Squanch Games では、ユーザーにこよなく愛される作品、そして、私たち自身がプレイしたくなるようなゲーム作品を制作しています。何時間でも楽しく没頭できる体験だけでなく、短時間で遊べるクレイジーなゲームも制作しています。友達のグループと一緒にプレイしたり、あなたにゲーム機を持たせておくと死ぬまで何も食べないのではないか、と心配してやってきたおばあちゃんと一緒にプレイしたりすることもできます。
Rick and Morty の共同制作者である Justin Roiland 氏が設立した Squanch Games は、コメディに特化したゲームのパイオニアです。Accounting+ と Trover Saves the Universe を開発した、カリフォルニアに拠点を置くこのスタジオは、The Muppets の世界観とブレードランナーの世界観を融合した作品と評される High on Life で、これからもコメディのストーリーテリングとインタラクティビティの可能性をさらに広げていくことを目指しています。
今回、このゲームのインスピレーションの源となったもの、アドリブ満載のセリフをどのように考案し、盛り込んだのか、High on Life のしゃべる武器/相棒をどのようにデザインしたのかなど、Squanch Games スタジオのメンバーの皆さんにインタビューしました。
ゲーム、映画など、High On Life の制作に具体的なインスピレーションをもたらしたものはありますか?
チーフ デザイン オフィサー、Erich Meyr 氏:本作の SF テイストは、The Explorers、Mac and Me、The Fifth Element、Farscape などの 80 ~ 90 年代の SF アドベンチャー映画やテレビ番組を見てふんだんに取り入れました。私たちは、普通の子供が大きな宇宙に連れてこられた感じを表現したかったのです。その宇宙を表現するのが、私たちの世界を映し出す、奇妙でありながらも親しみを感じさせるエイリアンなのです。ゲームプレイに関しては、Metroid Prime、Bioshock、Halo、および Ratchet & Clank など、私たちになじみのある多くの Y2K ゲームからインスピレーションを得ただけでなく、ゲームのフィーリングをモダナイズし、私たちがスタジオとして培ってきた「Squanch らしさ」も加えました。
プロジェクトで掲げた大きな目標はありましたか?
Mikey:Trover [Saves the Universe] の開発中に思いついたアイデアや手法をすべて発展させたいと考えていました。ゲームプレイとテクニックの両面から、自分たちが笑うことができるだけでなく、心から誇りに思える作品を制作することがとても重要でした。私たちが大好きなゲームでよく使用される素材を使用して、親しみやすくユニークなレシピを考案したかったのです。全体としては、自分が本当にプレイしたいと思う作品を作りたいと考えていました。
ERICH:そのとおりです。
画像提供:Squanch Games
Accounting+ や Trover Saves the Universe をはじめとするユーモア重視のゲームのパイオニアとして、ユーモア作品を制作してきた経験で High On Life に活かされたものはありますか?
Mikey:Trover は手探りの状態で制作を進めました。ゲーム空間にもっとユーモアを取り入れたいとは思っていましたが、実際にどのくらいの作業とイテレーションが必要なのか、見当もつきませんでした。Trover を制作したことで最終的には、High On Life に着手するうえで役立つツールやテクニックをたくさん思いつきました。また、コメディではイテレーションとタイミングがとても重要であることも学びました。そのため、セリフを手早く盛り込んで、アニメーションを簡単に変更し、最終的にはそういったすべてをボツにして、やり直せるようなワークフローを構築する必要がありました。
Mikey:この質問に正確にお答えするのはちょっと難しいですね。私たちはかなり以前の 2017年にアイデアやコンセプトについて検討し始めました。当時、Squanch で働いている人は片手で数えるほどしかおらず、他にも 2.5 個のプロジェクトに同時に取り組んでいたので、High On Life はすっかり後回しになっていました。「実際の」プロダクションは 2020年に約 15 人のデベロッパーでスタートさせ、その後着実に 50 人ほどまで人員を増やしていきました。人員が揃ったところで、2021年に本格的に開発に着手し、直近の 1 年半でゲームの 90% を制作しました。コメディには、多くの手直しが必要です。新しい IP の確立、チームの構築、そしてゲームの本当の意味を見極めることなど、予算のバランスを取りながら、たくさんの作業をこなしていきました。本当にジェットコースターのようでした。
High On Life は The Muppets の世界観とブレードランナーの世界観を融合した作品と表現されていますが、なぜこのような異質のモチーフを融合させようと思いついたのか、もう少し詳しくお聞かせください。
Mikey:Justin と私は The Muppets の大ファンです。とても滑稽なのですが、愛嬌たっぷりで、そのデザイン センスは、私たちが普段から話しているアイデアの多くに反映されています。最初は、Rick and Morty の 3D 版のようなゲームにしようと考えていたのですが、当スタジオ独自のアイデンティティが必要だということに気付き、それをどのようなものにするかを模索することに挑戦してみました。毎晩遅くまで Justin とスケッチやアイデアを出し合い、90 年代のアクション フィギュアのような雰囲気を醸し出すようにそのスケッチやアイデアに磨きをかけていきました。さらに開発を進めるうちに、このおもちゃ寄りのアプローチは、プレイヤーが追いかけるバウンティだけには当てはまるものの、銃や人間、またはゲームに登場する各種 NPC には当てはまらないことに気付きました。すでに銃はマペットのシンプルなデザインをベースにしていたので、Jim Henson 氏が人間やパペット、および実用的なモンスターが登場するワールドをすでに作り上げていたということに気付きました。そこで、「Jim Henson スケール」を考案し、各キャラクターをそのスケールに当てはめていきました。Henson スケールは、私がうまく表現するのに苦労していたアイデアを固めるうえで役立ちました。そのため、「Jim Henson がブレードランナーを制作したら?」というキャッチフレーズが、私たちが目指すビジュアル面のエレベーター ピッチとなったのです。
