制作チームが華やかな経歴を持っていたことから、Sweet Home -俺と世界の絶望- の公開は大きな話題となりました。このプロジェクトとチームについて、簡単に教えていただけますか?
Westworld のスーパーバイザー、Lee Byeong-joo 氏:Sweet Home は、2017 年から 2020 年にかけて連載された、人気のスリラー Web 漫画シリーズです。徹夜でシリーズを一気に見た多くのファンの 1 人として、Netflix オリジナルのシリーズとしてドラマを制作するという話を聞き、とても喜びましたし、制作に参加できて嬉しく思いました。さまざまな韓国ドラマを手がけたことでよく知られているイ・ウンボク氏が、Sweet Home -俺と世界の絶望- の監督を務めました。イ監督とは過去に仕事をしたことがあります。VFX について深く理解し、関心を持っている方なので、このシリーズでは協力して巨大なクリーチャーを作成できました。
Sweet Home -俺と世界の絶望- では、Westworld はどのような役割を果たしたのですか?その制作プロセスに Unreal Engine が適していたのはなぜでしょうか?
Lee 氏:Westworld は、キャラクターとプロップのデザイン、ストーリーボードの作成、プリビジュアライゼーション、デジタルのクリーチャーの作成、シリーズ全体の VFX を担当しました。Sweet Home -俺と世界の絶望- には、人間がそれぞれの望みに応じた怪物に姿を変えるという興味深いコンセプトがあります。そのため、技術的にはとても難しいものとなりました。作成する怪物の種類が多く、どれも見た目が違っていて、これまでなかったような多様な特徴を持っていたからです。怪物がアップで映る、日中の屋外のシーンや、怪物が絡む戦闘のシーン、怪物と生身の俳優がやり取りするシーンは特に難しくなりました。最大の課題は、CGI を使ってこうしたショットを作成することでした。
何度もテストと評価を行って、バーチャル プロダクションのさまざまなソリューションのなかから Unreal Engine を選択しました。Unreal を選んだ最も決定的な理由は Live Link です。Live Link を使えば、カメラやモーション キャプチャなどの外部データをリンクして、ライティング、キャラクターの位置、サイズを簡単に制御できます。Live Link を活用して、生身の俳優の演技と動きに基づいて仮想的なキャラクターを撮影しました。また、カメラの動きの精度を上げることができました。
Lee 氏:このプロジェクトのためにバーチャル プロダクションを使い始めるにあたって、Unreal Engine、Ncam、Xsens の組み合わせが、リアルなシーンを撮影するために重要になりました。この組み合わせによって、撮影クルー、制作チーム、キャストの全員が、セットでシーンをリアルタイムで見ることができたからです。
Lee 氏:Unreal Engine 4.19 で公開された Live Link プラグインによって、Unreal Engine の対象範囲は、プリビジュアライゼーションから実際の撮影とポストプロダクションまで、大きく広がりました。モーション キャプチャとカメラのトラッキングについては、Westworld のチームでは、それぞれ Xsens と Ncam を活用しました。どちらのデバイスも Unreal Engine の Live Link プラグインをサポートしています。Sweet Home -俺と世界の絶望- では特に、多くのシーンで仮想的なクリーチャーを仮想的な環境内で動かす必要がありました。Live Link プラグインがなかったら、モーション キャプチャのデータを Unreal Engine 内のクリーチャーとリンクさせたり、実際のカメラと仮想的なカメラを接続したりして、今回使ったようなリアルタイムの撮影方法を採用することはできなかったでしょう。現実の世界のデータを仮想的な世界で使うことができるようにすることで、Live Link は高い拡張性と無限の可能性をもたらします。これからもいろいろなプロジェクトで使っていきたいと考えています。また、Unreal Engine は、外部のプラグインを簡単に管理し、使用できるようになっています。これはプロジェクトごとのアセット管理を直感的に行うために非常に便利です。
Lee 氏:私たちのチームは、Sweet Home -俺と世界の絶望- を通じて、現実の世界と仮想的な世界を結び付ける、リアルタイムのバーチャル プロダクションの経験を積むことができました。この経験をもとに、研究開発を通じて LED ウォールやインカメラ VFX にも取り組んでいます。今後のプロジェクトにこうしたテクノロジーを利用する予定です。
Westworld は、今後のさまざまなプロジェクトで、Unreal Engine のリアルタイム レンダリングを既存のオフライン レンダリング手法と柔軟に組み合わせる予定です。また、制作のパイプラインを強化し、最高品質の成果を最も効率的に生み出す、革新的な企業となることを目指しています。Westworld の最新ニュースは、当社の Web サイト、または Facebook ページでご確認いただけます。また、Sweet Home -俺と世界の絶望- は Netflix でストリーミング配信中です。