Laser Guided Games のチームには、Unreal Tournament と Gears of War のシリーズを含む制作クレジットで、アンリアル エンジンを使った制作で名を連ねているお馴染みのメンバーがいます。次のプロジェクト、Golem Gates では Hollow Earth と協力して作業します。Hollow Earth は、ゲーム開発や、『トランスフォーマー』、 Marvel 映画でデザインにも関わっています。
Golem Gates は、従来の RTS ゲームプレイでは考えもしなかった独特のスタイルを採用しています。トレーディング カード ゲーム (英語圏ではCollectible Card Game (CCG)) の影響を受け、グリフのセット (カード一式) を組み立ててカスタマイズした戦略を戦場で生み出します。
他の CCG と同様に、デッキ構築が重要な要素になりますが、強力なグリフを集めることは戦闘の一部にすぎません。スキルの高いプレイヤーは、重要な目標をめぐって敵と戦う際にその動きを予測しながら、いつどのようにグリフを使うのが最も効果的かを考えなければなりません。
デジタル エンターテイメント業界での皆さんの経験についてお聞かせいただけますか?
Matt Oelfke 氏、リード プログラマー兼リード デザイナー - 私は、Unreal Tournament 2003 の mod で初めてゲーム業界に関わりました。最終的に、エピック ゲームズの契約社員になり、その後、フルタイムの社員になりました。そこで約 9 年間、 Unreal Tournament、 Gears of War、そしてアンリアル エンジンのマルチプレイヤーの基礎構造に関わる仕事をしました。AAA タイトルの仕事に長く従事した後、エピックを離れてインディー規模で新たなアイデアを試すために Laser Guided Games を創設しました。小さな縦画面のシューティング ゲームで制作のコツをつかんだ後、さらに大きなものに挑む時期がやってきました。
Rob McLaughlin 氏、プログラマー兼デザイナー - 私は、ほぼ 18 年にわたりビデオ ゲームの仕事をしてきました。ほぼすべてのジャンルの経験があり、20 以上のゲームを出荷しました。スポーツ タイトルや 『Civilization IV』 と 『Pirates』 といった注目を集めた戦略ゲームで Firaxis Games の伝説のデザイナー、Sid Meier と共に仕事をし、後にエピック ゲームズに入りました。エピック在職中は、 Gears of War シリーズ、Unreal Tournament や他の作品でコア プログラマーを務めました。エピックで長年経験を積んだ後、インディーの現場に移り、長年の友人である Matt と共に Laser Guided Games を成長させて独自のゲーム制作に従事しています。
Josh Nizzi 氏、アートとストーリー リード担当 -私は 8 年間、ゲーム業界で働き、『Red Faction 1 & 2』、『The Punisher』、 および 『Fracture』 といったタイトルに関わってきました。その後、長編映画のコンセプト デザインの仕事を約 10 年間続けて、『トランスフォーマー』や Marvel 映画のスーパー ヒーローやロボットのデザインをしました。とはいえ、完全にゲーム業界から離れたわけではありません。エピックや Warner Bros.からの請負の仕事をしたり、Hollow Earth で自分のアイデアを形にしていました。
Dalvin Kang 氏、オーディオとキャンペーン デザイン担当 -4 年間にわたり Hollow Earth で仕事をし、ほとんどの時間を様々な IP 向けの音楽のプロデュース、オーディオやゲームプレイのプロトタイプのデザインをしていました。
Laser Guided Games と Hollow Earth Inc. の協力関係はどのように実現したんですか?
Rob McLaughlin - 業界で広い人脈を持ち、経験豊富な私が、できればノースカロライナ州ローリー地域でアートとレベル デザインの担当を見つけることになりました。インディー ゲーム業界の仲間の何人かと話をした後、メールで Josh Nizzi を紹介されました。一緒にランチをしてすぐに彼のことが気に入ったのです。Josh は、この仕事に興味を持ってくれただけでなく、プログラミングのエキスパートと一緒に仕事をして、フルタイムでゲーム業界に再び戻ることを求めていました。
彼を採用したことは成功でした。単にアート担当のコントラクターを見つけるのではなく、パートナーシップを得たからです。数日後に我々の娘たちが同じ高校のバレーボール チームに入ったこともわかりました。その後数か月で多くの家族で同じようなことが起こり、仲間意識が生まれました。
Golem Gates のアイデアはどのようにひらめいたのでしょうか ?
