の戦闘システムは、ヘルス バーを消耗するとプレイヤーがノックアウトされるのではなく、プレイヤーにノックバックさせることに重点を置くように作成しました。これは、プレイヤーがコアを動かすために行うアクションと、相手プレイヤーと戦うために行うアクションの間に一貫性を持たせるために重要なことだと考えています。私たちはこの戦闘システムを気に入っています。というのも、このシステムは、Smash Bros のダイナミズムに通じるものがあって、戦闘でのポジショニングがとても重要で、敵をアリーナから叩き出すと少しやり過ぎたと感じます。
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プロジェクトで Unreal Engine を選択する決定にはどのようなことが影響したのでしょうか?

スタジオとしての最初の大きな技術的な決断は、ゲームに Unreal Engine と Unity のどちらを採用するかということでした。League of Legends の運用経験から、小規模なデザイン主導のチームでライブ サービス ゲームを迅速に構築するためには、エンジンにいくつかの重要な機能が必要だと感じていました。具体的には、すぐに使用できる強固なネットワーク基盤、デザイナーがゲーム自体のコアをビルドしてイテレーションできるビジュアル スクリプティング、エンジニアではない人がプロトタイプを作成して機能を構築できる完全で一貫性のある UI フレームワーク、バグ修正やカスタマイズのためにエンジン自体を変更して私たちのデザインをサポートできる機能などです。

私たちは、Epic Games が Unreal Engine を使用して制作した自社ゲームをシッピングしてきた経験が、これらの各分野で優れた機能を次々と生み出してきたと考えています。また、Unreal Engine には ゲームプレイ アビリティ システム などの Unreal Engine 独自の機能も搭載されています。これらの機能を使用することで、開発の初日から実際のゲームプレイの構築に集中することができました。

本作を基本プレイ無料にした理由をお聞かせください。

少なくとも私たちは、マルチプレイヤー対戦ゲームには、基本プレイ無料が適していると考えています。これは、私たちが Riot で学んだ考え方で、業界全体でも広く認識されていることだと思います。マルチプレイヤー対戦ゲームの健全性は、マッチメイキングの時間と質に左右されます。基本プレイ無料のゲームでは、実現するプレイヤー ベースは規模が大きくなるため、マッチメイキングの時間と質の確保が容易になります。ライブ サービスを運用するための純粋なメカニクスだけでなく、基本プレイ無料ゲームでは、世界中の誰もが参加して楽しむことができます。これが私たちの大きなモチベーションになっています。Omega Strikers をプレイする際に、料金のせいでプレイできない人をなくしたいのです。
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Omega Strikers ならではのキャラクターのルック&フィールはどのように実現したのでしょうか?

キャラクターをデザインする際には、ゲームプレイのファンタジー、ビジュアル (すなわちテーマのアイデンティティ)、ナラティブのバックグラウンドという 3 つのコアな属性に焦点を当てます。まず、ゲームプレイのファンタジーから始めて、ゲームで十分提供されていないプレイスタイルを組み込んだり、コア ゲームプレイを充実させる新しいメカニクスやインタラクションを導入するキットの開発を試みることが多いですね。次に、そのキャラクターでプレイしてから、そのキャラクターとしてプレイしたり、そのキャラクターと対戦したときにどのように感じるかを自分自身に問いかけます。

そのインサイトを基に、当該キャラクターのアイデンティティを構築していきます。インゲームでプレイしたときの感覚に基づいて想起されるテーマやバックグラウンドについて考えます。大まかなアイデアが固まったら、他のキャラクターとのインタラクションについて考え、プレイヤーが本作ならではの空間でプレイできるような空間を構築していきます。このプロセスでは、通常、いくつかオプションを作成して、チーム内で議論して、評価を確認します。

そうすることで、キャラクターの細かいディテールが浮き彫りになり、ビジュアル アイデンティティが徐々に形作られていきます。また、他のキャラクターと並行して開発することで、そのキャラクターの個性を引き出すことができます。

