画像提供:Ratloop Games Canada

Lemnis Gate はターン制タイム ループとファーストパーソン アクションをどのように融合したのか

Mat Paget
Ratloop Games Canada 社は、ケベック州モントリオールに拠点を置く独立系開発スタジオです。ゲームプレイ メカニクスのイノベーションに重点を置き、「ゲームプレイ第一」を揺るぎない信条とする Ratloop Canada 社は、エキサイティングで革新的な製品をすべてのメジャー ビデオ ゲーム プラットフォームで開発しています。
AAA ゲームの開発会社で経験を積んだモントリオールのデベロッパーたちが独立し、ゲームプレイの感覚に重点を置いて設立したのが、Ratloop Games Canada 社です。Ratloop の開発哲学で何よりも重要とされるのは、ゲームプレイです。Lemnis Gate の開発に着手したときにチームの念頭にあったのも、この哲学です。このゲームは FPS で、プレイヤーが目標を達成し、相手を撃退し、あるいは相手チームが同じアクションを実行できないようにします。ちょっとした仕掛けは、このゲームがターン制であり、プレイヤーは各ターンでプレイする方法を慎重に選択する必要があることです。この 2 つのジャンルの融合は他に類を見ないもので、非常に高い評価を得ており、PC Gamer では「sleeper shooter of 2021」(将来ブレイクが期待される FPS) と評しています。

単に取り合わせの珍しいジャンルを融合させただけではありません。ゲーム ディレクター James Anderson 氏によると Ratloop 社のチームは進んでリスクを取り、他のスタジオができなかったことに挑戦しています。この独立系小スタジオは 4 年ほど前に 6 名でスタートしました。そこから 15 名のチームまで成長し、全員が革新的なゲームプレイメカニクスに命を吹き込むという情熱を共有しています。

Anderson 氏に Lemnis Gate の複雑なデザイン、および Ratloop Games Canada 社が FPS とターン制ストラテジーの絶妙なバランスを生み出した経緯について伺いました。
 

チームがアリーナ FPS とターン制のタイム ループ ストラテジーを組み合わせるアイデアを思いついた経緯をお聞かせください。

Ratloop Games Canada 社ゲーム ディレクター、James Anderson 氏:
まずゲームは「ターン制」で行こうというコンセプトがありました。頭の中にあったのは、隊員のクールなインタラクションと能力です。銃弾が飛び交う中で撃ちまくる、あるいは仲間を守るためにスナイパーの銃口の前に身を投げ出す、ケビン コスナースタイルといった感じです。これらのイベントを実際のゲームでどのように実現するのかを議論していく中で、否応なしにターン制で考えようという流れになりました。たとえば、銃弾を戦術的に止めるには、A から B に銃弾が発射された瞬間を把握することが必要です。このようなシナリオの議論から、「次は何か」、次のプレイでの反撃はどのようになるのかを考え続けました。すぐに気づいたのは、原因と影響 (因果関係) を扱うとき、そしてターンが替わり、それぞれの時間に起きたことを変更するときに、非常に多面的な要素に対応する必要があるということです。さらに隊員を次々とシナリオに加えていった場合に、因果関係ストラテジーがどれほど複雑になるのかを確認したくなりました。次のステップはゲームプレイのプロトタイプを作成し、何らかの答えを得ることです。そこで自然と「ターン制の FPS」のコアループが出来上がりました。すべてのルールをどのようにすべきか、プレイはどのように終わるのかがはっきり見えていたわけではありません。しかし、プロトタイプを作成して 1 か月後、最初の答えが見つかり、一通りプレイできるプロトタイプ バージョンができました。これは FPS の新しい機能方式を明確に示したもので、非常にエキサイティングでした。

Lemnis Gate にどのような影響がありましたか。

Anderson 氏:
ゲームの中心になる優れた基本メカニックはすでにありました。そこで従来からあるすべての FPS メカニック要素を維持し、兵器、能力、ゲーム モードになじみのある部分を取り入れ、ピックアップ/プレイ コントロール スキームを備えたものにしたかったのです。 

さらにターンのプレイ時間 (25 秒) が限られているので、Unreal TournamentQuake などクラシックなアリーナ シューターを考え、アリーナ シューター空間でうまくいき、うまくできているものを見つけました。

Apex LegendsOverwatch など、無視できない人気のジャンルを確立している最新の FPS からもインスピレーションを得ています。これらのゲームではメインを含む各キャラクターを前面に押し出していて、私たちの隊員もプレイヤーの期待に沿うように目立つ要素を備える必要がありました。
画像提供:Ratloop Games Canada
さまざまなキャラクターや能力がある中で、各キャラクターがマッチのストラテジーで重要な役割を果たすためにメンバーのバランスをどのようにとりましたか。

