画像提供:Cold Iron Studios
Aliens: Fireteam Elite
が、ホラー色の中で激しいアクションを前面に打ち出した方法
Brian Crecente
2021年11月22日
Cold Iron Studios
インタビュー
ゲーム
Craig Zinkievich 氏は、2015 年に自身が創設の支援を行ったサンノゼを本拠地とする企業、Cold Iron Studios で優秀かつ経験豊富なゲーム デベロッパーのチームを運営しています。
ゲーム業界で数十年にわたる経験を積んだ Zinkievich 氏にとって、インタラクティブな開発、公開、および運用の面で担当したことのない役割はほとんどないと言えます。Zinkievich 氏は、20 年もの業界経験の中で、プレイヤーによって長く愛される MMO の最高執行責任者、制作責任者、ゲーム ディレクターなどを経験し、並外れた実績を収めています。その MMO には、
Star Trek Online
、
City of Heroes
、
Dungeons & Dragons Neverwinter
などが含まれます。
Cold Iron Studios で Zinkievich 氏が注力しているのは、世界有数のデベロッパーが PC やコンソールのマルチプレイヤー アクション ゲームに趣味や収益を目的として携わり、コラボレーションできるインクルーシブな文化の醸成です。
Aliens: Fireteam Elite
は、第 1 作の
Alien
ではなく、
Aliens
をテーマとする協力型のサバイバル シューターです。プレイヤーは、他の 2 人のプレイヤー (AI 制御の合成キャラクターか、プレイヤーが海兵隊員となる) とともに、ゆっくりと慎重かつ戦術的にゲームの 4 つのチャプターのキャンペーンで戦いを進めます。リアルなエクスペリエンスでありながら十分知られていないと思われるのが、ゲームの流れを大きく変えるチャレンジ カードです。このカードでは銃の弾詰まりを引き起こしたり、ヘッドショットを必須にしたりするなど、さまざまなことが可能です。難易度の設定も、ゲームプレイに大きな変化をもたらすもので、敵をキルするのが難しくなるだけでなく、敵を視認しづらくなります。
Cold Iron Studios
の CEO 兼創立者である Craig Zinkievich 氏に、ゲーム設計に向けたチームのアプローチ、Unreal がイテレーションに役立った点、リリース後のサポートでも続くゲームの進化について伺いました。
Cold Iron Studios が設立された経緯と、Cold Iron Studios のゲームについて教えていただけますか?
Craig Zinkievich 氏 (Cold Iron Studios CEO 兼創立者):
Cold Iron Studios は、Matt と Shannon、そして私が 2015 年に創立しました。3 人ともゲーム開発に携わって日々作業を行うことが好きだったので、スタジオを立ち上げて優秀なデベロッパーと一緒に開発をしたいと考えたのがその理由です。
私たちはキャリアを通じて、オンラインの協力型プレイに取り組み、リアルな作品を作り上げようとしてきました。過去に取り組んだゲームでは一瞬ごとのゲームプレイで実現可能な限界を押し上げ、その点では常にトップ クラスのものを作り続けてきました。そのため、一瞬ごとのゲームプレイのループは私たちにとって重要であり、私たちが重視するものです。ただ、誤解していただきたくないのは、協力型ゲームプレイやインタラクティブなストーリー、革新的な RPG システムこそが私たちの大切にするものであり、それらは常に Cold Iron Studios ゲームの要素に盛り込んでいます。15 秒のループで緊張感を作るようにしていますが、これは取り組みとして私たちが力を入れている部分です。
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Alien
シリーズ作品には、映画、コミック、書籍、ビデオ ゲームなど、豊かな歴史があります。作りたい作品へと仕上げていく上で、初期の設計の選択やアプローチにそのことはどのような影響を及ぼしましたか?