Matt Oelfke - 私は、時間経過に伴い、ゆっくりとコレクションを強化していく、CCG スタイルのゲームを楽しんできました。手持ちのデッキに各ピースをどのように統合するか、新しいデッキの始まりを考えたりするとワクワクします。残念ながらこうしたゲームの多くは現在無料でプレイできるため、進行の面白さが減って、自分にとっては楽しめないものになりました。
CCG の基本から検討して、いくつかのジャンルを見てどれがユニークで、デッキ構築を活かせるかを検討しました。RTS が良いのではと思いました。戦闘ストラテジーとデッキ ストラテジーとの間で情報をやりとりすることで、沢山のユニークな組み合わせを生み出すことができるからです。さらに、多くの既存の RTS ゲームのメカニクスの一部を取り入れることもできます。例えば、ビルド オーダーをデッキ ビルドに組み込んで、戦闘に焦点をあてて、わかりやすくします。
RTS と CCG の組み合わせはとても面白いですね。ゲームプレイの概要を教えてください。
Matt Oelfke - 大部分のマップの目標は、自分の Harbinger を守りながら、敵の Harbinger を打ち負かすことです。Harbinger は自由に動くことが可能であり、コストの低い偵察部隊を呼び出し、グリフが近くで使われたらバフ (一定期間キャラクターの能力を高めるスキルや魔法など) を与えます。しかし、ヒール (回復) はほぼ難しいため、バックラインのコマンダーとして使うのに最適です。プレイヤーはゲーム開始時に 6 個のグリフを引いて、Harbinger が動かない限り、タイマー ベースでさらにグリフをひきます。グリフでプレイするためのエネルギーは時間が経つと甦り、プレイヤーがいくつリソース ポイントをコントロールするかに応じてそのキャパシティは徐々に増えます。
ピースを組み立て、配置するうえで最も重要な要素は、既存のユニットや建造物から見えるほぼどこからでも新しいグリフを狙えることです。軍隊を送り込んで、相手の方が勝っていたらどうでしょう?さらに多くの人数をその場に呼び出すことができます。多くの場合、戦闘は一名のプレイヤーで複数回クリアします。これには、スペル (呪文) を使ったり、さらに多くのユニットを呼び出して、その後、他のプレイヤーがそのユニットを呼び出して応戦します。建物やトラップは時間が経つと自動的に構築されて、戦闘中に建物に忍び込んで敵をおびき寄せることもできます。
グリフの種類についてお話いただけますか?
Dalvin Kang - グリフは、ユニット、建物、スペル、トラップの 4 種類に分けられます。ユニットと建物は戦闘をコントロールするうえで中心的な役割を果たします。多様な攻撃の種類や特殊機能を持っています。さらに重要なこととして、戦場における不確定要素に対して、明確なビジョンを与えてくれます。明確なビジョンがあればグリフを組み立てられるため、ユニットと建物を攻撃、防衛の両方に使うことができます。
スペルのグリフは戦闘に直接影響を及ぼすために使います。敵の一団に火を放ったり、ユニットに強力な力を与えたり、マップ上で Harbinger をテレポートさせたりすることができます。トラップのグリフを戦場に配置して、敵がトラップをトリガーするようにします。トラップの例としては、毒、爆発物、相手を驚かせるものなどがあります。
Glyph Book を組み立てる場合にこうした 4 種類のグリフのバランスをとり、4 種類のカテゴリ間での相互プレイを理解することが、Golem Gates のプレイを成功させるうえで重要です。
プレイヤーはどのように新しいグリフを手に入れて、その選択がどのようにプレイ スタイルに影響を及ぼしますか?