Anderson 氏:
隊員とその能力をデザインしプロトタイプを作成するとき、主要な機能が重複しないことが重要でした。それぞれの隊員は、他の隊員とは異なる独自の方法で動き、ダメージに対応する必要がありました。基本的に、隊員それぞれを新しいものにしたかったのです。多様なマップやゲーム モードが利用できるようになっていて、特定の隊員がより活躍できるコンテキストが数多くあります。隊員の定義が完了したら、残りはプレイテスト、チューニング、イテレーションを多数実行して煮詰めていきました。「安定するまでの時間」は軽視できないと思います。うまくいくバランスを見つけるには時間がかかり、短縮はできません。このゲームを学び、隊員をマスターし、多様な対戦で経験を積み、微妙なバランスの感覚を捉える必要があります。これらすべてを「えこひいきなし」主義で進めた結果、Lemnis Gate が他の似たタイトルとは一線を画したものとして見えてきました。
画像提供:Ratloop Games Canada
タイム ループがうまく取り入れられて、能力、シューティング、ストラテジーのバランスが素晴らしく感じられます。どの時点で、Lemnis Gate が特にすばらしいものだと思いましたか。
 
Anderson 氏:
機能的プロトタイプがプロジェクトで作成した最初のアセットの 1 つだったので、かなり早い段階から特別なものであることがわかっていました。異なる隊員、能力、ゲームモードがない場合でも、プロトタイプのコアループから生まれる基本ストラテジーはかなり強力なもので、どんどん進化していくように見えました。プレイすればするほど、異なる動きやストラテジーのアイデアが浮かんできます。ゲームのターン制という特性のために生まれる強力なフィードバックは、「チェスのような感覚」につながります。これはすばらしいことで、ゲームに深みがあり、長い目でリプレイバリューがあることを示しています。FPS かつチェス マッチとしてゲームを考え始めたとき、Lemnis Gate に奥深い可能性があることを認識しました。

プレイするときの能力、銃、システムで、各マッチがエキサイティングだと感じられるようにするため、ループ内の時間と目標の適切なミックスを見つけるのにどれだけ時間がかかりましたか。

Anderson 氏:
適切な結果を得るためには多くのイテレーションが必要でした。マップ サイズ、隊員のナビゲーション スピード、タイム ループの長さを試す必要があります。想像どおり、これら 3 つの変数は相互に関係しています。マップを大きくして動きを高速にするか、あるいはマップを小さくして動きを遅くし、時間がかかるようにするのか。第一にナビゲーションを楽しめるようにしました。基本的に、隊員が楽しく走り、ジャンプし、滑り、飛び跳ねるようにしたい。一般に、基本的なナビゲーションが楽しければ、ゲームの残りの部分も楽しくなります。その部分は制約として確定したので、異なるループ時間で大きいマップと小さいマップを試しました。合理的に複雑な作戦、ストラテジーを実行するために適切なのが 25 秒でした。作戦が実現しなかった場合、または実行が完了したときに、何秒も待機したくないからです。今日まで、ゲームのフローを改善し、素晴らしく感じられるようにこの種のシステムで学習、調整、イテレーションを続けています。
画像提供:Ratloop Games Canada
25 秒のタイム ループ内でうまく機能するマップを作成するアプローチについてお聞かせください。
 
Anderson 氏:
兵器、能力、タイム ループ間には相互作用があるため、対戦中のプレイヤーには重荷となる複雑なパス選択処理を追加したくはありませんでした。マップごとに 2、3 の目標だけがある、シンプルなパス選択が維持されるよう心掛けました。スポーン後は、明確な指示がある各目標、A、B、C のどれに向かうのかをすばやく決定します。たとえば、チェス盤には 8 x 8 のマスがあります。これを 12 x 12 マスにするなどして、突然パス オプションを増やせばどうなるでしょう。すべての可能な動きを頭の中で計算しようとすればその作業は指数関数的に複雑になり、平均的なプレイヤーの処理能力を超えてしまいます。マップは上から見て解りやすいことが必要です。ドローン ビューではマップが「ボード」で、隊員が「駒」だからです。戦略的ゲームプレイを完全にサポートするために、マップはプレイヤーから見て、ループが再びアクティブになったとき目標と隊員が明確にわかるようにする必要があり、さらにパス選択を決断できることが必要です。

これらすべての他に、Lemnis Gate にもゴースト モードがあります。死んだ後もプレイを続け、将来のキャラクターが自分を倒した相手を排除した場合に、動きを引き継ぐことができます。他のレベルのストラテジーがすでに動いている中で、これを実装するのにどのような課題がありましたか。

