そして今年になってようやく、今やクラシックとなった 1 作目の正式な続編がリリースされることになりました。King’s Bounty II のデベロッパーである 1C Entertainment は、影響力のあった第 1 作の設計を単に引き継ぐのではなく、ゲームのアプローチを拡張することで、より現代的な観点や冒険の舞台としてオープン ワールドのランドスケープを盛り込んでいます。
1C Entertainment の CEO である Nikolay Baryshnikov 氏に、30 年前の作品への回帰を後押しした設計上の決定、1C Entertainment が実現を目指していること、さらにこの壮大な戦術ロール プレイング ゲームを制作する際に着想を得た要素などについて伺いました。
1C Entertainment はビデオ ゲーム制作に長年にわたる豊富な実績があり、リリースした作品は 100 を超えていますね。King’s Bounty II の制作に取り組んだのはどのようなチームなのでしょうか?また、メンバーのバックグラウンドについて教えていただけますか?
Nikolay Baryshnikov 氏:King's Bounty II を担当したのは、このプロジェクトのために新たに結成したチームです。初期からのメンバーは 3 人だけ (私、プロデューサー、プロジェクトのメイン ナレーター) ですが、中核となるメンバーは人数が増えていき 80 人になりました。メンバーは誰もが優秀なスペシャリストで、このようなチームを組織することができ、またこのチームで今後さらにすばらしいゲームを作れることを大変嬉しく思っています。
Baryshnikov 氏:1 作目の King’s Bounty は、1 ジャンルを打ち立てた独自のゲームであると考えています。Heroes of Might and Magic などのターン制戦術ゲームの元になった作品です。King’s Bounty は、現代のゲーム業界を支える柱の 1 つと言えるものであり、この最初のゲームがなければ、現在私たちを楽しませてくれる数々のゲームが存在していなかったかもしれません。続編は常に作りたいと思っていたので、このゲームは私たちにとってシリーズ全体の新たな一歩となるでしょう。
2008 年にリリースされ、長期にわたるタイトル シリーズとなった精神的続編 King’s Bounty: The Legend の続編ではなく、King’s Bounty 直系の続編を制作することになった理由をお聞かせください。
Baryshnikov 氏:良い質問ですね。今後のゲームについて社内で集まって検討した際に、現在のプレイヤーのリクエストを反映する、より成熟した製品を制作したいということになりました。さらに重要な点として、1990 年にクリエイターが制作した最初のシリーズの原点に戻りたいと考えたのです。King’s Bounty: The Legend や、この作品から数々の続編が生み出されたことは本当に嬉しいことです。私自身、最新作 Dark Side のスタンドアロン インストールなどにも携わりました。しかし、Katauri Interactive によって制作されたゲームは、先ほど質問で指摘いただいたように King’s Bounty 直系の続編ではありませんでした。精神的続編ではなく、King’s Bounty の完全な続編を作ろうという話になり、1 作目にはなかったユーモアなどの要素を盛り込みました。
King's Bounty のクリエイターが制作した Heroes of Might and Magic シリーズを思い浮かべていただくと、実際、ユーモアは一切含まれていません。そこで、クリエイターがこのシリーズに盛り込んだアイデアへと戻る必要があると考え、1 作目への回帰を決断したのです。King's Bounty II では、約 1 年もの間プロトタイプの作成を続け、やっとのことで最終バージョンが完成しました。最初からゲームに盛り込まれていた要素もあれば、バランスを考慮して取り除かなければならない要素もありました。
画像提供:1C Entertainment
前作の King’s Bounty のゲームから、この続編へと引き継いだ要素はありますか?
Baryshnikov 氏:King’s Bounty II には、これまでのゲームとストーリー上のつながりはありませんが、このシリーズと他のゲームに関連するさまざまな内容や隠れた要素が含まれています。プレイヤーが注意深くノストリア王国を探索すれば、そういった内容や要素のほとんどを、それほど困難なく見つけることができるでしょう。たとえば、1 作目のマキシマス王の生涯や大戦に関するストーリーをゲーム内で調べることができます。ゲームプレイに関しては、より多くのつながりがあります。たとえば、戦いは戦術的なターン制のままですし、3 人の主人公には、それぞれにストーリー、背景、独自のスキルなどがあります。
このゲームで追求しているのは、どのようなタイプのファンタジーでしょうか?
Baryshnikov 氏:古典的なハイ ファンタジーです。King’s Bounty II は、壮大なファンタジー作品である『ロード・オブ・ザ・リング』や『ネバーエンディング・ストーリー』、そして同じジャンルのその他の製品から着想を得ています。明るく、中世を彷彿とさせる一方で、より高度で、洗練されたものとなり、以前のゲームよりもシリアスな雰囲気を醸し出す作品となっています。『ロード・オブ・ザ・リング』をはじめとするファンタジー作品では、暗闇や影、特殊なライティング、およびいつどのようなことでも起こり得る美しく独自の環境を壮大なファンタジーに躊躇なく組み合わせています。当初は、もっとおとぎ話のようなゲームを作ろうと考えていましたが、それでは展開したいメイン ストーリーにうまく合わなかったのです。そこで、その代わりに、ゲーマーの皆さんにもっと壮大な作品を見ていただきたいと思いました。別のより複雑なトピックを盛り込みながら、12 ~ 16 歳以上のレーティングの範囲に収まる作品を目指し、暗い内容や暴力は排除しました。
Baryshnikov 氏:King's Bounty II での最大の目標は、ロシア国内でこれまでにない大規模な AA プロジェクトを制作する、ということでした。簡単ではありませんが、やり遂げなければなりませんでした。新しい観点からこのシリーズを捉えて進化させ、ターン制ゲームに対する私たちのビジョンを共有できればと思ったのです。それに加えて、ストーリーの内容をより充実させて、難しい戦闘を組み込みました。自分の軍隊を運営したり、市民のために鶏を見つけるなど、楽しさを追求しています。プレイヤーには飽きずに楽しんでもらい、複雑なワールドで繰り広げられるおとぎ話の中にいるような気持ちになってほしいと思っています。King's Bounty II が、飽きずにプレイし続けていただけるような作品になっていれば幸いです。環境間を移動するための新たな手法も、新鮮なエクスペリエンスを提供する要素ですが、プレイヤーにはこの独特のゲームプレイを最も楽しんでいただきたと考えています。