2019年1月11日
Mutant Year Zero:テーブルトーク RPG から生まれた、破滅的な出来事を迎えたあとの世界を描くビデオ ゲーム
スウェーデンの同名のテーブルトーク RPG に基づく Mutant Year Zero は、ファンタジーの世界をデジタルの時代に取り入れています。説得力のある物語と、好きにならずにはいられないかわいげのあるキャラクターに重点を置き、ファンや評論家などから高い評価を受けています。破滅的な出来事を迎えたあとの Mutant Year Zero の世界で、生い茂った草に覆われた都市や、過去の文明のぼろぼろになった遺物が、Unreal Engine 4 によって美しく描き出されています。
このたび、The Bearded Ladies の CEO、Haraldur Thormundsson 氏と、同社のテクニカル アーティスト、Karl Söderberg 氏にお話を伺う機会をいただきました。UE4 での開発についての詳細、独特なキャラクターの創造、旧来の型を破って新しいファンを獲得するための戦術ストラテジー ゲームの作成について伺いました。 Mutant Year Zero のフランチャイズについてよくご存知ない読者のために、ゲームの背景にある着想についてお話しいただけますか?
Haraldur Thormundsson 氏:開発者のうち何人かは、80 年代と 90 年代に、テーブルトーク RPG の Mutant Year Zero を遊んでいました。Mutant Year Zero が 2014 年に再出発したときに、私たちは、Mutant Year Zero の世界はビデオ ゲームの舞台に最適だと感じました。
The Bearded Ladies は 2010 年ごろから活動していらっしゃって、最初のゲームである Landit Bandit 以来、長い道のりを歩んでこられました。これまでで最大のゲームとなる Mutant Year Zero を開発するうえで、過去の経験はどのように役立ちましたか?
Haraldur Thormundsson 氏:以前に 3 作のゲームを完成させたことから、貴重な経験を得ました。また、メンバーの多くは、多くのリソースを持つ大きなスタジオで働いた経験があります。スタジオやゲームの方向性を決めるうえでは、インディー スタジオとして 10 年間活動するなかで獲得した多くの知識を活用しています。

Haraldur Thormundsson 氏:最初のシネマティック トレーラーを多くの人に気に入ってもらえてよかったです。その後も、トレーラー、開発者の日記、マップ単位のプレイ動画などを公開し、関心を維持しています。メディアにもずっと好意的に扱っていただいていて、ファンのコミュニティができました。
ですが、どのくらいの人がゲームに関心を持ってくれているのかは、発売前にはわかりにくいものです。戦術的なゲームのファンにも、キャラクターや設定を気に入ってくれた人たちにもアピールしたいと考えています。
Mutant Year Zero のゲームプレイでは、ステルスが大きな要素となっています。Hitman のプロデューサーが開発に参加していることが大きく役立ったのではないでしょうか。ステルスがゲームのなかでどう機能し、プレイヤーが生き残るためになぜ重要であるのかについて教えていただけますか?
Haraldur Thormundsson 氏:このゲームでは、ステルスを活用してアドバンテージを得ることが極めて重要です。敵の大規模な集団に対して、単純に真正面から立ち向かえることはほとんどありません。その代わりに、敵のキャンプの周辺に忍び込み、敵の動きを探り、単独で行動している標的を静かに排除していきます。敵の一部を密かに排除しないかぎり、勝つことはできず、何度も挑戦するはめになるでしょう。