Anderson 氏:
ゴースト モードは Lemnis Gate に不可欠な機能でした。このモードを実装する前は、タイム ループのごく初期段階で倒されると、タイム ループのプレイが完了するまで待機する必要がありました。これではフラストレーションがたまります。さらに、次のラウンドでなんとか死なないようにしても、前のラウンドで死んだ後に記録された追加情報がないため、新規保存の隊員にはマッチの追加ロールがなくなります。ゴースト モードがあると、25 秒のループ全体で、「保存された」隊員の行動内容をゲームで把握することができます。つまり、ライブ プレイヤーを選択し、普通に実行するすべての内容を「ゴースト」バージョン (すべての兵器と能力) に変換する必要があります。そうするとライブ プレイヤーはダメージを受けず、邪魔されなくなります。これらすべてを実行し、一方で、すべての適切なフィードバックと感覚を、ゴーストであるプレイヤーに与える必要があります。

なぜ Unreal Engine が Lemnis Gate に適していると思われたのでしょうか?

Anderson 氏:
アリーナ シューターは、ごく初期の頃から基盤が Unreal Engine で開発されています。キャラクター移動システム、ネットワーク レプリケーション、コリジョン、発射物、安定性、パフォーマンスなど、これらの要素はすべて、他のエンジンよりも成熟し堅牢になっています。優れたシューター ゲームの作成に必要なものが、すべてすぐに利用できるようになっています。Epic に非常に感謝しているのは、クロスプラットフォーム実装が優れているため、私たちのような独立系チームがオンライン ゲームを 6 つの異なるプラットフォーム向けに同時にリリースできることです。Unreal Engine はすばらしいテクノロジーの結晶で、一般には AAA チームの予算がないと使えない各種ツールキットを小規模チームが利用できます。
画像提供:Ratloop Games Canada
Lemnis Gate には独特のスタイルがあります。ワークフローをアートの観点から順に説明していただけますか。
 
Anderson 氏:
隊員が旅をして、セッション中にマップ リストをプレイヤーが繰り返すとき、ゲームプレイ エクスペリエンスに多様性をもたらすために、多様なワールド セットを作成しました。すべてのワールドは、異質で互いにまったく異なるものですが、各レベルに標準タイプの人工の前線基地を使用することで、互いにつながったすばらしい感覚を生み出せます。物語としては、各マップにある「人間のテクノロジー」は、各ワールドに前線基地を構築したときに人間が持ってきた装備ということです。なじみのある前線基地では、プレイヤーが、識別できる工作物があり、ゲームの世界に入りこむことができるとともに、プレイを楽しめるものです。他に説明する価値があるのは、各ワールドでまったく異なるカスタム シーンの小さいセットを構築するアプローチを採用したことです。ワールドでユニークなシーンのピース、フォリッジがあり、これらは主な違いで自分の位置を知るためのサポートになっています。

隊員の観点では、チェスの駒から着想を得て、主要なピースは、互いにビジュアルが大きく異なり、シルエットだけで簡単に識別できます。ターンは 25 秒間なので、特に重要なのは、プレイヤーがプレイ フィールドの隊員をすばやく識別できるようにすることです。これは各隊員が持っている個別の兵器や能力でも当てはまります。プレイヤー自身のいる状況に応じて、すべての隊員が等しく重要であることを実現したかったのです。

ゲームのフォト モードをどのように実装したのかを説明していただけますか。

Anderson 氏:
フォト モードは Lemnis Gate でインゲーム偵察ドローンをそのまま拡張してうまくいきました。ターン制という特性のため、相手がプレイしている間、偵察ドローンを操縦してバトルフィールドを監視し、次の動きを検討します。この視点から、ゲームプレイ中に隊員とアクションを間近で観察できます。ここから単純に、プレイヤーがゲームを中断し、カメラ画面をズームし、画面キャプチャ ボタンを追加できます。この機能があったので、被写界深度やレターボックス化など結果にシネマティック効果を加えられるいくつかオプションを追加しました。

これまでコミュニティからどのような反応がありましたか。

Anderson 氏:
批評家や同じコミュニティからの受け止めはすばらしいもので、新しいことを実行し、FPS のジャンルに新鮮な風を吹き込んだことに、プレイヤーからも感謝のコメントが多く届いています。プレイヤーがメタ ストラテジーを生み出し、そこに大きな変革も見られます。週ごとに進化していくようで、まったく想像もつかなかったものもあります。前週のプレイの最高スコアが、次の週にわかるので、すべてのプレイヤーが引き付けられます。高レベルのプレイヤーのすばらしいグループもあり、トーナメントで毎週対戦しますが、観戦して楽しめます。ゲームとプレイヤー ベースがどのように発展していくのかを非常にワクワクして見ています。

貴重なお話をありがとうございました。Lemnis Gate の詳細については、どこで確認できますか? 

Anderson 氏:
ありがとうございます。

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