ゲームプレイをデザインする際、対戦ゲームであってもストレスが溜まらない絶妙なバランスを取るためにどのように調整したのでしょうか。

絶妙なバランスを取るのは、常に相当困難な作業になります。対戦では、ストレスをうまく管理しないと、簡単にストレス感情が噴出してしまいます。当初から、ビジュアル、オーディオ、ゲームプレイのすべてでポジティブな感情を醸し出すことを念頭に置いて、ゲームのクリエイティブ ビジョンを設計するように心がけました。クリエイティブな演出では、緊迫感を高めるのではなく、和らげるようにしたいと考えていました。こういったアプローチの優れた例としては、Splatoon があります。

ゲームプレイの観点からすると、適切なバランスを取ることができている最大の要因は、ゲームの継続時間でしょう。「負けても [Play Again (再プレイ)] ボタンを押したくなるよ」と言ってくれるプレイヤーが数え切れないほどいます。これは、ゲーム時間が短いからです。ゲーム時間が短いからこそ、負けたときの悔しさよりも勝ったときのうれしさの方が勝り、プレイヤーは深刻なストレスを溜め込まずに済むのだと思います。
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適切に動作し、健全性を感じさせるクロスプラットフォームのマルチプレイヤー ゲームを実現するのはどのくらい難しいでしょうか?

本当に難しいです!私たちはこの分野では経験豊富とはいえないので、クロスプラットフォーム開発を適切に行う方法を学ぶのに役立つと感じたアプローチを採用しました。開発初日から、複数のプラットフォームでプレイテストを行いました。チームの 50% がモバイルで、50% が PC でプレイしたのです。特定のプラットフォームでの体験を軽視して後で裏目に出ないように、本作の開発期間全体を通じてこの作業を続けました。

このことにより、クロスプラットフォームのマルチプレイヤー ゲームの開発で通常直面する、カメラやコントロールといった大きな課題に対処することができました。そのおかげで、自分たちの制約事項に常に正面から向き合うことができ、どのプラットフォームでも充実した体験を実現させることができました。

今後、他のシリーズとコラボしたコンテンツを提供される予定はありますか?それとも Omega Strikers に特化した新コンテンツに注力するのでしょうか?

Omega Strikers の今後については期待に胸を膨らませています。ベータ版からクロスプラットフォームのフル ローンチに向けて、最も喜ばしい日が近づいていますし、将来に向けてプレイヤーの皆様に喜んでいただけるようなプランも立てています。

また、今後も新キャラクター、伝承イベント、スキン、コスメティックなど、自社 IP の開発にさらに注力していきます。Omega の IP を構築することは私たちにとって重要です。なぜなら、複数のゲームや、できればさまざまなクリエイティブ メディアで展開していきたいと考えているからです。いつかアニメ化にも挑戦したいですね。

また、将来的には適切なシリーズとのコラボを考えています。プレイヤーに共感してもらえる IP でなければなりませんが、いくつか候補は考えています。また、本作はアニメ スタイルですので、プレイヤーにとってリアルに感じられる形でのアニメ スタジオとのコラボの可能性も多分にあります。
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プレイヤーがプレイし続けてくれる十分なモチベーションと見返りを確保するのは、難しいですか?

これはおそらくゲーム開発の最も難しい部分です。簡単なコツなどはまったくありません。ですが、定着率の高いゲームを制作するために適用できる考え方がいくつかあります。まず、誰が、何のためにゲームをプレイしているのか、その体験から何を得ているのかを考えます。次に、そのニーズをどのように満たすかを考えます。なぜなら、ゲームをプレイするモチベーションは、おそらくそのニーズと密接に結び付いているからです。プレイヤーのモチベーションの中核となるのは、おそらくプレイヤー自身の内的な報酬 (スキルの向上、友人と過ごす楽しい時間など) です。それを設定できてから、外的な促進要因を補足することで、さらにプレイを繰り返す後押しになります (ログイン ボーナス、バトルパス報酬など)。

現在の計画について教えてください。また、その進捗状況はどこで確認できますか?

現在は、ゲームのフル ローンチに向けた準備に注力しています。モバイルとコンソールで準備を進めており、フル ローンチを記念した大規模なアップデートを準備しています。具体的には、新キャラクター、ゲームプレイ システムのアップデート、新しいランキング シーズン、新しいバトルパス、そしてゲーム全体の QOL の大幅な改善などを行います。これらすべてを 2023年2月にリリースする予定です。進捗状況については、Twitter でフォローしていただくか、Discord にご参加いただくか、Steam で本作をウィッシュリストにご登録ください。是非コミュニティにもご参加ください!

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