Zinkievich 氏:
私たちは Alien シリーズの大ファンなので、映画を観たり、コミックや書籍を読んだり、ビデオ ゲームをプレイしたりしてきました。
Aliens: Fireteam Elite
の制作を始めることになったときに思ったのは、「自分たちはどんな
Alien
のビデオ ゲームをプレイしたいだろうか?」という単純なものでした。そして、格好いい海兵隊の一員になり、恐ろしく賢い敵を倒すゲームに仕上がりました。敵は群れとなってドアや通気口を通り抜け、壁や天井を這いまわり、あらゆる角度から Fireteam に奇襲をしかけてきます。
Aliens: Fireteam Elite
では、逃げて生き延びることよりも、戦略や攻撃に重点が置かれていて
Alien
というよりは、
Aliens
のゲーム版といった印象が強くなっています。なぜそのようなアプローチを取る決断を下したのでしょうか?また、本来ホラー色の強いシリーズにおいて、アクションとのバランスをどのように取りましたか?
Zinkievich 氏:
これは、間違いなく「s」が付いている方の
Aliens
のゲーム版です。
両方のオリジナルの映画を観ると、それぞれのストーリーも、ストーリーの語り方も大きく異なることがわかります。2 作目の映画では、植民地の海兵隊が中心として描かれ、ゼノモーフの群れも存在しますが、その多くが映画全体で海兵隊によって排除されていきます。そのため、
Aliens: Fireteam Elite
はこの 2 作目の映画から大いに着想を得たものであることから、ゲームのタイトルも
Alien
ではなく
Aliens
としています。このタイトルから、プレイヤーが期待できるストーリーや、アイデアの元となった映画について伝えることができればと思います。
Aliens: Fireteam Elite
の恐怖や緊張感は、暗闇を忍び寄る存在におびえて感じるものではなく、コントロールされていた状況から一転して地獄のような状況が発生し、それを乗り越えることができるかどうかを案じることで生まれるものです。
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ファーストパーソンではなく、サードパーソンの視点でゲームを表現しようと決定されたのは、どのような理由からですか?また、プレイヤーに恐怖感を持ってもらう上で、その決定によって発生した課題はありましたか?
Zinkievich 氏:
サードパーソンの視点は、次のようないくつかの要素から決定しました。海兵隊のすばらしいカスタマイズ オプションを作成していたので、まずそれらを表示したかったということがあります。また、ゲーム内で一部の敵と戦う際に必要となるカバー システムがあり、これはファースト パーソンで表示するのが難しいものでした。さらに、プレイヤーが戦うゼノモーフの数や、ゼノモーフの群れの作り方、プレイヤーを囲む方法を踏まえると、360 度の視野があった方が、混沌とした状況に陥りがちな戦闘を管理しやすくする上で重要だとわかったからです。
ゲーム内で出現するゼノモーフの動きは多様で、非常に目を引きます。忍び寄ったり、走ったりするだけでなく、壁を登ったり、天井を駆けまわったりするものもありますが、このような自由な動きは、どのような設計方法で実現したのですか?
Zinkievich 氏:
確かにトリッキーな部分ではありました。このジャンルのゲームではほとんどの場合、敵はフロアの範囲内に常に存在しますが、ゼノモーフの脅威を売りにするのであれば、映画で言っているように「壁から出てくる」ようにする必要がありました。そこで当スタジオのシステム デザイナーとエンジニアが連携し、壁や天井を通り抜けられるゼノモーフを生み出しました。そこから、通常ではあり得ないこの方法を利用し、レベル デザイナーが細心の注意を払って、操作可能な空間設計を行ったのです。適切な処理を行っていることを確認するため、そして Fireteam を完全に圧倒してしまわない範囲で敵を選ぶにはかなりのイテレーションが必要になりました。最終的な結果として、敵との遭遇による課題は困難なものとなり、成功するにはすべてのアプローチの方法を観察する必要が生じました。
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ゲームの難易度設定は、エクスペリエンスを大きく左右するようにできています。武器の効果や敵の強さだけでなく、武器でゼノモーフの輪郭が表示されるかどうかなども含まれますが、このようなアプローチを採用するに至った理由は何ですか?また、そのアプローチによってどのような効果を実現したのか詳しく教えていただけますか?