Matt Oelfke - キャンペーンでは、マップの目標を達成すると新しいグリフが与えられます。キャンペーンを終えると、プレイヤーに想定される多様なオプションが与えられ、そこから拡張していきます。他のモードでは、対戦の終わりに、結果とは関係なく新しいグリフがランダムに与えられます。シングルカウントの Legendaries は例外です。それぞれ、シングル プレイヤーとマルチ プレイヤーのアチーブメントにリンクしています。いずれかをコンプリートしてグリフを取得するか、両方をコンプリートしてビジュアル面でアップグレードします。
プレイヤーが選ぶグリフは戦略を表す重要なものです。せっかちなプレイヤーはコストが低いユニット、バフや一時的にリソースを増やすようなユーティリティを選ぶでしょう。のんびりとしたプレイヤーは建造物やトラップをため込んで、長期的に時間をかけて好機を待ちます。誤った指図を与える機会も沢山あります。ステルス ユニットは別として、敵をだますために使うホログラフィー ユニットも一時的に生み出すことができます。
2 つのジャンルを組み合わせた結果、予想外の問題は生じましたか?
Matt Oelfke - リソース メカニクスは、主要メカニクスで最大の課題になりました。ゲームで勝利を収めるうえでリソース コントロールを重要な要素にしたいと考えましたが、早すぎる段階でプレイヤーが大きな力を発揮しなくても良いように徐々に強化するようにもしました。リソースのキャパシティを別の値に分けました。この値はリソースを使うにはかなりゆっくりと増えますが、RTS では直観性に少し欠けることがわかりました。これを補うために、またユニットが集まるのを防ぐために、King-of-the-Hill (お山の大将) スタイルのキャプチャー ポイントであるリソース ノードを作りました。これで物事がわかりやすくなります。リソース増加の詳細がわからなくてもリソース ゲームで勝っているかどうかが簡単にわかるからです。
Golem Gates のビジュアル デザインについての目標やインスピレーションを受けたものについてお話いただけますか?
Josh Nizzi - 競合作品の可能性を考えると、一段とスタイライズされたカートゥーンのデザインが選ばれる傾向があるようです。差をつけて目立たせるには、さらにダークで神秘的な世界にすべきだと思いました。この方向性は、ゲームプレイの鍵を握る戦いの不確定さを補うものです。みんな Dark Souls や Bloodborne のファンです。そのため、この種のアイデアを理解してもらうのは難しいことではありませんでした。
ビジュアルの方向性を決める際の重要な要因は、開発における現実です。私はこのプロジェクトで唯一人のアーティストであり、コントラクターの助けや、アンリアルのマーケットプレイスを使っても 1 年間でできることには限りがあります。自分がよく知っていて効率よく作れるものをデザインし、自分の得意分野にとどまることが賢明だと考えました。
明らかに、このチームはアンリアル エンジンを使って作業した経験が豊富ですよね。こうしたことが、小規模なインディー スタジオでの制作にどのような影響を及ぼしましたか?
Rob McLaughlin - 正直言って、特に変わりはありません。Matt と私は長いことアンリアル エンジンで作業をしてきたため、チームの規模に合わせたデザインの方法やワークフローの作り方は既にわかっています。アンリアル エンジンの威力と我々の経験を合わせることで、大規模チームが行うのと同じように可能な限り効率的にプログラミングとデザインのタスクを行うことができます。Josh と Dalvin は、すぐにエディタの操作に慣れて、Matt と私はコードから機能を公開して、彼らができるかぎり効率的に作業して、スローダウンすることなくゲームにコンテンツを追加できるようにしました。自分がやることが理解できれば、ごく少人数で UE4 を使って素晴らしいことができます。
UE4 の採用を検討しているインディー スタジオに対してアドバイスがあれば聞かせてください。
Dalvin Kang - 私の経験上、UE4 で最も便利なのはブループリントでゲームプレイのアイデアのモックアップを簡単に作成することができることです。我々は小さなチームであり、迅速に作業する必要があります。ですから、アイデアを素早く形にしてテストできるということは非常に便利です。速いペースで絶えず作業していると、使いやすさが重要になります。アンリアル エンジンには初心者向けの優れたオンライン リソースもあります。具体的に言うと、アンリアルの AnswerHub は問題が生じた場合に素晴らしいリソースになります。コミュニティのメンバーは反応が速く、熱心に助けてくれます。
開発についての詳細情報や最新情報はどこを見ればわかりますか?
Golemgates.com で情報をご覧いただけます。このウェブサイトでは、ニュースレターに登録してゲーム開発の状況を知ることができます。SNS でも絶えず情報を公開しています。弊社の Twitter、 Instagram、 Facebook をご覧ください。