PC版の発売は去年でしたが、コンシューマー版は先日発売されました。エアシップ・シンジケートがシリーズを手掛けるのは厳密には本作が初めてでしたが、スタジオは既にダークサイダーズのDNAを受け継いでいました。CEO兼共同創設者のジョー・マッドを含め、原作に携わっていたおよそ10人の開発者がいました。数人の開発メンバーと連絡を取り、新たな視点で、ダークサイダーズを最高のゲームにするという目標をいかにして達成したのかについて話をうかがいました。 原作のダークサイダーズでは三人称視点が採用されていますが、なぜダークサイダーズ・ジェネシスではクォータービューが有効だと考えたのでしょうか?
THQ Nordic開発ディレクター ラインハルト・ポリス:THQ Nordicが2013年にフランチャイズを取り戻したときに最初に考えたのは、フランチャイズを進化させ、新たな仕掛けを加えるべきなのではないかということでした。我々は、トップビュー視点こそがダークサイダーズの核となる要素だと感じていました。そして、簡単なマルチプレイを導入することも考えていました。幸いにも、エアシップ・シンジケートもよく似た考えを持っていたので、プロジェクトはそれに引っ張られることとなりました。
この新たな視点を採用しつつダークサイダーズというフランチャイズを再発明することは難しくなかったのでしょうか?特に困難だと感じられた問題は何だったのでしょうか?
ポリス: とても大変でした。新視点がダークサイダーズにおけるゲーム体験の核として認識されるかどうか、ずっと心配していました。戦闘のテンポの調整と、カメラが邪魔にならないようにマップ移動時のシーンをデザインすることが、開発における最大の課題のうちの2つでした。

原作のダークサイダーズを除いて、他にダークサイダーズ・ジェネシスに影響を与えた作品は?
ポリス:トップビュー視点のトゥームレイダーシリーズはよく遊んでいましたね。それぞれの要素のバランスは異なりますが、このシリーズにも戦闘、マップ移動、謎解きがありました。
プロジェクトのどの時期から、エアシップ・シンジケートはローカル協力プレイがこのゲームの主要素になるとわかっていたのでしょうか?
ポリス:最初からです。我々はマルチプレイを導入してみたかったんです。それに、ローカルだけでなくオンラインでもです。実際のところ、どこから手を付けていいのかわからなかったので、最初の試験版には分割画面のマルチプレイも含まれていました。プロジェクト初期に我々が作ろうとしていたのはそういうものです。

ダークサイダーズではストライフが新たなプレイアブルキャラクターとなりましたが、彼のデザインはどのように進められたのですか?
CEO ジョー・マッド:面白いことに、ストライフの初期デザインはウォー、デス、フューリーたちと同時期に完成していました。これは我々が原作のダークサイダーズの契約をするよりもずっと前のことです。それぞれのキャラクターにはゲーム実装前に僅かに変更が加えられましたが、ストライフはほとんど元のコンセプトのままでした。ストライフについて重要なのは、身軽で危なそうな見た目をしていること、そして巨漢の弟ウォーからは一線を引いていることです。
本作には多くの敵が登場します。新視点を導入したことで、敵のデザイン方法を変更する必要はありましたか?
マッド:どのゲームにも、キャラクターのデザインには常に制約があります。しかし、固定カメラであることでその複雑さが増すことはありません。プレイヤーがよく目にする箇所のディテールを保つだけでいいのです。このケースで言うならば、クリーチャーの頭と上半身のディテールを落とさないようにするということです。 困難があったとすれば、カメラが離れすぎているのが原因でした。どんなに極小サイズにしても見やすいものを作る必要がありますからね。我々はシルエットがはっきりした図体のデカいキャラクターを作る傾向がありますから、その点では助かっていますね!

本作では美しいステージが見られます。どのようにデザインしたのでしょうか?
リードステージアーティスト ジェシー・カーペンター:ステージのデザインには、デザイナー、アセットメーカー、ワールドビルダーやその他大勢の間の協力が必要です。作成が決まったエリアで最初に作業をするのが我々のデザイナーです。彼らはそのエリアで必要とされるゲームの流れやゲームプレイにフォーカスしています。メインとなるルートやアイデアの概要を決めるのです。この段階では、後でそのエリアを担当することになるワールドビルダーとデザイナーが一緒になって、最終的な見た目がどのようなものになるのかアイデアを出し合います。そして、どうすればそのステージがユニークで特別なものになるのかを考えます。
デザインが承認されれば、今度はワールドビルダーがデザインされたマップの飾り付けを行います。このプロセスでは大抵、マップに大きな変更点が加えられます。そのため、デザイナーは後から自分たちのアイデアを修正しなければなりません。ワールドビルダーの仕事は、ステージを実物のようにリアルなものにすることです。その一方で、ゲームプレイに必要な要素やデザイン目標を達成する手助けをします。彼らはステージを洗練し、完成させるために様々なタスクを手掛けています。例えば、アセットの作成と設置、照明、VFX(視覚効果)の設置、パフォーマンスの最適化、後処理の設定などです。アセットメーカーはステージの完成に必要なカスタムアセットの作成、VFXアーティストはステージに必要なVFXを準備します。テクニカルアーティストとエンジニアは、必要なときにはカスタムツールでアーティストのサポートをしたり、低価格コンソールでもステージがきちんと動作するようにします。
ステージを美しく見せ、楽しくプレイできるものにするために、たくさんの作業が行われています。すなわち、どのステージも多くの人が協力して作り上げたものだということです。