Zinkievich 氏:
サバイバル シューターのジャンルに目を向け、効果を検討する際に重要な要素は、危険を感じながら困難な戦いを勝ち抜いている感覚を持ってもらうことです。世の中にはさまざまなタイプのゲーム プレイヤーが存在し、スキル レベルもそれぞれです。また、プレイヤーが自分自身で楽しめる設定の好みも多様です。
Alien
の世界観に対して忠実になると、映画で生き延びる登場人物はごくわずかであるため、難しさを感じながらも楽しめることが重要であると私たちは気づいたのです。
初期には 3 つの難易度設定しかありませんでしたが、幅広く多様なコミュニティに対して広く十分なアピールを行うには、難易度を拡張する必要があると考えました。それによって、関係の深い友達とだけプレイし、プレイに関して許容度があまりないプレイヤーのグループを取り込む一方で、普通にシューター ゲームをプレイするだけでは終わらない
Alien
ファンのどちらにも、それぞれが求めるエクスペリエンスを実現しました。開発時には、内部で何度も各難易度の微調整を行いました。また、一部のプレイヤーに生じた問題はフィードバックやイテレーションによって把握し、機能の一部 (敵の輪郭表示など) は、適切なプロセスにおいてオンラインで後から実現しました。
私たちにとって、敵のヘルス、敵との遭遇でスポーンするモンスターの種類や数、プレイヤーが復活できる回数、見つかるメディキットの数など、難易度の調整はゲームのための変数のセットと言えます。プレイヤーが求める難易度の感覚は、そういった変数の 1 つ 1 つによって決定されます。高難易度では (弾薬が少なくなったり、仲間へのダメージなどによって) リソースの不足やチームに対する意識が生じたり、低難易度では弾薬不足や隠れた敵への心配が少なくなったりするのです。
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ゲーム内のクラスはどのようにして確定し、ゲームプレイにどのような影響を与えていますか?
Zinkievich 氏:
ゲーム内のロードアウト キットは、内部で何年もゲームをプレイして固まったものです。多くのキットで初期の設計を行い、そのキットで多数プレイしてそれぞれの面白さを見出し、制作中のゲーム内で成功した要素をさらに洗練していきました。デザイナーが多数のアビリティのプロトタイプを直接
ブループリント
で作成したため、さまざまなタイプのアビリティを試すことができました。その中から全面的にサポートしていくものを見つけ、このテクノロジーを利用した上でコード作成へと移行したことで、効率的に信頼性の高いものを作ることができました。
Aliens: Fireteam Elite
では、キットがゲームプレイを左右します。プレイヤーが持つことができる銃は、キットによって利用できるタイプ (ライフルとハンドガンなど) が異なり、アビリティも固有のものが 2 つ (ガンナーにはグレネードと、チームの火力を大幅に高めるアイテムであるオーバークロックが、テクニシャンには自動化されたガン タレットと、近くの敵の動きを遅くするチャージド コイルが付与される) あります。また、パークのグリッドはカスタマイズ可能なため、ゲームプレイにさらなる変更を加えることができます。キットに完全に固有のパークもあれば、入れ替え可能なパークもあります。
ゲームには驚くほどたくさんのストーリーが盛り込まれています。ボイスオーバーで語られるだけでなく、宇宙船の上やミッションで発見したアイテムについての会話があったり、キャンペーンを進める中で体験する場面に劇のような演出があったりします。どのようなアイデアから、ストーリーテリングにこのようなアプローチを取ることにしたのですか?
Zinkievich 氏:
ゲームプレイでは、ペースの速い戦闘にフォーカスしているため、核となるその部分に、不快感を覚えるような場面でストーリーを挿入するのは避けたいところでした。しかし、この作品が
Aliens
のゲームであることを忘れてはなりません。シリーズ作品全体のストーリーを味わう感覚をプレイヤーに、中でもコアなファンに提供するのは重要なことです。情報システムを活用し、エンデバー号の裏側でキャラクターの情報を共有することで、プレイヤーがそれぞれのペースでストーリーを楽しむことができるようにしました。
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Aliens: Fireteam Elite
は、
Alien
の世界観やストーリーに対してどのような位置づけとなる作品ですか?また、正当な流れを汲む作品と考えてよいのでしょうか?
Zinkievich 氏:
Aliens: Fireteam Elite
で語られるのは、
Alien
の世界の中で完全に新しいストーリーです。
Aliens
の出来事が起きた数十年後の 2202 年の設定なので、ストーリーが少し先に進み、シリーズの世界を広げる作品となっています。すべてをつなぐ全体的なストーリーを踏まえ、
Aliens Infiltrator
の書籍で終わったストーリーの直後を描くこともしていますが、シリーズ作品全体で受け継がれている話からアイデアを膨らませています。そのため、他の
Alien
作品のストーリーに関連しているとプレイヤーが気づけるような瞬間もゲームにたくさん盛り込まれています。解き明かされていない謎はまだまだあります。
ゲームのリリース後のサポートは提供されますか?また、プレイヤーがミッションを一通り完了した後のリプレイ性を向上するために、どのような取り組みをされましたか?
