みなさん、こんにちは! 私たちは AR、VR、MR などに力を入れている没入感のあるコンテンツを制作しているスタジオ、 REWIND で働いています。我々が HBO と協力して制作した最新 VR 作品、Silicon Valley:Inside the Hacker Hostel (米国、HBO が制作したエミー賞を受賞したドラマ、『シリコンバレー』をベースにした VR ゲーム) をリリースすることを喜ばしく思います。HBO のマーケティング チームと協力してドラマのセットを忠実に再現しました。この VR 作品は、ドラマの脚本家と協力して作成されたオリジナルの脚本による主人公の動画コンテンツで作られています。ドラマのシーズン 5 の放送開始に合わせて Viveport で 3 月 25 日にリリースされました。最新エピソードの視聴と共にお楽しみいただけます。
Silicon Valley:Inside the Hacker Hostel は、HTC Vive 向けのリアルタイム VR 体験で、ドラマの主人公の生活と仕事の場である家の中に入っていき、ドラマの登場人物たち、リチャード (Thomas Middleditch)、ディネッシュ (Kumail Nanjiani)、ギルフォイル(Martin Starr)、ビッグヘッド (Josh Brener)、ジアン ヤン (Jimmy O. Yang) に出会います。VR 内には、AI の敵がいるテーブル フットボールやプレイ可能なピアノなど、様々なインタラクティブ要素があります。画面が歪んで部屋が回っているような感覚を模倣して、テキーラを飲んで酔っ払う様子を表現している場面もあります。
Hacker Hostel の制作

ご想像のように、実際の空間のルック&フィールをデジタルで忠実に再現するには沢山のプリプロダクションが必要でした。本物らしさが重要なポイントだったからです。HBO が我々をドラマの撮影セットの写真撮影に招いてくれました。正確にライティングできるように室内の 360 度キャプチャーを含む小道具やセットの参照用の写真を多数撮影しました。こうした画像を元に Autodesk 3ds Max、Maya、Substance Designer/Painter を使って、象徴的なアセットを再現することができました。
小道具の数の多さを考えて、この家が実物に対してできるだけ正確になるように、さらに空間を 1:1 で表現するようにモジュール方式を取らざるをえませんでした。HBO が提供してくれた非常に詳細な設計デザインをプロジェクトの基準とし、床、壁、天井を 3ds Max と Maya でモデリングした後、アンリアル エンジンにインポート、プリトランスフォームして忠実なレプリカになるようにしました。
背景とインタラクティブな要素の継続性を保つために、HBO は、ドラマの小道具 ‘Always Blue’ ボール (Switch Pitch、投げると色が変わるボール状のもの) の詳しい技術文書も見せてくれました。文書の正確な仕様に従ってボールをモデリングし、リグを構築することができました。HBO が、参照用のドラマの画像や、他の番組のセットの装飾などの画像を沢山提供してくださり、こうしたものを本作に取り入れました。HBO の他の部署、Interactive Design チームの方々も制作に協力してくださいました。この VR 体験では非常に沢山のアイテムを扱いました。HBO のチームが本、瓶、缶、その他のインタラクティブなオブジェクトがドラマの美的感覚とブランディングを表し、一貫性があるように熱心に取り組んでくれました。
アンリアル エンジンの機能を活用する

アンリアル エンジンの機能によって制作に費やすかなりの時間を節約することができました。ここでいくつかご紹介します。
- ブループリント システムを使うことで、本作のすべてのゲーム メカニクスで迅速なプロトタイピングが可能になりました。Sticky Note (付箋) システムは、VR 内でリチャードの付箋のメモを見つけるという本作のナラティブで欠かせないものでした。付箋のメカニックを迅速に作成し、イタレーションすることができました。様々なサイズ、形、色を持つ多数のメモをちりばめました。
- LOD の自動生成機能は素晴らしいものです。Silicon Valley:Inside the Hacker Hostel には、756 個のインタラクティブなオブジェクトがあります。すべてのアセットに対してカスタムの LOD を作ったら膨大な時間がかかったことでしょう。LOD の自動生成機能を使うことで、制作時間を一週間以上、短縮したかもしれません。
- アンリアルエンジンの Widget ブループリントを広範囲にわたり使用して本物そっくりの携帯電話のタッチ スクリーンやコンピュータのモニタを作りました。『DOOM 3』 以来、これほど多くのインタラクティブな画面が登場したことはありません。
- ライトマスを使ってシーンを静的にライティングすることで、高品質なライティングとシャドウをすべての静的ジオメトリで実現しました。ドラマの撮影セットからキャプチャした実際の部屋の 360 度画像を使って、番組内の建物の外観に忠実に一致するようにライティングとポスト プロセスを施しました。動的アセットについては、反射キャプチャ プローブを多用し、リアルなライティングを実現しました。こうしたオブジェクトの多くでカプセル シャドウも利用しており、リアルで低負荷のコンタクト シャドウを作ることができました。
- LOD 自動生成機能で LOD モデルの作成にかかる時間を大幅に短縮したように、Destructible Mesh (被破壊メッシュ) システムを使って複数のセラミックやガラスのアイテムが背景に砕け散る状態を迅速かつ簡単に作成することができました。
ご覧のように、沢山のアンリアル エンジンの機能を、社内の VR テンプレート、具体的には説得力のある物理ベースのリアルなインタラクション用に作ったテンプレートと合わせて使用しました。こうした先進技術によってのみ可能になる方法でドラマの世界に浸ることができます。プレイヤーはつついたり、投げたり、押したり、つぶしたりという動作でインタラクションして楽しむことができます。私たちはこの結果にとても満足しています。
最後までお読み頂いてありがとうございます!Silicon Valley:Inside the Hacker Hostel は、HBO と REWIND との提携によって実現したものです。現在、米国で HTC の Viveport プラットフォームから入手できます。本作のダウンロードの最新情報については、 SiliconValleyVR.com をご覧ください。