ダークサイダーズ・ジェネシスでは洗練されたグラフィックと驚くようなパーティクル効果が見られます。ゲームの見た目をどのようにして決めるのか、説明して頂けますか?
カーペンター:ゲームの最終的な見た目を決める作業は、非常に反復的なプロセスです。通常、我々に許されている最後の日まで、デザインを磨き続けます。バトル・チェイサーズを開発した後、我々のアートスタイルをいかにしてダークサイダーズの世界観に落とし込むかという点について、様々なアイデアがありました。バトル・チェイサーズでトップビュー視点用のアートを作っている間に、我々はジェネシスに組み込めるようなことを多く学んだのです。
とは言うものの、ダークサイダーズシリーズは全体的により気骨のあるテーマを持っていましたから、我々はバトル・チェイサーズのときよりも、もう少しその方向にシフトする必要がありました。ダークサイダーズ作品はずっと、ゲームの型にはまったものとリアルのものの間を歩んできました。そのため、我々はよりリアルなPBRマテリアルと、バトル・チェイサーズ以上のディテールが必要になると考えていました。
エアシップとダークサイダーズが見事に調和したと感じられる場所へ到達するまでには、幾度もの繰り返し作業と変更が必要でした。しかし、一度しっくりとくるアートとステージが揃った後は、そのアイデアを別のステージやアートに反映させることには時間がかかりませんでしたし、ずっと簡単でした。この段階では、最終的なデザインに合うように修正しなければいけないアートがたくさんあったので、作業工程を行ったり来たりしていました。
早い段階で正解のデザインに辿り着くこともあれば、作ろうとしているワールドの雰囲気と見た目を決めるのに多くの時間がかかってしまうこともあります。ダークサイダーズシリーズの開発には、驚くような資料がたくさん用意されていました。それは素晴らしいことなのですが、それらの資料を読み取り、自分なりに解釈するのは大変でした。幸運なことに、アーティストやFXアーティスト、エンジニアたちの素晴らしいチームがいたので、乗り越えることができました。

ダークサイダーズ・ジェネシスのアニメーションには目を見張るものがあります。どのようにして作られたのか、その詳細を教えて頂けませんか?
リードアニメーター ジェレミー・パントーハ:我々がアニメーションスタイルのインスピレーションを受けたのは、リーグ・オブ・レジェンドやダークサイダーズの過去作、バトル・チェイサーズといったゲームです。私が作りたかったものは、きびきびとしていて、ワクワクさせてくれるような、それでいて激しく荒々しいアニメーションでした。アニメーションを作成するときは常にキャラクターの個性を気に留めておかなければなりませんでした。それから、アニメーションの動きに可能な限り近づけたアクションを撮影して、参考用ビデオを作ります。参考ビデオは大まかなポージングとタイミングを決定するのに使用します。そこからは、ポーズを強調したり、タイミングを調整したり、装飾を加えたりします。
素早く、きびきびとした動きを見せるために、スミアフレームをたくさん使用しました。素早いアクションが起きている最中にアニメーションを止めると、キャラクターたちの姿が大きく引き延ばされたり、歪んだりしているのがわかると思います。そのフレームだけでは不自然に見えますが、アニメーションで見ると、1フレーム以上のフレームがあるような錯覚を起こします。そのおかげで、「コマ送り」しているように見えないようなとても素早い動きのアニメーションを作ることができました。
なぜ Unreal Engine はダークサイド・ジェネシスに合っていたのでしょうか?
ゲームディレクター ライアン・ステファネリ:似たタイプの他のゲームがUnrealで成功を収めていることを考えれば、ごく自然なことだと思います、特にマルチプレイゲームのプロジェクトにおいては。グループで問題解決をするための巨大な資源基盤もありました。これは後に非常に価値のあるものだということがわかりました。それに、Unreal Engine には実績があります。
テクニカルディレクター クリス・ブルックス:ソースコードにアクセスできるのは、Unreal の大きな恩恵の1つです。

スタジオで最初の Unreal Engine 作品のようですが、Unreal Engine に切り替えた感触はいかがでしょうか?
ステファネリ:Unreal は広く普及している開発ツールです、チームメンバーの多くが過去のプロジェクトで使用した経験がありました。それに過去に触れたことがない人たちも、経験者たちのおかげで素早く鍛え上げることができました。
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