ウクライナで生まれ育った Alex Pimenov 氏は Doghowl Games の共同設立者であり、Level Zero プロジェクトのゲーム ディレクターを務めています。Doghowl Games チームのプロジェクト ビジョンについて、Alex にお話を伺います。以前、Alex は 9 年以上にわたって映画業界で勤務した経験を持ち、さまざまな作品のディレクターやプロデューサーを務めました。
ウクライナに住む他の大勢の人々と同じく、ウクライナを拠点するゲーム開発スタジオ Doghowl Games の共同設立者である Alex Pimenov 氏の生活も 2022 年 2 月を境に永遠に変わってしまったのです。
スタジオを創設して Doghowl として初作品となるタイトル、Level Zero の開発契約を結んでからほんの 1 か月後、それまで予想もしなかった出来事によって、Doghowl Games のメンバーたちの生活は一変することになりました。戦争に伴ってゲームの基礎作業は最初の週に中断を余儀なくされましたが、Alex と他のチームメンバーはなんとか生計を立てねばならないことから、その後すぐにプロジェクト作業の再開を決断しました。
「私たちのチームには優秀な人材がそろっており、互いに助け合い、このすばらしいプロジェクトをやり遂げるというひとつの目標の下に結集しています。そして今まさにその作業を行っているところです」と Alex は語ります。「この戦争はウクライナにおけるゲーム開発に特定の変化だけでなく、予測もできなかった過酷な状況に対処するという、思いもよらない経験をもたらしました」
3 月に行ったこのインタビューでは、戦時下におけるゲーム開発がどのようなものか、非対称型ホラー作品の Level Zero がその開発初期からどのように進化したのか、そしてゲーム開発に Unreal Engine を使用することでチームが得たインスピレーションについて Alex Pimenov 氏にお話を伺いました。
Doghowl Games はいつ、どのように設立されましたか?
Alex Pimenov 氏 (Doghowl Games 共同設立者):私たちはもともとさまざまな場所に住んでいましたが、10 年前にマルチプレイヤー ゲームを通じて知り合いました。その時点ですでに、私たちはさまざまなゲームの独自サーバーや MOD を開発することに興味を持っていました。私たちは Unreal Engine 4 のリリースに注目し、興味を持って UE について学び始めました。Unreal Engine についての十分な知識を得て、独自のゲーム「Level Zero」を開発するアイデアが生まれました。当時のメンバーは 4 名で、それぞれの本来の仕事の合間にこのプロジェクトの作業を進めました。ゲーム開発からビデオ プロダクションに至る分野での長年の経験から、このゲームをパブリッシャーの興味を引くものにすることは難しくはありませんでした。私たちはチーム内のすべてのプロセスを正しく構築するために、Outloud の創立者であり、ゲーム開発業界で長年の経験を持つ旧友たちと合流しました。
Doghowl Games を創立したのは戦争直前の 2022 年初頭でした。同時にあるパブリッシャーとの契約も成立させました。現在私たちのチームは 20 名ほどとなり、Metro、Call of Duty、Dead Space といった人気作品での経験を持つプロフェッショナルがそろっています。
Pimenov 氏:環境の制作時には オデッセイ (The Martian)、プロメテウス (Prometheus)、アナザー・ライフ (Another Life) シリーズといったさまざまな映画に注目し、そのスタイルというよりも雰囲気に関してインスピレーションを得ようとしました。キャラクターとクリーチャーについては、できる限りオリジナルのものを作成したかったので、他のゲーム作品と比較するようなことをするつもりはありませんでした。その意図がどれだけ反映されているかは、プレイヤーの皆さんがご判断ください。
時間とともに、Level Zero のゲームデザインとビジュアルはどのように進化しましたか?
Pimenov 氏:ゲームのビジュアル デザインで主に変わったのは、アセットの使用からオリジナル コンテンツに切り替えた点です。ゲームのスタイルについては、元からのビジョンを維持して変えないようにしています。このゲームのカギとなるスタイルは、過度な SF 要素なしに近未来を描くことです。私たちは、現実味のある、理解可能でなじみのある要素を取り入れた、人間工学に基づく論理的な環境を作成したいと考えました。こうした環境の中で、プレイヤーはその目に映るものからよりリアリズムを感じることができます。私たちは、単にデザインのためのデザインや、SF 作品のための SF デザインを行うことには反対なのです。