High On Life には、ユニークなバイオームを含む大規模でカラフルなレベルで構成されていると思います。本作のワールドと環境デザインについて教えてください。
Mikey:私は、これまでのキャリアの大半を素晴らしい骨太なゲームに費やしてきました。その経験を活かし、各種要素を抽象化し過ぎることなく、ユニークな色彩を感じさせるものを作りたいと考えていました。私は、物事が奇妙だと考えられるのは、その他すべてのことが普通だと感じられる場合のみだと思っています。そのため、より自然なバイオームでは Lisa Frank 氏の世界観と Roger Dean 氏の世界観を、よりハイテクなエリアや都市については、Syd Mead 氏の世界観と Moebius 氏の世界観をバランスよく融合するように努めました。80% の要素を落ち着いたものにし、20% は奇妙でカラフルなものにしたかったのです。色を際立たせるには、色調を制限する必要があります。そのため、ゲーム内のすべての環境は 3 色の配色に制限されています。制限することによって、圧迫感なく、すべてがカラフルに感じられるのです。膨大な時間をかけて各エリアのリファレンスを集め、優れた数名のコンセプト アーティストと協力して、各バイオームのキー アートを制作しました。時間はかかりましたが、それだけの価値のあるキー アートに仕上がりました。
Mikey:まずは紙の上で、たくさんの銃のアイデアをスケッチしました。すべての銃の外観は、使用可能なゲームプレイのメカニズムに基づいています。Erich、Justin、そして私は、すべてのコンセプトを検討し、気に入ったアイデアを厳選して、プロトタイプを作成できる数の銃に絞り込みました。Erich が銃のプロトタイプの制作に着手すると、ゲームの変化に合わせて、あらゆる要素が徐々に進化していきました。技術ディレクターの Nick Weihs が戦闘デザインとイテレーションを引き継いでからは、私たちは銃のメカニクスの強化に着手しました。銃のデザインは、プロジェクトの間に何度か大きく変更しましたが、銃のコアの部分は最初のピッチ段階からほぼ変わりませんでした。
High On Life にはたくさんのオプションのセリフが盛り込まれていますが、リプレイ性を考慮してデザインされているのでしょうか?
ERICH:おっしゃるとおりです。最初から、High On Life では前作よりもプレイヤーのストーリーを充実させたいと考えていました。つまり、プレイヤーの選択肢を増やすことで、プレイスルーを異なるものにし、このゲームを気に入ってくれたプレイヤーが何度もプレイできるようにしたのです。Mass Effect のように世界を変えるような壮大な選択肢や、Telltale ゲームのようにストーリーを大きく変えるような選択は追求しませんでした。プレイヤーがゲーム中のコミカルな場面に影響を与え、プレイヤーがゲームでできるとは思ってもみなかったようなおバカなことをして、笑ってもらいたかったのです。そのために、銃のアンロックのタイミングを変える (つまり、ミッション全体のセリフの流れが異なる) ような大きな選択肢と、誰を撃つかを選択したり、銃と話したりといった小さな選択肢をレイヤー化しました。
画像提供:Squanch Games
自分たちが一番悪い敵だと思っているアリのような低レベルの敵から、複数のステージにまたがるボス戦まで、High On Life の敵をデザインする際に採用した手法についてお聞かせください。
Alec:ええ、正直なところ、面白さを追求するというのは怖いことなのです。ゲームをコメディと銘打つと、高い確率で期待のハードルを上げることになります。面白いゲームは、たいていコメディと銘打っていません。Portal 2 は何よりもまずパズル ゲームですが、このメディアでの最高のジョーク作品でもあります。Fallout には非常に優れたコメディ性がありますが、「コメディ ゲーム」とはうたっていません。映画やテレビではコメディには、どたばた劇、ロマンチック コメディ、ストーナー、風刺など、サブジャンルがたくさんあるので、自分の主観的なテイストに合わせて選ぶことができます。ゲームにはそういったサブジャンルがないので、自分の目指すコメディのテイストをプレイヤーやユーザーにアピールするのは難しいのです。私は個人的にも、ゲームでのコメディの難しさを理解しています。High On Life を手がけたことがなければ、「ゲームでコメディなんて」と、懐疑的に考えたと思います。しかし、幸運なことに Justin Roiland には非常にコアなファンがついています。そのファン層の大半を取り込むことができればいいなと思っています。私たちは、マクロなレベルでは Justin の意見に沿って書いていますが、何人かのライターは、自分のユーモアをスパイスとして随所に散りばめています。
リリース後のコンテンツも期待できますか?
前作 Trover Saves the Universe ではリリース後も長期にわたってサポートしました。High on Life でも同じようにサポートする予定です。具体的なことはまだ発表していませんが、引き続きご注目いただければ幸いです。
貴重なお話をありがとうございました。High On Life の詳細については、どこで確認できるのでしょうか?
High On Life は 2022年12月13日に Xbox X|S、Xbox One、Windows PC、Xbox Cloud Gaming、PC Game Pass、そして Xbox Game Pass でリリース予定です!現在、Xbox、Epic Games Store、Steam で予約/プレインストール/ウィッシュリスト登録を受け付けています。
詳細については、https://squanchgames.com/high-on-life/ をご覧いただくか、Twitter、Instagram、Facebook (すべて @highonlifegame) でフォローをお願いします。また、Squanch Games (こちらも @squanchgames) でも最新情報をお届けしています。