Zinkievich 氏:
協力型サバイバル シューターのジャンルでは、リプレイ性は非常に重要です。プレイヤーが長期間にわたってキャンペーンやホード モードを再度プレイできるよう、ゲームでは多数の工夫を行っています。
シーンの裏側ではコードやヒューリスティックを実行し、プレイヤーの行動に注意し、出現する敵の数を制御して、常に緊張感が続くようにしています。各ミッションにはランダム性もあり、目標が変わったり、異なる部屋や経路が開いたりすることがあります。
しかし、単に古典的な協力型サバイバル シューターのエクスペリエンスを同じように作りたかったわけではなく、いくつか要素を加えることで革新を起こし、このジャンルを拡大したいと思っていました。
私たちは RPG が好きなので、多数の RPG 要素をゲームに盛り込んでいます。プレイヤーが装備およびレベル アップさせることができる 6 つのクラスまたはキットを用意しました。これらのクラスやキットはゲームプレイにおける役割を定義しますが、いつでも入れ替えることができます。それぞれにはパークもあり、アンロックすると他のどのキットでも使用できます。ゲーム内にはたくさんの武器が登場し、それらをレベル アップさせたりさらにカスタマイズしたりすることができます。さらに、多数の戦利品を集めることもでき、アタッチメントや装飾品、伝説のアイテム、デカール、ハットなどをゲーム内で見つけて獲得できます。
5 つの難易度レベルを追加してあるので、プレイヤーの目の前にはやりがいのある挑戦が常に用意されています。
挑戦と言えば、ファンに非常に楽しんでいただいている機能の 1 つに「チャレンジ カード」があります。このカードは、ミッションの最初にプレイ内容を変化させるものです。画面上に装飾をオーバーレイで追加するもの、プレイヤーの目標を設定するもの (ミッションを 15 以内に完了するなど)、主なゲームプレイ内容を大幅に変えてしまうものなどがあります。カードによっては、ミッション中ずっとランダムに銃の弾詰まりを引き起こすものや、サイドアームだけでしかプレイできなくするもの、通常のダメージを大幅に減少させる一方で弱点へのダメージを増加させることで、有効なヘッドショットを必須にするものなどがあります。多数あるチャレンジ カードの中から 1 枚を選択してミッションを完了すると、追加の報酬を受け取ることができます。
リリース後のコンテンツについては、リリースの数週間後に Season 1: Phalanx がリリースされ、ゲームに新しいクラス キットが導入されました。当スタジオでは、来年の 1 年間でさらに 3 回以上のアップデートを行って、新しいゲームプレイ、システム、クラス キット、武器、さらなる報酬を追加することを発表しています。このようにシーズンごとにコスメティック DLC パックをリリースする一方で、これらのゲームプレイの追加要素はゲーム本編に無料で付属します。
画像提供:Cold Iron Studios
次世代ハードウェアと Unreal Engine の長期的な可能性について、Cold Iron Studios の皆さんが最も期待していることは何ですか?
Zinkievich 氏:
どのような規模の開発チームにも言えることかもしれませんが、Cold Iron Studios のように小規模なチームでは特にイテレーションのスピードが重要です。Unreal Engine のおかげで、驚くほど迅速にイテレーションを実行できるようになりました。また、Unreal Engine にはプログラマーだけにとどまらず他のチーム メンバーが利用可能な機能のプロトタイプ作成ツールセットも搭載されています。次世代ハードウェアに目を向けると、迅速にプロトタイプを作成でき、新しいエンジンの機能が試しやすくなれば、高機能なテクノロジーのデモにとどまらない活用方法が可能になります。それによってゲームの目標やプレイヤーのためのゲームプレイの改善が実現されるでしょう。
お話を聞かせていただきありがとうございました。Cold Iron Studios と
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Aliens: Fireteam Elite
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