Haraldur Thormundsson 氏:Unreal Engine 4 はデザイナーにとってとても役立ちました。マップや環境を作成するうえですばらしいツールです。Unreal Engine 4 のおかげで、アート、サウンド、ゲームプレイを希望通りに組み合わせることができました。
XCOM との比較は避けられないでしょう。XCOM シリーズが Mutant Year Zero にとって大きなインスピレーションを与えたものの 1 つであるということは認めていらっしゃいますね。Mutant Year Zero の元になったテーブルトーク RPG 自体を除けば最も大きな影響を与えたと言われる XCOM と比べたとき、Mutant Year Zero の独自性はどこにありますか?
Haraldur Thormundsson 氏:そうですね、いくつかの点で、XCOM のような戦術ゲームとは異なります。大きな違いの 1 つはステルスの要素です。リアルタイムで忍び込んで探ると同時に攻撃の計画を立てることができ、一瞬ごとのゲームプレイが大きく異なっています。戦闘ごとに (5 人のなかから) 3 人のキャラクターを選んでチームを編成するという点も独自性の 1 つと言えるでしょう。それぞれのアクションが非常に貴重になり、チームの 1 人が倒されるだけで大打撃です。最後に、舞台設定、ストーリー、特殊な突然変異、キャラクターも、Mutant Year Zero: Road to Eden を独特なエクスペリエンスにするうえで一役買っています。

Karl Söderberg 氏:時間の大幅な節約につながったもの 1 つに、Epic による Maya 向けのリギング ツールがあります。このゲームには 4 つのボディ タイプがあります。リグをゼロから迅速に設定できるワークフローは本当に便利でした。このプラグインの優れた機能の 1 つは、パイプラインのあとの工程に与える悪影響について心配せずにキャラクターの大きさを簡単に変更できることです。すべてのキャラクターのデザインが決定される前の、プロトタイプ作成の段階では、この機能がとても役に立ちました。
誘導尋問のような形になってしまうかもしれませんが、Unreal Engine のツールのなかから 1 つ気に入っているものを選ぶとしたら、それは何ですか?その理由も教えてください。
Karl Söderberg 氏:Unreal Engine を使っていてすばらしい点の 1 つは、マーケットプレイスにあるほぼすべてのアニメーション アセットで使われている、標準化されたスケルトンです。このゲームでは、カスタムのモーション キャプチャをかなり使いましたが、何かを忘れていたことに気付いたり、最後にぎりぎりのタイミングで機能が追加されたりしたときには、このアニメーション ライブラリにアクセスできることで助けられました。それらのアニメーションをインポートして、私たちが作成した動物のキャラクター向けに適用するプロセスは、先ほども挙げたリギング プラグインによってとても円滑なものになりました。

Haraldur Thormundsson 氏:Mutant Year Zero: Road to Eden は、レビューで多くの高評価を受けていて (GameSpot では 10 段階で 9 の評価をいただきました!)、ゲームのコミュニティでも好意的に受け止められています。主にストラテジー ゲームで、一部に RPG の要素を取り入れているゲームですが、世界観や設定は、テーブルトーク RPG の Mutant Year Zero に忠実です。
Unreal Engine 4 について学習したいという方向けに、Unreal Engine 4 のプラットフォームに習熟した開発者の立場からアドバイスをいただけますか?
Haraldur Thormundsson 氏:Unreal Engine 4 は非常に人気のあるツールですので、ガイドはたくさん見つかるでしょう。オンラインで見つけられるガイドを観たり読んだりすると同時に、そこで示されている手順を自分で実際にやってみることをおすすめします。自分のニーズとガイドの内容は一致しないところがあるかもしれません。ですから、実行してみてプロセスについて理解することも重要です。スキルを高め、理解を深めるには、時間と労力をかけることが欠かせません。
The Bearded Ladies と Mutant Year Zero について詳しく知るにはどこを見ればいいですか?
次の URL にアクセスしてください。
http://www.mutantyearzero.com
https://www.facebook.com/MYZRoadToEden/
https://twitter.com/myzroadtoeden
編集者注:Mutant Year Zero: Road to Eden は、2018 年の Unreal E3 Award で Most Engaging (最も魅力的な) ゲームに選ばれました。このゲームの開発プロセスについては、以前にも The Bearded Ladies に話を伺っています。こちらの記事も合わせてご覧ください。